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近代日本が生まれた幕末維新期。日本史上これほど暗殺が頻発した時期はない。尊皇攘夷論の洗礼を受けた者をはじめ、彼らはなぜ暗殺に走ったのか。本書は大老井伊直弼から内務卿大久保利通に至る国家の中枢、外国人、坂本龍馬らの“志士”、市井の人々までが次々に標的となった事件の凄惨な実相と世間の反応を描く。さらに後世、一方で暗殺者を顕彰し、他方で忌避した明治国家の対応も詳述する。闇から見つめる幕末維新史。
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Posted by ブクログ
幕末から明治にかけての暗殺を取り上げ、事件の詳細から背景に至るまで解説したもの。暗殺犯が靖国神社に合祀されていたり、民衆から一定の支持を得ていたりして、驚かされる。隣国では暗殺犯を称賛し国の英雄として崇め奉る風潮があるが、日本も人のことは言えないなと感じる。
幕末から明治、暗殺という視点から見つめ直した日本史。 幕末から昭和の戦前までの日本史は暗殺の歴史といえるだろう。本書は明治期までだが、実に多くの人材が暗殺で失われている。「言路洞開」、言論の道が開かれていない時代にはテロはやむを得ない手段だったのかもしれないが、どうも腑に落ちない。テロリストを礼賛...続きを読むする隣国のような狂信的な態度はどうかと。 暗殺に関する評価の変化が本書では面白い(第6章正しい暗殺、正しくない暗殺)。井伊直弼を顕彰し横浜に銅像を建てる旧幕臣。一方で桜田烈士50年祭を挙行する新政府寄りの立場。その翌月に大逆事件が起こるという皮肉。 暗殺という手段に違和感を覚えるのは、今の日本が恵まれているからなのか。平和ボケなのかもしれない。世の中には過去も現在もテロに頼る以外に現状の苛酷な環境を変えられない人々がいるのも事実である。 淡々と暗殺に関する記述が続く中、殺す側殺される側両方の立場も考慮した、良著でした。
概ね20年間程度になるのだと思うが、幕末から明治維新の“暗殺”という事柄に関する事典のような様相も呈する一冊で、同時にそうした営為の社会での受け止められ方の変遷というようなことも論じられている。これまでに「無かったかもしれない?」という角度から、幕末や維新を論じるということになるのかもしれない一冊だ...続きを読む。 それにしても、この「幕末・維新」という時期に関しては、驚く程に多くの(未遂も含めた)暗殺事件が発生している。が、それらに関しては少しずつ“性質”を変えながら続いていたという面も在る。そういうことが論じられているのが本書だ。 更に本書は、事件関係者の「扱い」が「後年に如何なった?」に言及が在る。幕末期の色々な事件に関わった人達で、明治時代の或る時期に至って、“功労の在った人物”という取り扱いになって、位階を贈られる、靖国神社に合祀される、場合によって御本人を祭神とする神社が所縁の地に起こるというような例が生じている。或いは立派な墓碑で御本人の事が伝えられているというような例も見受けられる。そういうことが加えられている部分が本書には多い。それも興味深く読んだ。 こういうような「事典的」な要素も在るような形で論じられている一冊は、手元に置いて時折参照して記憶を喚起するために役立たせるという使い方も出来るであろう。 様々な事件に満ちていて、少し「判り悪い?」という感の「幕末・維新」という時期を知る上で、本書は「好き道案内」になり得ると思う。
面白いし、大変勉強になったのでニ度三度読み返しそう。幕末の敵味方の思想の変遷は不勉強でまだまだ理解が難しいところがありますが、個人的には幕府側に同情的な見方になってしまいます。薩摩・長州はあまり好きになれないなぁ。
はじめに 序章 繰り返されてきた暗殺 第一章 「夷狄」を排除する 第二章 「人斬り」往来 第三章 「言路洞開」を求めて 第四章 天皇権威の争奪戦 第五章 維新に乗り遅れた者たち 第六章 ”正しい”暗殺、”正しくない”暗殺 終章 それでも続く暗殺 おわりに 主要参考文献
戦争は暴力そのものなのだ。実は政府が入れ替わる明治維新期は、歴史的に最も暗殺が行われた時代であるそうだ。本書は、そうした暗殺事件を多数取り上げて、それぞれの暗殺の理由というところに特化して語る一冊である。 ぼくには維新期の暗殺者ということで言えば、映画や大河ドラマで勝新太郎や萩原健一の演じた「...続きを読む人斬り」岡田以蔵のイメージが強く、彼の処刑シーンはどちらでも印象深かった記憶が残る。だが、人斬り以蔵にせよ、人斬り新兵衛にせよ、捕縛されるまでになかなか捕まらぬプロの殺し屋であったことは今更ながら異例に近いようにすら思える。 むしろ複数思想犯による斬殺とそのあとに目立つ場所に晒される首級、そして暗殺者たちも刑場の露となって消えてゆくことが、維新の暗殺史のスタンダードのようである。殺せば処刑されるのだ。 しかし、中には、生き残る殺人者もいて、それらが実は明治政府の中心人物であるばかりか、日本国首相として生き延びてゆく者すらいる。また首相ですら、また凶刃に倒れたりする、というテロまたテロという世界がこの時代の狂気の強さを表していて驚かされる。 暴力でしか解決できないサムライ、剣の文化であった。外国人を襲撃するという攘夷行動も目立つが、それらが国際戦争に直結しなかったのは今更ながらあまりにも幸運であったとしか思えない。それだけ各国の日本との交易の旨み、反して国際情勢の緊張が東アジアを席捲していたに違いない。 背筋が凍るのを通り越して、胃の具合が悪くなりそうなほど残酷な、山のように連続する暗殺行動、それらを次々と記録した本書を通して、日本の、否、世界の人間の未来に警鐘を響かせたくなる、まさに心が寒くなるような、それでいて読むべき一冊なのであった。
暗殺を羅列では無くて時系列に並べてみせた面白い趣向の読み物。意外に面白かった。 この方、文章が上手。 別の時代の暗殺の歴史とか書いても面白いのでは?
桜田門外の変から大久保利通暗殺まで、近代日本が生まれた幕末維新期。日本史上これほど暗殺が頻発した時期はない。この国の夜明けは・・・?血に塗られていたのか???
思ってたより倍くらい面白かった。これぞ歴史とい感じがした。 歴史は為政者によって都合よく語られるというのは良く言われることで、明治維新とはまさしくその側面があると改めて知ることができた。正しいことなど主義主張によって違うし、世の中歴史の理は決して単純ではない。 あと、暗殺は肯定されることではないが、...続きを読むやはり敵陣営の有能な人を1人殺すことで世界は変わっていく、というのも事実かもしれない。だからこそ暗殺が流行ったのだと思うが、一般人は何人いても大勢に影響ないが、いわゆるインフルエンサーは1人でかなり世界を変えられるものなのかとも思った。
日本は、暗殺の歴史でいっぱいである。特に幕末は、歴史そのものが暗殺、襲撃の歴史である。日頃から刀を差しているということは、武士は、軍人だから常に戦いの為に生きているということだけど、意見が違うと言うだけで、問答無用というのはどうか。その上に成り立った薩長政府ひいては、明治政府の成り立ちは、かなり無理...続きを読むがあったのでは。その無理が現代でも続いていないか。
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暗殺の幕末維新史 桜田門外の変から大久保利通暗殺まで
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