中公新書作品一覧

  • インフレの時代 賃金・物価・金利のゆくえ
    NEW
    4.7
    世界で先行していた物価の高騰=インフレーションが、日本でも2022年春から始まった。 それまでの慢性デフレから一転したのはなぜか――。 物価研究の第一人者がその謎を解く。 物価高騰は私たちの生活を圧迫するが、同時に賃上げを達成すれば、市場は価格メカニズムを取り戻し、日本の経済は好循環で回り始める。 どうすれば賃金を上げられるのか?  政策金利は、財政はどうなるのか?  直撃するインフレの実態に迫る。 ■目 次■ 序 章 新たな時代の始まり 第1章 賃金・物価・金利の正常化 1 本章の論点   2 慢性デフレとは何だったのか   3 賃金・物価・金利の変化   コラム:日銀はなぜ2%のインフレを目指すのか   第2章 インフレは日本経済をどう変えるのか 1 本章の論点   2 価格メカニズムの正常化   3 実質為替レートの正常化   4 政府債務の正常化   第3章 インフレと日銀 1 本章の論点   2 インフレは一過性か   3 物価予測のミスを闇に葬った日銀とエコノミストたち   4 「基調的インフレ」とは何か   5 植田日銀の利上げは機会主義的   6 利下げでトランプ関税に備えよ   7 国際的な「同期」が高インフレをもたらす可能性    コラム:日銀の追加利上げは「全く理解できない」   第4章 インフレと賃上げ 1  本章の論点   2 安いニッポンに賃上げと値上げの自粛は必要ない 3 最低賃金の引き上げはなぜ必要なのか   4 実質賃金改善のために労使は何をすべきか   5 「自然」実質賃金という考え方   6 トランプ関税を負担するのはいったい誰なのか    コラム:賃上げを社会に定着させる方法   第5章 インフレと財政 1 本章の論点   2 賃金と物価を上げるための財政支出をためらってはいけない  3 インフレ率2%経済への移行で得られるインフレ税収   4 消費税減税で潤うのは買い手ではなく売り手なのか?    コラム:高市政権の「積極財政」の可能性とリスク   第6章 インフレの変動要因 1 本章の論点   2 令和の米騒動の原因は需要か供給か   3 黒田日銀総裁が語った70万字   4 パンデミックで迷走した物価統計   5 消費者が「見た」価格と「買った」価格はどう違うのか   あとがき   図表出所一覧   初出一覧   参考文献
  • ナショナリズムとは何か 帰属、愛国、排外主義の正体
    4.3
    民族や国民をめぐる心の働きを強め、再生産するナショナリズム。 帰属意識、愛国心、排外意識の三つの顔をもつ。 世界で猛威をふるう排外主義・右派躍進の正体とされるが、なぜ同胞愛は憎悪に変わるのか。 なぜ民族紛争は再燃するのか。 経済不安との関係とは。 本書は国民国家誕生からの歴史を一望し、豊富な事例をふまえナショナリズムがいつ生まれ、社会に浸透し、私達の心を動かすかの全容を描く。 俗説を覆し、本質に迫る。 【目次】 まえがき 第1章 ナショナリズムとは何か 議論の概観 1 出現    ネーションはいつからあるのか  近代の社会現象  多様化し日常化するナショナリズム 2 定義 言葉の由来 「生まれ」  ①政治の意識として  ②政治運動のイデオロギーとして  日常的なナショナリズム 3 源泉 ①近代主義  ②民族象徴主義  ③政治や権力闘争 4 分類 「良いナショナリズム」と「悪いナショナリズム」? ナショナリズムとパトリオティズム 5 まとめ――プラスでもマイナスでもなく 第2章 ナショナリズムを構成しているもの 1 三つの意識 2 三つの意識の背景 社会学/政治学/心理学  着目点の違い  諸意識の実態  世界各国の実態  意識は時間とともに変わる 3 意識間の相互連関 愛国心と排外意識はいつ結びつくの?  個人的差異より社会的文脈が重要?  グローバル化の効果?  国のメンバーシップの性格? 4 まとめ――ナショナリズムの多次元性 第3章 何が帰属意識を強めるのか 1 ネーションへの帰属意識 地域主義との関係  複数のアイデンティティ 2 近代化と帰属意識の高まり 学校教育、鉄道  出版・印刷の普及  軍隊 3 現代文化と帰属意識 スポーツの祭典  FIFAワールドカップ  アフリカのサッカー選手権  ラグビーワールドカップ 4 帰属意識を高める政治 5 まとめ 第4章 何が愛国心とプライドを強めるのか 1 愛国心の多義性・多様性 愛国心をどう捉えているか  愛国心の国際比較 2 経済格差との関係 格差と貧困  政府の陽動 3 政治的動員・選挙との関係 選挙と動員 4 国際環境の影響 グローバル化の影響  国際紛争と脅威 5 文化表象としての音楽イベント 音楽の力  国歌と祭典 6 まとめ 第5章 何が排外意識と優越感情を強めるのか 1 経済不安よりは向社会性? 経済的な脅威  集団的な脅威  外国人比率の効果 2 政治状況と排外主義 ホモナショナリズム/フェモナショナリズム 3 隠れた反移民感情 文脈によって異なる「望ましい回答」 4 国際政治の影響 外交的緊張 5 まとめ 第6章 政治・経済への効果 1 公共財の分配 福祉への効果  多民族国家は不利なのか 2 シンボル操作の効果 国土・国旗という象徴と寄付  党派的分断を癒す 3 民主的な規範と政治信頼 民主主義を促すか  社会的な信頼と負担 4 経済や資源の開発 資源ナショナリズム  エコ・ナショナリズム/グリーン・ナショナリズム 5 まとめ――ナショナリズムの政治経済的効用? 第7章 暴力・紛争への効果 1 ナショナリズムと内戦 貧困と格差  政治的排除の回避  連邦制や選挙制度への効果 2 ナショナリズムと少数派の弾圧 暴力と流血が生まれる理由  東欧でのホロコースト 3 ナショナリズムと国家間戦争 国民国家と戦争の波  失地回復運動  言説枠組みの影響 4 ファシズムとセクシュアリティ 5 まとめ――ナショナリズムと暴力 終 章 ナショナリズムの実態を見る 1 何がわかっていて、何がこれからわかるのか 2 政治をめぐる意識の一つとして 3 おわりに あとがき 注記一覧 / 参考文献・出典
  • 福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会
    4.3
    アメリカにおける福音派の巨大な存在感は、近年よく言及される。しかし、彼らはどのように影響力を拡大し、トランプ大統領の誕生や再選、あるいは政治的・文化的闘争に関係していったのか。本書は、第二次世界大戦後のアメリカの軌跡を、福音派とその背景にある終末論に着目して描き出す。そこからは大統領の政治姿勢はもとより、中絶や同性婚、人種差別、イスラエルとの関わりなど多くの論点が見えてくる。 まえがき 序 章 起源としての原理主義 第1章 「福音派の年」という転換点――一九五〇年代から七〇年代 1 原理主義者と福音派のはざまで 2「福音派の年」とカーター大統領 3 終末に生きる選ばれし者たち 第2章 目覚めた人々とレーガンの保守革命――一九八〇年代 1 政治的な目覚め 2 モラル・マジョリティの誕生 3 レーガン政権と福音派のせめぎ合い――保守革命の裏で 第3章 キリスト教連合と郊外への影響――一九九〇年代 1 パット・ロバートソンの政治戦略 2 フォーカス・オン・ザ・ファミリーと伝統的家族観 3 クリントンの信仰と六〇年代の精神 4 ウォルマートとメガチャーチの止まらぬ拡大 第4章 福音派の指導者としてのブッシュ――二〇〇〇年代 1 ボーン・アゲイン大統領とネオコンの思惑 2 九・一一と小説のなかの終末論 3 信仰の公共性 4 スキャンダラスな福音派と右派の失速 第5章 オバマ・ケアvs.ティーパーティー――二〇一〇年代前半 1 初の黒人大統領と福音派左派 2 オバマ・ケアと中絶問題 3 ティーパーティー運動 4 アメリカ建国偽史 5 高まる人種間の緊張 第6章 トランプとキリスト教ナショナリズム――二〇一〇年代後半~ 1 白人とイスラエルの味方として 2 保守化する司法と中絶・同性婚問題 3 キリスト教国家と非宗教者 終 章 アメリカ社会と福音派のゆくえ あとがき 主要参考文献 略年表 主要人名索引
  • カラー版 近代絵画史 増補版(合本)
    5.0
    本書は、十九世紀前半から第二次世界大戦にいたるおよそ一五〇年間の西洋絵画を概観。上巻は近代絵画の先駆者ゴヤから、ボナールに代表されるナビ派まで。下巻は、世紀末絵画から抽象絵画まで。増補にあたりあとがきを新規に収載し、名著をカラーで刷新。
  • ゾウの時間 ネズミの時間 サイズの生物学
    4.0
    動物のサイズが違うと機敏さが違い、寿命が違い、総じて時間の流れる速さが違ってくる。行動圏も生息密度も、サイズと一定の関係がある。ところが一生の間に心臓が打つ総数や体重あたりの総エネルギー使用量は、サイズによらず同じなのである。本書はサイズからの発想によって動物のデザインを発見し、その動物のよって立つ論理を人間に理解可能なものにする新しい生物学入門書であり、かつ人類の将来に貴重なヒントを提供する。
  • ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで
    4.1
