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Posted by ブクログ
伊藤潔「台湾 四百年の歴史と展望」(中公新書)
1993年に出版された本なので、最近の台湾については別の資料で補う必要があるが、大航海時代の島の発見から李登輝による台湾の民主化までの歴史がしっかりと書かれている。
マレー・ポリネシア系の先住民が多くの部族に分かれて住む台湾にポルトガル、スペイン、オランダの勢力が現れ、中国人や日本人からなる倭寇勢力もやってくる。
①オランダが台湾南部に植民地を作る
②中国の明が滅亡、倭寇の鄭成功が明の王室を担いで台湾に政権を作る
③鄭成功の死後、政権が分裂、清国が台湾を領有する。ただし消極的支配に終始する。倭寇の再来を懸念して中国から台湾への移住も制限されたが、次第に緩み福建省からの移住が進み、また先住民のうち平地に住む部族との融合も進んだ。
④日清戦争で台湾が日本に割譲される。現地では台湾民主国などが設立されたりもしたが日本軍の占領が進む。山岳部の先住民の抵抗は激しく、その討伐の過程で虐殺事件も発生した。
⑤日本による植民地支配は当初は軍人総督による武断政治だったが、児玉総督の下での後藤長官による民政を経て文官総督制に変わる。総督独裁による植民地統治には違いないがインフラの整備や米や砂糖等の農産・産業化も進んだ。
⑥日本が戦時体制に入るなか、台湾でも皇民化運動が起きた。
⑦日本の敗戦で中華民国と国民党軍が進駐した。経済が破綻し、台湾住民と国民党軍が衝突。多くの台湾住民、特に知識人層が親日分子として虐殺された(2.28事件)
⑧中国本土で毛沢東の共産党が勝利、蒋介石と国民政府が台湾に移転。
⑨国民政府は大陸反攻をうたい、戒厳令下で一党独裁を続ける。反対する者は厳しく処罰された。その中から台湾独立をうたうものも出てきた。
⑩米国の支援のもと土地改革を実施、開発独裁体制のもとで急速な経済成長が起きる。
(11) 70年代に入ると、米国をはじめ多くの国が中華人民共和国と国交を結び中華民国は孤立化。米国は台湾関係法で台湾の支援を続けるが、民主化や政治犯の釈放を強く迫る。
(12) 蒋介石を継いだ蒋経国は副総統に台湾出身の李登輝を選ぶ。当初はお飾りと思われたが蒋経国の死を機に実権を握り民主化を進めている。
本書で書かれているのはここまでである。
Posted by ブクログ
ウクライナ侵攻で台湾を知る目的で読む。
本当に何も知らなかったことを、メタ認知できた。
・多くの部族が居住していたので国民国家ができず、中国・日本等に蹂躙されたこと
・蒋介石の国民党が中国共産党と本質的に同じで、人民の事なんて何にも考えていないこと
・日本は台湾のインフラ・ファンダメンタルズの整備に貢献はしたが、多くの人民を粛清したこと
・近年の政治・外交・民主化に大きな動きがあったこと
(報道に接していたはずなのにまったく理解していなかった!)
いや本当に勉強になった。今だからこそ、読んでおいた方がいいと思うよ。
1993年までの状況なので、それ以降の動きも含めて他の本を探してみようと思う。
Posted by ブクログ
野嶋剛の「台湾とは何か」から始まり、司馬遼太郎の「街道を行く台湾紀行」を経て、この本にたどり着いた。
フォルモサと呼ばれ、オランダやスペインが植民地とした1600年代から李登輝総統が誕生し、台湾を再生する1990年代中盤までの台湾について詳しく書かれている。
特に、日本統治時代から、日本が第2次世界大戦に負けて引き上げ、その後中国が統治するようになった頃のことが詳しく書かれている。
前の2冊を読んでいたので、この本の内容がよく理解できたように思う。
李登輝さんが残した功績はとても大きかったということもよくわかった。
3冊の本を読んで、これまで全く知らなかった台湾のことを少し理解できたと思う。
Posted by ブクログ
中国が力をつけている中で、台湾は世界の中で非常に重要な立ち位置を占めています。そこで、台湾について知りたいと思い購入しました。
実は中学生から歴史が苦手で、こういう本を手に取ることも少なかったですが、現在を見るためには歴史を紐解かなければ語れない、よく言われるとおりだと思いはじめています。
台湾の旧宗主国は日本と中国だけかと思っていたのですが、オランダ、フランスなどの諸外国もこぞって侵攻していたとは知りませんでした。日帝時代の台湾統治は、(結果的に)良い面も悪い面もある。江崎道朗氏がよく言っているように、国も一枚岩ではないのだから、それぞれで見る必要がある、ということが日本にも当てはまる例かと思います。著者は台湾に生まれ、日本の大学で教鞭を執っているという経歴で、両面の立場から史実をそのまま捉えてわたしたちに伝えてくれるようです。凄惨な侵攻の歴史を踏まえつつも日本はこれからも台湾の良き友であらなければならないな、と思いました。
Posted by ブクログ
14世紀から1990年代前半までの台湾の歴史について。
台湾の歴史は、外来勢力による侵攻の歴史ともいえる。そこに日本も関わっているわけで、今の台湾を理解するには避けて通れない(逆に、知っていないと、今の台湾は表面しか見えない)と感じた。
先日初めて台湾を旅行した際、現地の多くの方と会話をすることができた。その際「台湾を訪問するのは初めてです」「中国語は中国東北部で習いました」と話していたが、果たして、「台湾を『台湾』と呼ぶべきなのか、『中華民国』と呼ぶべきなのか」「中国のことを『中国』と呼んでいいのか『大陸』と呼ぶべきなのか」、心に引っかかった。
背景は知らなかったが≪本省人(台湾系)≫と≪外省人(大陸系)≫の関係はデリケートな問題だと聞いていたから。結局、誰も僕が「台湾」「中華民国」「中国」「大陸」と言っても(反感は買ったかもしれないけど)指摘されなかった。
ざっくりした歴史は、オランダ支配→鄭氏政権→清国支配→日本統治→中華民国。
オランダ時代は、中継貿易拠点として台湾を植民地化し、重税を課された。
清成立により追われた明(唐)残党勢力の鄭氏には、「清打倒」として軍事のためにまた重税を課された。一方、開拓と戸籍制度は整備されたメリットはあった。
日本統治時代、端緒は日本統治反対の台湾人の反乱から、多くの死傷者が出た。前半はインフラ整備と教育整備のメリットはあったが、戦争後半頃は強引な同化政策がすすめられた。
戦後、中華民国への編入。大陸は国共内戦で経済的にもボロボロになっていた。国民党軍のボロボロさや態度の悪さに住民は驚いた。また経済は大陸のあおりを受け、台湾で酷いインフレが生じた。住民(本省人)は「犬が去って豚が来た」と言い、失望した。
二二八事件以降、国民党に害をなすと考えられた人々が惨殺されたり、政治犯として投獄されたりした。
大陸で人民共和国が成立すると、国民党は台湾に本拠を移した。「国民党こそ正統、1つの中国」を唱えたために国際的に孤立することにもなり、中華民国が大陸も所管する部門をもたせることから、役人数が膨大になった。住民が国民党に批判することは許されず、民主化は李登輝総統が権力を掌握するのを待たねばならなかった。
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