下斗米伸夫のレビュー一覧

  • 神と革命 ──ロシア革命の知られざる真実

    Posted by ブクログ

    ロシア革命はキリスト教の正教の古儀式派が関係していたということについての詳細な説明がある。

    最初は、「とんでも」系の陰謀説かと思ったりしたが、これは真面目な話しで、説得力は高い。

    よく考えたら、あの時代に無神論、唯物論で、民衆を巻き込んだ革命とかできないはずだし、ドストエフスキーとか、トルストイとか、読むと、ロシアにおける宗教の重要性は明確で、革命が宗教的なものと関連しているのは自明なことのはず。

    つまり、いつの間にか、私も共産主義=唯物論というイデオロギーに洗脳されていたということか。

    ただ、やたら詳しくて、全体像が見えにくかったら、既出の論文を使ったためか、同じ話しが繰り返されたり

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    2023年08月21日
  • ソビエト連邦史 1917-1991

    Posted by ブクログ

    モロトフを基軸に、ソビエトの勃興から崩壊までを最新の研究成果も交えながらコンパクトにまとめ上げた力作。
    アナクロニズムの連続、そもそも革命政権が肥大化していくことの内包する矛盾が、ソ連の崩壊の端的な理由だと改めて。

    ただ、ソビエト史と共産主義史へのある程度の知識がないと、事実の羅列を追うだけになってしまうので、入門的には使えない。
    スターリンの時期はかなり丁寧に記されているが、崩壊のメカニズムに迫りたい、という個人的なこの本を手に取った動機を満たすものではなかったかな、、

    個人的には、モロトフという着眼はとても面白く、彼の人生こそソ連の歴史そのものだというのはまさしくその通りだと思った

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    2021年09月14日
  • ソビエト連邦史 1917-1991

    Posted by ブクログ

     スターリン時代のソ連ナンバー2として知られるモロトフを焦点に据えたソヴィエト連邦通史。ソ連共産党とソ連国家との関係の変容に重きを置いている。近年のロシアでの研究動向を反映して「古儀式派」(正教異端派)の影響と人脈を重視しているが(モロトフも古儀式派が強い地域の出身という)、一歩間違えると宗教還元論や陰謀論に堕す危険性があり、これには疑問が多い。

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    2017年09月09日
  • アジア冷戦史

    Posted by ブクログ

    主にソ連崩壊後に公開されだしたロシア側の資料に基づいて、アジアという地域に焦点を当て、冷戦の始まりから終焉までの通史を描いている。
    ヨーロッパ側とは違って、アジアの社会主義陣営は当初から多元化・多極化していたところに特徴があり、そのアジア冷戦の特異性が北朝鮮など現在に至る冷戦の残滓につながっているということがよくわかった。また、アジア冷戦において、スターリンや毛沢東をはじめ「人」の要素が大きく影響を与えてたこともあらためて感じた。
    ただ、事実の羅列が多く、重複箇所も散見される本書はあまり読みやすくはなかった。

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    2014年04月12日