    ユダヤ教を信仰する民族・ユダヤ人。 学問・芸術に長けた知力、富のネットワーク、ホロコーストに至る迫害、アラブ人への弾圧――。 五大陸を流浪した集団は、なぜ世界に影響を与え続けているのか。 古代王国建設から民族離散、ペルシア・ローマ・スペイン・オスマン帝国下の繁栄、東欧での迫害、ナチによる絶滅計画、ソ連・アメリカへの適応、イスラエル建国、中東戦争まで。 三〇〇〇年のユダヤ史を雄大なスケールで描く。 ■目次 序 章 組み合わせから見る歴史 第1章 古代 王国とディアスポラ 1 ユダヤ教以前のユダヤ人?――メソポタミアとエジプトのあいだで 2 ユダヤ教の成立――バビロニアとペルシア帝国 3 ギリシアとローマ――キリスト教の成立まで 第2章 古代末期・中世――異教国家のなかの「法治民族」   1 ラビ・ユダヤ教の成立――西ローマとペルシア 2 イスラーム世界での繁栄 西アジアとイベリア半島 3 キリスト教世界での興亡――ドイツとスペイン 第3章 近世――スファラディームとアシュケナジーム 1 オランダとオスマン帝国――スファラディームの成立 2 ポーランド王国との邂逅――アシュケナジームの黄金時代 3 偽メシア騒動からの敬虔主義誕生――ユダヤ教の神秘主義 第4章 近代――改革・革命・暴力 1 ドイツとユダヤ啓蒙主義――同化主義なのか 2 ロシア帝国とユダヤ政治――自由主義・社会主義・ナショナリズム 3 ポグロムとホロコースト――東欧というもう一つのファクター 第5章 現代――新たな組み合わせを求めて 1 ソ連のなかの/ソ連を超えるユダヤ人――社会主義的近代化 2 パレスチナとイスラエル――「ネーション」への同化 3 アメリカと文化多元主義――エスニシティとは何か むすび あとがき 参考文献 ユダヤ人の歴史 関連年表
  • 応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱
    4.0
    室町後期、諸大名が東西両軍に分かれ、京都市街を主戦場として戦った応仁の乱(一四六七~七七)。細川勝元、山名宗全という時の実力者の対立に、将軍後継問題や管領家畠山・斯波両氏の家督争いが絡んで起きたとされる。戦国乱世の序曲とも評されるが、高い知名度とは対照的に、実態は十分知られていない。いかなる原因で勃発し、どう終結に至ったか。なぜあれほど長期化したのか――。日本史上屈指の大乱を読み解く意欲作。
  • 読む技法 詩から法律まで、論理的に正しく理解する
    4.2
    あふれる情報の中で時間に追われ、なおかつプレゼン能力が重視される昨今、読むという行為が疎かになっていないだろうか。本来、書き手の意図を正しく汲み取れて、初めて議論や思索は成り立つのに。本書は解釈学、構造主義、ナラトロジーなど、西欧で発展した読む技法を紹介。詩、小説から評論、法律まで多様なテクストを例示し、技法を応用して読み解く。より深い読解力を身につけたい読者のための、実践的な入門書。 はじめに 「読めたつもり」の危うさ 序 章 「読解力の教室」開講の目的と意義 読解力とは何か/さまざまなレベルの暗黙知/暗黙知を自覚する/前提としての文化的コンテクスト/日本語と「論理」/西洋で発展した読む技法/速読・多読は役に立つのか/文学はむしろ実用的 第一講 自己解体としての読書 〈地平の融合〉-- 村上陽一郎「自己の解体と変革」を読む 「読む」意義はどのように変容してきたか/地平の融合/評論の基本構造/結論を先に押さえる/村上陽一郎「自己の解体と変革」を読む/文章から骨組みを抜き出す/「喜ばしき学問」とは/まとめと発展 第二講 論理は書き手の意図を探るために 〈法的解釈〉-- 日本国憲法を読む 法解釈の理論はなぜ役立つのか/法令用語ならではの特徴/法令の「及び」「並びに」「かつ」はどう違うのか/法体系の構造化/文理解釈と論理解釈/論理解釈の種類/同性婚に関する法廷の憲法解釈/まとめと発展 第三講 読みの可能性を広げる〈精読・注釈〉--岡倉天心『茶の本』を読む 「馬鹿」は罵倒のことばなのか/注釈をつけながら読む/1 文彩(レトリック)/2 アイロニー/3 引用/4 時代状況/5 土地の刻印/まとめと発展 第四講 同じテーマや同じ書き手を比較する〈テクストの横断〉-- 佐藤春夫「愚者の死」と与謝野鉄幹「誠之助の死」を読む テクスト論の現在/同じテーマをめぐるテクスト1 「愚者の死」/同じテーマをめぐるテクスト2「誠之助の死」/伝記的読解/書き手の意図に辿りつくために/同じ書き手によるテクスト1「レーダーホーゼン」/同じ書き手によるテクスト2「風の歌を聴け」/まとめと発展 第五講 作者や歴史を超える思想〈構造主義〉--芥川龍之介「蜜柑」と梶井基次郎「檸檬」を読む ソシュールの一般言語学/構造主義と文学/小説の構造=筋/共通構造を抽出する/「構造」の意義/色彩の物語としての「蜜柑」/「蜜柑」に秘められた複雑な構造/「檸檬」の文学性/まとめと発展 第六講 語っている/聴いているのは誰?〈ナラトロジー〉--芥川龍之介「藪の中」を読む ナラトロジーとは何か/1 時間/2 叙法/3 態/オースティンの言語行為論/芥川最大の「問題」作/比較断章法 藪の中の論点整理/解消されない齟齬/ナラトロジー 藪の中へ/「藪の中」のリアリズム/傍証としての言語行為論/傍証としての伝記的読解/まとめと発展 第七講 味読のための堂々めぐり〈解釈学的循環〉--神吉拓郎「ブラックバス」を読む 「循環」と呼ばれる理由/なぜ繰り返し読む必要があるのか/深く読むために通る道/神吉拓郎「ブラックバス」を読む/「ブラックバス」のミステリ構造/タイトルの意味/まとめと発展 最終講 声なき声に耳を澄ます--宇野邦一『反歴史論』を読む 難解なテクストに挑戦する/中島敦「文字禍」の注釈/問題を正確に捉える/主張を先取りする/歴史と歴史学/歴史と記憶/闘争の場としての歴史学/歴史と自由/ナポレオンをめぐって/歴史の喜びと苦しみと重さと/まとめと発展 おわり
  • 日本史の内幕 戦国女性の素顔から幕末・近代の謎まで
    3.8
    西郷隆盛の性格は、書状からみえる。豊臣秀頼の父親は本当に秀吉なのか。著者が原本を発見した龍馬の手紙の中身とは。司馬遼太郎と伝説の儒学者には奇縁があった――日本史にはたくさんの謎が潜んでいる。著者は全国各地で古文書を発見・解読し、真相へと分け入ってゆく。歴史の「本当の姿」は、古文書の中からしかみえてこない。小説や教科書ではわからない、日本史の面白さ、魅力がここにある!
  • 冷戦史(上) 第二次世界大戦終結からキューバ危機まで
    4.3
    1~2巻968~990円 (税込)
    1945年頃から1990年頃にかけて、アメリカ中心の西側陣営とソ連中心の東側陣営が対立した「冷戦」。その影響は21世紀の今日にも色濃く残っている。本書は米ソ超大国やヨーロッパの対立のみならず日本を含む東アジアの展開にも力点を置いた通史である。上巻では、1945年に第二次世界大戦が終わり、大国の協調が崩壊して冷戦が始まる経緯から、朝鮮戦争、脱植民地化の進展、さらに62年のキューバ・ミサイル危機までを描く。
  • 東ユーラシア全史 陸海の交易でたどる5000年
    -
    1巻1,430円 (税込)
    電子版は本文中の写真を多数カラー写真に差し替えて掲載。 広大なユーラシア大陸は中央の乾燥地帯を境に生態環境が二分される。 日本列島を含む東側では古来、遊牧・農耕・海洋の諸文明が興亡。シルクロードほか陸海の路を介して多彩な物産、また宗教・文化が東西を往来した。 ソグド商人やペルシア・アラビア商人の活躍、モンゴル帝国の隆盛と解体、明の鄭和の南海遠征、大航海時代の展開から、欧米列強の極東進出、アジア・太平洋戦争まで――。交易をキーワードに壮大な歴史をたどる。 ■本書の目次 はじめに 序 章 風の中の歴史 1 ユーラシアを吹き抜ける風 2 新たな歴史観 第一章 偏西風アジアでの文明の形成      ――先史時代から紀元四世紀 1 偏西風アジアの遊牧騎馬文明 2 偏西風アジアの農耕文明 第二章 モンスーンアジアでの文明の形成      ――先史時代から紀元五世紀 1 モンスーン陸域アジアでの交易 2 モンスーン海域アジアでの交易 第三章 広域交易圏の形成      ――四世紀から八世紀 1 偏西風アジアでのキャラバン交易 2 モンスーンアジアにおける港市国家連合 第四章 一体化する北と南の交易圏      ――九世紀から一二世紀 1 北東アジアの新興勢力 2 モンスーン海域アジアの新興勢力 第五章 ユーラシア通商圏の形成      ――一三世紀 1 新生遊牧帝国の形成 2 モンゴル帝国とモンスーンアジア 第六章 通商圏の変調と再編      ――一四世紀から一六世紀 1 陸域アジア――カアンを継ぐ者 2 海域アジア――海禁・朝貢・密貿易 第七章 信仰、戦争、そして通商      ――一七世紀から一九世紀前半 1 偏西風アジア――割拠する諸勢力 2 モンスーンアジア――新たな参入者 第八章 欧米列強の極東アジア進出      ――一九世紀 1 ロシアの極東進出 2 イギリスの極東進出 3 自由貿易と地政学 終 章 環球の中の日本      ――二〇世紀 おわりに あとがき 主要参考文献
  • モンスーンの世界 日本、アジア、地球の風土の未来可能性
    5.0
    インド洋の季節風がヒマラヤにぶつかって東アジアに流れ、梅雨前線を形成する。冬にはシベリアの冷気がチベット高原に遮られて東に到来し、日本に大雪を降らせる。モンスーンは日本をはじめ東アジアから南アジアにかけて豊かな自然をもたらし、独自の風土を育んだ。今や「モンスーンアジア」は世界の中心となっている一方で、地球規模の環境危機も招いている。この危機を克服するために、いま私たちは何をすべきか。
  • 新興国は世界を変えるか 29ヵ国の経済・民主化・軍事行動
    3.8
    21世紀以降、ますます存在感を強めている「新興国」。特にブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国は「BRICS」と呼ばれ、リーマンショック後の世界不況を立て直す牽引役として期待された。一方、中国は海洋進出を進め、ロシアはウクライナに軍事侵攻を行う。力をつけた新興国は世界にどのような影響を与え、どこへ向かうのか? 本書は29ヵ国を新興国と特定し、経済成長、政治体制、軍事行動を分析する。
