中公新書作品一覧

  • 戦後フランス思想 サルトル、カミュからバタイユまで
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    第二次世界大戦後、ナチ・ドイツから解放されたフランスの思想界には、時代を牽引する書き手が台頭した。サルトルを筆頭にカミュやボーヴォワール、メルロ=ポンティ、バタイユらが次々と作品を世に問い、論戦も繰り広げた。本書は、哲学と文学を架橋して展開された彼らの創作活動に着目。実存主義が世を席巻し、知識人や芸術家の政治的社会参加(アンガジュマン)が唱えられた時代の知的潮流は、何をもたらしたのか。その内実を描き出す。
  • 日本列島はすごい 水・森林・黄金を生んだ大地
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    1巻1,012円 (税込)
    1万4千の島々が連なる日本列島は、ユーラシア大陸の東縁でその土台ができ、やがて分離。3万8千年前に人類が上陸し、歴史を紡いできた。変化に富んだ気候が豊かな資源を生み、国土を潤す。本書は、時空を超えて島国の成り立ちと形を一望し、水、火、塩、森、鉄、黄金が織りなした日本列島史を読み直す。天災から命を守り、資源を活かす暮らしとは。地学教育の第一人者が、列島で生きる醍醐味をやさしく解説する。
  • 日ソ戦争 帝国日本最後の戦い
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    日ソ戦争とは、1945年8月8日から9月上旬まで満洲・朝鮮半島・南樺太・千島列島で行われた第2次世界大戦最後の全面戦争である。短期間ながら両軍の参加兵力は200万人を超え、玉音放送後に戦闘が始まる地域もあり、戦後を見据えた戦争だった。これまでソ連の中立条約破棄、非人道的な戦闘など断片的には知られてきたが、本書は新史料を駆使し、米国のソ連への参戦要請から各地での戦闘の実態、終戦までの全貌を描く。
  • 神聖ローマ帝国 「弱体なる大国」の実像
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    電子版は本文中の写真をすべてカラー写真に差し替えて掲載。 オットー一世の皇帝戴冠(九六二年)を起源とする神聖ローマ帝国は、ドイツを中心に周辺へと領域を広げた。皇帝位は一四三八年以降、ハプスブルク家がほぼ独占。十六世紀に最盛期を迎える。宗教改革、三十年戦争といった混乱を経て帝国は衰退し、一八〇六年に消滅した。弱体に見える国家が八五〇年も存続したのはなぜか。叙任権闘争など、皇帝と教皇の関係はいかなる推移をたどったのか。捉えにくい「大国」の実像に迫る。
  • コラーゲンの話 健康と美をまもる高分子
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    4.0
    電子版は本文中の写真をすべてカラー写真に差し替えて掲載。 細胞と細胞の橋渡しを担うコラーゲンは、骨格や筋肉をつくり、からだを支える重要なタンパク質である。また、皮膚の弾力を保つ働きは、健康と美を測る大きな指標ともなっている。コラーゲンはどのようにつくられ、どう働くのか?コラーゲン繊維の向きと並び方を明らかにした著者が、からだの仕組み、タンパク質の働きの視点からこれらの疑問に答える。さらに、合成高分子の機能、新しい皮膚移植法の提案など、新展開も紹介。
  • 現代日本の地政学 13のリスクと地経学の時代
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    4.0
    国家の行動を地理環境と結びつけて考える「地政学」が復活している。米国主導の秩序と日米同盟に守られていた日本だが、中国の軍拡による脅威は深刻だ。さらに経済力で地政学的利益の実現を目指す中国の手法は「地経学」時代の到来を示す。北朝鮮の核やロシアの動向のほか、エネルギー、サイバー戦争、気候変動など地球規模のリスクの影響も大きい。トランプ米政権のもと、日本がとるべき戦略を俊英13人が描く。
  • 民主党政権 失敗の検証 日本政治は何を活かすか
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    3.9
    二〇〇九年九月に国民の期待を集めて誕生した民主党政権は、一二年一二月の総選挙での惨敗により幕を閉じた。実現しなかったマニフェスト、政治主導の迷走、再建できなかった財政、米軍基地をめぐる混乱、中国との関係悪化、子ども手当の挫折、党内対立、参院選敗北――。多岐にわたる挑戦と挫折は、日本政治にどんな教訓を残したのか。ジャーナリスト・船橋洋一を中心としたシンクタンクによる、民主党政権論の決定版。
  • カラー版 地図と愉しむ東京歴史散歩 都心の謎篇
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    4.2
    戦前の地図では、皇居はほとんど空白地として描かれてきた。戦後の地図にも、不可解な地形が表示されている。わずかに残された地図と空中写真を手がかりに、皇居の建物・地形の変遷を追う。さらに、二三区内にたくさんあった飛行場、開通しなかった新幹線の痕跡、東京駅の場所にかつて存在した刑務所、テニス・コートや学校に生まれ変わった射撃場など、東京に残る近代化の名残を新旧の地図とカラー写真で訪ねる好評第二弾。
  • カラー版 地図と愉しむ東京歴史散歩 地形篇
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    3.5
    東京の街は、意外と複雑な地形の上にできている。海に突き出した前方後円墳、谷底の渋谷駅、人工的に作られた御茶ノ水の渓谷、川を埋めて生まれた戸越銀座、消えた日暮里の坂など、山と坂、濠と川に彩られた東京の姿を古地図で紹介。さらに、「城南五山」をはじめ、麻布や高輪、本郷や目白など、あちこちの山の上に存在した華族や富豪の邸宅の移り変わりを解説する。一八〇以上の「都心の「山」のお屋敷」リストを収載。
  • カラー版 地図と愉しむ東京歴史散歩 地下の秘密篇
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    3.1
    丸ノ内線はなぜあちこちで地上に顔を出すのか。都営三田線の終点はなぜ他線と接続しない西高島平になったのか。霞が関・市ヶ谷・麻布・上野など、あちこちにあった巨大な地下壕はだれがつくったか? 日本最大の祟り神である崇徳院をまつった東京の神社はどこにある? 地下鉄、軍施設、怨霊、火葬場など、ふだん目にすることの少ない東京の姿を地図と模式図とカラー写真で紹介する、好評シリーズの第5弾。地下にドラマあり。
  • カラー版 地図と愉しむ東京歴史散歩 お屋敷のすべて篇
    NEW
    3.5
    大名屋敷をひきついだ華族たちの邸宅は、経済危機、震災や空襲によって、多くが消えていった。跡地の多くは学校や大使館、企業迎賓館、ホテル、高級住宅地やマンションへと変わった。だが、宏壮な豪邸の面影を残すものも現存する。本書は、華族のお屋敷をはじめ、歴代総理の私邸、川辺に存在した邸宅、住宅開発の変遷までを徹底収録。巻末に明治二十年と大正五年の全国・全華族のお屋敷リスト(のべ一五〇〇家)も付す。
  • 英語の読み方 リスニング篇 話し言葉を聴きこなす
    -
