松元雅和のレビュー一覧
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憲法改正問題がクローズアップされている中、長年の矛盾とされてきた、憲法9条と平和主義の問題。特に「平和のために戦うべきである」という問題をどのように考えるかによって、軍事力との関わり方・立ち位置が定まってくる。本書ではただ「平和主義」の字面だけで片付けることをせず、敢えて「平和主義」の内実を政治哲学的視点で分析し、よく言われる、ただ単なる「平和か武装か」の二元論にすぐに陥ることなく、「平和主義」のバリエーションを細かく且つクリアに提示する。その中で著者が「目指すべき平和主義」も提示されてはいるが、それは「平和主義」をめぐる議論のたたき台として留めておくこともできよう。考えるべきなのは、むしろ
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ネタバレ平和主義、正戦論、現実主義、の3つに加えて、人道介入主義が台頭。
平和主義に対しては、「愛する人が襲われても黙っているのか」という批判がある。これは一種のレトリック。公的問題と私的問題を一緒にしない。私情に訴えている。あり得ない条件を付けているだけで、こういう例を引き合いに出すのは「難事件は悪法をつくる」の例になる。
ガンジーの非暴力不服従主義が平和主義の一例。公的平和主義。公的な暴力行使を許さない。キング牧師にも影響を与えた。
多くの平和主義者は、例外がある条件付き平和主義。
平和主義の2類型=絶対平和主義=個人的信条としての平和主義、と平和優先主義=政治的選択としての平和主義。戦争は -
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「 平和主義とは何か 」 平和主義のあり方を考察した本。本書の立場は 自衛戦争を容認した 平和優先主義。
「愛する人が襲われても(平和主義を貫くのか」「なぜ殺人は禁止なのか」「正しい戦争はあるか」「平和主義は非現実的か」などの考え方を提示。法律家、政治家、メディアから 提示されたことがない主張で 大変 勉強になった。
平和主義とは=あるべき姿
*目的より手段により定義すべき=非暴力手段により平和という目的を達成しようとする主義
*絶対平和主義だけでなく、平和優先主義も平和主義
愛する人が襲われたら(平和主義者への)批判に答える
*戦争否定と 家族を守ることの否定は トリック
*平和主義に -
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安倍晋三が言う「積極的平和主義」の概念がよく分からない。
これまで「積極的平和主義」と言うのは戦争や紛争がなく、
貧困や差別が存在しない社会を作ることだと思っていたのだ
けれどね。
どうも安倍晋三が口にする「積極的平和主義」は私が思っていた
概念と相当のかい離があるらしい。てか、よく分からないんだな。
安倍の言う「積極的平和主義」が。
教えて~。エライ人。
という訳で、「積極的平和主義」は脇に置いておいて「平和主義」
について考えてみた。
本書では平和主義を「絶対平和主義」と「平和優先主義」に2分類
している。これは非暴力の平和主義と条件付き平和主義ってこと
で -
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平和主義・・・
暴力ではなく非暴力によって問題解決をはかろうとする姿勢のこと・・・
暴力に対して暴力で応答しない・・・
他国から侵略を受けても武力に武力で応戦しない!あくまでも外交努力や非軍事的措置で解決するんだ!
うむ・・・
これに対して・・・
他国から攻め込まれたらどうするんだ!?
応戦しないんか!?好き勝手されても何もしないで降参するんか?!攻め込まれたらやり返すだろ!
と平和主義をお花畑ヤロー扱いして批判する人々・・・
暴力に対して暴力で問題解決することを辞さない、こういう考えの人々を非平和主義というんだそうな・・・
本書では、正戦論、現実主義、人道介入主義が対象とされている・・・
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トルストイの『戦争と平和』を読んでいる最中に目に入ったので、手に取る。
とても現実的な視線で書かれた「平和主義」の入門書だと思う。平和主義のパターンを類型化した上で、対象的な立場や、批判的な立場からの反論も検証していく。
タイトルに「政治哲学」とあるように、検証の仕方は論理に論理を重ねていく思考実験的で、私などそれに慣れない人間には読んでいるとちょっと頭が疲れてくるかもしれないが、豊富な引用や例があり文章はわかりやすい。
ただ絶対的に平和を唱えるのではなく、それぞれの利点や主張をバランスよく取り入れ、時は現実を考慮し妥協もしながら、著者はなぜ「それでも」平和主義が現在においても魅力的な主張で -
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政治哲学の見地から見た平和主義の解説。
手法としてはまず平和主義にどのような分類があるか整理したうえで、様々な非平和主義の主張と「対話」するスタイルを取っている。
その結果として
(1)戦争と平和に関する主義・立場について政治哲学的見地から広く理解できる。
(2)非平和主義の主張を紹介し、相対化することで、平和主義の立場をより浮き彫りにすることに成功している。
(3)平和主義の立場に立ちながらも非平和主義の主張を頭ごなしに却下しておらず、読者に考える余地を提供している。
何せ歴史的に議論の積み重ねが非常に多い分野であるから、本書一冊で網羅することは当然かなわないことだが、この分野について