  • 人類の起源 古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」
    3.7
    古人骨に残されたDNAを解読し、ゲノム(遺伝情報)を手がかりに人類の足跡を辿る古代DNA研究。近年、分析技術の向上によって飛躍的に進展を遂げている。30万年前にアフリカで誕生したホモ・サピエンスは、どのように全世界に広がったのか。旧人であるネアンデルタール人やデニソワ人との血のつながりはあるのか。アジア集団の遺伝的多様性の理由とは――。人類学の第一人者が、最新の研究成果から起源の謎を解き明かす。
  • イスラームが動かした中国史 唐宋代から鄭和の大航海、現代回族まで
    -
    中国とイスラーム世界が邂逅した7世紀以降、西方や南方から来華したムスリムは、歴代中国の諸勢力が躍進する原動力となり、各地に豊かな文化を根づかせた。 彼らは、中華文明とどう向き合い、中国社会をどう変えたのか。 本書は、唐宋代の交易からモンゴル帝国の統治、鄭和の大航海、清への反乱、辛亥革命と日中戦争、現代新疆の実相までを一望。 時空を超えた1400年の軌跡を、世界史の視座のもと照らし出す。 【目次】 まえがき 序 章 中国ムスリムの概要 民族別の人口と居住地  三つの主要な集団  ①漢語を話すムスリム回族を中心に  「回族らしさ」とは何か  回族の宗教信仰  移動と定住  ②新疆のテュルク系ムスリムウイグル族を中心に  ③サラール族・東郷族・保安族 第1章 外来ムスリムの往来と定住唐代から元代 1 唐とイスラーム世界の邂逅 2 沿海部における交易活動 3 中央アジアのテュルク化とイスラーム化 4 元朝と色目人  第2章 土着化の進行明代 1 社会的地位の変化  2 混血と入信  4 鄭和の大航海  第3章 苦難と変革清代 1 政策と制度  2 思想の深化  3 諸イスラーム集団の形成  4 ムスリム反乱  5 近代的覚醒と国際関係  第4章 民族意識の形成中華民国期 1 新国家への期待と現実  2 馬家軍西北地域の回民軍閥  3 ナショナリズムの喚起  4 民族と宗教  5 ウイグル・アイデンティティの芽生え  第5章 社会主義時代を生き抜く中華人民共和国期 1 宗教の破壊と再生  2 中国共産党と新疆ムスリム社会  3 国際化する新疆問題  4 政治宣伝と文化変容  終 章 中国ムスリム史が伝えるもの あとがき  参考文献 イスラームが動かした中国史 関連年表
  • 戦後史1945-2025 敗戦からコロナ後まで
    5.0
    アジア・太平洋戦争による壊滅から経済大国化し、不動の国際的地位を築いたものの、「失われた30年」で低迷する日本。豊かにはなったが、所得や地域間の格差、世界の〝最先端〞を行く高齢化、少子化など「課題先進国」とも呼ばれる。本書は、この戦後日本の軌跡を描く。特に東アジアとの関係、都市と農村、家族とジェンダーといった、大きく変貌した関係性に着目。マクロとミクロの両面から激動の80年を描いた日本現代史。
  • 関係人口の時代 「観光以上、定住未満」で地域とつながる
    4.5
    人口減少が進むなか、政府は地方創生の切り札として、今後、関係人口一千万人の創出を目標に掲げた。関係人口とは、「観光以上、定住未満」で地域とつながる人々を指す。地域間で人材をシェアする考え方が根底にある。関係人口の増加で都市と地方はどのように変わり、個人のライフスタイルにどんな影響があるのか。関係人口研究の第一人者が、全国の事例をもとに、現状と具体的な課題、実践に向けたヒントを示す。
  • 世界秩序 グローバル化の夢と挫折
    4.0
    第二次世界大戦以降、アメリカが主導してきたグローバル化が挫折しつつある。自由民主主義と市場経済の社会モデルが綻びを見せ、権威主義の中国やロシアが秩序変更を狙う。世界はこれからどうなるのか――。本書は古代ローマ帝国から現代のアメリカ一極優位までを俯瞰し、「一つの世界」への統合と、分解のダイナミクスを捉える。さらにグローバル化後の「四つの世界秩序」の可能性と、日本の未来を考察する。 ■ 目 次 ■ はじめに 第1章 統合の条件1 グローバル化の波動  2 構造  3 権力  4 制度  5 文化と規範  第2章 広域的秩序の興亡 1 前近代のグローバル化  2 ローマ帝国と中世ヨーロッパ  3 ユーラシア大陸の統合と分解  4 西洋の興隆と自滅  第3章 アメリカ主導のグローバル化 1 戦勝国としてのアメリカ  2 戦後経済の制度化  3 勝利の逆説  4 露呈した「リベラリズム」の限界  第4章 四つの世界秩序 1 一つの世界再グローバル化  2 三つの世界新しい冷戦  3 多数の世界再近代化する世界  4 無数の世界中世は再来するのか  第5章 ポスト・グローバル化と日本 1 大国でも小国でもない日本  2 仲間を増やし、敵を減らす  3 「自立」を迫られる日本  4 「日本」の生き残りとは何なのか おわりに 主要参考文献
  • 織田信長の家臣団―派閥と人間関係
    3.3
    織田家中で最古参の重鎮・佐久間信盛は、本願寺攻めでの無為無策を理由に信長から突如追放された。一見理不尽な「リストラ」だが、婚姻や養子縁組による盤石の人脈を築けなかった結果とも言える。本書では、一万を超す大軍勢を任された柴田勝家・羽柴秀吉・滝川一益・明智光秀ら軍団長と、配下の武将たちの関係を、地縁・血縁などから詳細に検証。これまで知られなかった「派閥」の構造に迫り、各軍団の特性を明らかにする。
  • よみがえる文字と呪術の帝国 古代殷周王朝の素顔
    3.0
    いまから120年程前、ふとした偶然から甲骨文が発見された。 これを機に研究が劇的に進み、殷・周の国の姿がうっすらと立ち現れてきた。 ところが解読の過程で、重大な誤りがまぎれこんでしまった。 正されたと信じられた古代史像にも歪みが生じた。 古代中国の年代矛盾を全面的・系統的に解決した著者は、天文学や数学的手法をも駆使して、厚いヴェールに覆われた殷周王朝の素顔に迫る。 いま明かされる真実とは――。 目次 はしがき 第1章 文字と呪術の時代 夏・殷・周三代 殷王朝の国家構造 周代の暦 散氏盤の年代と製作の経緯 第2章 殷滅亡の年代  周が殷を滅ぼした年代  前1023年克殷の史料  伐殷から克殷へ  『国語』の木星記事  再度『竹書紀年』を考える 第3章 霊的威圧による支配から官僚による支配へ  周の東遷  春秋時代の覇権  盟書の出現  律の登場と中央意識  文字と呪術の帝国 余話 あとがき
  • 高地文明―「もう一つの四大文明」の発見
    4.1
    「四大文明」は、ナイルや黄河などの大河のほとりで生まれたとされる。しかし、これら以外にも、独自の文明が開花し、現代の私たちに大きな影響を与えた地がある。それが熱帯高地だ。本書はアンデス、メキシコ、チベット、エチオピアの熱帯高地に生まれ、発展してきた四つの古代文明を紹介。驚くほど精巧な建築物から、環境に根ざした独特な栽培技術や家畜飼育の方法、特色ある宗教まで、知られざる文明の全貌を解き明かす。
  • バルセロナ 地中海都市の歴史と文化
    3.8
    ガウディ、ピカソ、カザルスら多くの芸術家を育んだバルセロナ。地中海貿易で繁栄したこの都市は、一六世紀以降、マドリッドの中央政府から抑圧を受ける。だが一九世紀、産業が発展、セルダによる大胆な都市計画のもと独自の文化が開花し、カタルニアの中心地として独立を志向していく。本書は、スペイン国家の中で、王制、内戦、フランコ独裁を経ながら、芸術・文化・スポーツを育み、新しい「かたち」を模索する都市を描く。
  • 天下統一 信長と秀吉が成し遂げた「革命」
    4.1
    織田信長の上洛から二〇年、豊臣秀吉により天下は統一された。集権化や実力主義を推進した信長と秀吉の政策はまさに「革命」であり、他の戦国武将と一線を画していたのである。本書はさらに、足利と織田、そして織田と豊臣の各政権が併存したことを指摘しつつ、軍事革命にともなうスペイン・ポルトガルの東アジア進出といった世界史的視野からも戦国日本を捉え直す。旧来のイメージを大胆に覆し、「革命」の本質に迫る。
  • 日本の先史時代 旧石器・縄文・弥生・古墳時代を読みなおす
    3.6
    日本史の教科書で最初に出てくる、旧石器・縄文・弥生・古墳時代。三万六〇〇〇年に及ぶ先史の時代区分は、明治から戦後にかけて定着していった。しかし近年、考古学の発展や新資料の発掘に伴い、それぞれの時代の捉え方は大きく塗りかえられている。本書では、各時代の「移行期」に焦点を当て、先史の実像を描き出す。人びとの定住、農耕の開始、祭祀、「都市」の出現、前方後円墳の成立――。研究の最前線を一望する決定版。
  • 硫黄島 国策に翻弄された130年
    4.0
    小笠原群島の南方に位置する硫黄島。日本帝国が膨張するなか、無人島だったこの地も一九世紀末に領有され、入植・開発が進み、三〇年ほどで千人規模の人口を有するようになった。だが、一九四五年に日米両軍の凄惨な戦いの場となり、その後は米軍、続いて海上自衛隊の管理下に置かれた。冷戦終結後の今なお島民たちは、帰島できずにいる。時の国策のしわ寄せを受けた島をアジア太平洋の近現代史に位置づけ、描きだす。
  • 宗教と日本人 葬式仏教からスピリチュアル文化まで
    3.9
