Posted by ブクログ
2017年05月05日
作家・星亮一(1935-)による会津戦争の概説。
【構成】
第一章 江戸の情勢
第二章 会津国境の戦争
1 越後方面の戦い
2 日光口の戦い
3 白河口戦闘記
4 平潟の海
5 母成峠破られる
第三章 会津城下の戦い
1 敵、滝沢峠に迫る
2 老臣、家族の殉難
3 決死の抗戦
第四...続きを読む章 籠城一か月
1 会津武士の意地
2 城外の戦い
第五章 降参の白旗
1 米沢藩に工作を依頼
2 仰ぎ見る者なし
鳥羽・伏見の敗戦時、会津藩主・松平容保が将軍とともに船でさっさと江戸へ戻る場面から話ははじまる。
幕府は瓦解し、会津藩もいったんは恭順したにも関わらず、薩長は討伐を通告する。東から、西から迫る薩長軍、細くたよりない絆で結ばれた奥羽越列藩同盟。
そして、国境の攻防では易々と破られた上に情報伝達に大きな問題があった会津藩。そして、為す術なく城下に攻め込まれ、やむなく籠城1ヶ月。酸鼻な市街戦・籠城戦で力尽きて降伏。
作家の筆なので、生き生きと描写されている。
会津藩の軍事指導に対しては手厳しく、鶴ヶ城攻防戦劈頭の婦女子の自刃は殉難ではなく藩の指導力の欠如と断じる。
著者は、会津擁護・会津殉難の史観には与しないと書いてあるが、落城時の描写はやはり浪花節の要素もあって、本書を手に取る人の期待に応えているように思う。
本書の記述がどれほど正確なのは分からないが、評者のように概要をおさえようとしている人間には読みやすくかかれている。会津周辺の地理的条件を頭に入れながら読むと、なお面白い。