    音声英語に接し、聴き取れないからと英語習得を断念したことはないだろうか。安心していただきたい。一定の速度で英文が読めれば、自ずとリスニングの力も上達するからだ。本書では、まず読む力を鍛え、話す英語の本質とリスニング力向上のポイントを指南。ニュースや映画予告編、首相・国王や実業家のスピーチなど「本物の英語」を教材に、聴く力を身に付ける。随所に独習のコツ、巻末に即役立つ20の厳選例文を収録。
  • 流出する日本人―海外移住の光と影
    -
    日本人の海外「流出」が注目を集めている。ワーキングホリデーの若者、子育て世代、富裕層、技術者や研究者、リタイア世代。日本をなぜ離れるのか。海外移住にはどんなリスクがあるのか。移住研究の第一人者が、当事者へのインタビューやデータをもとに実態に迫る。自由な環境で実力を発揮する人々から、悪徳業者に騙される若者、帰国したくてもできない離婚者まで、海外で暮らす人々の明暗と日本への影響。
  • ナチ親衛隊(SS) 「政治的エリート」たちの歴史と犯罪
    4.0
    ヒトラーの護衛に過ぎなかった親衛隊は、ナチ政権発足後、党や全国の警察組織を掌握。強制収容所を創り敵対勢力を弾圧する。第2次世界大戦開始後は行動部隊、アウシュヴィッツなどの絶滅収容所を起動しユダヤ人の大量殺戮を主導、80万人の巨大な軍事組織・武装親衛隊も併せ持った。本書は、ヒトラーに最も忠実な「エリート」たちの選抜から、ホロコーストの実行、カルト的信仰、戦後の姿までその全貌を描く。解題・芝健介
  • 堤康次郎 西武グループと20世紀日本の開発事業
    5.0
    電子版は本文中の写真を多数カラー写真に差し替えて掲載。 早稲田大学在学中に起業、卒業するや別荘地や住宅地を精力的に開発した堤康次郎。その軌跡は、公務員・会社員などの新中間層(サラリーマン)の誕生や都市人口の増大と重なる。軽井沢や箱根では別荘地や自動車道を、東京では目白文化村や大泉・国立などの学園都市を開発した。さらに私鉄の経営権を握り、百貨店や化学工業も含めた西武コンツェルンを一代で築くが、事業の本分はまぎれもなく「土地」にあった。厖大な資料から生涯を読み解く。
  • 日本神判史 盟神探湯・湯起請・鉄火起請
    4.2
    神仏に罪の有無や正邪を問う裁判――神判は、前近代の世界各地で広く見られ、日本では中世、湯起請や鉄火起請が犯罪の犯人捜しに、村落間の境界争いにと多用された。熱湯の中に手を入れ、あるいは焼けた鉄片を握り、火傷の有無で判決が下される過酷な裁判を、なぜ人々は支持したのか。為政者、被疑者、共同体各々の思惑をはかれば、神の名を借りた合理的精神すら見え隠れする――豊富な事例から当時の人々の心性を読み解く。
  • 昆虫―驚異の微小脳
    3.6
    ヒトの脳に比べてなきに等しい昆虫の脳。ところが、この一立方ミリメートルにも満たない微小脳に、ヒトの脳に類似した構造が見られることが明らかになってきた。神経行動学は、ファーブルやフリッシュを驚嘆させた「陸の王者」の能力を、精緻な実験によって脳の働きと結びつけ、ダンスによる情報伝達、景色記憶、空間地図形成能力など、昆虫の認知能力の解明に乗り出している。本能行動の神秘に迫る最新生物学の成果。
  • もしもあなたが猫だったら? 「思考実験」が判断力をみがく
    3.5
    もしもあなたが猫だったら? もしもテレポーテーションされてしまったら? もしもブラックホールに落ちてしまったら? 現実にとらわれず、科学的推論だけを根拠に思考を羽ばたかせれば、今までとは違う世界が見えてくる。そんな「思考実験」=脳内シミュレーションは、刺激的なゲームであると同時に、科学的思考法を身につける絶好のトレーニングだ。「もしも」の世界に遊びながら、思考実験のプロセスを味わおう。
  • 在日の耐えられない軽さ
    4.0
    父は一九二〇年代に来日した、日本語小説を書いた最初の朝鮮人で、のちに皇道思想家。戦後は心の病に冒され、六〇年にひとり帰国した――。父や母の歴史と子供たちの人生との間にはどのようにつながりがあるのか。本書は、ひとつの「在日」家族の誕生から終焉まで、そして、そのひとりひとりの生き方を、戦前から現在にいたる日本と韓国の関係と重ね合わせて描くことによって、新たな認識と洞察を読者にもたらす。
  • 足利義満 公武に君臨した室町将軍
    4.2
    電子版は本文中の写真の一部をカラー写真に差し替えて掲載。 公家社会と深く交わるなかで王朝文化に精通し、明国の皇帝には日本国王の称号を授与され、死後、朝廷から太上天皇の尊号を宣下される――。三代将軍足利義満の治世はしばしば「皇位簒奪」「屈辱外交」という悪評とともに語られる。だが、強大な権力、多様な事績に彩られた生涯の全貌は、いまだ明らかにはなっていない。本書では、新史料にも光を当て、公武に君臨した唯一無二の将軍の足跡をたどる。
  • 物語 ストラスブールの歴史 国家の辺境、ヨーロッパの中核
    4.0
    世界遺産にも指定された旧市街をもつストラスブールは、ケルト人の集落に端を発し、ローマ→ゲルマーニア→フランク王国と西ヨーロッパの典型的な文明を経験した。その後、ドイツ、フランスによる争奪が繰り返されるなか、ルネサンス、市民革命、ナショナリズム、世界大戦など、ヨーロッパ史を象徴する出来事をすべて体現する。寛容と自由、排他主義と戦火――もっとも壮麗にヨーロッパ史を生きた都市の歴史を鮮やかに描く。
  • 冷戦史(上下合本)
    -
    (上巻)1945年に第二次世界大戦が終わると大国の協調は崩壊し、アメリカ中心の西側陣営とソ連中心の東側陣営による冷戦が始まった。ヨーロッパではドイツが東西に分断され、東アジアでは中国の国共内戦、朝鮮戦争という「熱戦」が勃発。さらに脱植民地化の潮流に米ソが介入し、冷戦は第三世界にも拡大した。上巻では、1962年のキューバ・ミサイル危機で核戦争寸前に至るまでを描く。世界的な視野から冷戦を俯瞰する通史。 (下巻)キューバ・ミサイル危機後、泥沼化するベトナム戦争が世界に衝撃を与えた。1960年代末から米中ソはデタント(緊張緩和)へ向かうものの、70年代末には再び対立が深まり「新冷戦」と呼ばれた。だが、その背後では西側経済の優位と東アジア経済の躍進により、第三世界の国々が社会主義を放棄しつつあった。そしてソ連にゴルバチョフが登場し、冷戦は終焉を迎えるが――。戦争と対立が続く現代に、冷戦は何を遺したのか。
  • 中国農村の現在 「14億分の10億」のリアル
    4.0
    経済発展めざましい中国。だが、農村部は置き去りにされていないか。出稼ぎの「農民工」は虐げられ、「留守児童」は劣悪な環境に置かれていないか。1990年代末から中国各地の農村でフィールドワークを重ねてきた著者が実態に迫る。家族の発展を何より重視する精神、末端幹部たちの奮闘、裏金が飛び交う村の選挙、習近平政権が進める都市化の本当の意味とは。現場で農民と酒を酌み交わし、初めて見えてくる実像。
  • ウマは走る ヒトはコケる 歩く・飛ぶ・泳ぐ生物学
    4.0
    背骨と手足を得て、脊椎動物は速く長距離を移動できるようになった。走る、泳ぐ、飛ぶと方法は異なるが、動物それぞれが素早い動きを可能にする体のデザインを持っている。ヒトはコケつつ歩くが、これがめっぽう効率が良くて速い。なぜ? 鶏の胸肉はササミよりも3倍も大きい。なぜ? 渡り鳥が無着陸で何千㎞も飛べる。なぜ? 魚やイルカには顎がない。なぜ? 皆、納得のいく理由がある。動くための驚きの仕組みが満載!
