作品一覧 2022/06/24更新 コミュニティ鉄道論 試し読み フォロー 新幹線の歴史 政治と経営のダイナミズム 試し読み フォロー JR九州の光と影 日本のローカル線は再生できるのか 試し読み フォロー JR北海道の危機 日本からローカル線が消える日 試し読み フォロー 図解入門業界研究 最新 鉄道業界の動向とカラクリがよーくわかる本[第3版] 試し読み フォロー 通勤電車のはなし 東京・大阪、快適通勤のために 試し読み フォロー 鉄道会社の経営 ローカル線からエキナカまで 試し読み フォロー 鉄道会社はどう生き残るか 試し読み フォロー 鉄道時代の経済学 : 交通政策の始まり 試し読み フォロー 鉄道と政治 政友会、自民党の利益誘導から地方の自立へ 試し読み フォロー 1~10件目 / 10件<<<1・・・・・・・・・>>> 佐藤信之の作品をすべて見る
ユーザーレビュー 通勤電車のはなし 東京・大阪、快適通勤のために 佐藤信之 東京圏と大阪圏の鉄道の話。鉄道について、その究極の輸送力を発揮すべき通勤時の鉄道輸送力の推移をはじめ、人口動態や自動車など他の交通手段との比較等、深い科学的研究・分析がなされている。路線延伸や車両開発の歴史にも詳しい。今後将来に向けての問題点、解決案、展望等も参考になった。 「東京の西側郊外に開発...続きを読むされた田園都市は、最初は分譲地の販売は不調であったが、関東大震災の後は、日本橋あたりの裕福な商家の人たちが競って購入するようになり、住まいは山手、職場は都心と職住分離したことで、毎日通勤する人々が生まれるようになった」p6 「通勤定期旅客が通勤によって失われた付加価値の1年間の総額は、6兆7000億円ということになる。なお、これは通勤時間を余暇に使うならばという数字である」p8 「ラッシュ時の運転本数が一番多いのは、東京の地下鉄丸ノ内線で、1分50秒間隔で1時間に32本である。JRで一番運転本数が多いのは、東京の中央線の2分間隔である」p20 「運転間隔は、駅間の運転条件と停車時間で決まる。駅間の運転条件では、前方の赤信号までに安全に停車できることが条件となる。電車が完全に停車できる距離は、通常は600mで停車できることが求められているので、衝撃なく安全に停車するには46秒かかる。少なくともこの秒数は前の電車との間隔を保つ必要がある。これに駅での停車時間を1分として、約1分45秒間隔とすると、1時間に32本までの運転は可能であると計算できる」p20 「地下鉄が急速に路線網を広げる中で、都心部では駅構内の水平・垂直と長い距離の(徒歩)移動を強いられるケースが見られるようになった。大手町駅は、東京メトロの千代田線、東西線、丸ノ内線、半蔵門線、都営三田線の5路線が複雑に交差している。千代田線の北側の出口から、東西線の東側の出口まで徒歩の行程で400mあまりの距離がある。ゆっくり歩いて10分はかかる。この距離には、かつて都電の時代には、神田橋、大手町、丸の内一丁目の3つの電停があった。都心部では電停の停留所の間隔はおおむね200mで、きめ細かいサービスを提供していた」p40 「都電代替バスは、合理化や地下鉄の開業によって廃止されたものも多い。もともと、都電の廃止は、交通局の経営問題から、起債の条件として自治省から求められたものであり、廃止が惜しまれる路線も多い」p42 「(上野東京ライン)この直通化の工事のために、東京駅を発着するブルートレインと呼ばれる客車の夜行特急・急行がすべて廃止された。客車列車は、品川の車両基地から東京駅まで機関車に牽引されて回送されてくるが、東京駅では機関車の付け替え作業が必要である。そのために回送列車を牽引した機関車は別の線路を使って下り先頭位置に転線することが必要である。その間、2つのホームがつぶれることになる。そのため、ホームが不足するようになると、いったん秋葉原側の引き上げ線に列車を逃し、1本前の回送列車を牽引してきた機関車を下りの先頭に連結して、発車ホームに据え付けるという手順をとっていた。この引き上げ線が現在の上野東京ラインの本線となるため、工事が始まると使えなくなった。そこで、機関車の付け替えの必要のない電車寝台の特急「サンライズ出雲」「サンライズ瀬戸」だけを残して廃止されてしまった」p44 「ホームの数が限られるという条件の下で運転本数を増やそうとすると折り返し電車をやめてスルーさせるのが賢い方法であるが、中距離電車の長距離運用が増えたことで、他線区の事故・故障による影響をもろにかぶることになった」p45 「京王は、もともと新宿駅東側の新宿三丁目から出ていたが、戦時中電力供給が不安定で国鉄線を乗り越える甲州街道の跨線橋の坂を登れなくなったため、新宿西口に駅を移した」p46 「東京では、昭和13年の陸上交通事業調整法に基づく交通調整により、近郊私鉄は山手線上をターミナルとし、その内側への乗り入れは認められなかった。