クーデター―

クーデター―

1,155円 (税込)

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4.0

クーデターとは非合法的な政権奪取である。
国際秩序の変動期に「避けられない悪」として頻発するが、昨今またその兆候が著しい。
本書は昭和の動乱期から21世紀のグローバルサウスまで、未遂や失敗例も含め幅広く検証。行動原理や成功要因を解明し、民主主義vs.権威主義vs.イスラム主義、SNSの影響、資源争奪、ワグネルの暗躍など現代の特徴に切り込む。
当事国の民政移管や治安部門改革への支援など、日本の役割も問う。
はじめに
第1章 クーデターとは何か――一撃による非合法の権力奪取
革命との違い/内戦との違い/暴動との違い/テロとの違い/世直しクーデター/第二次世界大戦前――歴史を動かしたクーデター/第二次世界大戦後――クーデター多発の時代/米ソ冷戦後――民主化の遠い道のり/第1章のまとめ

第2章 発生要因と成功条件――成功の見込みと軍の決意
現政権への不満/一般民衆からの支持/権力奪取の見込み/成功条件/軍全体が関与する場合/軍の一派が主導する場合/決起を成功させるための手配/ロシア――鍵を握る諜報機関/北朝鮮――軍の分割統治と二元指揮制度/中国――ポスト習近平をめぐる権力闘争/第2章のまとめ

第3章 21世紀の権力奪取――五つの特徴
民主化運動の軍による横取り/新しいイデオロギー対立の萌芽/携帯電話とSNSの発達/新たな資源争奪戦/民間軍事会社の暗躍/第3章のまとめ

第4章 クーデター抑止策――多角的アプローチの必要性
エリートへ利益を分配する/民衆の不満を抑制する/民主的な政権交代を実現する/政権交代を制度化する/紳士協定を法制化する/軍を分割統治し相互に牽制させる/文民統制を確立する/人事を通じて軍を掌握する/外国軍・平和維持軍の存在を活かす/国際承認と制裁を活用する/新しい抑止策/第4章のまとめ

第5章 決起後の課題――暫定政権の樹立から民政移管へ
秩序回復時の権力の濫用/暫定政権の危うさ/民政移管の失敗例/民政移管の成功例/タイ政治における軍の役割/政軍関係の諸理論/軍に対する文民統制/インドネシアにおける文民統制/フィリピンにおける文民統制/ミャンマーにおける文民統制/民主化における軍の役割/東アジアの事例――韓国と台湾/東南アジアの事例――インドネシアとフィリピン/第5章のまとめ

第6章 治安部門改革――クーデター抑止のメカニズム
治安部門改革の成功例と失敗例/主要な取り組み/クーデター抑止策との関連性/軍の分割統治と相互牽制/法制度整備による文民統制の確立/軍の非政治化/人事権の行使/台湾における文民統制確立の歩み/改革の限界と課題/第6章のまとめ

第7章 2・26事件――歴史から学ぶ教訓
2・26事件とは何か――世界最大規模のクーデター未遂/決起の背景――なぜ事件は起きたのか/決起成功の見込み/敗因①――昭和天皇の決意/敗因②――木戸幸一の輔弼/敗因③――要人拘束の失敗/敗因④――帷幄上奏の失敗/敗因⑤――天皇型政治文化の存在/敗因⑥――政治工作の失敗/敗因⑦――報道・情報操作の失敗/カウンター・クーデターの動き/人事を通じた抑止策/戒厳令の二面性――クーデター抑止か誘発か/現代における戒厳令と緊急事態宣言/21世紀の戒厳令――韓国「12・3」非常戒厳との比較/日本への教訓/第7章のまとめ

第8章 日本外交の支援策――クーデターをなくすために
治安部門改革支援の実績/民主化支援の実績/東アジア人的交流と育成の重要性/東南アジア――軍事交流と民主化支援の強化/アフリカ――技術支援に留まる現状/インド太平洋――クーデター抑止も価値観外交の一つ/グローバルサウス――気がかりなBRICSの動向/第8章のまとめ

終 章 ク ーデターの可能性と限界――民主化への道か混乱か
クーデターのパラドックス(二面性)/世直しクーデター/アフリカのジレンマ――断ち切られぬクーデターの連鎖/日本への示唆現代の私たちへの教訓

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クーデター― のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    それとなく革命とクーデターをほぼ同じ意味で使っていたが、本書では厳密に区別されていて、なるほどと思った。

    0
    2025年11月16日

    Posted by ブクログ

    著者は冒頭で「クーデター」は政権の権力者を一撃で交代させる行為で、それを担うのは支配階層に属する一派だという。革命、内戦、暴動、テロなど、クーデターと似ている行為は、どの点が共通して、どの点で異なるのかをいくつかあげ、実際に起きた世界各国のクーデターの例を本書で紹介する。またクーデターが成功する条件

    0
    2025年08月03日

    Posted by ブクログ

    なんとなく手に取ったが、とてもよかった。こうした新知識との出会いがあるから新書は好きだ。なんとなくつかうクーデターという言葉。革命との違いにまず驚き、その発生要件、抑止策、これまでの事例ととても筋立てがわかりやすい。理論を学んだ後に世界最大クラスのクーデター未遂のニ・ニ六事件を眺めるとただの知識を越

    0
    2025年11月26日

    Posted by ブクログ

    クーデターについてよくもこんなに縦横無尽に語れるものだと感心しかない。クーデターの発生要因から防止策まで広範な議論を読ませてくれた。個々のクーデターの事例について深掘りした次回作があれば読んでみたい。

    0
    2025年11月07日

    Posted by ブクログ

     クーデターのメカニズムから対策・予防策に至るまでを、具体例を交えながら解説した書籍。日本に住んでいる以上クーデターは身近でなく遠い存在であったが、本書に登場する具体例の多さに驚かされた。
     本書で興味深かった箇所に現代日本のクーデター可能性と、日本の支援による他国のクーデター予防が挙げられる。民主

    0
    2025年10月22日

    Posted by ブクログ

    20世紀以降に生じた世界のクーデターを解析し、クーデターの発生要因、成功したクーデターの要件、またクーデターを抑止するための施策を考察する。
    恥ずかしながらクーデターと革命の違いを初めて知った。日本でのクーデターの例として226事件が取り上げられているけど、「軍服を着た百姓一揆」とも評される同事件は

    0
    2025年09月11日

    Posted by ブクログ

    筆者が述べているように、根本的に社会を安定させることこそが肝要である。
    また、軍の分権化だけではなく、究極的に支配関係を解消していくといった平等・分権化についても議論すべき課題ではないか。

    0
    2025年10月07日

    Posted by ブクログ

    クーデターとは非合法に政権をうばう行為であり、一撃で行われるものと定義し、それを詳細に分析する。似たものに革命、内戦、暴動、テロがある。
    クーデターの分析、成功条件、最近の特徴、抑止策、奪取後などいろいろな面からの記述は興味深い。
    尤も、どれもそうだらうねと納得できるが、意外性や驚きはなかった。

    0
    2025年08月26日

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