    日本では信仰を持たない人が大半を占めるが、他方で仏教や神道、キリスト教の行事とは縁が深い。日本人と宗教の不可思議な関わりはどこへ向かうのか。新宗教の退潮とスピリチュアル文化の台頭、変わる葬式や神社の位置づけ、ケルトや縄文など古代宗教のブーム……。宗教を信仰の面だけでなく、実践や所属の観点も踏まえ、その理解を刷新。人々の規範から消費される対象へと変化しつつある宗教の現在地を示す。
  • 定年準備 人生後半戦の助走と実践
    3.7
    シニア向けライフプラン研修でお金・健康・趣味などが重要と説かれる。だがそれだけでは物足りない。長い定年後を充実させるには、やりたいことを見極めて行動に移す準備が必要だ。『定年後』に続く本書は、シニア社員や定年退職者への取材を重ねるなかで著者が新たに見聞した、個別的で多彩な実例を一挙公開。自分らしい第二の人生を踏み出す上で役立つ具体的ヒントを明かす。巻末に「定年準備のための行動六か条」を掲載。
  • 信長と将軍義昭 連携から追放、包囲網へ
    4.3
    各地を流浪した足利義昭は、一五六八年、織田信長に奉じられて上洛し、宿願の将軍職に就いた。長らく傀儡にすぎないとされてきた義昭だが、近年では将軍として行使した政治力が注目されている。京都から追放された後でさえ、信長に対抗できる実力を保持していた、とする説もある。上洛後の信長と義昭は果たしてどのような関係にあったのか。強烈な個性を放った二人が、連携から確執、対立へと至る過程を詳述する。
  • リサイクルと世界経済 貿易と環境保護は両立できるか
    4.2
    古紙やペットボトルなどの分別収集のイメージが強いリサイクル。だが、回収された使用済み製品は国内で再使用・再生利用されるだけではない。中古車や鉄スクラップなどは今や日本の主力輸出品である。一方、国際的なリサイクルは急速に拡大し、各国による再生資源の獲得競争や、環境汚染を生む有害廃棄物の輸出など、多くの問題も起こっている。二十世紀末から急拡大している知られざる現状と、問題点を明らかにする。
  • ルワンダ中央銀行総裁日記 [増補版]
    4.1
    一九六五年、経済的に繁栄する日本からアフリカ中央の一小国ルワンダの中央銀行総裁として着任した著者を待つものは、財政と国際収支の恒常的赤字であった-。本書は物理的条件の不利に屈せず、様々の驚きや発見の連続のなかで、あくまで民情に即した経済改革を遂行した日本人総裁の記録である。今回、九四年のルワンダ動乱をめぐる一文を増補し、著者の業績をその後のアフリカ経済の推移のなかに位置づける。
  • 観応の擾乱 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い
    4.1
    観応の擾乱は、征夷大将軍・足利尊氏と、幕政を主導していた弟の直義との対立から起きた全国規模の内乱である。室町幕府中枢が分裂したため、諸将の立場も真っ二つに分かれた。さらに権力奪取を目論む南朝も蠢き、情勢は二転三転する。本書は、戦乱前夜の動きも踏まえて一三五〇年から五二年にかけての内乱を読み解く。一族、執事をも巻き込んだ争いは、日本の中世に何をもたらしたのか。その全貌を描き出す。
  • 豊臣秀長 「天下人の賢弟」の実像
    3.3
    兄秀吉を天下人に押し上げた豊臣秀長。 補佐役にとどまらず、一時は後継候補と目された実力者だった。 大河ドラマ主人公の実像に迫る。
  • 日本の後宮 天皇と女性たちの古代史
    -
    男性君主のために集められた女性たちと、彼女らが住む空間を指す後宮。天皇家の安定した皇位継承のために創られた。平安時代初期、桓武天皇、嵯峨天皇には各々35人、45人に及ぶ皇子女がおり、そこには彼らを産んだ20人以上の妃・夫人・嬪・女御・更衣という後宮=キサキたちがいた。日本では、男子禁制ではなかったが、中国由来の制度の影響を受け変貌していく。本書は起源から平安末期までの歴史を追い、制度とその実態を描く。
  • 京都の食文化 歴史と風土がはぐくんだ「美味しい街」
    3.7
    三方を山に囲まれ、水に恵まれた京都。米や酒は上質で、野菜や川魚も豊かだ。それだけではない。長年、都だった京都には、瀬戸内のハモ、日本海のニシンをはじめ、各地から食材が運び込まれ、ちりめん山椒やにしんそば等、奇跡の組み合わせが誕生した。近代以降も、個性あふれるコーヒー文化、ラーメンやパン、イタリアンなど、新たな食文化が生まれている。風土にはぐくまれ、人々が創り守ってきた食文化を探訪する。
  • イラン現代史 イスラーム革命から核問題、対イスラエル戦争まで
    3.0
    1979年にホメイニ―師を中心とした革命で発足したイラン・イスラーム共和国。シーア派の理論に基づいた体制を敷き、中東でも反アメリカ、反イスラエルの急先鋒として存在感を示す。国際的に孤立しようとも核開発を進めて独自の道を歩むが、ここに至るには東西冷戦や中東での覇権争いなど複雑な歴史があった。本書は革命以後の軌跡を政治・経済・社会の側面から迫る。混迷する国際情勢の中、イランはどこへ向かうのか。 ■目 次■ はじめに 序 章 近代国家建設と東西冷戦構造 1 パフラヴィー朝の成立と近代国家への道 2 モハンマド=レザー・シャーの専制政治と白色革命 3 反王政運動と王の国外退去   コラム① 在外イラン人学生の運動 第1章 ホメイニー体制と革命勢力の角逐 1 ホメイニー師の帰還と革命の達成 2 バーザルガーン暫定政府と憲法制定 3 イスラーム共和国体制と大統領選挙   コラム② 反西洋とファストフード 第2章 イラン・イラク戦争とイスラーム共和体制 1 押しつけられた戦争と「法学者の統治」 2 広がる戦火と「コントラ事件」 3 戦争の終結と新たな体制の模索    コラム③ 亡命者とテヘランゼルス 第3章 ハーメネイー体制と政治的自由 1 新体制と戦後復興 ラフサンジャーニー政権(一九八九~九七) 2 体制の変容と政治的自由 ハータミー政権(一九九七~二〇〇五) 3 体制の問い直しと宗教実践の多義性   コラム④ レスリングとサッカー 第4章 新保守派の台頭と「緑の運動」 1 国際関係の緊張とアフマディーネジャード政権(二〇〇五~一三) 2 国際的孤立と「緑の運動」 3 市民生活の変容と核開発問題   コラム⑤ 科学者と頭脳流出 第5章 防衛戦略と核問題 1 革命防衛隊の社会への浸透 2 革命防衛隊とロウハーニー政権(二〇一三~二一) 3 核問題の解決と中東情勢の変化   コラム⑥ 日本とイランの国交一〇〇年 終 章 暗雲垂れ込めるイスラーム共和体制の未来 1 ライースィー政権(二〇二一~二四年)への期待と終焉 2 急変する国際情勢とペゼシュキヤーン政権の発足 3 イスラーム共和体制の未来 あとがき 主要参考文献 関連年表
  • 日本人の幸せ―ウェルビーイングの国際比較
    3.4
    国や地域別の幸福度ランキングが、しばしば注目を集める。だが、そもそも幸せの基準は文化によって異なる事実を文化心理学が実証した。一例として幸福感は、欧米では個人的な達成感、日本では対人関係と関連する。本書は国際比較を通し、日本社会における幸せの特徴を探る。また、個人の一時的な感情にとどまらず、地域コミュニティ、職場、学校などの現場における持続的な幸福(ウェルビーイング)についても考える。 目 次 第1章 文化心理学とは何か 文化とは何か/文化心理学とは/「当たり前」を疑う/心理学における認知革命/人類学の知見/比較するということ/文化的自己観/選択をめぐる文化差/文化的自己観と自己認識/認知と文化/分析的思考と包括的思考/文化学習が起こるプロセス/教育やメディアが与える影響 第2章 幸福の国際比較 幸せの統計学/幸福というあいまいな概念を測定する方法/ヘドニアとユーダイモニア/幸福の国際比較/平均値の比較、ランクづけの問題点/幸福の意味の歴史的変遷/獲得的幸福と協調的幸福/「幸せすぎると怖い」?/幸福を長続きさせる戦略 第3章 対人関係、集団意識、自己 スモールワールド現象とは何か/個人を超えた集団レベルの資源/結束型と橋渡し型/つながりが多ければ多いほど良いのか?/友達とはどのような存在か/友達を選ぶ国・アメリカ/人付き合いの日米比較/評価懸念と同調圧力/言葉遣いは自己意識にどう影響するか/どんなサポートが幸福感を高めるか/他者理解にひそむ文化差 第4章 主観的なウェルビーイングをどう測定するか そもそもウェルビーイングとは/経済指標中心の限界/幸福・生活満足・生活の質/協調的幸福/主観的ウェルビーイングをどう用いるか/比較文化的視点から見た課題/測定テクノロジーの進化/国際的な調査・政策枠組みに見る指標/国内の政府機関の調査/指標活用の展望/場のウェルビーイングを動的に把握する時代へ 第5章 幸福をはぐくむ地域コミュニティ 個人の幸福と制度の関係/場のウェルビーイングとは何か/地域コミュニティのウェルビーイング/場所の影響か、個人の影響か/集合活動と相互調整/地域の社会関係資本/地域の幸福感を測定するプロジェクト/自殺率の高い町、低い町/愛着感から開放性へ/幸福、信頼、向社会性の循環/社会的ネットワークの分析から見えること/アートの島が住民にもたらしたもの 第6章 働く人が幸福な職場とは職場のウェルビーイング/企業の組織風土の4類型/職場の協調性の効果/「保険」としての協調性/2階建てモデルで日本社会を読み解く/組織の設計/日本で求められるリーダーシップ像とは/雇用の流動性が社員に与える影響/採用文化の日本的な特徴/なぜ日本の職場は関係性づくりに消極的なのか/自然とつながりが生まれる「場」をつくるには 第7章 教育現場のウェルビーイング ウェルビーイングは新たなキーワードなのか/これまでの活動に新たな意味づけを/多様なルートをつくり出す/PISAによる国際比較/第4期教育振興基本計画がめざすもの/全国学力・学習状況調査の結果から/教員のウェルビーイング/ハブとしての社会教育主事 第8章 これからの時代のウェルビーイング 価値観はどのように生まれ、受け継がれるのか/グローバル化による価値観の変化/日本は個人主義化しているのか/日米それぞれの個人主義観/ひきこもりが増えた理由/自己肯定感の低さは何をもたらすか/「場の正義」から脱出する/「裸の王様」に見る多元的無知/どのように主体性をはぐくむか/開かれた協調性を