  • 三井大坂両替店 銀行業の先駆け、その技術と挑戦
    4.3
    1巻1,100円 (税込)
    元禄四年(一六九一)に三井高利が開設した三井大坂両替店。当初の業務は江戸幕府に委託された送金だったが、その役得を活かし民間相手の金貸しとして成長する。本書は、三井の膨大な史料から信用調査の技術と法制度を利用した工夫を読み解く。そこからは三井の経営手法のみならず、当時の社会風俗や人々の倫理観がみえてくる。三井はいかにして栄え、日本初の民間銀行創業へと繋げたか。新たな視点で金融史を捉え直す。
  • 化石に眠るDNA 絶滅動物は復活するか
    5.0
    1巻1,100円 (税込)
    DNAには不思議な魅力がある。大ヒット映画『ジュラシック・パーク』では、琥珀の中に遺されたDNAから、恐竜を現代に蘇らせた。それは絵空事とは言い切れない。マンモスなど絶滅動物の復活をめざす取り組みは今なお続けられている。古代DNAの研究を進展させた新技術はどのようなものか。生命を操作することに重大なリスクはないのか――。科学者たちが織りなしたドラマとともに、起伏に富んだ研究史をたどる。
  • バチカン近現代史 ローマ教皇たちの「近代」との格闘
    3.8
    フランス革命以降、「政教分離」を推進する近代国家の登場で、ローマ教皇は領土や権威を失っていく。20世紀に入り、教皇はイタリア政治に介入し続け、ムッソリーニの思惑もあり、バチカン市国が成立する。その後バチカンは、「反宗教」の共産主義を常に敵視。ナチスに秋波を送り、戦後は米国に接近、「人権外交」を繰り広げ、それは「東欧革命」に繋がった。本書は、カトリック総本山バチカンの生き残りを賭けた200年を描く。
  • 日本人にとって聖なるものとは何か 神と自然の古代学
    4.4
    一神教とは異なり、日本人にとって神は絶対的な存在ではない。山岳や森林をはじめ、あらゆる事物が今なお崇拝の対象となり得る。遠くさかのぼれば、『古事記』に登場する神々は、恋をするばかりか嫉妬もし、時に寂しがり、罪さえも犯す。独特の宗教観や自然観はどう形成され、現代にまで影響を及ぼしているか。「カムナビ」「ミモロ」などのキーワードを手がかりに記紀万葉の世界に分け入り、古代の人びとの心性に迫る。
  • イスラエルとパレスチナ 和平への接点をさぐる
    3.7
    イスラエル占領地ヨルダン川西岸とガザ地区で始まった大衆蜂起(インティファーダ)は、PLOに画期的な方針変更を打ち出させる状況をつくり、イスラエルには一部ながら、PLOとの対話を求める公然たる声を生み出した。 さらに、ユダヤ対アラブの構図から、当事者間の問題解決へと変わりつつある。イスラエルとパレスチナ双方で現地調査にあたった著者は、両民族の長い受難の歴史の終わりを願い、和平への接点の可能性をさぐる。
  • 中東和平の行方 続・イスラエルとパレスチナ
    -
    湾岸戦争終結後に開かれたマドリード和平会議、ノルウェー秘密交渉を通じて、パレスチナ問題、アラブ・イスラエル紛争をめぐる状況がこの数年の間に大きく変化した。 イスラエル・PLOの暫定自治合意にもとづくガザ、エリコでの先行自治、イスラエル・ヨルダンの平和条約調印と事態は進行しているが、こうした動きは本当に中東に平和をもたらすのか。 『イスラエルとパレスチナ』につづいて、中東での新展開を詳細に報告する。
  • 寺田寅彦 漱石、レイリー卿と和魂洋才の物理学
    3.8
    文理に異才を発揮した寺田寅彦には、二人の“師”がいた。夏目漱石とイギリスのノーベル賞科学者レイリー卿である。「空はなぜ青いか」の謎を解いたレイリー卿は、私邸の実験室で研究に耽る「道楽科学者」であった。寅彦もまた、随筆や俳句を発表し、音楽や絵画を愉しむ一方で、「尺八の音響学」「椿の落下運動」など、意表をつくテーマの研究にあけくれた。寺田物理学の真髄に迫り、その和魂洋才の精神をさぐる。
  • 性と暴力のアメリカ 理念先行国家の矛盾と苦悶
    3.8
    ※電子版は本文中の写真の一部をカラー写真に差し替えて掲載。 唯一の超大国として、最も進んだ科学技術を誇るアメリカ。だが、キリスト教の倫理観に縛られ、二億挺を超す銃が野放しにされるなど、「性」と「暴力」の問題については、前近代的な顔を持つ。それはなぜか――。この国の特異な成り立ちから繙き、現在、国家・世論を二分する、妊娠中絶、同性愛、異人種間結婚、銃規制、幼児虐待、環境差別、核の行使などの問題から、混迷を深めるいまのアメリカを浮き彫りにする。
  • カーストとは何か インド「不可触民」の実像
    4.5
    インドに根付く社会的な身分制=カースト。数千年の歴史のなかで形成され、結婚・食事・職業など生まれから規制し、今なお影響を与え続ける。カースト問題には、「不浄」とされ蔑視が続く最底辺の不可触民=ダリトへの差別がある。政府は2億人に及ぶダリトを支援する施策を打つが、その慣習は消えず、移民した世界各国でも問題化している。本書はインドに重くのしかかるカーストについて、歴史から現状まで、具体的な事例を通し描く。
  • 日本の経済政策 「失われた30年」をいかに克服するか
    -
    バブル崩壊以降、「失われた三〇年」とも言われる長期停滞から抜け出せない日本。なぜこれほど長く低迷しているのか。日本経済を一九九〇年代から振り返り、繰り広げられた論争と、実施された政策をマクロ経済学の見地から検証する。一九九〇年代の不良債権処理、二〇〇〇年代の格差論争、二〇一〇年代の低金利政策。私たちはどこで判断を誤り、どのように克服すべきか。将来への持続性につながる経済政策を提言する。
  • 生き物の「居場所」はどう決まるか 攻める、逃げる、生き残るためのすごい知恵
    4.7
    世界は広いが、それぞれの生き物が生きることができるのは、ほんの小さな場所である。チーターは開けた草原にしか棲めないし、モンシロチョウはもっぱらキャベツ畑を飛んでいる。生き物の居場所は、なぜ決まっているのだろう。これまで餌や配偶者の存在などの理由が考えられてきたが、実は天敵がいないことが何よりも大事だ。様々な生き物を例に、生き残るための巧妙な知恵を紹介する。
  • 在日米軍基地 米軍と国連軍、「2つの顔」の80年史
    4.0
    世界で最も多くの米兵が駐留し、米軍施設を抱える日本。米軍のみならず、終戦後一貫して外国軍の「国連軍」も駐留する。なぜ、いつから基地大国になったのか。米軍の裏の顔である国連軍とは。本書は日米の史料をふまえ、占領期から朝鮮戦争、安保改定、沖縄返還、冷戦後、現代の普天間移設問題まで、基地と日米関係の軌跡を追う。「日本は基地を提供し、米国は防衛する」という通説を覆し、特異な実態を解明。戦後史を描き直す。
  • 古田織部 美の革命を起こした武家茶人
    3.8
    織田信長に仕えて調略の才を発揮した古田織部は、のち羽柴秀吉に従って天下取りに貢献。他方で茶の湯を千利休に学んで高弟となる。利休死後、特異な芸術センスで桃山文化に多大な影響力を及ぼし、公武にわたる広範な人脈を築いた。だが、大坂夏の陣で豊臣方への内通を疑われ、幕府から切腹を命じられる。その死の背景に、徳川政権の盤石を期す家康の思惑はなかったか――。美の世界に革命をもたらした稀有の茶人の実像に迫る。
