中公新書作品一覧

  • 日本史の内幕 戦国女性の素顔から幕末・近代の謎まで
    3.7
    西郷隆盛の性格は、書状からみえる。豊臣秀頼の父親は本当に秀吉なのか。著者が原本を発見した龍馬の手紙の中身とは。司馬遼太郎と伝説の儒学者には奇縁があった――日本史にはたくさんの謎が潜んでいる。著者は全国各地で古文書を発見・解読し、真相へと分け入ってゆく。歴史の「本当の姿」は、古文書の中からしかみえてこない。小説や教科書ではわからない、日本史の面白さ、魅力がここにある!
  • 日本史の論点 邪馬台国から象徴天皇制まで
    3.7
    鎌倉時代は「いい国つくろう」の1192年に始まる、という時代区分はもはや主流ではない。日本史の研究は日々蓄積され、塗り替えられている。今注目されている日本史の論点は何か、どこまで解明されたのか。「邪馬台国はどこにあったか」「応仁の乱は画期なのか」「江戸時代は「鎖国」だったのか」「明治維新は革命なのか」「田中角栄は名宰相か」など、古代・中世・近世・近代・現代の29の謎に豪華執筆陣が迫る。
  • 日本写真史 (上)
    3.7
    19世紀半ば、日本へ輸入された写真。日露戦争を経て新聞・出版メディアが拡大するなか報道写真が成長。第二次世界大戦時にはプロパガンダに利用され、また敗戦直後には「マッカーサーと天皇」の写真のように、社会に大きな影響力を持つようになった。戦後は戦禍や公害問題を追及するリアリズム写真が隆盛を誇ったが、経済成長とともに私的テーマ、広告へと多彩化する。本書は1974年まで120年に及ぶ歴史を描く。
  • 日本書紀の謎を解く 述作者は誰か
    4.0
    七二〇年に完成した日本書紀全三十巻は、わが国最初の正史である。その記述に用いられた漢字の音韻や語法を分析した結果、渡来中国人が著わしたα群と日本人が書き継いだβ群の混在が浮き彫りになり、各巻の性格や成立順序が明らかとなってきた。記述内容の虚実が厳密に判別できることで、書紀研究は新たな局面を迎えたといえる。本書は、これまでわからなかった述作者を具体的に推定するなど、書紀成立の真相に迫る論考である。
  • 日本史を暴く 戦国の怪物から幕末の闇まで
    3.5
    歴史には裏がある。古文書を一つずつ解読すると、教科書に書かれた「表の歴史」では触れられない意外な事実が見えてくる。明智光秀が織田信長を欺けた理由、信長の遺体の行方、江戸でカブトムシが不人気だった背景、忍者の悲惨な死に方、赤穂浪士が「吉良の首」で行った奇妙な儀式、漏洩していた孝明天皇の病床記録……。古文書と格闘し続ける著者が明らかにした、戦国、江戸、幕末の「歴史の裏側」がここにある。
  • 日本人にとって聖なるものとは何か 神と自然の古代学
    4.4
    一神教とは異なり、日本人にとって神は絶対的な存在ではない。山岳や森林をはじめ、あらゆる事物が今なお崇拝の対象となり得る。遠くさかのぼれば、『古事記』に登場する神々は、恋をするばかりか嫉妬もし、時に寂しがり、罪さえも犯す。独特の宗教観や自然観はどう形成され、現代にまで影響を及ぼしているか。「カムナビ」「ミモロ」などのキーワードを手がかりに記紀万葉の世界に分け入り、古代の人びとの心性に迫る。
  • 日本人の生命観 神、恋、倫理
    3.4
    「神からの授かりもの」「輪廻転生」「物質の集まり」-生命の見方は多様だ。日本人は生命をどのように捉えてきたのか。本書は、宗教、哲学、文学、自然科学と多彩な分野からこの疑問にアプローチする。神々が身近だった記紀万葉の昔から、生命科学が著しい発展を遂げた現代まで、生命観の形成と変遷をそれぞれの時代相とともに描きだす。日本に脈々と流れる「生命本位の思想」の可能性と危険性も浮かび上がってくる。
  • 日本政治とメディア テレビの登場からネット時代まで
    3.6
    1巻1,012円 (税込)
    1953年のテレビ放送開始は、政治家とメディアの関係を大きく変えた。政治家たちは出演してPRに努める一方、時に圧力をかけ、報道に影響を与えようとする。佐藤栄作政権で相次いだ放送介入、田中角栄が利用した放送免許、「ニュースステーション」の革命、小泉フィーバー、尖閣ビデオ流出事件、そして橋下徹のツイッター活用術まで、戦後政治史をたどり、政治家と国民とのコミュニケーションのあり方を問い直す。
  • 日本占領史1945-1952 東京・ワシントン・沖縄
    4.0
    1945年の敗戦後、マッカーサーを頂点にGHQの支配下に置かれた日本。当初占領政策は非軍事化・民主化を推進、平和主義を追求した日本国憲法が花開く。だが冷戦が深まる中、日本を「反共親米」にすべく、政策は経済復興に転換される。51年、朝鮮戦争の最中に結ばれたサンフランシスコ講和条約は日米安保条約とセットの締結となった。本書は、21世紀まで続く「戦後体制」が創られた日本占領7年間の全貌を描く。
  • 日本的感性 触覚とずらしの構造
    3.5
    花の好みに現れるように、日本人には西洋人とは違う感じ方がある。「おもかげ」「なごり」「なつかしさ」など、日本人にとってそのものに「詩」を感じる言葉がある。"世界"が"われ"のなかでどのように響き合うか。それこそが感性であるならば、その多くは文化的な環境のなかで育まれ、個々の文化に固有の感性が生まれるだろう。本書は日本的感性を和歌を素材として考察し、その特性である「ずらし」と「触覚性」を明らかにする。
  • 日本哲学小史 近代100年の20篇
    4.0
    明治初年にフィロソフィーという考え方が移入されて以降、日本哲学にはいくつものドラマが生まれた。例えば漱石や鴎外のように、文学と混淆していた黎明期、西田幾多郎が『善の研究』で日本中の青年を魅了し、田邊元や和辻哲郎が西洋の哲学者と切り結びつつ独自に思想を花ひらかせた頃、西田とはまったく異なる文体で大森荘蔵や廣松渉が哲学を語り始めた戦後…。本書によってはじめて、近代日本哲学の沃野が一望される。
  • 日本鉄道史 幕末・明治篇 蒸気車模型から鉄道国有化まで
    3.9
    1~3巻902~1,034円 (税込)
    一八五四年、来航したペリー提督は蒸気車模型を幕府に献上。以来、日本は鉄道時代に突入した。幕末の外国人たちによる敷設計画に始まり、新橋~横浜間の開業、官設鉄道を凌ぐ私設鉄道の全盛期を経て、一九〇六年の鉄道国有化と開業距離五〇〇〇マイル達成に至る半世紀――。全国的な鉄道網はいかに構想され、形成されたのか。鉄道の父・井上勝をはじめ、渋沢栄一、伊藤博文などの活躍とともに日本鉄道史の草創期を描く。
  • 日本鉄道史(合本)
    -
    中公新書2269『日本鉄道史 幕末・明治篇―蒸気車模型から鉄道国有化まで』、2358『日本鉄道史 大正・昭和戦前篇―日露戦争後から敗戦まで』、2530『日本鉄道史 昭和戦後・平成篇―国鉄の誕生からJR7社体制へ』の3冊を1冊にまとめた。 ペリー来航時の蒸気車模型に始まり、鉄道の開通、国有化、植民地での鉄道建設や私鉄による沿線開発など鉄道の興隆期を迎える。敗戦時にも鉄道は動き続け、新幹線の開通も果たすが、やがて国鉄の経営は悪化、民営化へと進む。160年以上におよぶ日本の鉄道史を一気に通観する。
