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Posted by ブクログ
第7章の兵庫知事選分析は読み応えある。
争点選挙成立の条件
①有権者が何が争点かわかっている
②有権者がその争点に関して自身の意見を持っている。はっきりした立場を表明できず中庸な意見しか言えないのはダメ。
③候補者が争点に対して明確なスタンスを表明している。
①から③を満たす選挙は殆ど無いとのこと(ガクッ)
民度って言葉はひとくくりにラベル貼ってる感じで使われるからキライ。作者も民度という言葉は新聞ではあまり使われない、口にするのをはばかられる言葉、と言いながら民度、民度と言う。でも作者の考える民度と俗に使われる民度はちょっと違う気がした。
Posted by ブクログ
・民度は政治的文脈でも使われる。
①政治に対する積極性。「投票率が高いと民度が高い」
②政治選択に関わる方向性の違い。「A党支持者にとって、A党を支持する地域は民度が高い」
・後者が、この本の分析で分かったこと。党派性と民度が結びつく。無党派層の多い日本では意外かもしれないが。そして、「否定的党派性」にも目配せすると、実は党派性に基づく判断を人々はしている。
・特に中選挙区制から小選挙区制の選挙制度の変化は、政党の復活に寄与している。党派性を生み出した。
・党派性に基づく判断は悪くないかもしれない。しかし、寛容性を失うと分極化にもつながる。
・ただ、それを「意識」の問題に帰結しないこと。
・投票率の高さ低さは、意識だけではない。投票にかかるコスト、制度もそうだろう。意識改革ではなくコストを下げること。啓発だけでは解決しない。
・若者の低投票率を意識のせいにしては、若者の意欲の低下を引き起こす。
感想だが、「民度」という概念に苦しんだんだろうな、ということが感じられた。
「民度」という概念と政治学の概念を結びつけるのが難しかったんだろうな、というのが随所に感じられた(生成AIまで用いていたので・・・。)。民度というふわっとした言葉を有権者の投票行動と関連付けて着地させているような感覚を覚えた。
ただ、侮蔑的に用いられる「民度」という言葉の輪郭を掴めた感覚がある。「民度」と分極化は深く関わる概念というか、分極化している中で使われるようになった言葉なのだろうと思う。
筆者は、中選挙区制から小選挙区制の選挙制度の変化は、政党の復活に寄与している。党派性を生み出したとしているが、逆に「政党」が大きすぎになってしまった感もあると思う。政党が大きくなりすぎたことで、有権者と政治家の距離が離れ、結果的に政党の距離が離れてしまった。政党は不安定な有権者の支持によって立つしかなく、そうなれば分極化は容易に起こりうる。
筆者は、こうした分極化の問題や投票率の低さを「意識」の問題にしてはいけないと述べており、それはその通りだと思う。投票率の方は、確かに仕組みで何とかなると思うけど、分極化の方はどうすればいいのだろうか。「寛容の精神」だけではどうにもならない。
Posted by ブクログ
「民度」をキーワードに、様々な方法論やデータを駆使した分析を行い、日本の民主主義の現在地を描き出す。
自分は「民度」という言葉を聞いたことも使ったこともあるが、それは政治的な文脈の中だったので、「民度」という概念は政治的性格を帯びて用いられてきたという本書の主張には納得であり、辞書や生成AIによる「民度」の説明には政治的な意味が出てこないというのがむしろ意外だった。
投票率と参加コストの関係、否定的党派性の議論、若年層の政治的態度・能力についての実態とイメージの乖離など、取り上げられているトピックはどれも興味深く、また、日本政治の今後を考えるに当たって示唆に富んでいた。(ただ、若年層が一定の政策的知識を持っていることの根拠が「選択的夫婦別姓」の内容を知っているかということだったが、それは字面からも十分推測可能であり、根拠として弱いのでははないかなど、分析の妥当性に疑問のある部分も少しあった。)
とりわけ、2024年兵庫県知事選の分析が印象深かった。自分も2024年兵庫県知事選の結果に大いにショックを受けた一人だが、有権者の多くは政策に基づいて投票先を選択していた可能性が高いとの指摘にははっとさせられた。一方で、同選挙では、有権者の間での感情的分極化が相当程度高まっていて、認知の歪みや陰謀論の受容につながっていたという指摘には、やはりなと思うところがあった。この2024年兵庫県知事選から得られた知見や教訓も踏まえ、著者の言うように、我が国における「民度」を問い続けることが必要であろう。
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