作品一覧

  • 明治十四年の政変(インターナショナル新書)
    3.8
    1巻913円 (税込)
    明治11(1878)年、大久保利通が暗殺され、日本の舵取りは突如、次の世代――大隈重信、伊藤博文、井上馨、黒田清隆らに託された。彼らに託されたのは議会開設、憲法制定、貨幣制度など、「国のかたち」を作るという難問である。しかし、さまざまな思惑が絡み合い、政権内に不協和音が生じ、「明治十四年の政変」へと発展していく。大隈と福沢諭吉はつながっていた? マスコミに情報をリークしたのは誰か? 黒田がなぜ政権内にとどまれたのか? 五代友厚は官有物が欲しかった? 政変の黒幕は誰なのか? 政変が近代日本に与えたものとは? 「複雑怪奇」と呼ばれる政変にまつわる“さまざまな謎”を、気鋭の政治史学者が鮮やかに読み解く!
  • 帝国議会―西洋の衝撃から誕生までの格闘
    4.0
    1巻946円 (税込)
    1890年11月、貴族院と衆議院からなる帝国議会が誕生した。ペリー来航後、強く主張される「公議」「公論」による政治の一つの到達点である。 体制の安定を第一とした伊藤博文ら政府と、早期設置を求める板垣退助ら自由民権運動の角逐のなか、政府は1881年に9年後の議会開設を約束した。今も昔も政治の世界で9年後の約束が守られることはほとんどない。だが明治政府の面々は、自らの権力を失ってもなお、公議実現のため議会開設を志向し、実現する。 本書は、西洋で200年かかった議会が、どのようにして明治維新から約20年で創られたのか、帝国議会に関わった人々の構想と試行錯誤の軌跡を追う。憲法制定と並ぶ近代日本の一大事業の全貌を明らかにする。

ユーザーレビュー

  • 帝国議会―西洋の衝撃から誕生までの格闘

    Posted by ブクログ

    書いた人の苦労が偲ばれる一冊である。
    内容は近年の中公の維新ものと同様、幕末動向から明治のある一点までを追う記述で構成されるが、その他のものよりも議会・公議というテーマで貫徹して描けているという印象。そのため、筋が追いやすく、事実が把握しやすいため、率直に勉強になる。
    加えて、ところどころに、現代議会への警鐘を促す記述も行きすぎておらず、自省を嫌でも促される。

    最近、特に中公の維新ものを短期間のうちに複数読んでいる中で思っている(どうも同じ編集者の方のようだ)のが、やはり、この時期を明治という国家を作り出した人々の成長過程として見たときにそれらが魅力的であることだ。そして、その過程は、国家自

    0
    2021年09月27日
  • 明治十四年の政変(インターナショナル新書)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    明治10年代の状況は刻々と変化する
    数多くの機構改革を繰り返し、多くの利益、不利益に一喜一憂する国民により、湧き上がる不穏な空気が醸成されている
    陰謀論が好きな作家であれば幾通りの物語をドラマチックに紡ぎだせる

    大久保・木戸亡き時代、政治決断力に欠ける政府は、民衆の憑きあげる不満に耐えかねる累卵の如き危うい状態

    (1)西南戦争軍費調達に不換紙幣を発給してインフレ禍に財政問題が発生する、大隈は積極財政で借財まみれの処、外債を募り切り抜けようとするが、明治天皇すらその手腕や発想に不安を覚えた(神州が外国に買われてしまうぞ)宮廷派は外債を拒む(歴史は松方デフレを用意しています)
    (2)有司専制に

    0
    2021年06月01日
  • 帝国議会―西洋の衝撃から誕生までの格闘

    Posted by ブクログ

     帝国議会そのものは日本史の中においてマイナーな部類に入ると思う。どうしても伊藤博文といった人物や事件に目を奪われる。しかし、その伊藤博文をはじめとした幕末・明治期の人々の求め続けたものこそが「公儀」であり、その結晶こそが「帝国議会」。
     幕府老中・阿部正弘が広く諸大名に意見を求めた事が源流の一つだが、遂に幕府では実現できなかった。帝国議会を設立できるか否かが、幕府と明治政府の明暗を分けたのだろう。そして曲がりなりにも西洋以外で議会を運営できた事によって、列強の一角に上り詰めたと言える。

    0
    2018年11月23日
  • 明治十四年の政変(インターナショナル新書)

    Posted by ブクログ

    明治十四年の政変。

    1881年に起きた、大隈重信を追放する一連の政変である。財務卿として、実力を保有した大隈が追放された政変にも関わらず、高校の日本史の教科書にはごく僅かな記載にとどまっている。

    この政変は実に奇妙で、難しい。

    明治六年の政変のような熱さがないからなのか。

    こういった不可思議な歴史の事象に対して、平易な文で記述された本書は、歴史学を学ぶ、学ぼうとしている人に読んでもらいたい。

    0
    2021年08月10日
  • 帝国議会―西洋の衝撃から誕生までの格闘

    Posted by ブクログ

    幕末維新期を席巻した「公議」という理念の延長線上にあるものとして帝国議会の開設史を描く。従来、在野の自由民権運動の側からの議会開設史が多かったが、本書の視点は、どちらかというと、明治政府の側である。公議所、集議院、左院、元老院といった「公議」を実現するための政府の模索を丁寧に振り返っている。
    ないものねだりではあるが、帝国議会が開設されてからの、帝国議会の有様ももっと知りたかった。

    0
    2019年01月11日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!