  • 日本統治下の朝鮮 統計と実証研究は何を語るか
    4.2
    1910年から1945年まで、帝国日本の植民地となった朝鮮。その統治は、政治的には弾圧、経済的には搾取・貧困化という言葉で語られてきた。日本による統治に多くの問題があったことは確かである。だが、それは果たして「収奪」一色だったのか。その後の韓国の発展、北朝鮮の社会主義による国家建設と繋がりはないのか――。本書は、論点を経済に絞り、実証主義に徹し、日本統治時代の朝鮮の実態と変容を描く。
  • 日本の外交 明治維新から現代まで
    4.3
    日本の外交思潮のパターンである「政府の現実主義」と「民間の理想主義」とは、日本が日露戦争の勝利によって二十世紀の国際外交の舞台に躍りだすまでにできあがっていたが、大陸への野心から太平洋戦争へ、そして敗戦から日米安保体制下の今日にいたるまで、百年の尺度で日本の近代外交の思潮をかえりみるとき、そこにどのような歴史の教訓を引きだすことができるだろうか。長期の展望にたって、今日の外交への指針を示そうとする。
  • 日本の教育改革 産業化社会を育てた130年
    5.0
    日本の緊急課題のひとつは教育問題であるが、問題の現況とそれに対する処方箋を考えるとき、謙虚に学ぶべきは、やはり、明治以降の教育の歴史的経緯であろう。具体的事実に即して近代教育史を俯瞰すると、そこに見えてくるのは意外にも「教育改革」の連続であった。本書は、産業化と個人主義化という一貫した流れを視野の基本に置き、日本の教育が、その時代時代の要請に従って、どのような改革の道を歩んだのかを辿るものである。
  • 日本の行政 活動型官僚制の変貌
    3.3
    近代国家を担う立法・司法・行政三権のうちでも行政は政治の中枢に位置する。とりわけ日本においては、追いつき型近代化を遂行する過程で行政の果たしてきた役割は大きかった。しかし明治以来の国家目標が達成され、自民党単独政権が崩壊した今日、行政もまた変革を迫られている。即ち、各省間の競争エネルギーを駆り立てた最大動員システムはセクショナリズムの弊害を露呈しているのである。新しいシステムはいかにあるべきか。
  • 日本の経済政策 「失われた30年」をいかに克服するか
    -
    バブル崩壊以降、「失われた三〇年」とも言われる長期停滞から抜け出せない日本。なぜこれほど長く低迷しているのか。日本経済を一九九〇年代から振り返り、繰り広げられた論争と、実施された政策をマクロ経済学の見地から検証する。一九九〇年代の不良債権処理、二〇〇〇年代の格差論争、二〇一〇年代の低金利政策。私たちはどこで判断を誤り、どのように克服すべきか。将来への持続性につながる経済政策を提言する。
  • 日本の公教育 学力・コスト・民主主義
    4.2
    教育無償化、学力低下、待機児童など、近年の教育の論点は多岐にわたる。だが、公費で一部もしくは全体が運営される学校教育=公教育とはそもそも何のためにあるのか。実際に先進国の中で公教育費が少ない日本には、多くの課題が山積している。本書は、学校とそれを取り巻く環境を歴史的背景や統計などのエビデンスを通して、論じる。そこからは、公教育の経済的意義や社会的役割が見えてくるだろう。
  • 日本の航空産業 国産ジェット機開発の意味と進化するエアライン・空港・管制
    3.0
    心躍る空の旅を支えているのは、どんな人たちなのか。大競争時代のエアライン、スペースジェットをはじめ熾烈な開発競争を繰り広げる完成機メーカー、インバウンドの受け皿や地域の中心として魅力を高めようとする空港、何よりも安全を追求する整備や管制。航空に関連する産業の現状と課題を幅広く紹介する。さらに日本は航空から何を得ることができるのか、今後のモノづくりの指針を示す。東京大学の人気講義を基に書籍化。
  • 日本の国会議員 政治改革後の限界と可能性
    4.3
    国会議員への不信が高まっている。1990年代以降の一連の政治改革を経ても、議員の活動・役割は見えにくい。本書は、人材、選挙、政策形成、価値観、資金、国際比較など、あらゆる観点から国会議員の実態をデータに基づき描く。世襲や秘書出身者の増加、少数の女性議員、なお不透明な政治資金、憲法・安全保障と異なる社会経済政策を巡る対立軸の不在など、多くの問題と原因を指摘。日本政治に何が必要か改革の方向性を示す。
  • 日本の子どもと自尊心 自己主張をどう育むか
    4.0
    自分の頭で考え、はっきりと意見を言える子どもに育ってほしいというのは親の自然な願いだろう。しかし、自己主張の発達と深く結びついている「自尊心」は、謙虚さが賞賛される日本において、常に歓迎されるとは限らない。そこに矛盾があるとしたら、自己主張できる子を育てるためにはどうすればいいのか。日本人独特の自尊心を考察し、教育学の視点から、保護者の価値観の影響や、子どもの成長との関わりを明らかにする。
  • 日本のコメ問題 5つの転換点と迫りくる最大の危機
    4.8
    稲作伝来以来、日本人はコメ不足に悩まされてきた。1967年、ついに自給自足を達成する。だが、そこに喜びはなかった。直ちに到来したコメ余り時代と減反の開始、ヤミ米の拡大と食管制度の崩壊、ウルグアイ・ラウンドで生まれた国際秩序への対応、水田フル活用政策の誕生と混乱……。本書は半世紀で大変貌を遂げた日本人とコメの関係を、転換点ごとに整理。そして、残された未解決問題がもたらす最大の危機に警鐘を鳴らす。
  • 日本の魚 系図が明かす進化の謎
    4.0
    キンメダイはタイと名がついてもタイ科の魚ではなく、むしろギンメダイに近い。また、コバンザメやチョウザメは、サメといってもサメの仲間ではない。四億年前に誕生した魚類は多様な進化を遂げた。食用・観賞用としてなじみ深い魚もいれば、新発見の魚もいる。本書は、メダカとトビウオ、フグとマンボウのように、一見かけ離れていても実は非常に近縁な魚を対比し、かたちや生態を解説する。これであなたも魚博士に。
  • 日本の財政 再建の道筋と予算制度
    4.5
    成長戦略だけでは“破綻”は回避できない。GDPの2倍、1000兆円を超えた日本の借金。成長戦略による国家破綻回避論は絶えないが、1990年代の財政悪化から20年余、好況時にも財政赤字は拡大した。経済成長による税収拡大はわずかに過ぎない。幾度となく財政再建が試みながらも、なぜ日本は失敗し続けるのか。本書は、特に予算制度に着目し、財政再建に成功・失敗した先進10ヵ国の事例を繙き、その根源的問題を指摘、日本の財政再建の道筋を提示する。
  • 日本の樹木 都市化社会の生態誌
    -
