人はなぜ結婚するのか 性愛・親子の変遷からパートナーシップまで

人はなぜ結婚するのか 性愛・親子の変遷からパートナーシップまで

990円 (税込)

4pt

4.0

結婚のあり方が大きく揺らいでいる。離婚・再婚、選択的夫婦別姓、共同親権、同性婚、パートナーシップ、事実婚、生殖補助医療、養子縁組……。リベラル派と保守派に分断され、個々の論点についてすれ違う議論がなされがちななか、本書では共同性、性愛関係、親子関係の3点で議論を整理し、一貫した視点から本質とこれからを見通す。結婚をめぐる自由化がもたらす「しんどさ」も指摘する。本質を知りたい人のための羅針盤。

はじめに――議論の見通しをよくするために

1章 結婚のない社会?
結婚には歴史的にどういう意味があったのか
母子関係と父子関係
結婚制度は消滅するのか
父親のいる社会、いない社会
母系社会における結婚
結婚のない社会は設計可能か

2章 結婚はどう変わってきたのか
結婚の意味を探求してみよう
愛かお金か
生殖から性愛へ
家長の力が強かった時代
家族が会社組織のようだった時代
結婚は社会に埋め込まれていた
性別と性愛をめぐる言語表現
家族から「仕事成分」が抜け出した時代
結婚観の変化と同性婚
結婚を問い直す哲学的な考察

3章 「結婚の法」からみえる結婚の遷り変わり
自由婚はほんとうに自由か
国や支配者が結婚に介入する理由
現代の秩序維持と人口コントロール
法規制は何のためにあるのか
事実婚以上、法律婚未満
結婚の入口要件
婚姻期間中の要件(共同性)
結婚の出口要件(離婚)
有責離婚から無責離婚へ
「内部化」する現代の結婚
同性婚は結婚の法をどう変えたか
結婚と性愛関係の結びつきは強いのか
事実婚と法律婚

4章 同性婚、パートナーシップ、事実婚
結婚とシビルユニオン
分業する核家族
近代的な結婚の意義
保護対象とされた女性と子ども
選択肢としての結婚へ
結婚のベネフィットは何か
相続における法律婚と事実婚の差
政府の方針や民間企業の都合
なぜ性愛関係に基づいた結婚をするのか
シビルユニオンの登場
PACSと性愛関係
シビルユニオンの特徴
三つの共同性の違い
制度と実態のギャップ

5章 結婚と親子関係
結婚の争点は親子関係にもある
結婚と父子関係の確立
DNA鑑定はどのような影響を及ぼすか
生殖補助技術と親子関係の複雑化
親の複数性をもたらすパターン
代理懐胎をめぐる課題
養子縁組とブレンドファミリー
さまざまな「親子関係」の内実
「親性」を構成する要素とは
一律判断から個別配慮の時代へ
同性婚における親子関係
同性カップルが子を持つ事例
親子関係の制度がめざすところ

6章 乗りこえられるべき課題としての結婚
オプション化する結婚
共同性のコスト
自由という不自由
倫理的問題と行政・司法コスト
保守的な価値観
差別問題の難しさ
厄介な固定観念
選択肢が多いがゆえの悩み
リベラルと保守の対立を再考する
同じ方向を向いて議論をするために

7章 残された論点
前近代の結婚
前期近代の結婚
後期近代の結婚
非性愛的共同性はなぜ稀なのか
同類婚の謎
成人親子関係と結婚
姓の問題(選択的夫婦別姓)
複婚の可能性
共同性を広く持てる社会とは

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人はなぜ結婚するのか 性愛・親子の変遷からパートナーシップまで のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    おもしろい❕
    結婚という制度(あるいは関係性?)について周縁も含めて網羅的に、かつドライに書かれていて「結婚の入門書」としてかなりいい気がする

    「「政府は、お二人の関係を登録する法律婚というメニューもご準備しておりますので、適宜必要に応じてご利用ください。登録するといいこともありますが、かわりに義

    0
    2025年11月06日

    Posted by ブクログ

    ジェンダーや昨今の結婚に関する政策の勉強に。結婚という人間の生活に強く結びついた行動なだけに、難解だった。文化や時代によっても結婚という考え方に大きな差が生まれ、現代の自由な結婚であっても前時代的な考えも交わり、複雑怪奇な状態にあると学んだ。一回読むだけでは全てを理解できなかったので、また機会があっ

    0
    2025年07月02日

    Posted by ブクログ

    「なぜ結婚するのか?」というメンヘラのような問いに対して時代とともに移り変わる役割や機能をかなり真面目に考察した学術的な本。
    著者は結婚の機能と変化を「共同性」と「内部化」という言葉を使って説明している。当初、結婚は父子関係の割当にあった点を踏まえ、そこから結婚の成分が「仕事」「生殖」「性愛」と変化

    0
    2025年11月28日

    Posted by ブクログ

    「結婚」に関する現行の法制度や、その意味の社会的変遷、そこから生まれた新しい価値観を概観する一冊。

    同性婚や夫婦別姓など、近年政治的キーワードして挙げられるようになってきた事柄にも触れている。ただ、ここではその周縁の制度や問題点を抽出し眺めるに留まっているため、特に夫婦別姓については日本の戸籍制度

    0
    2025年11月28日

    Posted by ブクログ

    常識だと思われていることが時代と社会の変化によって、変化してきて、これからも変化していくものだと認識できるのは、痛快だ。
    父系社会に於て、父親に子供を割り当てる意味が大きかった結婚は、前近代では家の経営や生産のためになされるもので、性愛は内部に含まれていなかった。それが近代に入り、資本主義的な生産体

    0
    2025年09月21日

    Posted by ブクログ

    近代以降の「結婚」の変遷を辿ることを通じて、現代における結婚の意味の再検討と今後の展開を展望する。著者によれば、近代では当事者が帰属する社会の集団活動の維持のために結婚が利用されていたが、現代ではそのような外的・合目的な理由づけは希薄となり、結婚は当事者間の内的な動機のみに基づいて選択されるようにな

    0
    2025年08月31日

    Posted by ブクログ

    結婚というものに対して、概念的に歴史史実的に法律的になど様々な角度で議論がされている点は勉強になったと感じたが、明確な筆者の主張は内容に感じた。
    私が社会学系の新書になれていないが、タイトルに対する回答が見受けられない点が気になった

    0
    2025年11月02日

    Posted by ブクログ

    シビルユニオンとか知れてよかった
    疑問の提示がわかるわかるという感じだったけど、結局答えはないのか~という読後感だった記憶

    0
    2025年08月17日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    独身未婚中年男性の自分が読んでみました。

    結婚を難しく考えるとこうなるんだな、と思いました。これは悪い意味ではなく、分析がすごく的確であると感じ、なおかつ、あらゆることが高度に複雑化した現代社会において、結婚もまたそうであるのだなと思いました。

    それもあって、本文を読んでいるときは星3つかなと思

    0
    2025年08月13日

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