読んだ動機
昨今の中国の強国化、権威主義、監視社会がなぜ中国で受け入れられているのか(強国であるのに、なぜ知識人層は反旗を翻さないのか、翻せないのか)
そして、社会主義を謳うが実態はそうではないので、何者であるのかを知りたい。
歴史過程と背景
新時代の複雑な統治制度(地方あるいは民族によって統治方
...続きを読む法を変えていた。また、国境の概念を持たず、他の民族を同じ国に入れるかどうかで、範図は広くも狭くもなり得た。そこには伝統的な朝貢・冊封体制が背景にある。)
帝国主義時代、欧米より国民国家の概念を輸入、列強に対抗するためには(侵略させないためには)、列強の戦術、国家形成の必要に迫られた。
その中で民族という概念が輸入された。
おおよそ5つの民族に分けられた中で、漢民族が大多数を占める。
清朝は満州族。
以上を前提に、列強各国に凌辱されていく国土を意識する中で、怨嗟から強く民族意識が高まっていく。
アヘン戦争、日清戦争、北京議定書、二十一ヵ条要求、日中戦争など…
指導者たちは、民族意識の高まりという世論を利用する手法をとることで(義和団事件、日中戦争、プロレタリア革命など)、民族意識の高まりは政府公認であり、世の中の流れであり、根深く強いものとなる。
戦後、それぞれの民族意識が高まる中で、それぞれの民族による独立の機運も高くなっていく。
漢民族は、元は清という一つの国で多民族国家だったと主張する。ここには漢民族以外の者(満州族)に漢民族が支配されていた清の統治から漢民族が取って代わる、つまり満州族も他の民族も含めて漢民族が主導する統治体系を作るという希望の現れでもある。
一方で当然に、清の統治機構は朝貢冊封体制の流れの中で、清に自分たちの国の統治を認めてもらうものであり、それぞれの民族は清ではない、との主張もある。
ここに現代まで解決できない領土問題・少数民族排斥問題の根がある。
また、やはり民族意識の高まりの世論から、それをより推進する共産党が政治闘争でも戦力的にも勝利を収めていく。世が安定しだすと監視社会が浮き彫りになる。権力集中は急進的な強国化には都合の良いシステムであるのか。