    身近な小空間の植栽から信仰の対象となる巨木まで、樹木は日本人の生活に深く関わってきた。花を愛で、実を味わい、根を薬用にし、幹は材に用い・・その利用は多岐にわたる。村おこし、町づくりの中心に樹木を据える例も増えてきた。宅地造成、ゴルフ場建設、リゾート開発で日本の植生が、景観が、大きく変貌しつつある今、樹木との新しい関係が求められている。代表的樹種八十余種の生態誌・文化誌を記述する。挿図七七点付載。
  • 日本の選挙 何を変えれば政治が変わるのか
    4.5
    選挙制度が政治全般に及ぼす影響力はきわめて大きい。「選挙制度が適切なら何もかもうまくいく」という哲学者オルテガの言をまつまでもなく、選挙は民主主義をいかなる形態にも変えうる力を秘めている。本書は、小選挙区制や比例代表制の思想的バックボーンをわかりやすく紹介し、「選挙制度のデパート」とも揶揄される日本的システムを改善する道筋を示すものである。巻末に、近年の議論をふまえた補足解説を付す。
  • 日本の地方議会 都市のジレンマ、消滅危機の町村
    4.5
    1巻946円 (税込)
    最も身近な政治の舞台である地方議会。だが、平成の大合併により議員数は半減、政務活動費などをめぐる不祥事も続き、住民との距離は広がるばかりだ。都市部では、首長と対立すると「抵抗勢力」と批判され、反対に支持すれば単に「追認機関」とされる。一方、過疎地では議員のなり手さえ不足している。本書は地方議会の仕組みやカネ、選挙の実態、そして実は重い職責までを丁寧に描き、いま必要な改革を示す。
  • 日本の地方政府 1700自治体の実態と課題
    4.3
    日本には都道府県47、市790、町745など、1700を超える地方政府がある。一般に地方自治体、地方公共団体と呼ばれ、行政機構のみが存在する印象を与えてきた。だが20世紀末以降の地方分権改革は、教育、介護、空き家問題など、身近な課題に直面する各政府に大きな力を与えた。本書は、政治制度、国との関係、地域社会・経済の三つの面から、国家の2.5倍の支出と4倍の人員を持つ地方政府の軌跡、構造と実態を描く。
  • 日本の中小企業 少子高齢化時代の起業・経営・承継
    3.3
    高度経済成長を支え、高い技術力を賞賛された日本の中小企業。だが、近年は急激な人口減少や中国・アジアとの競争などで、苦しい状況にある。既存の企業は後継者不足に悩み、起業の件数も激減している。一九八六年に約八七万あった製造業事業所は、この三〇年のうちにほぼ半減した。こうした状況に突破口はあるのか――。現場主義を貫く経営学者が、豊富な事例を通して、課題と今後の展望を論じる。
  • 日本の統治構造 官僚内閣制から議院内閣制へ
    4.4
    独特の官僚内閣制のもと、政治家が大胆な指導力を発揮できず、大統領制の導入さえ主張されてきた戦後日本政治。しかし一九九〇年代以降の一連の改革は、首相に対してアメリカ大統領以上の権能を与えるなど、日本国憲法が意図した議院内閣制に変えた。本書は、国会、内閣、首相、政治家、官僚制、政党など議院内閣制の基盤を通し、その歴史的・国際的比較から、日本という国家の統治システムを明らかにするものである。
  • 日本の品種はすごい うまい植物をめぐる物語
    4.7
    より美味で、かつ丈夫、収穫量が多く、栽培しやすい品種を――。誰もが夢見る新品種を生むべく、自然と格闘する仕事が育種家だ。りんごの「ふじ」のように歴史に名を刻む有名種や、競争に敗れて頂点から転落した梨の「長十郎」など、品種改良をめぐる歴史は、育種家たちの情熱の結晶である。本書では、じゃがいもや大豆、大根、わさびなど7つの身近な食用植物を取り上げ、その進化と普及にいたるドラマを描き出す。
  • 日本の歴史的建造物 社寺・城郭・近代建築の保存と活用
    3.8
    法隆寺や姫路城はじめ、日本には世界遺産に指定された歴史的建造物が多い。だが、「役割を終えた古い建物」でしかなかったそれらに価値や魅力が「発見」されたのは、実は近代以降のことである。そして、保存や復元、再現にあたっては、その建造物の「正しい」あり方が問われた。歴史上何度も改築された法隆寺、コンクリート構造の大阪城天守閣、東京駅、首里城……。明治時代から現代に至る美の発見のプロセスをたどる。
  • 日本の歴史問題 改題新版 「帝国」の清算から靖国、慰安婦問題まで
    -
    靖国神社、歴史教科書、慰安婦、領土、そして「犠牲者」個人への補償。戦後七五年を超えてなお残る歴史問題。なぜ「過去」をめぐる認識は衝突し、アジア太平洋戦争の「清算」は終わらないのか。本書では、帝国の解体から東京裁判、靖国論争が始まる一九八〇年代、慰安婦や領土をめぐり周辺諸国との軋轢が増す二〇一〇年代以降の歴史問題の全容を丹念に描出。名著『国家と歴史』を改題のうえ全面改稿し、歴史和解の道筋を示す。
  • 日本ノンフィクション史 ルポルタージュからアカデミック・ジャーナリズムまで
    3.9
    「非」フィクションとして出発したノンフィクション。本書は戦中の記録文学から、戦後の社会派ルポルタージュ、週刊誌ジャーナリズム、『世界ノンフィクション全集』を経て、七〇年代に沢木耕太郎の登場で自立した日本のノンフィクション史を通観。八〇年代以降、全盛期の雑誌ジャーナリズムを支えた職業ライターに代わるアカデミシャンの活躍をも追って、「物語るジャーナリズム」のゆくえと可能性をさぐる。
  • 日本文化交流小史 東アジア伝統文化のなかで
    -
    日本文化は二千年に及ぶ東アジア世界の交流の中で形づくられ、展開してきた。渡来人による先端技術移転、遣唐使派遣、密教の伝来、禅僧がもたらした宋文化や朱子学の受容など、貪欲に先進文化を取り入れてきた。そのいっぽうで、科挙制度など、受け入れなかったものも数多い。交流の歴史という視点からはじめて見えてくる日本の国のすがたをエピソード豊かに綴り、前近代東アジア文化が備えていた先進性を再評価する。

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  • 日本文化論の系譜 『武士道』から『「甘え」の構造』まで
    4.0
    奈良・平安のいにしえから、日本人は自らの文化の特質について、さまざまな角度から論じてきた。それは、常に異国文化の影響下で自分たちの考え方やふるまい方を築いてきたことと密接な関係がある。本書は、明治以降、西欧文化が激しく流入する時期に焦点を絞り、一五人の思想家、学者、作家などによる代表的な日本文化論を比較文化的視点から読み解くことによって、近代日本人の自画像を検証する試みである。
  • 日本文学史 近代から現代へ
    3.7
    明治十八年、坪内逍遥が初めて西欧近代小説の理念を導入し、小説の芸術としての独立性を『小説神髄』で主唱して以来、私小説を中心にして文壇という特殊社会でわが国特有の性格を形成してきた近代文学の動向と特質と変遷、その主要文学者と文学作品を鳥瞰する。そしてその間に試みられた方法や作風の多様性のなかに日本文学の内発的可能性を求め、世界同時的性格をもつ現代文学の不毛性を克服する方途を模索する。
