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いまの日本と日本人の問題を歴史的につきつめていくと「江戸時代のこと」を考えざるをえなくなる。戦国時代の最強教育、殿様のベストセラー本、乃木希典の理想の軍人像……当代随一の歴史学者が、好奇心の赴くままに古文書を徹底調査。膨大な近世の古文書から、新時代を生き抜く知恵と人生において本当に大切なことを伝える。
【目次】
まえがき
第1章 中世の武士と近世の武士の違い
江戸から読み解く日本の構造/大失業時代は幕末武士に学べ/サムライ時代のエコノミクス 他
第2章 歴史を動かす英才教育
幸村の天才軍略遺伝子 武田+上杉+秀吉の知謀を引き継いだ男/くの一は江戸時代のハニートラッパーだった/明治維新を起こした奇才 頼山陽 他
第3章 古文書を旅する
「震災離婚」事始め/江戸の「会いに行けるアイドル」/イケメン大名の悲劇/幕末の男性不妊治療 他
第4章 歴史を読む
家康のコイを食った男/将軍が愛したウナギ/西郷隆盛が古文書偽造!? 他
初出一覧
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日本史の探偵手帳
作者の知性、教養、好奇心、研究研鑽の蓄積が溢れている好書で興味深く知的刺激に満ちている。一般公式歴史書には出てこないこれらの貴重な歴史事実は古文書を無数に発掘して読みこなす作者でなければ得られない情報の宝庫で一般読者がこれを容易に読めるのは大変に幸運なことだ。
Posted by ブクログ
【単に江戸は歴史の中のものだけでなく、私たちが生きる現代にも脈々と流れている点も考えねばなるまい】(文中より引用)
現代を代表する歴史の語り手である磯田道史が、日本史の面白さや巷間には知られていない小話について紹介する作品。日本のアイデンティティから江戸の街中に落ちた隕石の話まで、多様な分野の多様な話を収めています。
どっしり構えて対面する歴史ではなく、ちょこっと脇に控えて手に取りたくなるような歴史の面白さを教えてくれる一冊。一次資料をかき分けた著者でなければわからない好奇心をくすぐるエピソードが満載で、日本史熱に日を付けてくれる嬉しい体験ができるかと。
磯田氏が出演しているNHKの『英雄たちの決断』を毎週見ています☆5つ
Posted by ブクログ
磯田氏が2003年から2015年までに文芸春秋などの雑誌に書いたももの21編をまとめたもの。
内容別に
「中世の武士と近世の武士の違い」
「歴史を動かす英才教育」
「古文書を旅する」
「歴史を読む」に分かれている。
中世の武士は家臣団といっても寄せ集め、主人が不利とみるや逃げ出すが、織田信長あたりから戦の最後まで主人に付き添っている形になった。また現代のものの考え方のルーツも鎌倉とかまでは遡らず、江戸時代で、それは織田・豊臣・徳川の美濃・尾張・三河の濃尾平野で作られた、と考えていいいという。
教育が成果を出すには3代かかる。
なぜ太平洋戦争で軍部は独走したが、それは教育システムのせいだという。江戸も中期になると家柄にとらわれず優秀な者もとりたてようと藩校などが作られた。維新の英雄は教育に力を入れた藩から出ており江戸時代からの生き残りで下級武士が多かった。次の世代、日露戦争あたりの乃木将軍や大山巌などは第一世代をみつつ新しい組織になじんだ。次の第3世代、東条英機あたりになると維新は知らず、出世するのは筆記試験に強い秀才が集まり、人材の多様性が無くなり、専門知には長けているが総合知が無かったから、という。
そして現代、重要視されるべきは技術知だろうという。
最後の「語り下ろし日本史「必読の百冊」」では、原始から現在まで古今の著作100冊を引き合いにざっと、日本史を通観していて、これがとても分かりやすい。
氏が当たった史料の多さには恐れ入る。それでこそプロなのだなあ。ただ文が、ですます調と、だ調が混じっているので読んでて調子が狂う。
Posted by ブクログ
磯田道史氏の著作は初体験。
第1章に記載ある、ノーベル経済学賞受賞者ダグラス・ノースの『経路依存』の考え方がまず面白かった。曰く、「経済制度は、前の制度の道筋にとらわれながらしか発展できない」という考え方で、経済のみならず社会全般に当て嵌まるよう。武士の時代千年の後、未だ明治維新後150年ちょっと。
ローカルの話をする際には、県よりも藩の区分の方がしっくりくるし、現代人も歴史の延長線上で生きている、ということなのだろう。
雑誌連載が初出らしく、カバー範囲が多岐に渡って飽きの来ない内容。
出色は、戦後大きく評価を落としたものの、明治維新の精神的基盤に寄与した「頼山陽」に関する文章。世界観、歴史観、というのは、ある個人に大きく影響され得る、という点も新鮮だった。
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