三崎亜記のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ架空のスポーツ「掃除」に情熱を傾ける男子高校生の物語です。
現実にはありえないものをあるように思わせるのが作者の持ち味ですが、中短編では控え目なこの表現力を全開にしたらこうなるのかと、面白く読ませてもらいました。
内容としては青春小説の王道を踏まえ、多分にライトノベル的・少年誌的であり、その手の話に慣れている人間にはとっつきやすかったと思います。
ただ中盤以降の「修行」時代は、どこを目指しているのか分かりにくかったり、顧問の筋書き通りに動く展開が繰り返されたりで、やや間延びしてしまった感もあります。
その点は作者がこのジャンルをまだモノにできていないことが原因なようで、今後に期待というところでしょうか。
青春時代における制約の形として統治機構が出てくるのがいかにも作者らしいですが、不自由を強いる「体制」との対峙は、大人の読者でもドキッとさせられるものがありました。 -
Posted by ブクログ
あれ、えらくドロドロとしちゃったな、というのが正直な感想。
建築物を偏愛する三崎さんですが、もう一つのこだわりが戦争なのでしょう。これは『となり町戦争』の系譜の作品です。
三崎さんの作品は、どれも現実とは少しずれた不思議な共通の世界を舞台にしていますが、この作品にも州都とか自治区とか隣国とか、『コロヨシ!!』にも出てくる用語が出てきます。
しかし、何だかちょっと違います。暗めの雰囲気はいつも通りですが、いつもはサラリと距離感を置いて描かれる登場人物たちが、この作品では妙にドロドロと重いのです。何だか昼間のメロドラマでの雰囲気なのです。
同時併録された短編『戦争研修』は『となり町戦争』のスピンオフ物語でなかなか良いのですが、表題作の『逆回りのお散歩』は、どうも私には合いませんでした。 -
Posted by ブクログ
30年に一度、何処かの町が失われる。
正確には30年の周期で何処かの町の住人が全て消滅してしまう。
それを悲しんではいけない。
何故なら悲しむことでその人も消滅してしまう可能性があるから。
この小説の世界観を掴むまでに時間が掛かります。
ジグソーパズルのように1ピースづつ嵌めていく感じです。
それと、泣けます!
町に捕らえられそうです。
となり町戦争の時にも思いましたが、近未来でもなく異世界でもない日本?
というか、そもそも日本なのか?と、思っちゃいますが、この小説を受け入れられるかどうかは、この世界を無防備に受け入れられるかどうか?ではないでしょうか? -
Posted by ブクログ
何だか長編スポコンアニメです。
「キン肉マン」とか「悟空」のノリです。最初は軽いものだったのが、どんどん拡張して行き、舞台も技もとてつもないものになってしまい(笑)。
アニメを意識してるのか、登場人物も初代顧問の寺西先生は「スラムダンク」を思い起こさせるし、今回の顧問・牧田先生もどこかのアニメにモデルが居そうです(私は詳しくないので)。
ただ、それが成功しているかというとチョット。何か所も「ずっこけ」シーンは作っているのですが、笑う前に「ああこのパターンね」と思ってしまいます。
そもそも三崎さんは人を描くのはあまり上手くないのかな。考えてみれば、過去の三崎作品の中で思い出されるのは、作品に描かれる不思議な世界そのものだったり、廃墟建築のような不思議なシーンだったりで、ほとんど人物が出てきません。
この作品でも世界観の構築は流石です。ある種の現実を下敷きにしながらも、それを見事に変換して現実から引きはがし、かつ説明しない所は読者が現実から補完してくれる。そんな設定です。
何だか編集者に乗せられて、三崎ワールドにアニメを持ち込んだらどうなるのか実験してみた、そんな気がする作品です。
しかし三崎さんの一番の持ち味はやはり「不条理な世界のなかの静謐感を感じる美しいシーン」と思えます。今回はアニメチックに楽しませてもらったけど、やはりそちらの世界に戻って頂けないかと。。。