戦前に開業した銀座線に続き、戦後、丸ノ内線の建設が始まるが、これも山手線の内側に収まっている。近郊私鉄のターミナルと都心を結ぶ役割を担い、近郊私鉄とは競合せず(大阪との違い)、むしろ補完する位置づけであった」p74 「東京では、列車種別が単純化しているうえに、複々線化されている線区も線路別の複々線であるために、同じホームの対面での乗り換えができない。緩急接続が機能しているのは、特別快速と快速が同じ線路を走っている中央線ぐらいである。その点では、大阪のJRの電車の方が利便性が高いといえる」p92 「なんば線の急行から降りた客は、2番線に停車中の梅田行きの車内を通り抜けて、垂直移動なしに1番線の梅田行き急行に乗り換えることができる」p94 「かつては、定員の3倍を超す「殺人的ラッシュ」という表現がついたひどい状況であった」p103 「大阪市の人口は、大阪万博が開かれた昭和45年には298万人あったが、40年経った平成22年には1割減少して266万人となった。よく横浜市と比較されることが多いが、横浜市の人口は、昭和45年の223万人から平成22年368万人へと、65%の増加を見た」p143 「大阪では、近郊私鉄はもともと軌道法に準拠し、使用電圧も600Vと、国電や東京の私鉄の多くが1500Vであったのに比べて低い電圧を使用していた。電圧が低いと、同じ馬力を出そうとすると多くの電流が必要となるので変電所や送電設備の負荷が大きくなる。編成両数を増やすことも難しかった。そこで、大阪の私鉄では、編成両数の増加よりも運行本数の増加で対応していた」p198 Posted by ブクログ 鉄道と政治 政友会、自民党の利益誘導から地方の自立へ 佐藤信之 我田引鉄と揶揄されるように鉄道は政治と結びつきやすい。そんな両者の歴史と近年の現況を概観した一冊。 政治家が地元に鉄道を引くのは明治から昭和にかけての定番。都市伝説も含め多くの逸話がある。 しかし、前提となる「鉄道=地域の発展」という発想が近年は崩れているという。長崎新幹線の通る佐賀県、中央リニ...続きを読むア新幹線の通る静岡県から見ればタダの迷惑施設となっている。一方では富山県内や宇都宮市のLRT整備のような新たな公共交通のカタチも見え始めている。 本書はそんな政治と鉄道の関係を明治から現代まで概観した一冊。国と地方の関係の変化や小選挙区制制などによる政治家の小物化(ビジョン提示から御用聞き、大衆迎合)など政治から見た視点が多い。 鉄道マニア向けというより地方自治の教科書的な内容。 Posted by ブクログ 鉄道会社の経営 ローカル線からエキナカまで 佐藤信之 沿線の都市開発、観光地と直結した導線による攻めの経営と 生活の足でありインフラとしての維持が求められる守りの経営。 ここ数年はJR北海道での路線廃止が度々ニュースとなっているが 歴史を紐解いてみるとかなり多くの鉄道が消えていったということに気付かされる。 民営化による利点(サービス品質向上など)と公...続きを読む共性の両立をなんとか模索できないものか。なんとも考えさせられる。 Posted by ブクログ 鉄道会社の経営 ローカル線からエキナカまで 佐藤信之 大学講師が、鉄道会社について書いた本。たぶん鉄道マニアであろう著者が、鉄道を経営する会社に焦点を当て、鉄道事業、観光事業、地域開発、小売り事業などの切り口からその経営について分析している。データが豊富で歴史的考察も深く学術的によくまとめられていると思う。東京地下鉄をはじめとする首都圏交通網の開発経緯...続きを読むも詳しく書かれており、とても興味深く読んだ。写真もいい。 「JR東日本:新幹線の路線1134.7km(15.1%)収入4920億円(29.3%)。首都圏在来線2536.2km(33.8%)収入1兆1170億円(66.4%)。残りの在来線3841.7km(51.1%)収入723億円(4.3%)。JR東日本が運行する路線網の半分は、会社全体の営業収益にほとんど貢献していない」p31 「日本の都市鉄道も、建設時期が新しい場合には、建設費用の返済に追われるため、資本費が経営を圧迫している。都市鉄道の多くの路線が建設費用を回収し終わり、いまや果実を収穫する時期に入っているために、良い経営成績を出しているということができる」p40 「東京の地下鉄網の路線長は、305kmである。