  • 地方消滅2 加速する少子化と新たな人口ビジョン
    3.8
    2014年刊行の『地方消滅』と、そこで示した896の「消滅可能性都市」リストは、衝撃をもたらした。 それから10年を経て、東京の出生率は0・99になるなど、なお少子化は加速する。 このままだと2100年に人口は6300万人、高齢者が4割の国になりかねない。 本書は、全国1729自治体を9つに分類。 「ブラックホール型自治体」の特性なども分析し、持続可能な社会へ向かうための戦略とビジョンを打ち出す。 目次 序章 「消滅可能性都市896」の衝撃 Ⅰ部 消滅自治体 最新データ篇 第1章 地方自治体「持続可能性」分析レポート 地域特性に応じた人口減少対策が必要 (三村明夫+人口戦略会議) 第2章 全国1729自治体リストから見えた地域の特性 自治体の「人口減少要因」が明らかに (人口戦略会議) 第3章 人口減を止められなかった10年 外国人・寄合・デジタルは救いとなるか (宇野重規×増田寛也) Ⅱ部 2100年への提言篇 第4章 緊急提言「人口ビジョン2100」 安定的で、成長力のある「8000万人国家」へ (人口戦略会議) 第5章 人口減少、どう読み解くか ・少子化・人口減の深刻さはなぜ共有されないか――1990年代の不良債権問題との類似性 (白川方明) ・正社員とパートの賃金格差解消こそ最重要課題――約4割の未婚女性が子どもを持たないと予想 (永瀬伸子) ・東京出生率0・99の衝撃 基本から知る低出生の現実 (小池司朗) 第6章 今が未来を選択できるラストチャンス (三村明夫×増田寛也) 全国1729自治体の9分類
  • 定年後 50歳からの生き方、終わり方
    3.5
    【目次】 ●プロローグ 人生は後半戦が勝負  経済的な余裕だけでは足りない/終わりよければすべてよし……ほか ●第1章 全員が合格点  定年退職日は一大イベント/定年退職か、雇用延長か/隠居と定年の相違点……ほか ●第2章 イキイキした人は2割未満?  名前を呼ばれるのは病院だけ/クレーマーは元管理職が多い?/米国の定年退職者も大変……ほか ●第3章 亭主元気で留守がいい  日本人男性は世界一孤独?/名刺の重み/主人在宅ストレス症候群……ほか ●第4章 「黄金の15年」を輝かせるために  会社員人生の2つの通過儀礼/8万時間の自由、不自由/一区切りつくまで3年……ほか ●第5章 社会とどうつながるか  ハローワークで相談すると/得意なことに軸足を移す/100歳を越えても現役……ほか ●第6章 居場所を探す  自ら会合を立ち上げる/同窓会の効用/家族はつらいよ?……ほか ●第7章 「死」から逆算してみる  お金だけでは解決できない/死者を想うエネルギー/「良い顔」で死ぬために生きている……ほか
  • 加耶/任那―古代朝鮮に倭の拠点はあったか
    4.0
    加耶/任那は3~6世紀に存在した朝鮮半島南部の小国群を指す。『日本書紀』は任那と記し、「任那日本府」の記述などから長く倭の拠点と認識されてきた。だが戦後、強く疑義が呈される。歴史教科書の記述は修正が続き、呼称も韓国における加耶へと変わる。他方で近年、半島南部で倭独自の前方後円墳の発掘が相次ぎ、倭人勢力説が台頭する。本書は、古代東アジア史の大きな争点である同地域の実態を実証研究から明らかにする。 <目次> まえがき 序 章 加耶/任那研究の歩み 1日中韓史料のなかの古代東アジア 2通説までの道程――150年に及ぶ研究の軌跡 3広開土王碑と百済三書――史料批判による精緻化 第1章 檀君神話から金官・大加耶へ 1「古朝鮮」の虚実――檀君、箕子・衛氏朝鮮時代 2三韓時代へ――朝鮮四郡と馬韓・辰韓・弁韓 3いにしえの辰国―― 三韓以前の半島南部 4二大国の建国神話と任那の登場 第2章 弁韓からの発展――4世紀の動向 1盟主・金官の台頭と揺らぎ 2神功皇后「加羅七国平定」――『日本書紀』の真偽 3百済と倭の通交はいつからか 4広開土王碑のなかの倭、任那加羅、安羅 第3章 大加耶の成長と倭臣――5世紀~6世紀初頭 1高句麗対百済・倭――5世紀前半の動向 2倭の五王による「任那・加羅」都督諸軍事申請 3大加耶の中国への遣使――「輔国将軍本国王」の冊封 4加耶・馬韓の倭臣たち――ヤマト王権と異なる倭系集団 第4章 百済・新羅による蚕食と抵抗―― 6世紀 1「任那四県の割譲」――減衰する加耶諸国 2新羅の侵攻、㖨己呑・金官・卓淳の併合 3任那復興会議――百済の招集と加耶諸国の思惑 4加耶の消滅 ――「任那日本府」とは何だったか 第5章 滅亡後―― 倭の揺れる「任那」認識 1なぜ倭は百済・新羅に「調」を要求し続けたか 2伝承と面影―― 新羅と日本のなかで 終 章 加耶とは何か―― 国民国家を超えて あとがき 主要参考文献 加耶/任那 関連年表
  • 小説読解入門 『ミドルマーチ』教養講義
    4.5
    読書に正解はないかもしれないが、小説世界を味わうコツは存在する。本書は、19世紀英国の地方都市を舞台としたジョージ・エリオットの傑作長編『ミドルマーチ』を実例に、「小説技法篇」で作家の用いるテクニックを解説。続く「小説読解篇」では、歴史や宗教、科学、芸術などの〈教養〉を深める11の着眼点で、小説の愉しみ方を伝授する。知性と感性を研ぎ澄まし、文学の奥深くに潜むものを読み取るために。
  • 物語 東ドイツの歴史 分断国家の挑戦と挫折
    4.2
    ドイツは第二次世界大戦の敗北後、東西に分裂する。ソ連の影響下、社会主義国として四〇年にわたり存在したのが東ドイツである。東西統一後、東ドイツは、非人道的な独裁政治やシュタージといった秘密警察の監視など、負の側面ばかり強調されてきた。本書は、ベルリンの壁崩壊後に明らかになった史料から、楽観的で無責任な指導部、豊かさを求めて声を上げる民衆など、壁の向こうの実験国家の実態と全貌を描く。
  • 人口と日本経済 長寿、イノベーション、経済成長
    3.7
    人口減少が進み、働き手が減っていく日本。財政赤字は拡大の一途をたどり、地方は「消滅」の危機にある。もはや衰退は不可避ではないか――。そんな思い込みに対し、長く人口問題と格闘してきた経済学は「否」と答える。経済成長の鍵を握るのはイノベーションであり、日本が世界有数の長寿国であることこそチャンスなのだ。日本に蔓延する「人口減少ペシミズム(悲観論)」を排し、日本経済の本当の課題に迫る。週刊ダイヤモンドの2016年〈ベスト経済書〉第1位。
  • ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か
    4.4
    イギリスのEU離脱、反イスラムなど排外主義の広がり、トランプ米大統領誕生……世界で猛威を振るうポピュリズム。「大衆迎合主義」とも訳され、民主主義の脅威と見られがちだ。だが、ラテンアメリカではエリート支配から人民を解放する原動力となり、ヨーロッパでは既成政党に改革を促す効果も指摘される。一方的に断罪すれば済むものではない。西欧から南北アメリカ、日本まで席巻する現状を分析し、その本質に迫る。
  • マリー・アントワネット フランス革命と対決した王妃
    4.6
    名門ハプスブルク家に生まれたマリー・アントワネットは、フランス王妃となり、ヴェルサイユ宮殿で華麗な日々を過ごしていた。だが、一七八九年のフランス革命勃発で運命が急変。毅然と反革命の姿勢を貫き、三十七歳の若さで断頭台の露と消えた。悪しき王妃として断罪された彼女が、後世で高い人気を得、人々の共感を集めているのはなぜか。彼女が目指した「本当の王妃」とは何だったのか。栄光と悲劇の生涯を鮮やかに描く。
  • 日ソ戦争 帝国日本最後の戦い
    4.3
    日ソ戦争とは、1945年8月8日から9月上旬まで満洲・朝鮮半島・南樺太・千島列島で行われた第2次世界大戦最後の全面戦争である。短期間ながら両軍の参加兵力は200万人を超え、玉音放送後に戦闘が始まる地域もあり、戦後を見据えた戦争だった。これまでソ連の中立条約破棄、非人道的な戦闘など断片的には知られてきたが、本書は新史料を駆使し、米国のソ連への参戦要請から各地での戦闘の実態、終戦までの全貌を描く。
  • 台湾の歴史と文化 六つの時代が織りなす「美麗島」
    3.9
    街路に残る古跡や廟、人びとに愛される名物料理、信仰と祭り――。「美麗島」とも称される台湾に、今も息づく独自の文化。その伝統は一六二四年のオランダ統治以来、鄭氏、清朝、日本、国民党に至るまで、各時代の外来政権との関係によって形作られてきた。本書では、激動の台湾を生きた人びとの視点から、四百年におよぶ歴史をたどる。台湾をより深く知るための案内を豊富にまじえて、多様な文化の魅力を活写する。
  • アーロン収容所 改版 西欧ヒューマニズムの限界
    4.5
    英軍は、なぜ日本軍捕虜に家畜同様の食物を与えて平然としていられるのか。女性兵士は、なぜ捕虜の面前で全裸のまま平然としていられるのか。ビルマ英軍収容所で強制労働の日々を送った歴史家の鋭利な筆はたえず読者を驚かせ、微苦笑させつつ西欧という怪物の正体を暴露してゆく。激しい怒りとユーモアの見事な結合がここにある。強烈な事実のもつ説得力の前に、私たちの西欧観は再出発を余儀なくされるだろう。
  • 批評理論入門 『フランケンシュタイン』解剖講義
    4.1