  • 日本ミステリー小説史 黒岩涙香から松本清張へ
    3.4
    1巻968円 (税込)
    江戸後期、大岡越前の裁判小説が人気だったように、日本人は元来、謎解きが大好きだった。だが、ポーの「モルグ街の殺人」にはじまるミステリーが受容され、国産の推理小説が定着するためには長い茨の道が必要だった。黒岩涙香による本邦初のミステリー、探偵小説でデビューした泉鏡花、『新青年』と横溝正史、社会派という新ジャンルを切り開いた松本清張や「日本のクリスティー」仁木悦子まで、オールスターで描く通史。
  • 日本陸軍とモンゴル 興安軍官学校の知られざる戦い
    4.0
    一九三〇年代に満洲の地で、日本陸軍が関与し、モンゴル人へ軍事教育を施す目的で作られた興安軍官学校。日本の野心と中国からの独立を目論むモンゴルの戦略が交錯する中から生まれた場所だ。本書は軍事力により民族自決をめざすモンゴル人ジョンジョールジャブや徳王らの活動、軍官学校生らが直面したノモンハン戦争から敗戦にいたる満蒙の動向などを描く。帝国日本に支援され、モンゴル草原を疾駆した人びとの物語。
  • 日本列島はすごい 水・森林・黄金を生んだ大地
    NEW
    -
    1巻1,012円 (税込)
    1万4千の島々が連なる日本列島は、ユーラシア大陸の東縁でその土台ができ、やがて分離。3万8千年前に人類が上陸し、歴史を紡いできた。変化に富んだ気候が豊かな資源を生み、国土を潤す。本書は、時空を超えて島国の成り立ちと形を一望し、水、火、塩、森、鉄、黄金が織りなした日本列島史を読み直す。天災から命を守り、資源を活かす暮らしとは。地学教育の第一人者が、列島で生きる醍醐味をやさしく解説する。
  • 日本恋愛思想史 記紀万葉から現代まで
    3.5
    日本人はどのような恋愛をしてきたのか――。記紀万葉の時代から公家文化、武家文化、町人文化の時代を経て、近代の恋愛結婚至上主義、戦後の純潔教育、性の解放へ。恋愛研究の第一人者である作家・比較文学者が、古今東西の文献を博捜し、古典的名作から戦後の通俗小説、映像作品まで目配りしつつ圧倒的なスケールで描く、比較恋愛思想史の決定版。『〈男の恋〉の文学史』以来一五年におよぶ研究の集大成。
  • 入門 医療政策 誰が決めるか、何を目指すのか
    3.2
    高齢者医療費の増大、TPP参加と皆保険制度等、日本の医療は嵐のなかにある。また、医療者・政府・患者等、関係者の利害対立も激しさを増している。これまでは“カンと度胸”で決定されてきた医療政策も、いまやデータの裏付け・検証や理論に基づく施策が求められている。本書は、医療政策の課題、学問的裏付け、決定過程の実態、諸外国の例、今後の展望について解説し、新たな学問としての医療政策学の必要性を説く。
  • 入門 開発経済学 グローバルな貧困削減と途上国が起こすイノベーション
    3.0
    世界は今なお悲惨さに満ちている。飢餓、感染症、紛争にとどまらず、教育、児童労働、女性の社会参加、環境危機等、課題は山積みだ。途上国への支援は、私たちにとって重要な使命である。一方、途上国自身にも、新たな技術革新の動きが生じている。当事者は今、何を求め、それはどうすれば達成できるか? 効果的な支援とは何か? 開発経済学の理論と最新の動向を紹介し、国際協力のあり方や、今こそ必要な理念について提言する。
  • 入門 環境経済学 新版 脱炭素時代の課題と最適解
    5.0
    私たちは製品やサービスを消費して豊かな生活を享受する一方で、気候変動や廃棄物汚染、生態系破壊など多くの環境問題に直面している。経済活動と環境保全は相反する関係にあるが、バランスのよい最適解はどこにあるのか? 本書は経済学の基礎理論を押さえ、それを環境問題に応用して望ましい政策を検討する。旧版にカーボンプライシングなど最新テーマを大幅加筆して、豊かな環境を引き継ぐための制度設計を提示する。
  • 入門 現代物理学 素粒子から宇宙までの不思議に挑む
    4.0
    なぜモノは引きあうのか。「なにもない世界」は存在するのか。わたしたちの住む世界はいつ生まれ、どこに向かっているのか――。このような謎を追究するのが現代物理学である。ミクロの世界・宇宙の果て・極低温など、日常生活では想像すらできない極限の世界を現代物理学はどう解明してきたか。その始まりから最前線までを、やさしく解説する。さらにダークマターや重力波望遠鏡など、最新のトピックを紹介。
  • 入門 公共政策学 社会問題を解決する「新しい知」
    4.2
    社会問題はますます複雑になり、既存の学問では十分な解決策を提示できない――そうした意識から生まれた「公共政策学」。政治学や行政学、経済学など多分野の知識を総合化した新しい学問だ。専門家のみならず、市民の「知」も取り入れるなど、問題解決に役立つ学問へと進化している。本書は、少子高齢化、シャッター商店街、生活保護、学力低下など、日本の課題を例に取り、公共政策学のエッセンスを伝える入門書である。
  • 入門 国境学 領土、主権、イデオロギー
    4.3
    北方領土、尖閣諸島、竹島という日本が抱える三つの「領土問題」。その解決のヒントになるのが国境学・境界研究(ボーダースタディーズ)である。欧州を揺るがす移民問題、国境防衛にとどまらないサイバー時代の安全保障、境界地域の経済振興など、国境学の応用範囲は幅広い。四千キロに及ぶ中露国境の踏破、北方領土問題への提言など最前線で活動してきた著者が、欧米の動向や自身の実践を踏まえて解説する入門書。
  • 入門! 進化生物学 ダーウィンからDNAが拓く新世界へ
    3.7
    生物はなぜこんなに多様なかたちをしているのか? 餌の種類に応じてくちばしの形を変えた鳥、雄が交尾後の雌に貞操帯でフタをするトンボなど、多様な姿や驚きの行動が、どのようにして生起したのかを解説。さらに中立進化説、分子遺伝学や行動生物学といった最新の知見を紹介し、「挑戦する雄」が新たな種を生み出すとの新説や、過剰な適応は絶滅への道であることを提唱する。知的興奮に満ちた生き物好き必読の書。
  • 入門 人間の安全保障 増補版 恐怖と欠乏からの自由を求めて
    4.0
    一九九四年、国連開発計画によって「人間の安全保障」が提唱された。国家ではなく、一人ひとりの人間を対象とするこの概念は、頻発する紛争や暴力、世界を覆う貧困や飢餓からの自由を目指し、国際社会のキーワードとなった。本書では人道支援、地雷禁止条約策定交渉などの活動を続けてきた著者が、国際政治学の知見をふまえ、エッセンスを解説。増補版では新章を加え、全面的にデータを刷新した。SDGsなど最新動向にも対応。
  • ニュース・エージェンシー 同盟通信社の興亡
    5.0
