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Posted by ブクログ
磯田道史さんは、巨人の菅野智之投手にそっくりだ。ぜひ、写真を見比べてほしい。ひょっとして二人は親戚ではないかと思ったりする。実は秘密の兄弟、親子だったりして。ずっと以前からこのことが気になって仕方がなかった。磯田さん自身は、春風亭昇太に似ていると言われたらしいが、どうかなあ。
さて、本の方は全くもって素晴らしいというしかない。小学生のころから古文書を読み始めたというだけあって、あちらこちらに出没しては、古文書を発掘し、新しい歴史の一幕を解読してくれる。そこ知的興奮たるや半端ではない。磯田さんは古文書の巨人だ。私が付箋を付けたところは非常にたくさんあるのだが、一部を書いておく。
・三方ヶ原の戦いで徳川家康に送られた織田信長の援軍は3000とあるが、そんなはずはない。家康が十分な援軍を受けて敗れたことを隠蔽するためであるかもしれない。「前橋酒井家旧蔵問書」によれば2万とある。
・秀吉の大陸征服のために肥前名護屋城に日本中の大名・重臣・兵卒までが集結して対外戦争をやったため、天下・統一国家日本の現物を日本中の人間が見てしまった。日本は一つとの国民国家思想の形成の前処理がここで済んだ。
・香道は、香木の希少性からあまりに貴族的で和歌の教養が要る芸道として発達してきたため、茶道ほどには気楽に学ぶ人がおらず、家本流派もその数が少ない。保護が必要な芸術かもしれない。
・ヨーロッパでは、啓蒙主義の時代というのがあり、17~18世紀に、宗教権威を世俗の君主や知のエリートが否定して、合理的な思想をつくりあげる。しかし、同時期の江戸時代の日本では、エリートばかりか、庶民がけていきょういくですでに子弟の啓蒙を完了していた。日本は、今日においても、一般人の常識的知識の発達した国である。江戸時代の歴史が財産になっているといえる。
・日本では仮名交じりの木版出版文化で、本で女性や庶民へ実学が広がった。識字率の高い、労働力の質の高い社会ができあがった。いわば本こそが日本を作ったといってよい。
・長州も薩摩も、松陰や西郷が動かしているように見えて、実は本が彼らを動かしていた。取り込み性という日本人の特性がいかんなく発揮されている。漢学、国学、蘭学、洋学、何でもどん欲に取り込んでいく日本社会では、昔から本が主役であった。
・松陰は「幽因録」で、蝦夷を開墾して諸侯を封じ、間に乗じてカムチャッカ、オホーツクを奪い、琉球を参勤させ、朝鮮を攻めて人質を取り朝貢させ、さらに満州、台湾、ルソンを収めよと提言した。朝鮮は日本が攻めなければ、必ず列強が来るという、当時の厳しい状況下での松陰の理屈であった。
Posted by ブクログ
2019/02/17
普段テレビでよく見かける歴史研究家の磯田さんのこの本がずーっと自分の家に置いてあって、多分親が読んでいたんだろうと思っていたけど、そんなに興味が湧かずスルーしてました。でも、ある時、部分的にたまたま手にとって読んでみたらすごく深い内容でこれは面白いぞと読み進めているうちにあっという間に読み終わってしまった感じです。
この本のすごいところはとにかく磯田さんの徹底的な研究姿勢と古文書に関する半端ない知識、古文書という一次資料から読み取ったことを現実と照らし合わせて的確に検証していることだと思います。
歴史は繰り返すってよく聞くけど、昔の人の記録をじっくりと読むことで現代の生活に活かせることが今でもたくさんあるんだなということを実感しました。また、歴史はやはり教科書や参考書で覚えたことではなく、その裏にある人々が織りなす出来事や事柄、当時を生きた人々の生き様や思いまでしっかりと考える必要があり、それについて考えて自分たちがこれからどう生きていったら良いかということにつなげていくことが大事なんだなあと改めて実感した次第です。
一次資料に触れる機会を自分もこれから増やしていきたいなと思いました。
Posted by ブクログ
「古文書には不思議な力がある。人の美しい思想が、そこに宿っていると、古文書に現世の人間が動かされ、操られるように、何かが起きる。だから、私は、この仕事がやめられない。」
私には古文書を発見する力も、読み解く力もないから、こうして磯田さんが発見してくださったことを読めることをとても楽しみにしています。
磯田さんの歴史愛あふれる文章も楽しい。
古い日記や記録から読み取れる人間味あふれるエピソード、忍者子孫たちとの交流、映画「殿、利息でござる!」の裏話などあらゆる角度から「へえ〜!」と思えることがいっぱい。
古文書から読み解ける現代にも続く教えや文化的財産。そして未来へ役立てること。
やっぱり歴史はおもしろい。
Posted by ブクログ
「紙の新聞の時代は終わった、これからは偏向も忖度もしていないネットメディアの時代だ!」とかなんとか喧しい昨今ですが、読もうと思っていた情報以外にも目がいって引き込まれるのは新聞購読のよいところで、読売に連載されている「古今をちこち」はふと目にとまって以来大変面白く、今は掲載を楽しみにしている記事の一つです。
さて、本書はその連載をもとにまとめられた単行本ですが、通して読んでみると、著者の古文書に対する熱意とフットワークの軽さには改めて驚かされます。ここだな、と踏んであたってみると、あっと驚く新史料が歴史に新たな視点を与えてくれる。また、周りから特ダネが実によく舞い込んでくる。研究とは足で稼ぎ、人脈で成り立つもの。象牙の塔にこもるだけでは新発見は生まれないものなのですね。
基本的には歴史のピンポイントを深掘りする話が多く、一冊を通した大きな流れが見つけづらいのは単行本としてはつらいところ。大河ドラマでも見てから、そういえばあの辺の話のウラは本当はどうなっているのだろう、と本書をめくると楽しいかも知れません。まあ、今年は観ていないのですが。
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