  • 沖縄の殿様 最後の米沢藩主・上杉茂憲の県令奮闘記
    4.0
    謙信の流れをくみ、鷹山を中興の祖と仰ぐ名門、米沢藩上杉家。最後の藩主・茂憲は明治十四年、琉球処分から日が浅い沖縄に県令として赴く。本島をくまなく巡り、宮古・石垣両島まで及んだ視察で目撃したのは、困窮にあえぐ庶民の姿であった。再三の改革意見は政府から黙殺され、志半ばで解任される茂憲。だが、情熱を傾けた人材育成は後年になって実を結ぶ。今日もなお沖縄で敬愛される上杉茂憲の二年にわたる奮闘の記録。
  • ナチスと映画 ヒトラーとナチスはどう描かれてきたか
    3.7
    電子版は本文中の写真の一部をカラー写真に差し替えて掲載。 第二次世界大戦で数千万もの人々を死に追いやったヒトラーとナチス。彼らは新興メディアだった映画をプロパガンダの最大の武器として活用した。一方で戦後、世界の映画産業は、わかりやすい「悪」の象徴として、ヒトラーとナチスを描き続ける。だが、時代とともに彼らの「評価」は変わっていく。本書は、第Ⅰ部でナチ時代の映画を、第Ⅱ部で戦後映画での彼らのイメージの変遷を描き、「悪」の変容と、歴史と「記憶」の関係を探る。
  • 黒田官兵衛 「天下を狙った軍師」の実像
    3.9
    時代の趨勢を読み、織田陣営についた黒田官兵衛は、瞬く間に頭角を現した。秀吉の右腕として中国経略、九州遠征、小田原合戦など各地を転戦。官兵衛の働きなくして秀吉による全国統一もなかった。「稀代の軍師」とも呼ばれる武将の活躍の実態はいかなるものだったのか。関ヶ原合戦に際して天下を目指したとする説の真偽は――。茶の湯や連歌に優れ、キリスト教信仰を貫くなど、名将の知られざる側面にも光を当てる意欲的評伝。
  • 楼蘭王国 ロプ・ノール湖畔の四千年
    5.0
    前二世紀から五十年余り、楼蘭王国は歴史上にその姿を現した。だが、四千年前のものとされるミイラ「楼蘭の美女」が発見されたように、ロプ・ノール周辺には太古から独自の文化が花開いていた。前七七年に鄯善と名を改めた後も、「オアシスの道」に点在する諸都市を支配下に置き、繁栄を誇った。辺境の地を舞台に展開した東西文明の交流はどれほど活発なものだったのか。楼蘭の歴史をたどると、人類の壮大な営みが見えてくる。
  • 英語の発音と綴り なぜwalkがウォークで、workがワークなのか
    4.0
    なぜwarmがウォームで、wormがワームなのか。Tigersはタイガースなのか、タイガーズなのか。live↓livingのように、ingが付けば取ってしまうのに読みもしないeを語末に付けるのはなぜか。不思議だらけの英語の発音と綴りだが、仕組みを知れば規則性が見えてくる。本書では、母音と子音、開音節と閉音節、母音字の読み方、「マジックe」など、学校では習わない英語の発音と綴りの仕組みを基本から解説する。
  • 財政・金融政策の転換点 日本経済の再生プラン
    5.0
    世界の経済政策が大きく転換しようとしている。これまで財政政策は抑制的に、金融政策は独立して行うことを常識としてきたが、昨今、その実効性が疑問視されるようになったのだ。巨額の政府債務と長期の低金利政策で財政破綻さえ囁かれる日本。この苦境はどのように打開すべきなのか。本書は財政・金融政策の理解を整理し、両政策の現代的な意義と機能を考察。日本再生の第一歩として必要な新たな経済政策を提言する。
  • 冷戦史(上) 第二次世界大戦終結からキューバ危機まで
    4.5
    1~2巻968~990円 (税込)
    1945年頃から1990年頃にかけて、アメリカ中心の西側陣営とソ連中心の東側陣営が対立した「冷戦」。その影響は21世紀の今日にも色濃く残っている。本書は米ソ超大国やヨーロッパの対立のみならず日本を含む東アジアの展開にも力点を置いた通史である。上巻では、1945年に第二次世界大戦が終わり、大国の協調が崩壊して冷戦が始まる経緯から、朝鮮戦争、脱植民地化の進展、さらに62年のキューバ・ミサイル危機までを描く。
  • 長篠合戦 鉄砲戦の虚像と実像
    3.5
    電子版は本文中の写真をすべてカラー写真に差し替えて掲載。 一五七五年、織田信長・徳川家康の連合軍と、武田勝頼率いる軍勢が激突した長篠合戦。足軽鉄砲隊の一斉射撃という信長の新戦法により、武田の誇る騎馬隊が潰滅した、画期的な戦いとして知られる。小説や映像で繰り返し描かれるこの鮮烈なイメージは、どのように形作られてきたのか。伝来する合戦図屏風ほか、様々な関連史料を検証し、虚飾に彩られた決戦の実像に迫る。最新研究をふまえて提示する、長篠合戦論の総決算。
  • 謎の平安前期―桓武天皇から『源氏物語』誕生までの200年
    3.8
    電子版は本文中の写真を多数カラー写真に差し替えて掲載。 平安遷都(794年)に始まる200年は激変の時代だった。律令国家は大きな政府から小さな政府へと変わり、豊かになった。その富はどこへ行ったのか? 奈良時代宮廷を支えた女官たちはどこへ行ったのか? 新しく生まれた摂関家とはなにか? 桓武天皇・在原業平・菅原道真・藤原基経らの超個性的メンバー、斎宮女御・中宮定子・紫式部ら綺羅星の女性たちが織り成すドラマとは? 「この国のかたち」を決めた平安前期のすべてが明かされる。
  • 歴史の愉しみ方 忍者・合戦・幕末史に学ぶ
    4.1
    忍者の子孫を訪ね歩き、東海道新幹線の車窓から関ヶ原合戦を追体験する方法を編み出し、龍馬暗殺の黒幕を探る――。著者は全国をめぐって埋もれた古文書を次々発掘。そこから「本物の歴史像」を描き出し、その魅力を伝えてくれる。同時に、歴史は厳しいものでもある。地震史研究にも取り組む著者は、公家の日記などから、現代社会への警鐘を鳴らす。歴史を存分に愉しみ、現代に活かせる「歴史通」になりたいあなたへ。
  • 日本史を暴く 戦国の怪物から幕末の闇まで
    3.5
    歴史には裏がある。古文書を一つずつ解読すると、教科書に書かれた「表の歴史」では触れられない意外な事実が見えてくる。明智光秀が織田信長を欺けた理由、信長の遺体の行方、江戸でカブトムシが不人気だった背景、忍者の悲惨な死に方、赤穂浪士が「吉良の首」で行った奇妙な儀式、漏洩していた孝明天皇の病床記録……。古文書と格闘し続ける著者が明らかにした、戦国、江戸、幕末の「歴史の裏側」がここにある。
  • 日本史の内幕 戦国女性の素顔から幕末・近代の謎まで
    3.7
    西郷隆盛の性格は、書状からみえる。豊臣秀頼の父親は本当に秀吉なのか。著者が原本を発見した龍馬の手紙の中身とは。司馬遼太郎と伝説の儒学者には奇縁があった――日本史にはたくさんの謎が潜んでいる。著者は全国各地で古文書を発見・解読し、真相へと分け入ってゆく。歴史の「本当の姿」は、古文書の中からしかみえてこない。小説や教科書ではわからない、日本史の面白さ、魅力がここにある!