    瞬時に世界を駆け巡るニュース。その多くはロイター、APなど欧米の報道機関の発信による。情報が国際世論を左右する現状にあって、通信社の役割はきわめて重い。しかし今日の日本には強力な発信力をもつ国家代表通信社がない。同盟通信社は昭和一一年、「日本人自身による情報管理」を夢見て、「聯合」と「電通」の合併から生まれた。悲願達成を前に、宣伝機関へと変質していった歴史を丹念に追い、通信社の使命を問う。

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  • ニューヨークを読む 作家たちと歩く歴史と文化
    4.0
    資本主義の首都ニューヨークには、最先端の現象が露出しつづけてきた。その素顔を捉えることは容易ではないが、この都市を舞台とする文学作品は格好の導き手となってくれるだろう。メルヴィル、ホイットマン、フィッツジェラルド、サリンジャー、オースター……。こうした作家たちは、この都市の魅力と魔力を鋭い感受性で捉え、鮮やかなことばで表現した。ダイナミズムをたたえ混沌としたニューヨークの過去と現在を歩き直す。
  • 人間形成の日米比較 かくれたカリキュラム
    3.8
    多くの共通点をもち、互いに影響を与えながら、二つの国で「日本人」「アメリカ人」はどう形成されるのか。とりわけ摩擦の一因ともなっている“個と集団”への意識はなぜ異なるのか。子供観の検討、初等教育の比較から、著者は集団への同調行動の二つのモデルを見出す。両国で教育をうけ、カルチャーショックと逆カルチャーショックに交互に見舞われた熱い体験と、初等教育の現場での冷静な観察から生まれた、日米比較への新鮮な視点。
  • 認知症 専門医が語る診断・治療・ケア
    4.3
    一度身につけた記憶や能力が失われていく認知症。いまだ根治療法はないが、治療においても介護においても、早期発見と病気の正しい知識の果たす役割は大きい。本書では、認知症のうちアルツハイマー病やレビー小体型認知症など主要な病気の特徴をやさしく解説し、病気ごとの治療とケアのポイントを紹介する。正常な物忘れと認知症の違いはどこにあるのか、若年性認知症固有の問題とは。悩んでしまう前に読んでほしい一冊。
  • ニーチェ―ツァラトゥストラの謎
    4.1
    ある日「永劫回帰」の思想がニーチェを襲う。この着想をもとに一気呵成に書き上げられた『ツァラトゥストラはこう語った』は、二〇世紀の文学者・哲学者の多くを惹きつけ、現代思想に大きな影響を与えた。文学の伝統的手法を駆使しつつも、ときにそれを逆手にとり、文体の実験までも行うニーチェ。一見、用意周到な筋立てや人物造形とは無縁と思われるこの物語は何を目論んでいるのか。稀代の奇書に迫る。
  • 農のある人生 ベランダ農園から定年帰農まで
    3.5
    土を踏みしめ、風を頬に感じる。穫りたてのトウモロコシの甘み、キュウリのトゲの痛さを知る。人間が生きていくための最も根源的な営み、脳と体をフル回転させる高度な仕事、それが農業である。だが日本の農業の担い手は減る一方だ。いまこそ農のある暮らしを始めよう。手軽なベランダ農園や市民農園から、クラインガルテン、週末農民。さらに農を極めたい人のために半農半X、定年帰農という可能性へいざなう。
  • 脳の意識 機械の意識 脳神経科学の挑戦
    4.2
    物質と電気的・化学的反応の集合体にすぎない脳から、なぜ意識は生まれるのか――。多くの哲学者や科学者を悩ませた「意識」という謎。本書は、この不可思議な領域へ、クオリアやニューロンなどの知見を手がかりに迫る。さらには実験成果などを踏まえ、人工意識の可能性に切り込む。現代科学のホットトピックであり続ける意識研究の最前線から、気鋭の脳神経科学者が、人間と機械の関係が変わる未来を描きだす。
  • 信長軍の司令官 部将たちの出世競争
    3.5
    武田・上杉・本願寺・毛利などの強敵と領土を接した織田信長は、一万を超える大軍団を柴田勝家・明智光秀・羽柴秀吉・滝川一益らに預け、四方の平定に当たらせた。この「方面軍」司令官こそ、信長麾下の武将たちにとって究極の地位であった。尾張一国から畿内平定、天下統一へと驀進する信長軍にあって、彼らはどのように出世を遂げたのか。時代を追い、並み居る名将たちの顔ぶれと与えられた権限、具体的な活躍をたどる。
  • 信長と消えた家臣たち 失脚・粛清・謀反
    3.4
    信長は天下統一の過程で多くの配下の者を粛清した。反逆が疑われる者は無論のこと、抜擢に応えられなかった者も容赦なく切り捨てた。なぜ信長は周囲の理解を超えた過酷な処分を行ったのか。一方、趨勢が明らかにもかかわらず、結果的に少なくない数の武将が反旗を翻したのはなぜなのか。着々と進む天下統一の裏で続いていた信長と家臣、そして恭順した大名たちとの駆け引き。その生々しい局面から、信長の戦略と素顔に迫る。
  • 信長と将軍義昭 連携から追放、包囲網へ
    4.3
    各地を流浪した足利義昭は、一五六八年、織田信長に奉じられて上洛し、宿願の将軍職に就いた。長らく傀儡にすぎないとされてきた義昭だが、近年では将軍として行使した政治力が注目されている。京都から追放された後でさえ、信長に対抗できる実力を保持していた、とする説もある。上洛後の信長と義昭は果たしてどのような関係にあったのか。強烈な個性を放った二人が、連携から確執、対立へと至る過程を詳述する。
  • 信長の親衛隊 戦国覇者の多彩な人材
    3.8
    強烈な個性で迅速果敢に中世的権威を否定し戦国乱世を勝ち抜いた信長には、戦場で本陣を固める馬廻や小姓といった強者たちのほかに、秘書や吏僚として治世や文化などの面で活躍する近臣・近従がいたことを忘れてはならない。彼らは職業や出自を問わぬ信長に見出だされ、その才能を惜しみなく発揮し、信長の手足となって献身的におのおのの本分を尽くした。本書は、これら無名に近い近従たちに光を当てながら新たな信長像に迫る。
  • 信長の天下所司代 筆頭吏僚村井貞勝
    3.6
    元亀四年に足利義昭を追放した後、信長は「天下所司代」を置き、京都支配を行った。本能寺の変までの九年間、一貫してその任にあったのは村井貞勝である。彼は信長の絶大な信頼を得て、市政から朝廷・公家との折衝までを一手に担い、ルイス=フロイスからは「尊敬すべき異教徒」と呼ばれた。武功とは無縁の吏僚でありながら有能を認められて「天下」=京都を仕切り、織田政権の要となった村井貞勝の活躍に光を当てる。
  • 野村商法物語
    -
    明治六年に、初代野村徳七が大阪の借家で開業した銭両替店は、日清・日露戦争による株式市場の活況で近代的な証券会社に変身し、さらに国内外の産業分野への進出を行ない、有数の財閥へと成長した。敗戦前後の困難も乗り越え、世界屈指の「ノムラ」へと発展していった秘密はどこにあるのか。本書は、その成功の鍵を、今や忘れ去られた感のある、江戸時代以来の商業倫理の遵守に求め、商家の暖簾を守り続けた人々の気骨を描くものである。

