【感想・ネタバレ】通貨で読み解く世界経済 ドル、ユーロ、人民元、そして円のレビュー

あらすじ

通貨が経済に与える影響は甚大だ。国家の財政、内外の金融、企業業績、そして人々の生活さえも為替の動向と無縁ではない。世界金融危機以後、不安定さを増した金融システムと経済の動きを精緻に検証し、ドル覇権の行方、ユーロ圏の諸問題、人民元や円の未来を見極める。複雑に絡み合う"通貨""実体経済""財政金融政策"の三つ巴を歴史を踏まえて読みほどき、世界経済の持続的成長のためにいま何をなすべきか考える。

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Posted by ブクログ

ブレトン=ウッズ体制の終焉から2008年のアメリカ発の金融危機、そしてユーロ危機に至る通貨の歴史を、世界の主要通貨である米ドル、ユーロ、人民元、円を中心に記述した本。これを読めば、いま世界経済で起きている様々な出来事が歴史と有機的に結びつけて理解することができ、視野が拡がる。非常に中身が充実しており、一読しただけで全て知識として定着させることはできなかったので、折に触れて本書を再読したい。

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2011年12月30日

Posted by ブクログ

非常に秀逸。近代の経済の流れや各研究が非常に高い精度でまとめられており、辞書的な利用も可能。特に最終章の国際通貨体制に関する記述は、他ではなかなか目にすることができない。
但し高品質かつ高密度のため読み込むには相応の体力が必要か。

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2011年07月26日

Posted by ブクログ

主だった地域(通貨)毎に経済の流れと通貨の関係がわかりやすく書かれている。ここ数十年の経済動向と通貨政策について頭を整理するのに非常に良い。歴史を振り返ると、ツールであるはずの通貨に世の中が振り回されていることが良くわかる。

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2012年02月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

私は金融の知識はなく、初級レベルのマクロ経済学の知識しか持っていないが、一気に読み切ることができた。
マクロ経済学に興味のある学生には面白いと思う。

キーワードは2つ。
「国際金融のトリレンマ」 
(資金の自由な移動、国内金融政策の自由度確保、為替の安定の3つを両立させることはできない)
「トリフィンのジレンマ」
(基軸通貨の流通量が拡大すると基軸通貨国の国際収支赤字が拡大し、基軸通貨の信認を保つことができない)

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2011年03月09日

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『通貨で読み解く世界経済―ドル、ユーロ、人民元、そして円』(小林正宏、中林伸一、2010年、中公新書)

本書は、円、ドル、ユーロ、人民元といった主要国の通貨について、国際経済の潮流を踏まえながら解説したものである。それぞれの通貨はつながっているから(たとえば円高になればすなわちドル安)、相互の関連がわかっておもしろい。加えて、2010年現在の世界経済の時事ネタも豊富で本当に勉強になる。ただ、国際経済、国際金融の専門用語(たとえば、クレジット・デフォルト・スワップとか、インフレ・ターゲットというようにカタカナのものが多い)がたくさん出てきて、しかも解説があまりないという構成になっている。そのため、初学者は他の国際経済の入門書を読んでから本書を読むか、あるいはそのつどでてきた専門用語を調べながら本書を読み進めるという方法をとるのがよい。後者がおすすめである。

(2010年9月19日 大学院生)

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2010年09月19日

Posted by ブクログ

「資金の自由な移動」「為替の安定」「国内金融政策の自由度確保」の三つを同時に満たすことは困難であることを、国際金融のトリレンマと言うらしい。ユーロ統合とギリシャ破綻を見るとよく分かる。本書では、従来個別に議論されてきた国際金融と国内経済を、地域通貨(ドル・ユーロ・円・元)別に、課題と見通しも含めた俯瞰的解説を行っている。経済に関わるすべてのひとは、読んで損のない1冊だと思う。

