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ドイツは第二次世界大戦の敗北後、東西に分裂する。ソ連の影響下、社会主義国として四〇年にわたり存在したのが東ドイツである。東西統一後、東ドイツは、非人道的な独裁政治やシュタージといった秘密警察の監視など、負の側面ばかり強調されてきた。本書は、ベルリンの壁崩壊後に明らかになった史料から、楽観的で無責任な指導部、豊かさを求めて声を上げる民衆など、壁の向こうの実験国家の実態と全貌を描く。
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Posted by ブクログ
「東ドイツ」に関しては、社会主義統一党による独裁的な体制が続き、“シュタージ”と呼ばれた秘密警察が暗躍する監視社会であったと、「何時か解消されなければならなかった筈」な“ネガティヴ”な調子で語られることが多いのかもしれない。が、本書はそういう調子になっているのでもない。社会主義統一党による当地の体制...続きを読むが固まって行くまでの経過等を客観的に説こうとしていて、「東ドイツ」というモノ、その社会や経済の変遷を判り易く示している。 そういうことで、本書は「現時点で、日本語で誰でも読める本として、最も判り易い“東ドイツ”なるものの通史」と言っても差し支えないかもしれないと思う。 幾つかの“選択肢”が在った時期、“転機”となった幾つかの出来事、そうした色々な事を経て「あの体制」になって行った訳だ。そして、これは自身でも「国外からのニュース…」として触れていた記憶が在るが、「西が東を吸収合併」とでもいうような形で現在の「ドイツ」ということになって行った中でも「東ドイツ」では色々なことが在った訳だ。それらが判り易く纏まっている本書はなかなかに好いと思う。 自身でも「西が東を吸収合併」というニュースを覚えている訳だが、「東ドイツ」については「往時を知る、または知り得る人々」が未だ多いかもしれない。何か「歴史」と「少し生々しい人々の記憶」との中間領域のような場所に在る事象かもしれない。他方、「西が東を吸収合併」は「30年も前…」なので「“東ドイツ”を知り得ない人達」も非常に多い。だからこそ、本書のような「客観的に説くことを意識しながら綴られた通史」は貴重で、大きな意義が在ると思う。 現在、ドイツ現地でも「“東”とは??」ということで色々な論点が在るらしい。そういうことが本書の末尾の方で触れられている。未だ「歴史」と「少し生々しい人々の記憶」との中間領域のようでも在る「東ドイツ」かもしれないが、色々と考える題材たり得る存在ではある。「東ドイツ」は「遠い異国の過去の一時期の体制」で、どちらかと言えば「どうでもいい…」のかもしれない。しかし「本当にそう断言して構わないか?!」と何処かで感じながら本書に触れるという側面も在った… 何となく「好著に出会えた!!」と少し嬉しい体験をさせて頂いたと思っている。
とても興味深く読んだ。多面的な視点で東ドイツの歴史や政策決定過程を解説しているところが特に面白かった
1990年まではこの世にあったはずの東ドイツについて、国の始まりから終わりまでを一気に眺める本です。この本を見ると東ドイツは命じるばかりで何もくれない親分(ソ連)と隣にいる優等生の兄弟(西ドイツ)の間で背伸びを続けても兄弟に追いつけなくて飲み込まれてしまったように見えます。 それにしても監視社会を作...続きを読むりながらもガス抜きの陳情制度で意見を述べたり、抑圧されてもはけ口を作る手段はあるのだなと妙なところに感心しました
東ドイツが舞台の小説を読んでシュタージの事が気になり手に取ってみました。社会主義国家の不自由と秘密警察シュタージに監視され、息苦しい窮屈な社会だったんだろうとイメージしてましたが、この本からはそこまでの感じは受けず、それなりに生活は保証されていたように思えた。今の日本から比べたらそれは貧しく感じます...続きを読むが、住宅不足に対して集合アパートを建設するなど、昭和の日本と同じようなところもあり、体制は違えどすることは一緒なんだなと妙に納得。
あまり東ドイツだけにフォーカスしてみてみたことがなかった。ソ連と西ドイツとの駆け引きがよく見える1冊。
若者にとっては世界史の1ページ分の知識すらない東ドイツ。しかし、この国は30年前までは存在し、現在ヨーロッパを率いるドイツの半分を形成している。 昨今、書店では資本主義の限界を語る本が多く見られるようになってきた。では、実際の社会主義国家の内実はどうだったのか。気になって手に取ってみた。 東ドイツの...続きを読む歴史について社会、経済、政治をわかりやすくも詳細に書いてあり、非専門家にはかなり丁度良いレベル。社会主義であってもそこには人々の生活があったのだということを実感できた。
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物語 東ドイツの歴史 分断国家の挑戦と挫折
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