  • 天使とは何か キューピッド、キリスト、悪魔
    4.0
    エンジェルとキューピッドは何が違うのか。キリストがかつて天使とみなされていたのはなぜか。堕天使はいかにして悪魔となったか。「天使」と聞いて、イメージが浮かばない日本人はいないだろう。しかし、天使をめぐる数々の謎に直面したとき、私たちは想像以上に複雑な陰影を彼らがもっていることに気づくはずだ。天使とは一体、何者なのか――。キリスト教美術をゆたかに彩る彼らの物語を追いかけてみよう。
  • アダムとイヴ 語り継がれる「中心の神話」
    4.0
    『旧約聖書』に登場する、最初の人間アダムとイヴ。二人の名前は「禁断の木の実」「楽園追放」などのキーワードとともに語られ、日本人にとっても馴染み深い。しかし彼らの物語から生まれた、文化、思想、文学・美術作品の多様さは、私たちの想像を遥かに超えるものがある。本書では、美術史的な解説・解釈にとどまらず、アダムとイヴが歴史上いかに語られ、いかに現代社会に影響を及ぼしてきたかを探っていく。
  • 旧約聖書の謎 隠されたメッセージ
    3.6
    「天地創造」をはじめとして、旧約聖書に描かれた物語は現在、その多くが神話と見なされている。だが、他方で「バビロン捕囚」のように、世界史の教科書で史実として扱われているものもある。本書では「ノアの方舟と洪水伝説」「出エジプト」「ダビデとゴリアトの一騎打ち」など七つの物語を取り上げ、その史実性を学問的に検証。物語に込められたメッセージをも読み解き、聖書が秘めた豊かな世界へと読者をいざなう。
  • 聖書考古学 遺跡が語る史実
    3.9
    聖書の記述には、現代の我々からすると荒唐無稽に思えるエピソードが少なくない。いったいどの程度まで史実を反映しているのだろうか。文献史料の研究にはおのずと限界があり、虚実を見極めるには、遺跡の発掘調査に基づくアプローチが欠かせない。旧約聖書の記述内容と考古学的知見を照らし合わせることにより、古代イスラエルの真の姿を浮かび上がらせる。本書は現地調査に従事する研究者の、大いなる謎への挑戦である。
  • 蒙古襲来と神風 中世の対外戦争の真実
    3.6
    電子版は本文中の写真をすべてカラー写真に差し替えて掲載。 鎌倉中期、日本は対外戦争を経験する。二度にわたる蒙古襲来(元寇)である。台風が吹き、文永の役では敵軍が一日で退散し、弘安の役では集結していた敵船が沈み、全滅したとされる。だが、それは事実なのか。本書では、通説の根拠となった諸史料の解釈を批判的に検証。戦闘に参加した御家人・竹崎季長が描かせた『蒙古襲来絵詞』ほか、良質な同時代史料から真相に迫る。根強い「神風史観」をくつがえす、刺激に満ちた一冊。
  • 女の旅―幕末維新から明治期の11人
    3.4
    江戸期以前、女性が一人で旅することは難しかった。身の危険、歩きという制約、何より、男に付き従う姿こそ美徳とされたからだろう。だが、明治維新による文明開化以降、女性たちの旅は少しずつ広まっていく。本書は、日記、手記、聞き書きなどの記録から、全国漂泊、京都への出奔、遊説、米国留学、富士山越冬、蒙古行などの足取りを再現。男尊女卑の風潮が強いなか、時代に立ち向かった女性たちの人生を描く。
  • 古代遊牧帝国
    -
    六世紀の中葉モンゴル高原に出現した突厥国家も、また八世紀に台頭したウイグル国家もともに遊牧トルコ民族の一族であった。中央アジアから中国北方、南シベリアを支配した突厥の、農耕民族中国人との協調と葛藤の歴史をシルクロードの交易とともに追い、その間に活躍したソグド商人たちの、困難をものともせず物資を運び商いをする姿をも描き出す。東から西へと移動していったトルコ民族の壮大で華麗な生活を再現する。
  • 江戸城―本丸御殿と幕府政治
    4.3
    松之廊下にはどのような役割があったのか? 老中の登城から退出までを追ってみると?「奥」の側用人が「表」の老中より権力をふるえたしくみとは? 大名統制において殿中儀礼が持った意味とは? 大奥女中にはどのような仕事があったのか? 江戸城における政務は、本丸御殿の構造と密接に関係している。部屋の配置とその役割を詳しく紹介し、「表」「奥」「大奥」それぞれで展開した幕府政治のしくみを読み解く
  • イルカ 生態、六感、人との関わり
    4.0
    1巻1,045円 (税込)
    イルカとは、口のなかに歯が生えた鯨類で、体長が4~5メートル以下の種を指す俗称である。6500万年前、イルカの祖先は海に戻り、哺乳類のなかでも独特な進化の過程を歩んできた。本書は、生物としての変遷、生態、視覚、聴覚、コミュニケーション能力などを説明したうえで、太古から現在にいたる各地域での人との関係、人間にも匹敵すると言われる知的な能力に目を向ける。謎が多いイルカの全貌をわかりやすく明らかに。
  • 日蓮 「闘う仏教者」の実像
    5.0
    電子版は本文中の写真をすべてカラー写真に差し替えて掲載。 地震や疫病、蒙古襲来など、激動の鎌倉時代を生きた日蓮。天台宗ほか諸宗を学び、三二歳で日蓮宗を開いて法華経の信仰を説いた。鎌倉を本拠に辻説法で他宗を攻撃して圧迫を受け、建白書『立正安国論』の筆禍で伊豆に、のちには佐渡に配流された。死をも恐れぬ「闘う仏教者」のイメージがある一方、民衆の苦しみに寄り添う姿も垣間見られる日蓮。自筆の書簡、数多くの著作をはじめ、史料を博捜して、その思想と人物像に迫る。
  • 自動車の世界史 T型フォードからEV、自動運転まで
    4.0
    1巻1,056円 (税込)
    19世紀末、欧州で誕生した自動車。1908年にT型フォードがアメリカで爆発的に普及したのを機に、各国による開発競争が激化する。フォルクスワーゲン、トヨタ、日産、ルノー、GM、現代、テスラ、上海汽車――トップメーカーの栄枯盛衰には、国際政治の動向が色濃く反映している。本書は、自動車産業の黎明期から、日本車の躍進、低燃費・EV・自動運転の時代における中国の台頭まで、100年の激闘を活写する。
  • 山県有朋 明治国家と権力
    5.0
    明治国家で圧倒的な政治権力を振るった山県有朋。陸軍卿・内相として徴兵制・地方自治制を導入し、体制安定に尽力。首相として民党と対峙し、時に提携し、日清戦争では第一軍司令官として、日露戦争では参謀総長として陸軍を指揮した。その間に、枢密院議長を務め、長州閥陸軍や山県系官僚閥を背景に、最有力の元老として長期にわたり日本政治を動かした。本書は、山県の生涯を通して、興隆する近代日本の光と影を描く。
  • 物語 江南の歴史 もうひとつの中国史
    4.0
    「中国」は古来、大陸に君臨した北方「中原」と経済文化を担った南方「江南」が分立、対峙してきた。湿潤温暖な長江流域で稲作が広がり、楚・呉・越の争覇から、蜀の開発、六朝の繁華、唐・宋の発展、明の興亡、革命の有為転変へと、江南は多彩な中国史を形成する。北から蔑まれた辺境は、いかにして東ユーラシア全域に冠絶した経済文化圏を築いたのか。中国五千年の歴史を江南の視座から描きなおす。