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  • ノーベル賞の100年 自然科学三賞でたどる科学史 [増補版]
    -
    ノーベル賞は、1901年に、物理学、化学、生理学・医学、文学、平和の五分野で始まったが、中でも自然科学の三分野の受賞者とその業績は、20世紀の科学の歴史そのものである。この100年間に世界の科学はどう変化してきたのか。本書は、ドイツの時代からアメリカの時代へ、基礎科学から応用科学へと移りゆく足跡をたどりながら、賞の未来を展望するものである。あわせて、日本人にまつわる秘話も紹介。
  • 俳句と暮らす
    3.8
    花鳥風月を詠む優雅な趣味の世界――。これが俳句のイメージだろう。だが、日々の小さな発見を折に触れ書き留められるところにこそ、俳句本来の魅力がある。本書では、俳人にして単身赴任中のサラリーマンでもある著者が、「飯を作る」「会社で働く」「妻に会う」「病気で死ぬ」などさまざまな場面を切り取りつつ、俳句とともに暮らす生活を提案。平凡な日常をかけがえのない記憶として残すための俳句入門。
  • 排出取引 環境と発展を守る経済システムとは
    4.0
    人類最大の環境汚染=地球温暖化問題。その影響は世代を超え、全世界の生態系に及ぶ。だが、各国ごとの規制や技術開発といった旧来の手法だけでは、このグローバルな環境問題は解決できない。温暖化ガス排出を抑え地球の大気という公共的資源を守りつつ、地域や各国経済の発展を図るにはどうすべきか。近年誕生した「排出取引制度」の歴史と理論、主要諸国で導入が進む制度を紹介し、今後の展望と日本の取るべき道について述べる。
  • 肺の生活習慣病(COPD) 咳、痰、息切れを疑う
    -
    咳が出れば風邪のせい、息切れが起これば年のせい――と、私たちは軽く考えがちだ。しかしその陰に肺の重大な疾患COPDが隠れているかもしれない。症状が喘息など他の疾患と似ているため医師でも気がつかないことが多く、潜在的患者数は糖尿病を上回る数百万人といわれる。正しい治療を受けなければ治癒は遅れ、医療費はかさみ、患者・家族の生活の質の低下は免れない。COPDとどう向き合えばいいのか。診断と治療、予防法を紹介する。
  • 白人ナショナリズム アメリカを揺るがす「文化的反動」
    3.9
    白人至上主義と自国第一主義が結びついた「白人ナショナリズム」。トランプ政権の誕生以降、注目を集めるオルトライトをはじめ、さまざまな勢力が連なる反動思想だ。反共、反多文化主義、反ポリティカル・コレクトネスといった旧来の保守と共通する性格の一方、軍備拡張や対外関与、グローバル資本主義を否定する。社会の分断が深まるなか、自由主義の盟主アメリカはどこへ行くのか。草の根のリアルな動向を現地から報告。
  • 発想法 改版 創造性開発のために
    3.6
    ここで語られる「発想法」つまりアイディアを創りだす方法は、発想法一般ではなく、著者が長年野外研究をつづけた体験から編みだした独創的なものだ。「データそれ自体に語らしめつつそれをどうして啓発的にまとめたらよいか」という願いから、KJ法が考案された。ブレーン・ストーミング法に似ながら、問題提起→記録→分類→統合にいたる実技とその効用をのべる本書は、会議に調査に勉強に、新しい着想をもたらす。
  • 母と子のマレーシア通信 娘のホームステイ体験から
    3.0
    マレーシアの首都クアラルンプールに在住する華人の家族と暮らし、現地のマレー系女子高校に通った娘と、心配しつつ遠くから見守った母親との交信の記録である。異国での体験や悩みを逐次手紙で送りつづけるように約束させられた娘と、それに応える母との間には、文章を通して互いの感情が論理化され、ともに成長していく様子が描き出される。と同時に、ホームステイ先の家族とのかかわり合いについて、貴重な示唆を与えてくれる。

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  • 原敬 「平民宰相」の虚像と実像
    4.2
    初の「平民」首相として、本格的政党内閣を率いた原敬。戊辰戦争で敗れた盛岡藩出身の原は苦学を重ね、新聞記者を経て外務省入省、次官まで栄進する。その後、伊藤博文の政友会に参加、政治家の道を歩む。大正政変、米騒動など民意高揚の中、閣僚を経て党の看板として藩閥と時に敵対、時に妥協し改革を主導。首相就任後、未来を見据えた改革途上で凶刃に倒れた。独裁的、権威的と評されるリアリスト原の軌跡とその真意を描く。
  • ハワイの歴史と文化 悲劇と誇りのモザイクの中で
    3.7
    ハワイ――世界中の観光客を魅了する太平洋の美しい島々。十八世紀以来、欧米、そしてアジア諸国から多くの移民が来島し、定着・活動してきた。しかし、異人種、異文化との接触が、ネイティヴ・ハワイアンに苛酷な歴史を強いてきたことも忘れてはならない。本書は、日本との交流に光をあてながら、楽園イメージの奥に横たわる、もう一つの現実を浮かび上がらせ、ハワイ文化の力強い流れを描き出すものである。
  • 藩とは何か 「江戸の泰平」はいかに誕生したか
    3.9
    戦乱の世から泰平の世へ。16世紀後半から17世紀前半にかけて、日本社会は激変した。徳川家康が開いた江戸幕府による藩の創出こそが、戦国時代以来の戦乱で荒廃した地域社会を復興させたためである。地方の王者たる戦国大名が、いかにして「国家の官僚」たる藩主へと変貌したのか。本書は家康の参謀・藤堂高虎が辣腕を振るった幕藩国家の誕生過程をたどり、江戸時代の平和の基盤となった藩の歴史的意義を明らかにする。
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者
    4.1
    『全体主義の起原』『人間の条件』などで知られる政治哲学者ハンナ・アーレント(一九〇六―七五)。未曽有の破局の世紀を生き抜いた彼女は、全体主義と対決し、「悪の陳腐さ」を問い、公共性を求めつづけた。ユダヤ人としての出自、ハイデガーとの出会いとヤスパースによる薫陶、ナチ台頭後の亡命生活、アイヒマン論争――。幾多のドラマに彩られた生涯と、強靭でラディカルな思考の軌跡を、繊細な筆致によって克明に描き出す。
  • バイオポリティクス 人体を管理するとはどういうことか
    3.6
    人の命はいつはじまるのか--この問いがアメリカで大統領選挙の争点となり、ヨーロッパで法制化が急がれる原因となっているのはなぜか。臓器移植や人体商品の売買が南北問題を激化させ、韓国で起きた科学史上稀に見るスキャンダルも、そうした動きの一例として位置づけられる。今や生命倫理は政治問題となったのだ。生命めぐる急速な技術革新と人類の共通感情との間にあるギャップを埋めるために必要な視座を提示する。
  • 幕府海軍 ペリー来航から五稜郭まで
    3.6