    批評理論についての書物は数多くあるが、読み方の実例をとおして、小説とは何かという問題に迫ったものは少ない。本書ではまず、「小説技法篇」で、小説はいかなるテクニックを使って書かれるのかを明示する。続いて「批評理論篇」では、有力な作品分析の方法論を平易に解説した。技法と理論の双方に通じることによって、作品理解はさらに深まるだろう。多様な問題を含んだ小説『フランケンシュタイン』に議論を絞った。
  • 新選組 「最後の武士」の実像
    3.6
    1巻1,012円 (税込)
    嘉永六年(一八五三)のペリー来航から明治二年(一八六九)の箱館五稜郭陥落までの幕末維新期、さまざまな国家構想が錯綜する中で政争や戦乱が展開された。こうした時代に生まれ、滅んだ新選組とは、どのような集団で、いかなる歴史的位置を占めていたのか。近藤勇らが幕末の京都で活躍できた政治的基盤や、近代性・合理性といった組織として先駆的性格に着目しつつ、各種史料を丹念に検証する新選組全史。
  • シベリア出兵 近代日本の忘れられた七年戦争
    4.3
    1917年11月に勃発したロシア革命。共産主義勢力の拡大に対して翌年8月、反革命軍救出を名目に、日本は極東ロシアへ派兵、シベリア中部のバイカル湖畔まで占領する。だがロシア人の傀儡政権は機能せず、パルチザンや赤軍に敗退を重ねる。日本人虐殺事件の代償を求め、北サハリンを占領するなど、単独で出兵を続行するが……。本書は、増派と撤兵に揺れる内政、酷寒の地での7年間にわたる戦争の全貌を描く。
  • 大統領とハリウッド アメリカ政治と映画の百年
    5.0
    1915年公開の『國民の創生』を皮切りに、ハリウッド映画はアメリカ大統領を描き続けてきた。作中の大統領には人々の不満や希望が投影される一方、現実の政治はF・D・ローズヴェルトからケネディ、レーガンと時代が進むにつれ、ハリウッド流のイメージ戦略を活用していく。名画から日本未公開作品まで250本以上の映画をもとに、政治との相互作用を読み解き、トランプ大統領に翻弄されるアメリカの本質に迫る。
  • 財政・金融政策の転換点 日本経済の再生プラン
    4.8
    世界の経済政策が大きく転換しようとしている。これまで財政政策は抑制的に、金融政策は独立して行うことを常識としてきたが、昨今、その実効性が疑問視されるようになったのだ。巨額の政府債務と長期の低金利政策で財政破綻さえ囁かれる日本。この苦境はどのように打開すべきなのか。本書は財政・金融政策の理解を整理し、両政策の現代的な意義と機能を考察。日本再生の第一歩として必要な新たな経済政策を提言する。
  • 詭弁論理学 改版
    3.9
    知的な観察によって、人を悩ます強弁・詭弁の正体を見やぶろう。言い負かし術には強くならなくとも、そこから議論を楽しむ「ゆとり」が生まれる。人食いワニのパラドックスや死刑囚のパラドックスなど、論理パズルの名品を題材に、論理のあそびをじっくり味わおう。それは、詭弁術に立ち向かうための頭の訓練にもなる。ギリシャの哲人からルイス・キャロルまでが登場する、愉快な論理学の本。「鏡と左右」問題の付録つき。
  • 物語 アメリカの歴史 超大国の行方
    3.7
    アメリカは民主主義の理念を具体的に政治に実現させた最初の国である。独立宣言(一七七六年)の中心「すべての人間は生まれながらにして平等である」は、今なお民主主義国家の道標として輝き続けているものの、人種間の問題や戦争など、建国から二百年余、その歴史は平坦ではなく、生々しい傷がまだ癒えることなくその跡をとどめている。この超大国の光と影を、戦後深いつながりをもって歩んできた日本との関係もまじえて描く。
  • 安心社会から信頼社会へ 日本型システムの行方
    4.1
    リストラ、転職、キレる若者たち──日本はいま「安心社会」の解体に直面し、自分の将来に、また日本の社会と経済に大きな不安を感じている。集団主義的な「安心社会」の解体はわれわれにどのような社会をもたらそうとしているのか。本書は、社会心理学の実験手法と進化ゲーム理論を併用し、新しい環境への適応戦略としての社会的知性の展開と、開かれた信頼社会の構築をめざす、社会科学的文明論であり、斬新な「日本文化論」である。
  • 保守主義とは何か 反フランス革命から現代日本まで
    4.1
    21世紀以降、保守主義者を自称する人が増えている。フランス革命による急激な進歩主義への違和感から、エドマンド・バークに端を発した保守主義は、今では新自由主義、伝統主義、復古主義など多くのイズムを包み、都合よく使われている感がある。本書は、18世紀から現代日本に至るまでの軌跡を辿り、思想的・歴史的に保守主義を明らかにする。さらには、驕りや迷走が見られる今、再定義を行い、そのあり方を問い直す。
  • 道元の和歌 春は花 夏ほととぎす
    5.0
    曹洞宗の開祖道元は、すぐれた歌人でもあった。良寛や川端康成が愛誦した「春は花夏ほととぎす秋は月冬雪さえてすずしかりけり」も道元の作である。新古今集の歌人・慈円を大叔父に持ち、後鳥羽宮内卿らと親交を結んだ道元にとって、歌を詠むことは自らの人生に欠かせない営為であった。いまに伝わる四九首を、その生涯や思想をたどりながら解説し、鑑賞する。一見平易な歌の中に込められた道元の深遠な思いが浮かび上がる。
  • 漢字再入門 楽しく学ぶために
    4.2
    漢字の宿題が苦痛だった人も多いでしょう。小中学校では約二千字の漢字一つひとつについて、筆順、とめ・はねなどの字形、音読みや訓読み、部首などを習います。しかし、漢字を学び、楽しむために本当に大事なものとはなんでしょう。漢字学の第一人者が、漢字の意外な成り立ちや読み方の歴史、部首のふしぎなど、学生時代に知っておけばよかった知識を伝授し、真に必要な知識を解説、さらに望ましい漢字教育を提言します。
  • チョコレートの世界史 近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石
    3.6
    カカオは原産地の中米では飲み物であると同時に薬品であり、貨幣にもなった。ヨーロッパに到来したときも、この珍貴な実の食用について激論が交わされたが、一九世紀にはココアパウダーや固形チョコレートが発明・改良され、爆発的に普及する。イギリスの小さな食料品店だったロウントリー家もまた、近代的なチョコレート工場を作り、キットカットを開発、世界に販路を拡大するが…。ヨーロッパ近代を支えたお菓子の通史。
  • 国会議員の仕事 職業としての政治
    4.1
    国会議員の仕事とはどのようなものだろうか。言うまでもなく、国会議員は私たち有権者が選挙で投票することによって存在している。では、私たちは彼らに何を期待し、何を託しているのだろうか。そこに齟齬はないか。本書は二人の現役国会議員が、その来歴と行動を具体的に記すことにより、政治家の仕事とは何か、そして、混迷する現代日本を変えていくために何が必要かを明らかにする試みである。
  • 怨霊とは何か 菅原道真・平将門・崇徳院
    3.4
    電子版は本文中の写真を多数カラー写真に差し替えて掲載。 怨霊とは死後に落ち着くところのない霊魂である。古来、日本では怨霊が憑依することによって、個人的な祟りにとどまらず、疫病や天変地異など社会に甚大な被害がもたらされると信じられてきた。三大怨霊と称される菅原道真、平将門、崇徳院は死後、いかに人々を恐怖に陥れたのか。そして、どのように鎮魂がなされたのか。霊魂の存在から説き起こし、怨霊の誕生とその終焉、さらに近代の霊魂文化まで概観する。
  • 逆説論理学
    3.8
    新趣向タイム・トラベル、ヘンペルのカラス、数学的保証つき(?)の絶対的中占い機、さまざまな無限機械、そして、ゼノン、カントール、ラッセルの本格的パラドックス……。先入観を裏切り常識をひっくりかえす逆説の数々を相手に論理思考のジョギングを楽しむうちに、ヒルベルトからゲーデルへと連なる現代数学の山なみが意外に近く見えてくる。知らず知らずのうちに「考えることの楽しさ」の味を覚えてしまう、知的ユーモアの贈物。
  • ある明治人の記録 改版 会津人柴五郎の遺書
    4.5
    明治維新に際し、朝敵の汚名を着せられた会津藩。降伏後、藩士は下北半島の辺地に移封され、寒さと飢えの生活を強いられた。明治三十三年の義和団事件で、その沈着な行動により世界の賞讃を得た柴五郎は、会津藩士の子であり、会津落城に自刃した祖母、母、姉妹を偲びながら、維新の裏面史ともいうべき苦難の少年時代の思い出を遺した。『城下の人』で知られる編著者が、その記録を整理編集し、人とその時代を概観する。
  • 梁山泊 水滸伝・108人の豪傑たち
    -
    水滸伝の舞台となる梁山泊は黄河が作る水溜まりであった。そこに集まる大親分宋江をはじめとする天こう星三十六人、地さつ星七十二人、あわせて百八人の豪傑たち。彼らは皆、日本の豪傑とは異質な存在である。先ず梁山泊をはじめ水滸伝の四つの舞台を検証する。ついで大豪傑宋江、魔法使い公孫勝、花和尚魯智深、殺陣の達人李逵ほかの役柄と彼らの虚実おりまぜた活躍を紹介・分析し、現代の日本人が水滸伝の魅力に接近する道筋を探る。
  • もうひとつのイギリス史 野と町の物語
    -
    野の支配権をめぐり幾多の民族が戦った時代を経て、イギリス最古にして最大の町ロンドンは富と権力を集中していった。シェイクスピアも描いた名君、商才にたけた市長らの活躍の一方で、対立が明らかになっていく町と農村。コベットに「おできの親玉」と呼ばれた町は、次第に野を呑み込んで、ついには国外にまで触手を伸ばす。ディケンズ、オーウェル、コンラッドらの作家にも登場願い、文学的色彩豊かに描き出した英国史。