  • 海ゴミ―拡大する地球環境汚染
    3.5
    漁網が多数漂着する世界遺産・知床。海外からのゴミが流れ着く南西諸島。日々、特殊車両を使わないとゴミを除去しきれない湘南海岸……。いまや日本のすべての海岸が、大量の漂着ゴミで覆いつくされようとしている。それらのゴミはなぜ発生し、どこから来るのか。また、わたしたちの生活や生態系にどのような影響を与えつつあるのか。そして、いま求められる対策とはなにか。忍び寄る海ゴミの脅威の実態に迫る。
  • カラー版 東海道新幹線歴史散歩 車窓から愉しむ歴史の宝庫
    4.5
    新幹線の窓からなにが見えるだろうか。縄文時代の貝塚から昭和の歴史遺産まで、見どころ満載なのが東海道新幹線だ。田子ノ浦や老蘇の森に古代の貴族たちが詠んだ風景を想像し、清州城や関ヶ原の古戦場に戦国大名の栄枯盛衰をたどる。明治の先取の気質を豊田佐吉の生家や井上勝の墓に感じ、熱海城や八ツ山橋にゴジラの悲哀を思う。車窓に拡がる歴史的スポット百カ所以上を全線地図とカラー写真を付して詳述。乗り越し注意。
  • 実験の民主主義 トクヴィルの思想からデジタル、ファンダムへ
    4.1
    デジタルが社会を一変させるなか、政治は分断を生み、機能不全が深刻だ。なぜ私たちは民主主義を実感できないのか? 本書は、19世紀の大転換期を生きたトクヴィルの思索と行動を手がかりに、平等・結社・行政・市民のイメージを一新し、実験的な民主主義像を描き出す。新しい技術が人々の想像力を変えた歴史を捉え、民主主義論の第一人者がフランス革命・アメリカ建国後の政治史を解説。AI時代の社会構想と人間像を探究する。
  • ケマル・アタテュルク オスマン帝国の英雄、トルコ建国の父
    4.0
    トルコ建国の父、ムスタファ・ケマル(1881~1938)。オスマン帝国が西欧列強からの脅威にさらされるなか救国の英雄として活躍し、帝国崩壊後はトルコ共和国を建国し大統領に就任する。民族主義と世俗主義を掲げて新国家の建設を進めたケマルは、議会からアタテュルク(父なるトルコ人)という姓を与えられた。今なお国民から敬愛される彼の実像を、愛する家族や、戦いを共にした同志との人間模様を交えて活写する。
  • バロック美術 西洋文化の爛熟
    3.0
    西洋文化の頂点、バロック様式。17世紀を中心に花開いたバロックの建築・彫刻・絵画は、ルネサンス期の端正で調和のとれた古典主義に対し、豪華絢爛で躍動感あふれる表現を特徴とする。本書は、カラヴァッジョ、ルーベンス、ベルニーニ、ベラスケス、レンブラント、フェルメールらの代表的名作を網羅。美術史上の位置づけ、聖俗の権力がせめぎ合う時代背景など、バロック美術の本質を読み解く。カラー写真200点以上。
  • 英単語の世界 多義語と意味変化から見る
    4.3
    英語は世界中の言語から多くの語彙を吸収し、既存の英単語も新しい意味を獲得してきた。boot(長靴)に「コンピュータの起動」の意味が生じ、固定して動かない状態を指したfastが「速い」を意味するようになるなど、一見理解しがたい変化もある。しかし、こうした変化は、ランダムにおこったのではなく、何らかの連想関係が存在するのだ。英単語の多様な意味をつなぐものとは何か。その秘密に迫る。
  • 本居宣長 文学と思想の巨人
    4.4
    漢意を排斥して大和魂を追究し、「物のあはれを知る」説を唱えたことで知られる、江戸中期の国学者・本居宣長。伊勢松坂に生まれ、京都で医学を修めた後、賀茂真淵と運命的な出会いを果たす。以来、学問研究に身を捧げ、三十有余年の歳月を費やし『古事記伝』を著した。この国学の大成者とは何者だったのか。七十年におよぶ生涯を丹念にたどりつつ、文学と思想の両分野に屹立する宣長学の全体像を描き出す。
  • フランクフルト学派 ホルクハイマー、アドルノから21世紀の「批判理論」へ
    3.9
    ホルクハイマー、アドルノ、ベンヤミン、フロム、マルクーゼ……。一九二三年に設立された社会研究所に結集した一群の思想家たちを「フランクフルト学派」とよぶ。彼らは反ユダヤ主義と対決し、マルクスとフロイトの思想を統合して独自の「批判理論」を構築した。その始まりからナチ台頭後のアメリカ亡命期、戦後ドイツにおける活躍を描き、第二世代ハーバーマスによる新たな展開、さらに多様な思想像の未来まで展望する。
  • 日本恋愛思想史 記紀万葉から現代まで
    3.5
    日本人はどのような恋愛をしてきたのか――。記紀万葉の時代から公家文化、武家文化、町人文化の時代を経て、近代の恋愛結婚至上主義、戦後の純潔教育、性の解放へ。恋愛研究の第一人者である作家・比較文学者が、古今東西の文献を博捜し、古典的名作から戦後の通俗小説、映像作品まで目配りしつつ圧倒的なスケールで描く、比較恋愛思想史の決定版。『〈男の恋〉の文学史』以来一五年におよぶ研究の集大成。
  • フランス文学講義 言葉とイメージをめぐる12章
    3.8
    近代小説は19世紀以来、「(かけがえのない)個人」に焦点を当てて発達してきた。物語の主人公が、神や王から、ありふれた個人に替わる時、イメージこそが物語の書き手と読み手をつなぐために必須のものとなったのだ。本書では、文学とイメージのかかわりを意識的に追求してきたフランス近代文学を素材に、私たちが物語を通して「見ている」ものは何か、そして書かれているものは何かを考えていく。
  • 農のある人生 ベランダ農園から定年帰農まで
    3.5
    土を踏みしめ、風を頬に感じる。穫りたてのトウモロコシの甘み、キュウリのトゲの痛さを知る。人間が生きていくための最も根源的な営み、脳と体をフル回転させる高度な仕事、それが農業である。だが日本の農業の担い手は減る一方だ。いまこそ農のある暮らしを始めよう。手軽なベランダ農園や市民農園から、クラインガルテン、週末農民。さらに農を極めたい人のために半農半X、定年帰農という可能性へいざなう。
  • 古事記誕生 「日本像」の源流を探る
    3.0
    今からちょうど千三百年前、『古事記』が誕生した。令の制定や平城京遷都など、古代日本の急速な近代化が進められるなかで、なぜこのような「時代に遅れた書」が作られたのか。縄文・弥生時代に遡る神話が、国家成立期にまで生き残ったのはなぜか。「記序」贋作説を検証しながら分析する。さらに、アメノイワヤト神話を例に、歌垣、酔っぱらい体質、銅鏡と鉄鏡の違いなど、多様な視点から新旧の層に区分けして解読する。
  • 町内会 日本人の自治感覚
    -
