下斗米伸夫の一覧
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ユーザーレビュー
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御近所の書店が閉店するというその日に立寄り、眼に留めて求めた一冊であった。ゆっくりと読んだ。
随分と以前から関心を寄せている事項に纏わる本ということにもなる。主に“政治史”ということで、「ソ連」が辿った経過を振り返る内容である。
ヴャチェスラフ・ミハイロヴィチ・モロトフ(1890-1986)という人
...続きを読む物が在る。「モロトフ」は、「レーニン」や「トロツキー」や「スターリン」と同様、往時の革命家が使っていて、そのまま通称として有名になった“ペンネーム”である。本名はスクリャービンというそうだ。
近現代の歴史に関心を寄せる方であれば、「モロトフ・リッペンドロップ協定」という、第2次大戦の前のソ連とドイツとの間の密約という話しを耳にしているかもしれない。この話しに出て来るソ連の外務大臣がモロトフである。
モロトフは、ペンネームを通称として使い続けたことが示すように、革命が成る以前からのボリシェヴィキである。党の仕事や政府の仕事を手掛け、スターリンに近い幹部として要職を歴任した。フルシチョフ時代になって党を離れ、やがて1984年に復党する。そしてゴルバチョフ時代に入った1986年に96歳で他界している。
本書はこのモロトフを“キーマン”と位置付け、彼が関与した事案等を軸に据えながら、「ソ連」が辿った経過を振り返る内容である。
極々大雑把に顧みる。
ロシア革命の後、第1次大戦の後始末や内戦というような状況が在りながら、レーニンを指導者として体制が構築されて行く。レーニンが逝去した後、スターリンを中心とする流れと、その他の流れとの抗争のような情況が在って1930年代に入って行く。
1930年代には農業集団化の件等、実に色々と在って、やがて第2次大戦の時期に進む。戦争を乗り切った後、国際政治の様々な動きも在るが、やがてスターリンが逝去する。
以降、スターリンに近かった人達が排され、フルシチョフの時代に入る。そしてフルシチョフはブレジネフに追い落とされてしまう。やがてブレジネフの下で「停滞の時代」になる。
ブレジネフが逝去した後は、アンドロポフ、チェルネンコと何れも短命政権であった状態が続き、1985年にゴルバチョフが登場する。
ゴルバチョフの下での動き、「上からの革命」が「下からの革命」の挑戦に晒されるような状況、ソ連共産党の維持することや、連邦体制を維持することが困難になり、ソ連の旗は1991年に下ろされてしまう。
こういうような大雑把な流れに関して、様々な事柄を挙げて掘り下げているのが本書だ。
現在、ソ連の旗が下ろされてから30年余りということにはなる。「ソ連の歴史」を振り返ると、バルト3国とソ連後の12の国々が成立して辿る経過、ソ連が旗を下ろすようになって行く頃の「色々と在った…」または「課題を残し過ぎた?」ということが在って、それ故に「昨今の様々な問題」も生じているのかもしれないというようなことを思った。
「30年余り」というのも“微妙”かもしれない。本書の終章辺りに綴られている、1980年代末や1990年代冒頭の色々な出来事に関しては、極個人的な話しになるが、「自身の人生の中での見聞」というようなことで記憶に留まっている場合も多く在った。そういう情況でもあるが、それでも30年以前と最近とでは、色々な事柄を巡って随分と様子が変わってしまっていることも思わざるを得ない。そういう「個人の人生の中での時間」であると同時に「余りにも多くが大きく変わり得る時間」ということで、30年余りを“微妙”と表現したくなる。
そういう訳で、「ソ連の歴史」というようなことになると、やや複雑な想いも沸き起こるのだが、それはそれとして「振り返っておきたい事柄」であると強く思う。これもまた「昨今の様々な問題」を考える大事な材料だと思う。
本書は、最初のモノが2002年に登場していたが、その後の研究成果―ロシア革命の“担い手”というような役割を負った人達に関する事等―を加味して加筆し、2017年に「ロシア革命100年」を意識して改めて登場したモノであるという。「ソ連の歴史」に登場する人名等に不慣れな方に関しては、やや「入り悪い?」のかもしれない。が、自身はその種のモノに少し馴染んでいるので、何か凄く夢中になってしまった。
Posted by ブクログ
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WW2終結後、同盟関係から徐々に対立関係へと移行していく米ソにとって、争点となったのは「東欧」「核管理」だけで無く「大日本帝国の領土」でもあった。ソ連(スターリン)は当初北海道の北半分の直接占領を要求していたが、それを取り下げるに当たって、核兵器開発のためのウラン入手先としての東欧を優先したからと言
...続きを読むうのは目からうろこだった。もしもソ連国内のウラン鉱山が既に発見・発掘されていたら、容易にソ連が折れない展開もあったかと思うと…
また、鳩山政権時の日ソ国交回復交渉においては、ダレスが「二島での妥協はサンフランシスコ平和条約への違反なので、その場合は米国による沖縄併合もあり得る」という発言もまた、日本の中立化を許さないという米国の意思の表れで有り、ここ日本が冷戦の最前線で有り、我々が当事者であったことを思い起こさせるモノである。
なお、日本共産党は、劉少奇とスターリンのパシリだったw(そして中ソ対立で親ソ派を粛清。文化大革命では逆に中国共産党から追放され、宮本党へ)
毛沢東の「核戦争で人類が半減しても…」発言は、元々ロシアよりも中国の方が危険なメンタリティだったんじゃねえの?と構成の視点から見てしまう。中ソが対立したからといって、中国に肩入れしたのは大失敗だったね。<日米共に
Posted by ブクログ
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単純な通史ではなくモロトフの立場からロシア近代史はどう評価しうるのか。といった視点で記述がされていると思う。ただ、いかんせん、スターリンの時代から第二次世界大戦後をモロトフの目線で見ることはとてつもなく無理を生じる。読み進める中で、革命期の活動家がその後何を発言しうるのか、という点が面白かった。はっ
...続きを読むきり言えば、時代錯誤である。
Posted by ブクログ
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アジアでの冷戦を概観することで第二次世界大戦から今までの東アジアの国際政治の流れが繋がった。近現代史ってのはなかなか勉強する気が起きずにいたんだけど、その意味でこの本から多くを学んだ。
北朝鮮、中国、モンゴル、ベトナムなんかとソ連がいかに絡み合ってきたのか。ソ連崩壊後に公開された史料も合わせて淡々と
...続きを読む歴史を説明してくれる。
Posted by ブクログ
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隣国ロシアの今後の進む道について、ロシア国内で生活してる人が書いてる本。
この本の通りだとすると、今後何かと日本にアクションを求めてくるだろうと思う。
その時に適切に対応できるように準備しておかなければならないかもと思う
Posted by ブクログ
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