  • シンクタンクとは何か 政策起業力の時代
    4.3
    世界大戦や恐慌など、歴史上の危機から生まれたシンクタンク。革新的なアイデアをもとに政策を提言し、社会を動かしてきた。ポピュリズムの台頭や中国とロシアが仕掛ける「情報戦争」に直面する今、シンクタンクの「政策起業家」たちはどう応えるのか。「シンクタンク小国」日本の課題は何か。米国の現場を知り尽くし、現在は自らシンクタンクを率いるジャーナリストが、実体験を踏まえ、国際政治の最前線を描く。
  • お酒の経済学 日本酒のグローバル化からサワーの躍進まで
    3.6
    日本のお酒をめぐる環境が激変している。日本酒からビール、焼酎と主役が交代しつつ消費は伸びてきたが、1990年代半ばにピークを迎えた。その後はデフレ下で「第3のビール」やサワーが躍進する一方、クラフトビールや純米大吟醸酒も人気を集める。さらに、日本酒やウイスキーは海外から高く評価され、輸出が急増している。日本のお酒が抱える課題と可能性とは。経済学と経営学の最新の研究成果から解き明かす。
  • 音楽の聴き方 聴く型と趣味を語る言葉
    4.1
    音楽の聴き方は、誰に言われるまでもなく全く自由だ。しかし、誰かからの影響や何らかの傾向なしに聴くこともまた不可能である。それならば、自分はどんな聴き方をしているのかについて自覚的になってみようというのが、本書の狙いである。聴き方の「型」を知り、自分の感じたことを言葉にしてみるだけで、どれほど世界が広がって見えることか。規則なき規則を考えるためにはどうすればよいかの道筋を示す。
  • オランダ風説書 「鎖国」日本に語られた「世界」
    4.1
    日本人の海外渡航を禁じた江戸幕府にとって、オランダ風説書は最新の世界情勢を知るほぼ唯一の情報源だった。幕府はキリスト教禁令徹底のため、後には迫り来る「西洋近代」に立ち向かうために情報を求め、オランダ人は貿易上の競争相手を蹴落すためにそれに応えた。激動の世界の中で、双方の思惑が交錯し、商館長と通詞が苦闘する。長崎出島を舞台に、「鎖国」の200年間、毎年続けられた世界情報の提供の実態に迫る。
  • 美の構成学 バウハウスからフラクタルまで
    3.7
    人間は古くから美しい形やプロポーションに憧れ、造形における調和の美を求めてきた。しかし、この美の摂理は長いこと伝統的な様式の踏襲と芸術家の直感に支えられてきた。一九一九年に創設されたドイツの造形学校、バウハウスで「構成」という理念がはじめて体系化され、教育に採り入れられた。ファッションや生活用品のデザインからコンピュータ・グラフィックスまで、様々な物の美を読み解く際の鍵となる造形文法「構成学」とは。
  • 荘園 墾田永年私財法から応仁の乱まで
    4.4
    荘園は日本の原風景である。公家や寺社、武家など支配層の私有農園をいい、奈良時代に始まる。平安後期から増大し、院政を行う上皇の権力の源となった。鎌倉時代以降、武士勢力に侵食されながらも存続し、応仁の乱後に終焉を迎えた。私利私欲で土地を囲い込み、国の秩序を乱したと見られがちな荘園だが、農業生産力向上や貨幣流通の進展に寄与した面は見逃せない。新知見もふまえ、中世社会の根幹だった荘園制の実像に迫る。
  • 会津落城 戊辰戦争最大の悲劇
    3.7
    慶應四年春、幕府軍は鳥羽伏見の戦いで敗れて瓦解した。江戸城無血開城を経て戦場は東北に移る。長岡での激戦、白河の攻防、日光口での戦い……、会津藩をはじめ奥羽越列藩同盟軍は各地で戦いつづけるが、薩長軍はついに国境を破り会津若松に突入、一カ月に及ぶ籠城戦がはじまる。なぜこれほどまで戦わねばならなかったのか。会津藩の危機管理、軍事・外交、人材育成を検証しつつ、戊辰戦争最大の悲劇を浮き彫りにする。
  • iPS細胞 不可能を可能にした細胞
    4.0
    2007年、京都大学の山中伸弥教授が、ヒトの細胞から人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作りだすことに成功した。安全性や倫理上の多くの問題を回避できるiPS細胞は、医療・製薬の研究にめざましい進歩をもたらした。14年には、iPS細胞をヒトに移植する手術が行われ、また、既存の薬が別の疾患にも効くことが判明するなど、臨床研究でも大きな成果を出している。iPS細胞が変える医療の未来に迫る。
  • アイルランド紀行 ジョイスからU2まで
    3.6
    北海道より少しだけ広い島国だが、魅力を表す言葉は果てを知らない。それがアイルランド。ケルト文明の地、スウィフト、ワイルド、イェイツ、ジョイス、ベケット、ヒーニーらによる世界文学の生地、ヴァン・モリソンやU2が歌い上げる音楽の島、「虐げられてへつらう者たち」、英国からの独立闘争の国――。一木一草に至るまで言葉が刻まれているこの土地を、達意のエッセイと美味しい訳文でまるごと味わい尽くす。
  • アイルランド現代史 独立と紛争、そしてリベラルな富裕国へ
    4.6
    多彩なビールやウィスキー、作家ジェイムズ・ジョイスの祖国、ラグビー強豪国としても知られるアイルランド。約七五〇年のイングランド/英国支配の後、一九二二年に独立を勝ち取った。貧困や人口流出、北アイルランド紛争などの困難に直面するも、一九九〇年代半ばからの高度経済成長を経て一人当たりGDP世界二位の富裕国へ、同性婚も容認するリベラルな国へと変身する。独立後を中心に、苦心と奮闘の歴史を辿る。
  • 赤狩り時代の米国大学 遅すぎた名誉回復
    4.0
    一九九〇年、ミシガン大学の米国大学教授連合支部の機関誌に、赤狩りの犠牲者三名の名誉回復の記事が出た。これがきっかけで著者は、米国が今も後ろめたく感じているマッカーシーイズムの時代に、米国の教官、大学、そして団体が学問の自由にいかに対応したかを探り、米ソのデタントが成立し、共産主義に非寛容でなくなった時点まで跡づけている。同時に、民主主義の国=米国がもつ衆愚政治への危険性にも、目を向けさせてくれる。
  • 悪意の心理学 悪口、嘘、ヘイト・スピーチ
    3.8
    嘘、皮肉、罵倒、偏見……。面と向かっての会話であれ、ネットでのやりとりであれ、言葉によるコミュニケーションはしばしば暴走し、相手に対して「悪意」の牙を剥く。これらはいじめや差別、クレーマーやセクハラ、政治家の問題発言を生む。一方で、意図していないのに加害者になってしまうこともある。悪意はなぜ生まれ、どう表現されるのか。どうすれば、悪意に立ち向かえるのか。社会心理学・言語心理学の観点から考察。
  • 悪と往生 親鸞を裏切る『歎異抄』
    3.0
    親鸞の教えと『歎異抄』の間には絶対的な距離がある。この距離の意味を考えない限り、日本における「根元悪」の問題も、「悪人」の救済という課題も解けはしない。中世以来、あまたの人々の心を捉え読み継がれてきた『歎異抄』は、弟子・唯円の手になる聞き書きであった。だがその唯円は、「裏切る弟子」=ユダではなかったか。本書は、『歎異抄』を解体しつつ、現代社会に濃い影を落とす〈悪〉という難題に対峙する。著者の親鸞理解の到達点。
  • 悪の引用句辞典 マキアヴェリ、シェイクスピア、吉本隆明かく語りき
    3.9
    古今東西の名句を集めた「引用句辞典」は、スピーチなどで実用的に役立つだけでなく、人間の知恵や真理、処世訓の宝庫でもある。本書ではマキアヴェリ、シェイクスピア、タレーラン、夏目漱石、吉本隆明ら69人、71の名句・名言を紹介。あわせて、政治・経済から少子化、いじめ問題に至るまで、近年の時事的な話題を切り口に、引用句を生かして社会の深層と人間の本性を見抜くコツを伝授する。
  • 悪名の論理 田沼意次の生涯
    4.0
    ナポレオンはメッテルニヒを「世紀最大の嘘つき」と呼んだ。 一度はその愛人だったこともあるリーフェン公爵夫人さえも、「世にも稀れな偽善者」とののしった。 田沼意次の場合も嫌われかたがよく似ている。 徳川の為政者中、彼ほど世間から口汚く罵倒され、あげくは汚辱の淵に蹴落されて深く沈淪しているものはない。 東西をとわず悪名高い為政者には共通の政治的性格の特徴があるが、不評の条件とは何か。 意次の生涯をたどって追究する。
  • 明智光秀 織田政権の司令塔
    4.7
    織田信長は版図拡大に伴い、柴田勝家、羽柴秀吉ら有力部将に大幅な権限を与え、前線に送り出した。だが明智光秀の地位はそれらとは一線を画す。一貫して京都とその周辺を任されて安土城の信長から近く、政権の司令塔ともいえる役割を果たした。検地による領国掌握、軍法の制定などの先進的な施策は、後年の秀吉が発展的に継承している。織田家随一と称されながら、本能寺の変で主君を討ち、山崎合戦で敗れ去った名将の軌跡。
  • アケメネス朝ペルシア― 史上初の世界帝国
    4.7
    2500年前、アジア・アフリカ・ヨーロッパの三大陸にまたがる「史上初の世界帝国」として君臨したアケメネス朝ペルシア。エジプト侵攻やペルシア戦争など征服と領土拡大をくり返し、王はアフラマズダ神の代行者として地上世界の統治に努めた。古代オリエントで栄華を極めるも、アレクサンドロス大王によって滅ぼされ、220年の歴史は儚く幕を閉じた。ダレイオス1世ら9人の王を軸に、大帝国の全貌と内幕を描き出す。
  • 足利将軍たちの戦国乱世 応仁の乱後、七代の奮闘
    4.1
    足利将軍家を支える重臣たちの争いに端を発した応仁の乱。その終結後、将軍家は弱体化し、群雄割拠の戦国時代に突入する。だが、幕府はすぐに滅亡したわけではない。九代義尚から十五代義昭まで、将軍は百年にわたり権威を保持し、影響力を行使したが、その理由は何か――。歴代将軍の生涯と事績を丹念にたどり、各地の戦国大名との関係を解明。「無力」「傀儡」というイメージを裏切る、将軍たちの生き残りをかけた戦いを描く。