    ペリー来航などの「西洋の衝撃」を受け、1855年に創設された幕府海軍。長崎海軍伝習、勝海舟らによる咸臨丸の太平洋横断航海、幕長戦争などを経て近代海軍として成長してゆく。鳥羽・伏見の戦いにより徳川政権は瓦解し、五稜郭で抵抗を続けた榎本武揚らも敗れて歴史的役割を終えるが、人材や構想などの遺産は明治海軍へと引き継がれた。歴史研究者・現役海上自衛官の二つの顔を持つ筆者が、歴史と軍事の両面から描く。
  • 幕末維新と佐賀藩 日本西洋化の原点
    4.0
    明治維新の原動力となった「薩長土肥」の雄藩だが、肥前=佐賀藩の影は薄い。しかし西洋の先進技術を最も蓄積した佐賀藩は、英明な藩主・鍋島閑叟のもと鉄製大砲を製造。幕末期、技術力で幕府や他藩を圧倒し、閑叟は新政府のトップに躍り出る。また開明的な藩士が多数輩出し、江藤新平は教育・司法に「西洋丸写し」とまで称される大胆な制度を導入する。佐賀の乱以降、薩長政権下、活躍が軽視された同藩の真の価値を描く。
  • 幕末維新の城 権威の象徴か、実戦の要塞か
    4.0
    長い眠りについていた城郭が、ふたたび戦場となる時が来た。外国船からの防備のために五稜郭や品川台場など、西洋式の要塞が建造される。幕長戦争から戊辰戦争にかけては、小倉城や姫路城、そして会津若松城などが砲火に晒された。さらに維新後は士族の反乱や廃城令により、萩城、熊本城などが失われてゆく。全国約40の城郭と要塞が辿った運命を描き、日本人にとって「城とは何か」を考察する。古写真多数掲載。
  • 幕末武士の失業と再就職
    3.0
    騒動は、安政二年六月の夏にはじまった。田辺に居住する紀州藩横須賀組一統に対し、紀州家から支藩安藤家への支配替の通達が届けられた。横須賀組二十二家はこれを拒み、家康以来の徳川直臣の家柄である証拠書類をもって安藤策と執拗に通達撤回の運動を行なうが、決裂、整然と田辺を退散して浪人となる。しかし、六年余の浪々の後、一統は復帰運動を展開する。本書は、団結して復帰成功に至る横須賀組の動向と、幕末武士社会を描く。

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  • 幕末歴史散歩 東京篇
    4.0
    東京は、幕末史のテーマパークだ。道端や空き地にも、ときには堂々と、ときにはひっそりと過去のドラマが息づいている。桜田門、坂下門など頻発するテロの現場、新選組のふるさと、彰義隊の落武者にまつわる怪談……。本書はペリー来航から西南戦争までの四半世紀に繰り広げられた有名無名のさまざまな事件の跡をたどる、「足で読む幕末通史」である。巻末に幕末維新関係者千名の詳細な墓地所在地リストを付す。
  • 芭蕉 「かるみ」の境地へ
    3.0
    古典文学の名作に数えられている『おくのほそ道』だが、芭蕉にとって紀行文を書くことは趣味であり、修練の一つであったにすぎない。芭蕉は、「俗」を対象とする俳諧を、和歌や連歌と同等の文学に高めることに苦心したが、生前それが叶うことはなかった。本書は俳諧師の名乗りをあげた『貝おほひ』以降の作品を丹念に読みながらその足跡を追い、「俳聖」としてではなく、江戸を生きた一人の人間としての実像を描く。
  • 馬賊 日中戦争史の側面
    3.7
    はてしない満蒙の曠野を百騎、二百騎と群れなして疾駆する馬賊たち。「大陸雄飛」を夢みた日本の青年たちも、その群れに身を投じた。やがて、日中戦争における日本軍の「討匪行」は、日中両民族間の悲劇をさらにふかめる。現地生活二十五年の著者が、その生々しい体験をもとにして描いた、中国民衆の「武装集団」の凄絶な苦闘、劇的な盛衰の過程を顧みることなくして、今日の中国の歴史的意味を問うことはできない。
  • バチカン近現代史 ローマ教皇たちの「近代」との格闘
    3.8
    フランス革命以降、「政教分離」を推進する近代国家の登場で、ローマ教皇は領土や権威を失っていく。20世紀に入り、教皇はイタリア政治に介入し続け、ムッソリーニの思惑もあり、バチカン市国が成立する。その後バチカンは、「反宗教」の共産主義を常に敵視。ナチスに秋波を送り、戦後は米国に接近、「人権外交」を繰り広げ、それは「東欧革命」に繋がった。本書は、カトリック総本山バチカンの生き残りを賭けた200年を描く。
  • バルセロナ 地中海都市の歴史と文化
    3.8
    ガウディ、ピカソ、カザルスら多くの芸術家を育んだバルセロナ。地中海貿易で繁栄したこの都市は、一六世紀以降、マドリッドの中央政府から抑圧を受ける。だが一九世紀、産業が発展、セルダによる大胆な都市計画のもと独自の文化が開花し、カタルニアの中心地として独立を志向していく。本書は、スペイン国家の中で、王制、内戦、フランコ独裁を経ながら、芸術・文化・スポーツを育み、新しい「かたち」を模索する都市を描く。
  • バルチック艦隊 日本海海戦までの航跡
    3.3
    内陸の帝国ロシアはバルト海のムルマンスク以外軍港に恵まれなかった。しかも極北の不凍港へは長い鉄道が必要だった。帝国はバルチック艦隊創設とともにシベリア政略を推進、極東への展開を目論むが新興海軍国日本との争いになる。日露戦争である。要衝旅順を確保すべくバルチック艦隊は長い遠征の末、待ち構えていた日本海軍と激突し潰滅する。だがこの日本海海戦は、その後の日本海軍に虚構に満ちた海戦伝説を生むことになる。
  • バルトーク 民謡を「発見」した辺境の作曲家
    3.8
    二十世紀最大の作曲家の一人、バルトーク・ベーラ(一八八一-一九四五)は、ハンガリーをはじめとする各地の民俗音楽の収集でも名高い。しかしその活動は、ともすれば作曲の余技や下準備のように思われてきた。本書は、ハンガリーが戦後の政治的混乱を脱して、ようやく明らかになり始めたバルトークの思索と行動を辿りながら、ヨーロッパの周縁文化の中で、彼がもうひとつのライフワークとして心血を注いだ民俗音楽研究を再評価する。
  • バレエの世界史 美を追求する舞踊の600年
    4.2
    バレエはルネサンス期イタリアで誕生し、今なお進化を続けるダンスの一種だ。当初、王侯貴族が自ら踊り楽しんだが、舞台芸術へと転換。観客も貴族からブルジョワジー、市民へと拡大する。十九世紀の西欧とロシアで成熟し、世界へ広がった。ダ・ヴィンチ制作の舞台装置、ルイ十四世が舞った「太陽」役、チャイコフスキーの三大バレエ、シャネルやピカソが参加したバレエ・リュス、そして日本へ――六百年の歴史を通観する。
  • バロック美術 西洋文化の爛熟
    3.0
    西洋文化の頂点、バロック様式。17世紀を中心に花開いたバロックの建築・彫刻・絵画は、ルネサンス期の端正で調和のとれた古典主義に対し、豪華絢爛で躍動感あふれる表現を特徴とする。本書は、カラヴァッジョ、ルーベンス、ベルニーニ、ベラスケス、レンブラント、フェルメールらの代表的名作を網羅。美術史上の位置づけ、聖俗の権力がせめぎ合う時代背景など、バロック美術の本質を読み解く。カラー写真200点以上。
