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源頼朝に始まる鎌倉幕府が滅亡すると、鎌倉は急速に衰退しゴーストタウンとなったと考えられがちだが、実態は違っていた。京都室町に幕府が移った後も、鎌倉は東国を管轄する鎌倉府の所在地として十五世紀半ばまで繁栄を続けた。武家の首都として誕生し、幕府滅亡後はほとんど知られることのない都市鎌倉とはいかなるものだったのか。源氏、北条氏、足利氏、上杉氏の足跡を寺社や史跡に尋ねながら、謎に包まれた鎌倉の中世を歩く。
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Posted by ブクログ
10月に鎌倉市民になったので読みました。 本書は鎌倉を「都市」と見なし、12世紀末から16世紀までを描いた歴史書です。 著者は鎌倉は「鎌倉末期から南北朝期には幕府によって公認された9つの繁華街のみならず山内一帯には建長寺、円覚寺の門前町が、極楽寺一帯には極楽寺の門前町が形成されていたのであり、武士の...続きを読むみならず僧侶や商人・職人ら町衆も多数暮らす複合都市であった」と記述します。興味深いのは各地に小京都があるように、茨城の古河、長野の上田のような小鎌倉が作られたこと。「鎌倉は東国の地方都市のモデルであった。それゆえ都市鎌倉は中世都市を理解するカギとなると考えている」と議論を発展させます。 鎌倉の本といえば、鎌倉時代の鎌倉を扱ったものが多くあります。しかし、新田義貞によって鎌倉幕府が滅ぼされた以降の本はほとんどありません。これは鎌倉は急速に衰退し、地方の田舎になったと多くの人が理解しているためです。そういう意味では、鎌倉幕府滅亡以降も都市鎌倉にスポットを与えた本書は画期的です。 著者の松尾剛次さんは「中世都市鎌倉の風景」「仏教入門」のような、鎌倉や仏教についての著書が多数あります。著者は発掘に考古学的成果、北条泰時による御所の移転や和賀江島の築造の意義、鎌倉公方の古河へに移転後の鎌倉の存在意義、建長寺指図と建長寺絵図が見せる中世鎌倉の繁栄ぶり、小田原北条氏の初代伊勢長氏(北条早雲)の改名などを興味深く描きます。 「鎌倉殿の十三人」以降を知るのに絶好の入門書。また、鎌倉の寺の縁起や興隆も描かれ、ちょっと渋いガイドブックとしても役に立つと思います。お勧めです。
幕府時代だけでなく室町末期まで政治都市として機能していた鎌倉の変遷を紹介。戦火で失われた遺構についての記述が多いので一般的な観光のお供には向かないけれど、空き地を観て「ここに永福寺があったのかぁ」と浸れるような人にはオススメ。トレラン前に読み切れなかったのでもう一度走りに行かねば!
Lv【初心者】に自信を持ってオススメ! ・鎌倉発祥の○○上杉氏の解りやすい系図と解説 ・室町、特に南北朝・鎌倉府・享徳の乱 ・ガイドブックと合わせて鎌倉観光に歴史をプラス! 東国の鎌倉・室町時代を鎌倉という都市を通して解説。でもこんなに解りやすいのに、まさかの永享の法難とかまで載っていて、なかなか...続きを読む面白い。 単体でも面白いが、別にカラー写真のガイドブックや、観光マップなんかと突き合わせて読むと、倍、楽しめるぞ!
中世の鎌倉。 鎌倉は行ったことは全くない。 しかし、中世を語る上で鎌倉は必要不可欠な都市。 その都市を支配者ごとに記述しているのは、非常にわかりやすかった。 城郭や、政治には興味があり、知識をもつことが多かったが、都市についてはもっていなかった。 これから、都市そのものや、都市構造を理解し...続きを読むていきたいと思う。
頼朝により幕府が開かれた鎌倉。幕府滅亡後の室町時代には鎌倉府が置かれたこと、幕府将軍義教・関東管領上杉氏と持氏との対立により鎌倉府が一旦滅亡したこと、再興後再び争いとなり、鎌倉公方がその本拠地を古河に移した(古河公方)ことで、扇谷上杉氏が押さえたが、その後伊豆から後北条氏が進出したこと、などは一応...続きを読むの知識としては知っていた。 本書では、源氏、北条氏、鎌倉公方、関東管領という支配者の変遷とともに中世都市鎌倉の歴史を辿っていく。特に、時代時代に建立された寺院について、その発願者や時代による変遷について多くの知識を得ることができた。 本書を手にしながら、ぜひ鎌倉散策を楽しみたいものだ。
鎌倉時代の鎌倉のみならず、室町時代まで書かれていて面白かった。 幕府が滅んだからといって、鎌倉という土地の持つ力が失われなかったことがわかります。 鎌倉府つくるくらいだしね。
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中世都市鎌倉を歩く 源頼朝から上杉謙信まで
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松尾剛次
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