日本の有権者を対象として、投票に関わる様々な環境要因を実証分析により明らかにし、低投票率という状況を改善するための示唆を提示。具体的には、投票のベネフィットとコストに着目し、投票のコストに関連する環境要因としては投票所の数、投票可能な時間枠や日数の設定を取り上げ、投票のベネフィットン関連する環境要因
...続きを読むとしては投票啓発活動、地方と都市の議員定数配分不均衡、新党の参入、女性議員の参入を取り上げている。
実証分析に手法や結果に納得性があり、低投票率の改善に向けた政策的含意にも富んだ良書。特に、選挙当日投票所数の減少の負の影響は期日前投票所数の増加の正の影響を上回るということ、議員定数不均衡が投票率と関係しているということなどは目から鱗だった。
また、本筋の議論と分けて、実証分析の手法等はコラムにまとめるなどの工夫がされており、非常にわかりやすく、読みやすかった。