世界ランキングでは、北京、上海が1位、2位で、その路線長はそれぞれ442km、423km。続いて百年以上の歴史を持つロンドンとニューヨークが402kmと368kmである。さらにソウルの327km、モスクワ309kmにも抜かれて、東京の地下鉄網は世界7位ということになる」p46 「日本の鉄道営業キロは、2007年において2万4000kmである。この数字は、イギリス・イタリアの1万6000kmより大きいが、ドイツの3万3000km、フランスの2万9000kmより小さい。アメリカ合衆国は22万6000kmに達する。近年躍進著しい中国とインドがいずれも6万3000kmで並んでいる」p50 「日本の旅客輸送の分担率は、旅客人キロで28.6%(2009)。イギリスの8%、フランスの11%、ドイツの7%を大きく上回る。日本が鉄道大国と呼ばれる1つの理由である。アメリカの旅客輸送分担率は1%である」p51 「日本では、これからも市民の鉄道への依存傾向が続くだろう。特に、東京は都市鉄道のネットワークが充実しているゆえに人口が増えてきたという要素が大きい。私鉄のターミナルが山手線上に揃っているのもわかりやすい。ターミナル駅から都心への地下鉄ルートが充実しており、郊外路線と地下鉄が相互直通を行っているのも便利である」p63 「東京の場合は、山手線の内側が聖域となっていて地下鉄か東京市の路面電車しか作れなかった」p105 「富山県に黒部峡谷鉄道というトロッコ列車が走っている」p177 「旅行で鉄道を使う大きな理由は、気の合ったグループで、車内で飲み食いしながら歓談することにある。そうすると、行き着くところは、列車の食堂化である」p202 「現在、阪急阪神ホールディングスの連結売上高はおよそ7000億円である。このうち鉄道は1200億円である。鉄道事業本体の売上げよりも、それ以外の事業売上げの方がはるかに大きいのである」p213 「(今後の渋谷駅)いま東急会館の3階に入っている地下鉄銀座線の駅部が東口広場に移動する。東横線の駅施設とそれにつながる高架線が撤去され、山手線ホームから南に大きく離れている埼京線のホームが山手線の並びに移される」p248 「この地区の最大の特徴は、現在はコンクリートで固められて「どぶ川」として無残なすがたをさらしている渋谷川について、清流を復活させ、川沿いの緑の遊歩道、にぎわいの広場を整備する計画である」p250 「JR東日本の小売り事業は、営業収益6431億円、営業利益1056億円(2013年3月期)。これを大手小売業と比べると、イオンの2013年2月期決算が営業収益5兆6853億円、営業利益1909億円、セブンアンドアイホールディングスが4兆9916億円、営業利益2956億円である。大雑把に売上高営業利益率を計算すると、イオンが3.3%、セブンアンドアイホールディングスは5.9%である。これに対してJR東日本は16.4%に達する。これは、駅という恵まれた出店環境にあるのに加えて、自社排他的に利用できるスペースであり、グループ外企業との直接競争がないこと、また、最近のエキナカ商業施設のようにJRグループ会社が売場を直営していることも利益率を高めている背景にあるのではないかと推測する」p254 「かつて、駅ビルは、いわば不動産賃貸業である。国鉄と民間が共同出資で建設した建物は、出店を希望する店舗にスペースを賃貸した」p255 「かつては、駅に降りた人たちは駅前の商店街に立ち寄って買い物をしていた。また、駅前の飲食店で食事をとった。それがすべて駅構内に吸い上げられたのである。これにより壊滅的なダメージと受けた駅前商店街も多い」p255 Posted by ブクログ 鉄道と政治 政友会、自民党の利益誘導から地方の自立へ 佐藤信之 ●は引用、その他は感想 題名は「鉄道と政治」だが、内容は政治が主で鉄道を含む交通政策の歴史が従。一般的な我田引鉄も述べられているが分量的にはかなり少ない。 ●道路整備と空港整備には特別会計が設置され、いずれも中期整備計画を立てて計画的に整備が進められた。それに対して鉄道は、特別会計も国の整備計画...続きを読むも存在しなかった。鉄道の整備は、国鉄による長期投資計画による新線建設や改良があったが、これは国鉄という一企業の内部の投資計画であった。私鉄についても同様で、各社が個別に設備投資計画を策定し、それを集計する形で民営鉄道協会が中期計画を公表した。 Posted by ブクログ 佐藤信之のレビューをもっと見る