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通貨が経済に与える影響は甚大だ。国家の財政、内外の金融、企業業績、そして人々の生活さえも為替の動向と無縁ではない。世界金融危機以後、不安定さを増した金融システムと経済の動きを精緻に検証し、ドル覇権の行方、ユーロ圏の諸問題、人民元や円の未来を見極める。複雑に絡み合う"通貨""実体経済""財政金融政策"の三つ巴を歴史を踏まえて読みほどき、世界経済の持続的成長のためにいま何をなすべきか考える。
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Posted by ブクログ
ブレトン=ウッズ体制の終焉から2008年のアメリカ発の金融危機、そしてユーロ危機に至る通貨の歴史を、世界の主要通貨である米ドル、ユーロ、人民元、円を中心に記述した本。これを読めば、いま世界経済で起きている様々な出来事が歴史と有機的に結びつけて理解することができ、視野が拡がる。非常に中身が充実しており...続きを読む、一読しただけで全て知識として定着させることはできなかったので、折に触れて本書を再読したい。
非常に秀逸。近代の経済の流れや各研究が非常に高い精度でまとめられており、辞書的な利用も可能。特に最終章の国際通貨体制に関する記述は、他ではなかなか目にすることができない。 但し高品質かつ高密度のため読み込むには相応の体力が必要か。
主だった地域(通貨)毎に経済の流れと通貨の関係がわかりやすく書かれている。ここ数十年の経済動向と通貨政策について頭を整理するのに非常に良い。歴史を振り返ると、ツールであるはずの通貨に世の中が振り回されていることが良くわかる。
『通貨で読み解く世界経済―ドル、ユーロ、人民元、そして円』(小林正宏、中林伸一、2010年、中公新書) 本書は、円、ドル、ユーロ、人民元といった主要国の通貨について、国際経済の潮流を踏まえながら解説したものである。それぞれの通貨はつながっているから(たとえば円高になればすなわちドル安)、相互の関連...続きを読むがわかっておもしろい。加えて、2010年現在の世界経済の時事ネタも豊富で本当に勉強になる。ただ、国際経済、国際金融の専門用語(たとえば、クレジット・デフォルト・スワップとか、インフレ・ターゲットというようにカタカナのものが多い)がたくさん出てきて、しかも解説があまりないという構成になっている。そのため、初学者は他の国際経済の入門書を読んでから本書を読むか、あるいはそのつどでてきた専門用語を調べながら本書を読み進めるという方法をとるのがよい。後者がおすすめである。 (2010年9月19日 大学院生)
「資金の自由な移動」「為替の安定」「国内金融政策の自由度確保」の三つを同時に満たすことは困難であることを、国際金融のトリレンマと言うらしい。ユーロ統合とギリシャ破綻を見るとよく分かる。本書では、従来個別に議論されてきた国際金融と国内経済を、地域通貨(ドル・ユーロ・円・元)別に、課題と見通しも含めた俯...続きを読む瞰的解説を行っている。経済に関わるすべてのひとは、読んで損のない1冊だと思う。
通貨に焦点を当て世界経済について書かれたもの。基軸通貨とは何か、ドルがいかにして基軸通貨として国際金融で支配的地位を得るに至ったのか、そして、ユーロ、円、人民元が国際通貨として、将来、部分的にでも基軸通貨としての機能を分担することはありうるのか、などについて分析している。内容がやや難しく、十分に理解...続きを読むできない箇所があった。印象的な箇所を記す。 「アメリカが経常収支の赤字を縮小するということは、世界が依存してきたアメリカの個人消費が減少することを意味する。それを埋めるためには、日本や中国が内需を拡大するしかない。日本は、少子高齢化の進展から、ますます安定志向になり、個人金融資産が銀行預金として固定化してしまっている。資金の退蔵をいかに回避して、お金が回る仕組みを再構築するかが課題である。世界が経済を閉鎖させる方向に動くと、それは世界貿易の縮小を招き、望ましい国際分業が阻害されて、資源の適正な配分を歪めてしまう」
金融・経済史に疎い私にとっては非常に「お勉強」になりました。 書かれていることは「筆者個人の見解」としつこいくらい断られていますが、あまりバイアスのない見解なのではないかと感じました。 そう、極めて「教科書的」のため「お勉強」になります。 ※他の方がレビューに書かれているとおり「通貨はその国の総合...続きを読む力を表す」という表現には首を捻りましたが、「総合力」とは「国力」をさらにぼかした表現だなーと思いました。 おそらくGDPのような定量的材料ではなく政策運営とか定性的材料も含めているのかと。
通貨を軸にして主要国のパワーバランスを解説。特に元のスタンスがよくわからなかったので、この本のおかげで多少スッキリした。しかし、全ての主要通貨国でのカントリーリスクがこれまでになく高まっている。これからいったいどこへ向かうのか。突然、大きな動きがありそうな予感もする。
グローバル経済のさまざまな動きを通貨、金融政策、実体経済の各側面から分析している。新書ではあるが、物事を分かりやすく伝えるというよりも、非常に細かく分析している、専門書的な本。
世界経済やドル、ユーロ、円、元の概観や見通しがある程度わかるが、最後の章で財政再建の記述に誤りはあるし、通貨がその国の国力を反映するとか素人みたいな考えが書いてあったから一気にこの本の評価は下がった。
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通貨で読み解く世界経済 ドル、ユーロ、人民元、そして円
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小林正宏
中林伸一
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