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現代のリベラルは「すべての個人が自由に生き方を選択できるよう、国家が一定の再分配を行うべきだ」と考える。リベラルは17世紀ヨーロッパの自由主義から思想的刷新を重ね、第二次世界大戦後は先進諸国に共通する政治的立場となった。しかし20世紀後半の新自由主義や近年のポピュリズムなどの挑戦を受け、あり方の模索が続く。本書は理念の変遷と現実政治の展開を丁寧にたどり、日本でリベラルが確立しない要因にも迫る。
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Posted by ブクログ
第5章排外主義ポピュリズムの挑戦の章がとてもわかりやすく説明されていて勉強になりました。 1970年代以降、移民への寛大な支援として、カナダでは二言語が公用語に、オーストラリアでは多文化教育、積極的差別是正措置が行われ、オランダやイギリスでは移民独自の宗教、文化を維持できる配慮がされ、就労から教育ま...続きを読むで支援が行われた。2000年代に急激な移民の増加に伴い、移民しか利益を得られないと言うことでリベラルな多文化主義政策の支持が低下していった。 排外主義を抑え込むのに移民と自国生まれの市民とを区別全ての人を対象に提供するように修正が必要という考えは興味深い。
1年前に発刊された本であるが、基本的なところを指摘しているのでこれからますます読まれていくことであろう。 最後に日本についてのリベラルが書かれており、自由主義的伝統の弱さと1990年代以降の政治により、正規雇用と非正規雇用が分断され、政治への支持ではなく、極右と極左による排外主義が台頭するとしてい...続きを読むる。 そうした兆候はますます大きくなっている。 リベラルとリベラリズムの違い、リベラルの変遷なども丁寧に書かれているので、リベラルという言葉を卒論で使うには欠かせない1冊であろう。
このところ「戦後民主主義」「朝日嫌い」と続けて戦後の保革という政治的対立構造の変化についての新書読みが続いています。今度は「リベラルとは何か」。副題の「17世紀の自由主義から現代日本まで」が示すように、戦後という時間軸をズズッと延ばし、空間も世界視点でババッと拡げ、大きな構造としてリベラルという概念...続きを読むの変遷を捉えることが出来ます。何回も繰り返し使われる、国家中心↔市場中心の横軸とリベラル↔保守の縦軸の4象限の図がわかりやすく、様々な事象の意味がわかりやすくなりました。その中で、リベラルという言葉の変化は世界的な流れの中にあって日本もグローバルとシンクロしていること、しかし、日本の特殊性も存在し、それは古典的自由主義が根付いていないことに起因するということ、なんとなく感じていたことが納得に変わりました。本書を読んでからの週末の都議選、本当に選択肢の無さが身に沁みました。例えばオリンピックの開催の可否を4象限に落とし込むとしたら、とか考えますが、古い図式しか浮かび上がらず気持ちが落ち込みます。一方、中国共産党の100周年でのリベラリズムを鼻で笑うようなメッセージにも、ため息が出てしまいます。本書の終章「リベラルのゆくえ」を経て、次は「アフター・リベラル」を開いてみます。
近現代史を俯瞰できる名著と思う 時代は人為的ではなく必然的に変わっていくから、保守とは常に時代遅れとも言える 一方でリベラルは多元的な価値を求めるためまとまりは弱い しかし世界は螺旋階段のように改善へ向かうとすればリベラルはその流れに沿うものだ
「リベラルって結局何なんだ~~!?」という疑問から手に取った本。抽象的な文章が多くて難しかった。 以下に、リベラルとは結局何なのか、自分なりの理解をまとめる。 リベラルという政治的立場は時代によって変化している。さらに日本では海外と異なる使われ方をしている。これがややこしい。 ・個人の能力の発展...続きを読むと自由な生き方を保障するために国家が幅広い分配を行うべきだ、とする思想。 ・「価値の多元性」を重視する思想。社会のあり方と個人のアイデンティティの自由な選択(例: エコロジー、ジェンダー、働き方)を求める。 ・新しい社会的リスク(働き方、家族、個人のあり方によって起きる多様なリスク)に合わせたきめ細かな財とサービスの分配を求める思想。 ・排外主義と対をなす思想。ジェンダー、民族、出自に関わらず全ての市民の自由な選択を保障すべきだ、とする思想。 ・(日本のみ)護憲・平和主義。特殊すぎィ