    昭和二十二年、訓令によって廃止された町内会は、三か月後にはその八割が復活した。アメリカが自国の自治の理念を日本に移植しようとした試みは成功したといえるのだろうか。内務省と占領軍民政局との間の交渉経過は、そのまま日米両国の社会構造と人間関係の規範の原理的差異を浮かび上がらせた。戦後史を通じて日陰の位置にあった日本伝来の隣保組織のなかに、借り物ではない自治の可能性を虚心に探り始めた犀利な日本社会論。
  • 自然を捉えなおす 競争とつながりの生態学
    4.0
    私たちの身の回りにある「自然」とはなんだろうか――。科学としての生物学・生態学=エコロジーの基本から説き起こし、適応と競争をキーワードに進化論とつながりのバランスを解説し、現代生態学の立場から自然を捉えなおす。コウノトリ野生復帰プロジェクトに取り組む著者が、生物多様性の保全、健全な生態系の維持という喫緊の課題を視野に入れつつ、エコロジカルな視点から自然と人間、地域のあるべき姿を提示する。
  • 恐怖の正体 トラウマ・恐怖症からホラーまで
    3.9
    うじゃうじゃと蠢く虫の群れ、おぞましいほど密集したブツブツの集合体、刺されば激痛が走りそうな尖端、高所や閉所、人形、ピエロ、屍体――。なぜ人は「それ」に恐怖を感じるのか。人間心理の根源的な謎に、精神科医・作家ととして活躍する著者が迫る。恐怖に駆られている間、なぜ時間が止まったように感じるのか。グロテスクな描写から目が離せなくなる理由とは。死の恐怖をいかに克服するか等々、「得体の知れない何か」の正体に肉薄する。
  • インド―グローバル・サウスの超大国
    4.0
    人口で中国を上回って世界一に、GDPでも英仏を抜き第5位に。近年では「グローバル・サウス」と呼ばれる新興国・途上国のリーダーと目されることも増えたインド。複雑化する国際政治のなかで展開する独自外交も注目されている。長くインドを研究する経済学者が、財閥の盛衰や成長を続けるIT産業などビジネス面から、米・中・ロとの外交の検証、さらには格差問題の現状、日印関係の今後まで幅広く解説する入門書。
  • カラー版 美術の愉しみ方 「好きを見つける」から「判る判らない」まで
    3.0
    絵に殉じたゴッホの筆遣い、色彩を見極めたセザンヌの眼、人間の生命を彫像にしたロダンの手。優れた絵画・彫刻は、作家の感性と知性が結晶した永遠の芸術である。東西の名品を堪能できる現場が美術館や展覧会だ。本書は、関心を開く・好きを見つける・読む・比べる・敷居をまたぐ・参加する・判るという7つの視点から、読者を現場にいざなう。80点のカラー図版とともに、美術体験の感動に迫り、愉しみ方を伝授する。
  • 隋―「流星王朝」の光芒
    -
    五八一年に誕生した隋王朝。五八九年には文帝楊堅が南朝の陳を滅ぼし、長き分裂の時代に終止符を打った。草原、華北、江南に君臨する帝国の誕生である。二代目の煬帝は大運河を築き親征を行い、帝国を拡大したが、高句麗遠征に失敗して動乱を招き、六一八年には唐に滅ぼされた。南朝、高句麗、突厥といったライバルが割拠したユーラシア大陸東部の変動を視野に、北方から興隆し、流星のように消えた軌跡を描く。
  • 水と緑と土 改版
    4.3
    かつて日本人は自然を愛し自然に対応して生きる民族だった。それがなぜ現在のように自然を破壊するようになったのか。伝統的な自然観との断絶の跡をふりかえり、自然と人間社会とのバランスを崩した土地利用が何をもたらしたかを、水害、水不足、熱公害、大面積皆伐などの具体的事例から追究する。土壌の生産力こそ真の資源であり、それを失った文明は必ず滅亡するという警告は、日本人に深い反省を促さずにはおかない。
  • 飛鳥の木簡―古代史の新たな解明
    4.0
    かつて日本古代史は、『日本書紀』『古事記』や中国の史書に頼らざるを得なかった。だが一九九〇年代後半以降、三万点以上に及ぶ飛鳥時代の木簡の出土が相次ぎ、新たな解明が進み始める。本書は、大化改新、中国・朝鮮半島との関係、藤原京造営、そして律令制の成立時期など、日本最古の木簡から新たに浮かび上がった史実、「郡評論争」など文献史料をめぐる議論の決着など、木簡解読によって書き替えられた歴史を描く。第2回古代歴史文化賞大賞受賞作。
  • モンシロチョウ キャベツ畑の動物行動学
    5.0
    モンシロチョウはどうやって結婚相手を見つけるのか? アオムシ嫌いの青年が、なぜか研究を始めることになった。乏しい予算で実験機器を自作し失敗をくり返すなかで、チョウが競争相手に競り勝ち、子孫を残すしくみを次々と解明してゆく……。動物行動学に画期的な影響をもたらした著者が、チョウの生態をやさしく解説する。また思い通りに行かない実験や国際学会でのハプニングなど、研究者の素顔をユーモラスに語る。
  • 小児がん チーム医療とトータル・ケア
    4.5
    小児がんは医学の進歩によって七〇~八〇パーセントの症例で治癒が見込めるようになった。しかし、三歳以上の子どもの死亡原因のなかでは、事故に次ぐ第二位の座をいまだに占めている。小児がんは大人のがんとどこが違うのか。どういった種類があるのか。そして、小児がんになった子どもに対して、まわりの大人はどのようにサポートすべきだろうか。症例コラムを交え、緩和ケアや家族への対応についても考察する。
  • バイオポリティクス 人体を管理するとはどういうことか
    3.6
    人の命はいつはじまるのか--この問いがアメリカで大統領選挙の争点となり、ヨーロッパで法制化が急がれる原因となっているのはなぜか。臓器移植や人体商品の売買が南北問題を激化させ、韓国で起きた科学史上稀に見るスキャンダルも、そうした動きの一例として位置づけられる。今や生命倫理は政治問題となったのだ。生命めぐる急速な技術革新と人類の共通感情との間にあるギャップを埋めるために必要な視座を提示する。
  • 言霊とは何か 古代日本人の信仰を読み解く
    3.3
    古代日本人は、ことばには不思議な霊威が宿ると信じ、それを「言霊」と呼んだ。この素朴な信仰の実像を求めて、『古事記』『日本書紀』『風土記』の神話や伝説、『万葉集』の歌など文献を丹念に渉猟。「言霊」が、どのような状況でいかなる威力を発揮するものだったのか、実例を挙げて具体的に検証していく。近世の国学者による理念的な言霊観が生み出した従来のイメージを覆し、古代日本人の信仰を描き出す。
  • 労働政治 戦後政治のなかの労働組合
    3.8
    労働政治とは、労働者の利益が政治の世界で実現されるプロセスを意味する。日本の労働組合は、利益実現に際して経済合理性を有する路線を取ることで、戦後の成長と安定に大きく貢献し、一九八九年には連合の結成によって悲願の「統一と団結」を実現した。しかしその後、その存在感は薄くなり、連合自体にも行政改革・構造改革への積極性が見えない。歴史を溯り、労働者と政治の関係を利益団体政治の視角から検証する。
  • 信長の天下所司代 筆頭吏僚村井貞勝
    3.6
