社会学者によるポピュラー音楽論。
ポピュラー音楽といっても、ロック(英米と日本)が中心で、わたしがリアルタイムで聴いてきたようなものが多数トピックにあがっている。
著者は、83年の生まれなので、60〜70年代の音楽は、リアルタイムには聴いてないはずだが、音楽の捉え方にそんなに違和感はない。なんと
...続きを読むなく、感じていたことを整理してくれるような感じかな?
なんで、そんなこと知っているの?という驚きもある。
社会学者なので、単なる音楽の解説でおわらず、背景として、当時の時代背景、社会階級の状況などを読み込んで分析していく。そのあたりが、もっともらしいというか、やや面倒臭い感じではあるが、なるほどと納得させられるところもある。
音楽それ自体ではなくて、それをどう語るかという観点での文章だが、雑誌Rockin' Onについての論考が、一番面白かったかな?わたしはその雑誌は、70年代の終わりに1〜2年読んだくらいなので、その一部しかわからないのだが、雑誌のもつなんとなくの雰囲気はわかるし、創刊時や、80年代初めくらいの同誌の編集方針の変更については知らないことも多く、面白かった。
で、著者のメッセージは、言葉をかえていうと、「音楽というものはこういうものだ」という考えは、しばしば実体のない社会的構築なわけで、その辺をわかったうえに、いろいろな音楽を楽しんでみたら?みたいなことかな?
ここは共感するものの、それにしては取り扱っている音楽のジャンルがやや狭い気もする。(でも、結構、オタクネタまで取り扱ってくれるので、本としては、これでよかったのかな?)
巻末の音楽関係のマップがなかなか面白い。