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2014年06月08日

Posted by ブクログ

通貨に焦点を当て世界経済について書かれたもの。基軸通貨とは何か、ドルがいかにして基軸通貨として国際金融で支配的地位を得るに至ったのか、そして、ユーロ、円、人民元が国際通貨として、将来、部分的にでも基軸通貨としての機能を分担することはありうるのか、などについて分析している。内容がやや難しく、十分に理解できない箇所があった。印象的な箇所を記す。
「アメリカが経常収支の赤字を縮小するということは、世界が依存してきたアメリカの個人消費が減少することを意味する。それを埋めるためには、日本や中国が内需を拡大するしかない。日本は、少子高齢化の進展から、ますます安定志向になり、個人金融資産が銀行預金として固定化してしまっている。資金の退蔵をいかに回避して、お金が回る仕組みを再構築するかが課題である。世界が経済を閉鎖させる方向に動くと、それは世界貿易の縮小を招き、望ましい国際分業が阻害されて、資源の適正な配分を歪めてしまう」

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2018年11月15日

Posted by ブクログ

金融・経済史に疎い私にとっては非常に「お勉強」になりました。
書かれていることは「筆者個人の見解」としつこいくらい断られていますが、あまりバイアスのない見解なのではないかと感じました。
そう、極めて「教科書的」のため「お勉強」になります。

※他の方がレビューに書かれているとおり「通貨はその国の総合力を表す」という表現には首を捻りましたが、「総合力」とは「国力」をさらにぼかした表現だなーと思いました。
おそらくGDPのような定量的材料ではなく政策運営とか定性的材料も含めているのかと。

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2012年04月04日

Posted by ブクログ

通貨を軸にして主要国のパワーバランスを解説。特に元のスタンスがよくわからなかったので、この本のおかげで多少スッキリした。しかし、全ての主要通貨国でのカントリーリスクがこれまでになく高まっている。これからいったいどこへ向かうのか。突然、大きな動きがありそうな予感もする。

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2011年07月06日

Posted by ブクログ

グローバル経済のさまざまな動きを通貨、金融政策、実体経済の各側面から分析している。新書ではあるが、物事を分かりやすく伝えるというよりも、非常に細かく分析している、専門書的な本。

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2011年04月01日

Posted by ブクログ

世界経済やドル、ユーロ、円、元の概観や見通しがある程度わかるが、最後の章で財政再建の記述に誤りはあるし、通貨がその国の国力を反映するとか素人みたいな考えが書いてあったから一気にこの本の評価は下がった。

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2012年02月13日

Posted by ブクログ

昨今、ちまたで通貨といえばFX。
ではこの本を読めば儲かるのか、というとまったく関係ないでしょう。

なら価値がないかというと、世界を経済という一断面から読み解きたいと思う人になら千金の価値かり、かもしれません。
たとえそれが金融市場を通してでも、世界を理解したい、というのは知性の本源と言っていいと思います。

ドル、ユーロ、人民元、そして円、という副題どおり、章別にそれぞれの通貨が取り上げられるのですが、市場を揺るがせた歴史上の事件の冷静な分析と、現況への考察は非常に高いレベルの内容だと感じました。
ドルは双子の赤字が問題だあ、と言われますが、経常収支が赤字だからこそ、ドルは基軸通貨として力を持ったのだ、なんて指摘は目からうろこ。
さりげなく本質を説明してみせるお二人の著者には脱帽。


新書ですが、情報量が多く、読み応えは充分。
派手に煽るような文言はないので、金融市場が根っから好きでないと苦しいかもしれませんが、本質はこういう処にあるんだよな、と感じました。

ともかく勉強になったと感じました。
良本として再読、再々読本の候補ですね。

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2011年10月09日

Posted by ブクログ

ふむふむ。分かりやすかった。
特にアメリカが基軸通貨ゆえに、貯蓄せずに
消費に向かうのは金融の側面では理解できるね。

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2011年08月30日

Posted by ブクログ

ドルの将来、ユーロの展望、人民元の国際化、そして円の課題などを金融システムと経済の動きから丁寧に検証している。
ブレトン・ウッズ体制からリーマンショック、ギリシャ危機に至るまでのここ数十年の金融ネタには触れているので、歴史の復習には良かったかな。
金融の知識が圧倒的に不足しているので、少しずつ勉強せねば。。

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2010年12月30日

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