    元亀四年に足利義昭を追放した後、信長は「天下所司代」を置き、京都支配を行った。本能寺の変までの九年間、一貫してその任にあったのは村井貞勝である。彼は信長の絶大な信頼を得て、市政から朝廷・公家との折衝までを一手に担い、ルイス=フロイスからは「尊敬すべき異教徒」と呼ばれた。武功とは無縁の吏僚でありながら有能を認められて「天下」=京都を仕切り、織田政権の要となった村井貞勝の活躍に光を当てる。
  • 天皇家の恋愛 明治天皇から眞子内親王まで
    3.3
    明治天皇まで多妾が容認された天皇家は、一夫一婦制、子どもを家庭で養育する近代家族へと大きく変わった。これは、恋愛結婚で家庭をつくった戦後の明仁皇太子・美智子妃からとされる。だが、実はそれ以前、大正・昭和の皇后をはじめ多くの皇族たちが、近代家族をめざし、その時代なりの恋をしていた。本書は、明治以降、上皇夫妻や眞子内親王まで、皇室の150年に及ぶ歴史を、さまざまな恋愛を切り口に描き出す。
  • 司馬遼太郎の時代 歴史と大衆教養主義
    4.2
    『竜馬がゆく』『坂の上の雲』など、売上げが累計1億冊を超える大ベストセラー作家司馬遼太郎(1923~96)。日本史を主たるテーマに、人物を個性豊かに、現代への教訓を込めて記した作品は、多くの読者を獲得。「司馬史観」と呼ばれる歴史の見方は論争ともなった。本書は、司馬の生涯を辿り、作品を紹介しつつ、その歴史小説の本質、多くの人を魅了した理由を20世紀の時代とともに描く。国民作家の入門書でもある。
  • 肺の生活習慣病(COPD) 咳、痰、息切れを疑う
    -
    咳が出れば風邪のせい、息切れが起これば年のせい――と、私たちは軽く考えがちだ。しかしその陰に肺の重大な疾患COPDが隠れているかもしれない。症状が喘息など他の疾患と似ているため医師でも気がつかないことが多く、潜在的患者数は糖尿病を上回る数百万人といわれる。正しい治療を受けなければ治癒は遅れ、医療費はかさみ、患者・家族の生活の質の低下は免れない。COPDとどう向き合えばいいのか。診断と治療、予防法を紹介する。
  • 女学校と女学生 教養・たしなみ・モダン文化
    3.9
    旧制高等女学校の生徒たちは、戦前期の女性教養層を代表する存在だった。同世代の女性の大多数とはいえない人数であったにもかかわらず、明治・大正・昭和史の一面を象徴するものだったことは疑いない。本書は、彼女たちの学校教育、家庭環境、対人関係の実態を検証する試みである。五〇年弱しか存在しなかったにもかかわらず、消滅後も、卒業生たちの思想と行動をコントロールし続けた特異な文化の再発見。
  • 浄土思想 釈尊から法然、現代へ
    3.8
    阿弥陀仏の極楽浄土に往生し、悟りをえて成仏を目指す浄土教。浄土宗、浄土真宗、時宗などの宗派が属し、日本で最も信者数が多い。なぜこれだけ多くの信仰を集めたのか――。本書は、教えの広がりを「物語の力」に着目する。衆生を救うため誓いをたて阿弥陀仏になった「法蔵説話」、家庭不和を主題とする「王舎城の悲劇」などの経典に描かれた話、法然や親鸞ら開祖の物語を読み解きながら、その思想の本質に迫る。
  • 足利将軍たちの戦国乱世 応仁の乱後、七代の奮闘
    4.3
    足利将軍家を支える重臣たちの争いに端を発した応仁の乱。その終結後、将軍家は弱体化し、群雄割拠の戦国時代に突入する。だが、幕府はすぐに滅亡したわけではない。九代義尚から十五代義昭まで、将軍は百年にわたり権威を保持し、影響力を行使したが、その理由は何か――。歴代将軍の生涯と事績を丹念にたどり、各地の戦国大名との関係を解明。「無力」「傀儡」というイメージを裏切る、将軍たちの生き残りをかけた戦いを描く。
  • ジェンダー格差 実証経済学は何を語るか
    4.0
    歴史・文化・社会的に形成される男女の差異=ジェンダー。その差別には近年批判が強く集まる。本書は、実証経済学の成果から就業、教育、歴史、結婚、出産など様々な事柄を取り上げ、格差による影響、解消後の可能性について、国際的視点から描く。議員の女性枠導入=クォータ制が、質の低下より無能な男性議員排除に繫がる、女性への規範が弱い国ほど高学歴女性が出産するなどエビデンスを提示。旧来の慣習や制度を問う。
  • オットー大帝―辺境の戦士から「神聖ローマ帝国」樹立者へ
    4.0
    カール大帝の死後、フランク帝国は3分割される。そのひとつ、東フランク王国の貴族の子として912年に生まれたオットーは、父による東フランク王位獲得の後、936年、国王に即位する。東方異民族による度重なる侵攻、兄弟や息子たちの叛乱、3度のイタリア遠征と、その生涯は戦役の連続だった。カール大帝の伝統を引く皇帝戴冠を受け、のちに神聖ローマ帝国と称される大国の基盤を築いた王者の不屈の生涯を描く。
  • 感染症の中国史 公衆衛生と東アジア
    3.7
    一九世紀末、列強に領土を蚕食されるなか、中国では劣悪な栄養・衛生状態、海外との交流拡大によって、感染症が猛威を振るう。雲南の地方病であったペストは、香港や満洲に拡大し、世界中に広がることになる。中国は公衆衛生の確立を迫られ、モデルを帝国日本に求める。本書は、ペスト、コレラ、マラリアなどの感染症被害の実態、その対応に追われる「東亜病夫」と称された中国の苦悩とその克服に挑む姿を描く。
  • 法と社会 新しい法学入門
    4.2
    社会においては個人の行動を規制し、秩序を維持していくことが不可欠であるが、これは主として「社会化」および「社会統制」という過程を通じて行なわれる。本書は、法を社会統制のための特殊な技術とみる立場からその社会的機能を論じ、法と他の文化領域――言語、神話、宗教、道徳などとの関係を明らかにする。古代社会や未開社会における社会秩序の問題にも考慮がはらわれており、従来の書とはやや異なった法学入門である。
  • 板垣退助 自由民権指導者の実像
    -
    「板垣死すとも自由は死せず」の言で名高い板垣退助(1837~1919)。戊辰戦争で官軍の指揮官として名声を得た彼は、維新後、政権に参画するも西郷隆盛らと下野。民選議会設立を求め自由民権運動に邁進し、日本初の全国政党・自由党を結成する。議会開設後は第一党のトップとして藩閥政府と対峙。のちには大隈重信と初の政党内閣を組織した。多くの大衆から愛され、近代日本に大きな足跡を残した志士の真実。
  • 月経のはなし 歴史・行動・メカニズム
    3.9
    毎月一回、女性に訪れる月経。この生理現象が彼女たちの体・心・行動に与える影響は大きい。だが、男性は実際の様子をほとんど知らず、女性もその深い実態を理解しないまま、毎日を過ごしている。本書は、苦痛のやわらげ方や病気との関連といった基礎知識から、魔女狩りをはじめとするタブーの歴史、犯罪や自殺との関連といった文化面までを取り上げる。産婦人科学の第一人者がやさしく語る、この身近な“神秘”の世界。

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