あらすじ
2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、すでに3年以上続く戦争となった。2025年1月に誕生したアメリカのドナルド・トランプ政権は停戦へ向けた交渉を進めるが、その先行きは依然として不透明である。なぜロシアはウクライナに侵攻したのか? なぜ国際社会は、戦争を防ぐことができなかったのか? この戦争の本質を理解するには、ロシアが置かれている軍事的・経済的な状況だけではなく、多くのロシア人がもつ宗教観・民族観、さらには「グローバルサウスの台頭」や「パクス・アメリカーナの終焉」の影響を知る必要がある。ロシア研究の第一人者が、ウクライナ戦争後の世界秩序のゆくえと、新たな「文明の衝突」の核心に迫る。
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Posted by ブクログ
⭕️ウクライナ戦争
「ウクライナ戦争後の世界秩序」
下斗米(しもとまい)伸夫
法政大名誉教授
見つけた!
安斎育郎の「ウクライナ戦争論」での主張を裏付けるものがたくさん書かれている。
ウクライナとロシアの関係性、ウクライナが歴史的に抱えている文明や、言語、宗教の分断ラインはもちろん、アメリカの「対ロシア代理戦争」としての意味づけがロシア研究者らしく明快。安斎育郎の提出する週刊誌的証拠(安斎先生ゴメン)より遥かに学術的だ。
ウクライナ戦争の黒幕はアメリカとNATOであり、犠牲となったのはウクライナとロシアの市民だ、という主張ははっきりと重なる。
2014年のマイダン革命は、アメリカ政府内のネオコン系勢力が背後で糸を引いていたクーデターだった。
※ネオコンとは、民主党側にいた反共リベラルや強硬派が共和党に接近してできた潮流。アメリカ国内では保守系、外交では強硬で介入に積極的なアメリカの思想や勢力。
ウクライナ戦争を新冷戦と見る向きもあるが、イデオロギーの対立でなく、宗教や言語をはじめとする「アイデンティティの分裂」が争いの原因だと見ることができる。
下斗米は前著「プーチン戦争の論理」(2022年)でも、ウクライナ戦争の原因はアメリカ国内の対立にあると主張した。ロシアの帝国的思考やプーチン大統領の歴史観に由来するという、日本での支配的な見解の修正を求めたという。
※安斎先生が指摘するように、日本の平和運動の中でさえ浅い捉え方が広がっている。今朝の広島平和祈念式典で広島市長も「ロシアのウクライナ侵攻」と述べた。玉野の平和行進集会でもアメリカやNATOの責任には全く触れず「ロシアの侵攻」という言葉が出ていた。これが日本では普通のことらしい。
本書はソ連崩壊による冷戦終結の経緯やグローバルサウスの台頭、そしてパクス・アメリカーナの終焉についても詳しく、ウクライナ戦争の終わらせ方の展望にまで書き進めている。
ゼレンスキーはロシア語圏の出身であり、当初はロシアとの和平を国民に約束し90%を超える支持を得たが、民族派の圧力下で主戦論に転じ、その後も和平の機会を逃し続け国民の支持を失った。戦争を長引かせたい勢力にいいようにあしらわれた男であるようだ。
NATOを東方に拡大してロシアを衰退させようと画策したアメリカ、中でもバイデンの責任はとても大きい。100万単位の死者を出した戦争にしてしまったのだから。
Posted by ブクログ
ウクライナ戦争計画は最初から漏れ気味だった、スターリンが核兵器開発を優先したことで日本本土、特に予定されていた北海道へのソ連軍の侵攻は中止された等、興味深いことが書かれていました。