読みやすさ★★★☆☆ 17世紀:自由主義誕生 19世紀:ブルジョワジーの思想としての自由主義 20世紀初:経済の自由放任主義の批判(=ニューディール) WW2後:リベラル・コンセンサス(ケインズ主義的福祉国家) 1970s~80s:新自由主義・文化的リベラル 1990s:グローバル化・新しい社会的...続きを読むリスク 1990s~00s:ワークフェア競争国家・排外主義ポピュリズム
リベラルがどのように形成され、どのような挑戦を受けてきたかを知ることが出来た。 日本はやっぱりリベラルの歴史が浅いね。 アメリカのリベラルとヨーロッパのリベラル 大きな政府 小さな政府 完成へと向かう存在としての人間 ミル 17世紀 古典的自由主義 ロック 「統治二法」自然権 アダム・スミス ...続きを読む「国富論」 19世紀~20世紀 自由主義からリベラルへ 幅広い分配 振興中産階級 リベラルコンセンサス 戦後 ケインズ主義的福祉国家 マクロ経済政策 ニューディール 1970 文化的的リベラル 脱物質主義的価値観 権利運動 学生運動 自由の両義性 担い手の不足 1980 第三次産業 ネオリベ 新自由主義 フリードマン 「隷属への道」 個人に平等な機会を マネタリズム サッチャー レーガン 歳出削減 金融転換 ウィンブルドン現象 トリクルダウン リベラル リバタリアニズム リベラル 保守 工場 事務労働者 専門職 再分配 市場 1990 グローバル化 ギグエコノミー インサイダー アウトサイダー 新しい社会的リスク ワークフェア競争国家 人への投資 底辺への競走 現代リベラル ロールズ 「正義論」 無知のベール 機会均等 格差原理 事前の分配 基本財 運の平等 EU戦略 マタイ効果 2000 排外主義ポピュリスト グローバル化福祉排外主義 リベラルのジレンマ 福祉制度の選別性 福祉の寛大さと排外主義 普遍主義的アプローチ インサイダーとアウトサイダーの分断の縮小 日本のリベラル 天賦人権 自由主義伝統弱い 1980 仕切られた生活保障 公的支出最低 日本型福祉社会 企業と伝統集団 90年代 バブル崩壊 格差社会 90年代後半 リベラルの使われ方 民主党 コンクリートからヒトへ 離散集合 安倍晋三 ワークフェア 財政赤字 高齢化 新しい社会的リスク 格差の固定
個人の尊厳と自律、価値の多元性、法の支配がリベラルの中核をなすものだけど、長く日本ではリベラル=革新ととらえられてきた。そして政治の場では破れ続けている。 でも政治手法としても、復権の道は残されていないだろうか? 現代社会を見渡すと真っ暗な気持ちになるけど。そしてこんなことを言うのは嫌いだけど、人は...続きを読む動物じゃないのだから。そんなに市場が大切だろうか? とはいえ好んで貧乏暮らしはしたくないしなぁ。豊かさの指標を物理的なものから変えるのは難しいよね。
現代のリベラルは「すべての個人ご自由に生き方を選択できるよう国家が一定の再分配を行うべき」と著者。大きな政府は新自由主義、リバタリアンから攻勢を受けグローバル化、民主主義を体制原理として認めない中国の台頭で厳しい状況。労働環境変化により定形的業務労働者はポピュリズム化し知的労働インテリ層が支持者のリ...続きを読むベラルに明日はあるのか。
リベラルという概念は、19世紀以降から普及し始め、当初は経済的自由主義としての側面が強かった。20世紀に入ると文化的な側面も加わり、21世紀以降の現代リベラリズムは、個人の価値観、ジェンダー、人種など幅広く結びついて大きな変容を遂げている。 個人的には排外主義との関係と、日本におけるリベラリズムが...続きを読む面白かった。 前者に関しては、リベラル・左派政党のジレンマや、不安定な雇用、さらにはグローバル化が進むにつれ、排外主義勢力も同時に強まっている。リベラルは排外主義に対抗できるのか今後も注目したい。 後者は、欧米のリベラリズムと結構かけ離れているなあという印象。欧米では福祉、移民問題、グローバル化という点がフォーカスされる一方で、日本では平和主義、安全保障としての文脈が強い。戦後から欧米と日本では多くの共通点があったにもかかわらず。政治勢力としてのリベラルが違った道のりを辿っていったのは興味深い。
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田中拓道
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