加藤喜之の作品一覧
「加藤喜之」の「福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「加藤喜之」の「福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
Posted by ブクログ
帯のトランプ大統領の隣にいる女性が不気味だ。
第二次トランプ政権も折り返しとなる2026年の中間選挙を控えるなか、イラン情勢も全く解決のめどが立たず世界は混乱のただなかである。個人的には強い違和感を覚えるトランプが、なぜ大統領に返り咲けたのか、その主要な要因の一つに福音派の暗躍があるという。福音派の誕生から現在の隆盛までを包括的に論じた昨年2025年話題の新書である。
アメリカには、多様性や寛容さを重んじる「自由の国」というイメージがある。しかし、キリスト教原理主義や福音派右派の一部の価値観では、家父長制とミソジミーとレイシズムという保守的な考え方が称揚されている。アメリカのイメージとは全く真逆の価値観が一定数支持されているというのは驚きである。
一方で、ブラック・ライヴズ・マター(BLM)やMe too運動のようなマイノリティーが声を上げる発信源となるのもアメリカである。一部の福音派にみられる白人至上主義との対立のなかで、具体的な抑圧や不利益が表面化しやすい社会構造なのかもしれない。しかし、決して完全に解決することが困難な問題であるから、常に議論が浮上してくるのだろう。
本書は、決して一枚岩ではないアメリカ像の一端を垣間見ることができる。自由で多様なアメリカというイメージとは乖離した、もう一つの顔を知る機会となった。
まさに福音派と強く結びつく政治言説を掲げるアメリカ大統領が強権を振りかざしている現代だからこそ、ここまでに至る背景を学ぶことに意義があると感じる。
Posted by ブクログ
本書は、福音派という日本人には捉えにくい宗教勢力を、神学だけではなく政治との関係史という切り口から通時的に整理した、優れた入門書です。
トランプ現象を「突然の異常事態」と見るのではなく、半世紀以上続くアメリカ政治の流れの中に位置づける視座は、アメリカ政治、ひいては国際政治を理解するうえで大きな助けになります。
いまアメリカで起きていることを単なる「トランプ現象」として見るのではなく、その底にある宗教、歴史、喪失感、そして終末論まで視野を広げて考えるための、非常に有効な補助線を与えてくれます。
アメリカ政治のニュースをただ追うだけでなく、その底流まで理解したい人に、強くおすすめしたい一冊です。
【目次】
まえがき
序 章 起源としての原理主義
第1章 「福音派の年」という転換点――1950年代から70年代
1 原理主義者と福音派のはざまで
2「福音派の年」とカーター大統領
3 終末に生きる選ばれし者たち
第2章 目覚めた人々とレーガンの保守革命――1980年代
1 政治的な目覚め
2 モラル・マジョリティの誕生
3 レーガン政権と福音派のせめぎ合い――保守革命の裏で
第3章 キリスト教連合と郊外への影響――1990年代
1 パット・ロバートソンの政治戦略
2 フォーカス・オン・ザ・ファミリーと伝統的家族観
3 クリントンの信仰と六〇年代の精神
4 ウォルマートとメガチャーチの止まらぬ拡大
第4章 福音派の指導者としてのブッシュ――2000年代
1 ボーン・アゲイン大統領とネオコンの思惑
2 九・一一と小説のなかの終末論
3 信仰の公共性
4 スキャンダラスな福音派と右派の失速
第5章 オバマ・ケアvs.ティーパーティー――2010年代前半
1 初の黒人大統領と福音派左派
2 オバマ・ケアと中絶問題
3 ティーパーティー運動
4 アメリカ建国偽史
5 高まる人種間の緊張
第6章 トランプとキリスト教ナショナリズム――2010年代後半~
1 白人とイスラエルの味方として
2 保守化する司法と中絶・同性婚問題
3 キリスト教国家と非宗教者
終 章 アメリカ社会と福音派のゆくえ
あとがき
主要参考文献
略年表
主要人名索引