  • バーのある人生
    4.1
    バーの重い扉の向こうには、非日常の空間が待っている。そこは、酒だけを売っている場所ではない。客のひとりひとりが、バーテンダーと対面し、一期一会の時間を購い、空間に戯れる町の“秘境”である。そこには、シキタリもあれば、オキテもある。しかしそれらは、居心地をよくするものでこそあれ、がんじがらめの規則ではない。これから出かける人の背中をそっと押し、行き慣れた人をさらなる一軒へ向かわせる、体験的バー案内。

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  • パスカルの隠し絵 実験記述にひそむ謎
    -
    「人間は考える葦である」という言葉で有名な『パンセ』の作者パスカルは、天才的数学者、厳密な実験物理学者としても知られている。とりわけ十七世紀までヨーロッパ自然学の大前提であった〈真空不可能〉説を打ち破る大実験を行い、揺るぎない理論を提出したことで名高い。しかしそこには、謎めいた印象が否めない。パスカルは本当に実験したのか。彼の物理論文には、『パンセ』と同じ文学作品としての仕掛けを読み取るべきではないか。

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  • パリのグランド・デザイン ルイ十四世が創った世界都市
    4.0
    フランスが世界に誇る「花の都」パリ、そしてヴェルサイユ宮殿。これらを形作ったのは、ルイ十四世の治世に花開いた「グランド・デザイン」の思想だった。当時のフランスは、世界を席巻していたバロックに背を向け、徹底した計画志向の下でニュータウンを建設し、パリの街並みを整備し、ついにはヴェルサイユ宮殿を造営した。駆け引きに満ちた宮廷政治と、個性豊かな建築家たちの物語を通して、近代都市の源流に迫る。
  • パレスチナ―聖地の紛争
    4.2
    パレスチナ紛争は、ユダヤ人国家の建国と占領に端を発し、中東地域と国際関係を不安定化する危険な要因だ。その歴史的背景に加え、超大国アメリカとイスラエルの結びつきによって特異な性格を持った紛争は、自爆テロと軍事侵攻の応酬で多大な犠牲を出し続け、今も混迷は続いている。両者の思惑がぶつかりあう中東和平交渉、それぞれの和平派と反和平派の苛烈な権力闘争を追い、紛争の実像に迫る。
  • 東アジアの論理 日中韓の歴史から読み解く
    3.5
    強権的な姿勢を強める習近平政権、慰安婦問題や徴用工判決で悪化する日韓関係……。中国や韓国は同じ「漢字・儒教文化圏」に属すと言われるが、日本人にはわからないことだらけだ。日本には日本の立場がある一方、両国にもそれぞれ固有の思考・論法があり、それを理解するには歴史をひもとくのが最善である。本書は、近年の時事的な話題を切り口に、歴史的アプローチから日本・中国・韓国の違いを知るためのヒントを示す。
  • 火付盗賊改 鬼と呼ばれた江戸の「特別捜査官」
    4.0
    江戸の放火犯・盗賊・博徒を取り締まった火付盗賊改。時代小説では颯爽たるイメージだが、江戸庶民の評判は必ずしも芳しくなかった。不透明な捜査手法、苛酷な取調べには幕閣も眉をひそめた。捕物名人と呼ばれて人気を博し、無宿人対策の人足寄場創設に尽力した長谷川平蔵などは例外的であった。当時の随筆や世相風聞録をも博捜し、時の権力者や大盗賊たちとの関わりも絡め、功罪相半ばした火付盗賊改の活動の実態に迫る。
  • 秀吉と海賊大名 海から見た戦国終焉
    3.8
    信長・秀吉・家康が天下統一をめざした時、鍵となった地域が瀬戸内である。とくに伊予(現在の愛媛県)は中国・四国・九州を結ぶ「かなめ所」(秀吉の朱印状より)であった。瀬戸内海で活躍した村上氏・来島氏ら海賊衆と彼らを束ねた河野氏・毛利氏ら「海賊大名」は、秀吉など東国勢力との衝突を余儀なくされる。信長が始め、秀吉・家康が引き継いだ「革命」は、地方の人々をいかに翻弄したか。愛媛出版文化賞第1部門受賞。
  • ヒト―異端のサルの1億年
    3.5
    1巻1,012円 (税込)
    1億年前、インドとマダガスカルからなるレムリア大陸で霊長類は産声を上げた。2000万年前には東南アジアの失われた大陸スンダランドで類人猿が進化し、アフリカに到達したその仲間からヒトが生まれる。華奢な骨格と裸の皮膚、巨大脳をもつ、異端なサル=現代人は、いつ、どこで生まれたのか。そして日本人の祖先はどこからやってきて、どこに行こうとしているのか。サルから日本人へのはるかな足跡を追う。
  • 人はなぜ集団になると怠けるのか 「社会的手抜き」の心理学
    3.3
    人は集団で仕事をする。しかし集団になると人は怠け、単独で作業を行うよりも一人当たりの努力の量が低下する。これを「社会的手抜き」という。例えば非効率な会議や授業中の問題行動、選挙の低投票率、スポーツの八百長などは「社会的手抜き」の典型である。本書では、このような「手抜き」のメカニズムを、多様な心理学的実験の結果から明らかにしていく。その防止策とは、はたまた功罪とは。リーダー・企業人必読書。
  • ヒトラーに抵抗した人々 反ナチ市民の勇気とは何か
    4.1
    「いつでも人には親切にしなさい。助けたり与えたりする必要のある人たちにそうすることが、人生でいちばん大事なことです。だんだん自分が強くなり、楽しいこともどんどん増えてきて、いっぱい勉強するようになると、それだけ人びとを助けることができるようになるのです。これから頑張ってね、さようなら。お父さんより」(反ナチ市民グループ《クライザウ・サークル》のメンバーが処刑前に十一歳の娘に宛てた手紙)
  • ヒトラーの脱走兵 裏切りか抵抗か、ドイツ最後のタブー
    4.4
    ナチス・ドイツ国防軍の脱走兵は、捕らえられて死刑判決を受けた者だけでも3万人以上と、英米に比べて際だって多い。その多くは戦闘中の逃亡ではない。民族殲滅に加担したくないという、生命をかけた抵抗であった。戦後、生き延びた脱走兵たちは久しく卑怯者と罵られ、存在までも否定されつづけるが、ついに軍法会議の不当な実態を暴き、名誉回復をなし遂げる。最後の脱走兵の生涯を通じて、人間の勇気と尊厳を見つめる。
  • ヒトラーの震え 毛沢東の摺り足 神経内科からみた20世紀
    4.0
    二〇世紀は戦争の世紀であり、一国の命運はしばしば独裁者の手に委ねられた。だが独裁者の多くが晩年「神経の病」に冒されて指導力を発揮できず、国民を絶望的状況へ導いたことはあまり知られていない。彼らを襲った疾患とはいかなるものだったのか。政治的指導者から作曲家、大リーガーまで、多彩な著名人を取り上げ、貴重な映像と信頼に足る文献をもとにその病状を診断する。神経内科の専門医がエピソード豊かに綴る二〇世紀史話。

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