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Posted by ブクログ
アケメネス朝ペルシアの勃興から滅亡を描く。
アケメネス朝といえば、アレクサンドロス大王に滅ぼされる大帝国のイメージしかなかった。
それをアケメネス朝の視点から見ていくとどうなるのか。
本書は入門書としてとてもわかりやすくまとまっていた。
特に、アケメネス朝の草創期の王であるキュロス二世からダレイオス一世あたりまではかなり面白い。これだけ広大な土地を一気に領土としていくエネルギーはものすごい。また、古代ならではの神話的エピソードも面白い。
また、後継者争いで毎回揉めるのが興味深い。長子相続や嫡庶等の決まりもないため、毎回王子たちの血みどろの争いと処刑の嵐が吹き荒れる。これを見ていると、後継者の決まりがあることの重要性がよく分かるし、そこに合理性がなくともよいのかもしれない(争いが起こらないことに意味がある)。なぜ後継者の決まりがなかったのかも気になるところ。
そして王としての正統性もだいぶ怪しくなっていくなか、ダレイオス三世がアレクサンドロスに討たれ(厳密には自身の配下による暗殺だけど)、突然滅亡する。これだけの権勢を誇った帝国があっさり滅びるのも、また不思議だ。
栄枯盛衰なり。
Posted by ブクログ
前著「ペルシア帝国と小アジア」を読んだ感想として、アケメネス朝ペルシアのところを掘り下げて欲しいな、と思っていました。
史上初の大帝国であるアケメネス朝ペルシアの建国から滅亡まで、丁寧に異説があるものは注釈や解説を入れて触れており、とても分かりやすかったです。裏の帯の「王たちの華麗なる統治と滅びへの晩鐘」もかっこいいではないですか。
ま、人によって何が面白いんだ、と思うでしょうけど、とにかく自分はこの時代が好きなので、いつもより時間をかけてじっくり読み、至福の時でした。はい。
特に、一般的な世界史の授業で習うのはギリシャ史観ベースのものですが、ペルシアの文脈に沿ってペルシア史を解釈するという論調もGood。
本書は2020年の後半にコロナ禍の中、籠って作業し、書いているうちに現地調査に行きたくなった、とのことですので、是非、現地調査の新しい知見を入れ、次回作をお願いしたいなと、期待を込めて閉じました。
Posted by ブクログ
2500年前、アジア・アフリカ・ヨーロッパの3大陸に跨る史上初の世界帝国があった。その名はアケメスネ朝ペルシア。世界史でお馴染みの名前だ。
この帝国は、紀元前330年にマケドニアのアレクサンドロス大王によって滅ぼされ、220年の歴史に儚くも幕を閉じる。僅かに220年の歴史だが、オリエントの地に栄華を極めた。
アケメネス朝ペルシアは、初代の王であるキュロス2世が一代の手によって紀元前550年に築かれた。キュロス2世は、紀元前538年、バビロニアに捕囚されていたユダヤ人をパレスチナに開放し、ユダヤ人にとって歴史的なことをした。ただし、このキュロス2世、彼の経歴、出自、誕生、帝国の創建、死と人生の重要な局面で多くのことがわかっていないという。この謎がまた想像の翼を広げる。
第3代王ダレイオス1世の治世で起こったペルシア戦争。勝者となったギリシアから見れば大国ペルシアを負かしたということで華々しく饒舌に語られることが多いが、ペルシア側は些細なできごとだったのか、資料は沈黙している。勝者に有利に語られる歴史の必然を感じる。我々の知識は、事実というより勝者が残した歴史に負うことが多い。
古代オリエントで栄えた巨大帝国、アッシリアとアケメネス朝ペルシア。どちらの帝国の歴史も知的興奮を覚え興味深くていい。そういえば最近、木村凌二先生の「沈黙する神々の帝国 アッシリアとペルシア」を読んだがこれも最高に良かった。
何がいいかって、現代社会に生きる我々が、現地に赴くことなく2500年前の古代の世界を堪能するには、良質の本を読み、その空気を感じるしかない。空気を感じることができる本が僕にとっていい本だ。
ペルセポリスの宮殿はさぞ壮大なものであっただろうと想像逞しくしつつ、大国の興亡に時を忘れ至福の時を過ごす。貴重な読書体験ができたことに感謝する。
Posted by ブクログ
アジア・アフリカ・ヨーロッパ3大陸にまたがる「史上初の世界帝国」アケメネス朝ペルシアの220年の歴史を9人の王の治績を軸にたどる。どういう史料に基づいてどういう史実が復元され、どういう限界があるのかが丁寧に描かれている。
キュロス2世やダレイオス1世、ペルセポリス、ペルシア戦争、ゾロアスター教など高校世界史の冒頭部分の記憶が甦るとともに、それらの背景や詳細を深く知ることができた。
著者が「あとがき」で、(数少ない史料を、)スルメか酢昆布のごとく、味がしなくなるまで噛みつくすのが、アケメネス朝ペルシア史研究の醍醐味と書いていたが、西洋古代史を、特に日本で研究することの難しさと面白さも感じた。
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