下斗米伸夫のレビュー一覧
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御近所の書店が閉店するというその日に立寄り、眼に留めて求めた一冊であった。ゆっくりと読んだ。
随分と以前から関心を寄せている事項に纏わる本ということにもなる。主に“政治史”ということで、「ソ連」が辿った経過を振り返る内容である。
ヴャチェスラフ・ミハイロヴィチ・モロトフ(1890-1986)という人物が在る。「モロトフ」は、「レーニン」や「トロツキー」や「スターリン」と同様、往時の革命家が使っていて、そのまま通称として有名になった“ペンネーム”である。本名はスクリャービンというそうだ。
近現代の歴史に関心を寄せる方であれば、「モロトフ・リッペンドロップ協定」という、第2次大戦の前のソ連とドイツ -
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WW2終結後、同盟関係から徐々に対立関係へと移行していく米ソにとって、争点となったのは「東欧」「核管理」だけで無く「大日本帝国の領土」でもあった。ソ連(スターリン)は当初北海道の北半分の直接占領を要求していたが、それを取り下げるに当たって、核兵器開発のためのウラン入手先としての東欧を優先したからと言うのは目からうろこだった。もしもソ連国内のウラン鉱山が既に発見・発掘されていたら、容易にソ連が折れない展開もあったかと思うと…
また、鳩山政権時の日ソ国交回復交渉においては、ダレスが「二島での妥協はサンフランシスコ平和条約への違反なので、その場合は米国による沖縄併合もあり得る」という発言もまた、日本 -
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ソ連〜ロシア研究の専門家によるウクライナ戦争の解説。
ウクライナ戦争については、どうしてもウクライナ側、欧米側にたった記事や論評が多く、ロシア側からみようとしていても、実は、ロシア側というより、反米という視点にたったものが多い感じがする。そういうなかで、長年、ソ連〜ロシアを見てきた著者による本は、新しい視点を与えてくれた感じがする。
著者は、この戦争は、長い時間軸のなかでみることの必要性を述べていて、どこが起点になるかというとキリスト教化、正教化した時点となる。
そして、ソ連という建前上、無神論の時代においても、実は正教的なものが指導者の間にもあって、ソ連崩壊後は、それが前面にでてきてい -
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ネタバレ2014年2月に起こったウクライナの政変に端を発するウクライナ危機によって、欧米諸国とロシアとのあいだに緊張が走った。ロシアのプーチン政権はどのような舵取りをするのか、そして日本との関係はどうなるのか。著者はロシアとウクライナの国家成立の歴史から現在の政治情勢までを非常にわかりやすく説明しながら、今なぜロシア外交が東方へシフトしているのかを繙いていく。筆者の見立てでは、プーチンが進めるユーラシア主義に基づくアジア重視外交は、特に日本に対する接近を強めていくであろうとみている。そして今こそロシアと日本のあいだにある北方領土問題の解決を進めるべきであることを強調する。
日本は中国との関係改善が進ま -
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ネタバレ[ 内容 ]
アジアの近代は、国民国家の成立を待たずに帝国主義の支配に従い、次いでただちに社会主義の洗礼を受けた。
このため、ヨーロッパでの東西対立のような国家関係が存在しなかった。
こうした、この地域独得の多極的な力関係や歴史的背景を抜きにしてアジアの冷戦は語れない。
本書は、ソ連崩壊前後に公開された機密文書、重い口を開いた証言などを綜合して、アジアでの冷戦の誕生から終焉までをたどるものである。
[ 目次 ]
第1章 アジア冷戦の始まり
第2章 中国革命と中ソ同盟(一九四九―六〇)
第3章 北朝鮮―建国・戦争・自主
第4章 ソ連とアジア、偽りの同盟(一九五四―六四)
第5章 中ソ冷戦とアジ -
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ウクライナ情勢への関心が下がっている事は至近の支援件数や寄付、報道の減少からも明らかなようだ。個人的には、国益最大化を求め合った故のバグという為政者の身勝手な論理が透け、善悪二元論で片方を擁護しようという気持ちが冷めてきている、というか成立しないままだ。特にトランプのディールの介入がそうさせた気がする。唯一、戦争という手段を選んだプーチンは先に手を出したから悪いという論理くらいだ。
長期化するのかも知れない。また、だからといってマンネリ化して受け止め、日本には影響がない事とも言えない。本書のタイトルにあるような〝戦争後“なんて考えられるのか、覗いてみたい気がしたのだが。だが、正直いうとその事