作品一覧

  • 不正義とは何か
    -
    1巻3,520円 (税込)
    被害者の視点を無視する政治に価値はない.感情や主観による声を切り捨ててきた従来の政治理論を批判し,名もなき市民による「不正義の感覚」こそが民主主義を成立させる理由を明快に説き起こす.「恐怖のリベラリズム」で知られる現代政治哲学の巨人シュクラーによる,もう一つの「正義論」.

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  • 政治哲学講義 悪さ加減をどう選ぶか
    4.5
    1巻990円 (税込)
    正しさとは何かを探究してきた政治哲学。向き合う現実の世界は進むも退くも地獄、「よりマシな悪」を選んでなんぼの側面をもつ。 命の重さに違いはあるのか。汚い手段は許されるか。大義のために家族や友情を犠牲にできるか。 本書はサンデルの正義論やトロッコ問題のような思考実験に加え、小説や戯曲の名場面を道しるべに、「正しさ」ではなく「悪さ」というネガから政治哲学へいざなう。混迷の時代に灯火をともす一書。 【目次】 はじめに 正義論に残された問い  作品で読み解く 第1章 「悪さ加減の選択」―—ビリー・バッドの運命 1 選択のジレンマ性 ジレンマとは何か  損失の不可避性  損失の不可逆性 2 政治のジレンマ性 政治とは何か  公共の利益  利害の対立 3 マシな悪の倫理 マシな悪とは何か  三つの特徴  行為と結果の組み合わせ 4 まとめ――政治の悲劇性 第2章 国家と個人――アンティゴネーとクレオーンの対立 1 偏向的観点と不偏的観点 偏向的観点  不偏的観点 2 不偏的観点と政治 法の下の平等  具体例① 政治腐敗  具体例② 国連活動 3 不偏的観点と個人 インテグリティと政治  国家と個人・再考 4 まとめ――クレオーンの苦悩と悲嘆 第3章 多数と少数――邸宅の火事でフェヌロンを救う理由 1 数の問題 規範理論① 功利主義  特徴① 総和主義  特徴② 帰結主義 2 総和主義の是非 人格の別個性  権利論  権利は絶対的か 3 帰結主義の是非 規範理論② 義務論  マシな悪の倫理・再考  義務論的制約 4 まとめ――ゴドウィンの変化 第4章 無危害と善行――ハイジャック機を違法に撃墜する 1 トロリーの思考実験 具体例ドイツ航空安全法  「問題」前史 2 消極的義務と積極的義務 義務の対照性  優先テーゼ 3 トロリー問題 「問題」の発見  手段原理  航空安全法判決 4 まとめ――制約をあえて乗り越える 第5章 目的と手段――サルトルと「汚れた手」の問題 1 汚れた手という問題 理解①マキァヴェリの場合  理解② ウォルツァーの場合 2 いつ手は汚れるか 印としての罪悪感  罪の内実 3 いつ手を汚すか 指針①絶対主義  指針② 規則功利主義  指針③ 閾値義務論  制度化の問題 4 まとめ――サルトルと現実政治 第6章 自国と世界――ジェリビー夫人の望遠鏡的博愛 1 一般義務と特別義務 不偏的観点・再考  偏向的観点・再考  偏向テーゼ 2 特別義務の理由 理由①道具的議論  理由② 制度的議論  理由③ 関係的議論 3 特別義務の限界 不偏テーゼ  消極的義務・再考  積極的義務・再考 4 まとめ――慈悲は家からはじまり…… 第7章 戦争と犠牲――ローン・サバイバーの葛藤 1 民間人と戦闘員 民間人の保護  戦闘員の保護 2 民間人への付随的損害 二重結果説  民間人か自国民か  具体例 ガザ紛争 3 民間人への意図的加害 個人が陥る緊急事態  国家が陥る緊急事態  偏向的観点・再再考 4 まとめ――戦闘員の信念と部族の決意 第8章 選択と責任――カミュが描く「正義の人びと」 1 選択を引き受ける 規範理論③ 徳倫理学  インテグリティと政治・再考  心情倫理と責任倫理 2 責任を引き受ける 指針①メルロ=ポンティの場合  指針② カミュの場合 3 「悪さ加減の選択」と私たち 民主的な汚れた手  責任を政治的に引き受ける  具体例 アルジェリア問題 4 まとめ――サルトル=カミュ論争 終 章 政治哲学の行方 AIと「悪さ加減の選択」  AI時代の政治哲学 あとがき 読書・作品案内 引用・参考文献
  • 平和主義とは何か 政治哲学で考える戦争と平和
    4.1
    1巻902円 (税込)
    平和を愛さない人はいないだろう。だが平和主義となるとどうだろうか。今日では単なる理想論と片付けられがちだが、実はその思想や実践は多様である。本書は、「愛する人が襲われても無抵抗でよいのか」「正しい戦争もあるはず」「平和主義は非現実的だ」「虐殺を武力で止めないのは無責任」といった批判に丁寧に答え、説得力ある平和主義の姿を探る。感情論やレッテル貼りに陥らず、戦争と平和について明晰に考えるために。第35回石橋湛山賞受賞作。