  • 足利義満 公武に君臨した室町将軍
    4.2
    電子版は本文中の写真の一部をカラー写真に差し替えて掲載。 公家社会と深く交わるなかで王朝文化に精通し、明国の皇帝には日本国王の称号を授与され、死後、朝廷から太上天皇の尊号を宣下される――。三代将軍足利義満の治世はしばしば「皇位簒奪」「屈辱外交」という悪評とともに語られる。だが、強大な権力、多様な事績に彩られた生涯の全貌は、いまだ明らかにはなっていない。本書では、新史料にも光を当て、公武に君臨した唯一無二の将軍の足跡をたどる。
  • 足軽目付犯科帳 近世酒田湊の事件簿
    3.7
    庄内藩酒井家の所領である酒田は、蝦夷地や京・大坂を結ぶ海運の要地。大小様々な船の出入りで賑わい、豪商たちの蔵が建ち並ぶこの町の平穏は、本書の主人公、足軽目付たちによって守られていた。彼らが書き残した厖大な記録『御用帳』から、その活躍ぶりをうかがい知ることができる。本書は、盗難や殺人、詐欺、汚職から見世物興行まで、興味深い記事を選りすぐって紹介。近世湊町の雰囲気をいきいきと今に蘇らせる。
  • アジア近現代史 「世界史の誕生」以後の800年
    3.3
    世界人口の約6割を抱え、広大な面積を占めるアジア。本書はそのアジアの歴史を、各国史ではなく一体のものとしてとらえる。各地の土着国家の盛衰と13世紀のモンゴル帝国の誕生から説き起こし、欧米による植民地化、日本の占領統治の影響、第2次世界大戦後の独立と経済発展、そして「アジア共同体」の模索まで。アジア域内の交流と、欧米など外部勢力との相互作用の双方に着目しながら、「アジアとは何か」を探る。
  • アジア経済とは何か 躍進のダイナミズムと日本の活路
    4.4
    戦後アジアをリードした日本経済。しかし20世紀の終わりから長期停滞に陥っている。一方、中国を筆頭にASEANなどのアジア諸国・地域は躍進し、21世紀は「アジアの世紀」とされる。日本の家電メーカーなどの凋落と、中国はじめアジア企業の急成長に象徴される激変の本質は何か。「グローバル・バリューチェーン」「インテグラル/モジュラー型」といった鍵となる概念をわかりやすく解説し、日本の活路を示す。
  • アジア政治を見る眼 開発独裁から市民社会へ
    3.7
    二〇世紀後半のアジア諸国の政治を眺めると、七〇年代に始まる開発独裁の時代と、民主化運動の爆発や民主的政権交替が起こった八〇、九〇年代との対照が際立つ。なぜ、アジアに開発独裁政権が生まれ、その多くが八〇年代後半以降に終焉を迎えたのか。「市民」はどのような役割を果たしてきたのか。韓国、台湾、インドネシア、マレーシア、シンガポールの政治と社会の構造的変容を概観し、アジア政治の今後を展望する。
  • アジアの国民感情 データが明かす人々の対外認識
    3.5
    政治体制や文化が異なるアジア各国は、歴史問題や経済競争も絡み近隣諸国への思いは複雑だ。本書は、10年以上にわたる日中韓・台湾・香港・東南アジア諸国などへの初の継続調査から、各国民の他国・地域への感情・心理を明らかにする。台頭する中国への意識、日本への感情、米中関係への思い、ASEAN内での稀薄な気持ち、日韓に限らず隣国への敵対意識など様々な事実を提示。データと新しい視点から国際関係を描き出す。
  • アジア冷戦史
    4.0
    アジアの近代は、国民国家の成立を待たずに帝国主義の支配に従い、次いでただちに社会主義の洗礼を受けた。このため、ヨーロッパでの東西対立のような国家関係が存在しなかった。こうした、この地域独得の多極的な力関係や歴史的背景を抜きにしてアジアの冷戦は語れない。本書は、ソ連崩壊前後に公開された機密文書、重い口を開いた証言などを綜合して、アジアでの冷戦の誕生から終焉までをたどるものである。
  • 飛鳥の木簡―古代史の新たな解明
    4.0
    かつて日本古代史は、『日本書紀』『古事記』や中国の史書に頼らざるを得なかった。だが一九九〇年代後半以降、三万点以上に及ぶ飛鳥時代の木簡の出土が相次ぎ、新たな解明が進み始める。本書は、大化改新、中国・朝鮮半島との関係、藤原京造営、そして律令制の成立時期など、日本最古の木簡から新たに浮かび上がった史実、「郡評論争」など文献史料をめぐる議論の決着など、木簡解読によって書き替えられた歴史を描く。第2回古代歴史文化賞大賞受賞作。
  • 飛鳥 水の王朝
    5.0
    かつて日本の中心であった飛鳥の地は、いまだ多くの謎に包まれており、発掘調査には多くの関心が寄せられる。しかし新しい発見にばかり目が奪われ、飛鳥自体の意味がなおざりにされてはいないだろうか。著者は飛鳥を古代史の舞台としてだけでなく、「日本」が誕生した地と位置づける。本書を手に、独特の石敷や湧水施設など様々な解釈が入り乱れる遺構をたどるとき、今までとは異なる飛鳥の姿があなたの前に現れるはずだ。
  • 吾妻鏡―鎌倉幕府「正史」の虚実
    3.9
    電子版は本文中の写真をすべてカラー写真に差し替えて掲載。 鎌倉幕府草創から中期までの事績を記した『吾妻鏡』。源頼朝挙兵に至る経緯、二代将軍頼家の暗愚、三代執権北条泰時の武勇と仁徳ほか、小説やドラマが描く挿話の多くはこの史料に基づく。幕府の公式記録とも言われるが、史実の錯誤や改変も少なくない。本書では平家追討、奥州合戦、実朝暗殺、承久の乱など主要な合戦や争乱の叙述を、近年の研究も踏まえて検証。「正史」に潜む虚構を洗い出し、隠された意図を明らかにする。
  • アタカマ高地探険記 風と砂とインカの道
    -
    南米・アンデス山中のアタカマは、「世界最悪の場所」と恐れられる未踏の高地である。強風、砂の猛威、異常乾燥、塩湖や死火山の強烈な原色……。本書はこの凄絶な高地を、砂に埋もれたインカの道を頼りに、地質・気象・植物・民俗の調査を行いながら徒歩とジープで縦断した著者を隊長とする男たちの記録である。人間の力の極限に挑む走行一千キロの旅は、現代生活で失われたものは何かという問いの中に向かって走り続ける。
  • アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界
    4.4
    政府による市場の規制を撤廃し、競争を促進することによって経済成長率を高め、豊かで強い国を作るべきだ-「経済学の祖」アダム・スミスの『国富論』は、このようなメッセージをもつと理解されてきた。しかし、スミスは無条件にそう考えたのだろうか。本書はスミスのもうひとつの著作『道徳感情論』に示された人間観と社会観を通して『国富論』を読み直し、社会の秩序と繁栄に関するひとつの思想体系として再構築する。
  • アダムとイヴ 語り継がれる「中心の神話」
    4.0
    『旧約聖書』に登場する、最初の人間アダムとイヴ。二人の名前は「禁断の木の実」「楽園追放」などのキーワードとともに語られ、日本人にとっても馴染み深い。しかし彼らの物語から生まれた、文化、思想、文学・美術作品の多様さは、私たちの想像を遥かに超えるものがある。本書では、美術史的な解説・解釈にとどまらず、アダムとイヴが歴史上いかに語られ、いかに現代社会に影響を及ぼしてきたかを探っていく。
  • アッシリア全史 都市国家から世界帝国までの1400年
    4.3
    電子版は本文中の写真を多数カラー写真に差し替えて掲載。 アッシリアは、イスラエルの民を虜囚にし、敵対民族を残酷に処刑したとして、『旧約聖書』では悪役に描かれる。 だがその実像はバビロニアの先進文明に学び、長きにわたって栄えた個性的な国だ。 紀元前2000年に誕生した小さな都市国家が他国に隷従しつつも、シャルマネセル3世、サルゴン2世らの治世に勢力を拡大、世界帝国となるが、急速に衰微し、前609年に瓦解する。 その盛衰を軍事・宗教・交易など多角的に描く。
  • アデナウアー 現代ドイツを創った政治家
    4.5
    第2次世界大戦の敗北により、人心・国土とも荒廃したドイツ。その復興を担ったのが、73歳で首相に就任、14年間その座にあったアデナウアーである。戦前、ケルン市長として活躍した彼だが、ナチに迫害され引退。戦後、保守政党を率い、「復古」「反動」のレッテルを貼られながらも、常に自国のナショナリズムを懐疑し、米仏など「西側結合」に邁進、ユダヤ人との「和解」にも挑んだ。「国父」と呼ばれる保守政治家の生涯。
  • あなたの表現はなぜ伝わらないのか 論理と作法
    3.0
    世界中の企業が、従業員に求めるものの第1位は、エフェクティブ・コミュニケーション(効率よく考えを伝え、よい効果を生み出す能力)だという。コミュニケーションの原義は、「共有する」こと。困難な状況を打開するにも、他人とよりよい関係を築くにも、共有することから始めなければならないことは誰にも明らかだろう。何をどう伝えれば効率と効果が期待できるのか。刻々と変化するメディアを十全に活かすヒントが満載。
  • アファーマティブ・アクション 平等への切り札か、逆差別か
    4.2
    「積極的差別是正措置」と訳されるアファーマティブ・アクション。入試や雇用・昇進に際して人種やジェンダーに配慮する取り組みだ。1960年代、公民権運動後のアメリカで構造的な人種差別解消のため導入されたが、「逆差別」「優遇措置」との批判が高まる。21世紀には多様性の推進策として復権するも、連邦最高裁は2023年に違憲判決を下した――。その役割は終わったのか。アメリカの試行錯誤の歴史をたどり考える。

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