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足利尊氏や新田義貞、楠木正成ら名だたる部将が活躍する『太平記』。しかしこの名高い戦記物がめざしたのは、英雄譚と言うよりも、南北朝動乱を生きた、名もなき人々への鎮魂と救済ではなかったか。怨霊の跋扈する、不条理にも見える物語世界が内包する『太平記』の精神とは。また、登場人物たちの体現する儒教的道義論や因果応報論が担ったものとは何なのか。単なる戦記物の枠を超えた『太平記』の世界への招待。
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Posted by ブクログ
本書では『太平記』の性格を、室町幕府による南朝方の鎮魂だとしています。 『太平記』における南朝方の登場人物の怨霊の描写は多いです。 南朝方の死者の無念を慰めるため、後醍醐天皇や楠木正成といったキャラクターが亡くなった後も、引き続きフォーカスするというわけです。 しかし、延暦寺出身で法勝寺の僧とい...続きを読むう中立的な立場の恵鎮が書き、足利幕府が検閲しているので、幕府方が悪とされているわけでもありません。 また、儒教的道義論と仏教的因果応報論とが併存する思想を基調とする以上、南朝方を正義としては辻褄が合わなくなります。 同じ軍記物である平家物語に比べると、視点の中立性が高いうえに争乱期間が長いためにややドラマティックさに欠けるのですが、本書のように鎮魂という目的から整理すると納得という感じがします。
通説では鎌倉末期以降の戦記。なのになぜタイトルが「太平記」?本書はその疑問に対して、室町幕府目線で見た「鎮魂書」というキーワードで説明してくれている。たしかに後醍醐天皇をはじめ、登場人物の「人としての陰と陽」を宮方目線で読んでしまうと、その本質が見えてこない。まずこれは歴史書ではないという前提で読む...続きを読むべし。
私がお世話になっている先生なので紹介するのは非常に気が引けますが、「太平記の主人公は最初から最後まで後醍醐天皇だった」など意外な新説、「史書は敗者の救済のための書物である」という松尾史書観に基づく分析など、なかなか面白い本です。 ただ、薄いくせに高い。
[ 内容 ] 足利尊氏や新田義貞、楠木正成ら名だたる武将が活躍する『太平記』。 しかしこの名高い戦記物がめざしたのは、英雄譚と言うよりも、南北朝動乱を生きた、名もなき人人への鎮魂と救済ではなかったか。 怨霊の跋扈する、不条理にも見える物語世界が内包する『太平記』の精神とは。 また、登場人物たちの体現...続きを読むする儒教的道義論や因果応報論が担ったものとは何なのか。 単なる戦記物の枠を超えた『太平記』の世界はの招待。 [ 目次 ] 第1章 後醍醐天皇の物語としての『太平記』(三部構成のあらまし 物語を貫く主人公とは ほか) 第2章 登場人物から読む『太平記』(楠木正成 新田義貞 ほか) 第3章 『太平記』の思想(第一部の思想 第二部の思想 ほか) 第4章 『太平記』の作者と作品論(『難太平記』にみる『太平記』の作成過程 恵鎮の履歴(官僧から遁世僧へ) ほか) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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太平記 鎮魂と救済の史書
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