ユーザーレビュー

  • 政治哲学講義 悪さ加減をどう選ぶか

    Posted by ブクログ

    政治哲学とはそもそもなんであるか、という点ではわかりやすいのはサンデルが取り上げたトロッコ問題などになるだろうが、具体的に突き詰めていくと我々の行動全般に及ぶものとも言える。種々の小説などを導入要素に、政治哲学の本筋を追う議論は、新書として程よい噛み応えがある。再読。

    0
    2025年10月18日
  • 政治哲学講義 悪さ加減をどう選ぶか

    Posted by ブクログ

    マイケル・・サンデルさんの本を読んで
    数珠繋ぎ的に読んだ本
    こういうものをを政治哲学というのか知った

    学校で教わったトロッコ問題の章は非常に面白かった
    運転手・傍観者の転轍機の操作・歩道橋から人を突き落とす
    この3者の選択はどのように悪なのか
    どの道誰かが⭕️亡するには変わりないのではあるが
    功利主義やら正義論やら優先テーゼなど
    色々絡み合ってる感じがよかった

    小説ようにサクサクは進まないが
    興味深い本

    0
    2025年10月10日
  • 政治哲学講義 悪さ加減をどう選ぶか

    Posted by ブクログ

    丁寧に議論を追っていて、まさに「講義」と言った感じ。政治とはつねにジレンマの間にあり、さまざまなしがらみから決定するもの、というふうに理解した。その決定方法についての議論が政治哲学なんだな。「しがらみのない政治」なんてものはいかなる場合でもあり得ないのだ、と改めて考えた。マシな政治を各々がじっくり考えるのによい新書。

    0
    2025年07月16日
  • 平和主義とは何か 政治哲学で考える戦争と平和

    Posted by ブクログ

    ○平和主義=非暴力手段による平和を達成しようとすること
    ・無条件平和主義:100%非暴力
    ・条件付平和主義:原則非暴力、例外あり
    ・絶対平和主義:ずっと非暴力
    ・平和優先主義:例外あり

    ・義務論
    ・帰結主義

    ○非平和主義
    ・正戦論
    ・現実主義
    ・人道介入主義

    とにかくわかりやすかった。

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    2020年11月03日
  • 平和主義とは何か 政治哲学で考える戦争と平和

    Posted by ブクログ

    現在の国際情勢と平和主義(及び非平和主義)に関する現状を詳述し、民主的に非暴力か暴力かを選択する情報を提供したいという筆者の姿勢には完全に賛同するし、その意図はよく伝わってくる。

    が、たぶん筆者が考えている以上に、この内容は難しい。参政権は18歳に引き下げられたが、これを読める高3生はほとんどいないだろうし、当然大学生にとっても状況はそう大きく変わらない。

    本書の目的への共感と、丁寧な仕事への感服が大きいだけに、もっと優しい言葉で、もっと万人に向けたものを、と望まずにはいられない。

    0
    2017年03月25日

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