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Posted by ブクログ
戊辰戦争最大の悲劇、会津落城は何故起こったのか、
官軍、賊軍という一辺倒な見方だけではなく、史実に基づいた内容を著者が丹念に紐解いていて分かりやすい。
それにしても会津で起こった惨劇は文章を読んでいても
思わず目を逸らしてしまう程の内容でした。。。
もう150年、まだ150年。。
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作家・星亮一(1935-)による会津戦争の概説。
【構成】
第一章 江戸の情勢
第二章 会津国境の戦争
1 越後方面の戦い
2 日光口の戦い
3 白河口戦闘記
4 平潟の海
5 母成峠破られる
第三章 会津城下の戦い
1 敵、滝沢峠に迫る
2 老臣、家族の殉難
3 決死の抗戦
第四章 籠城一か月
1 会津武士の意地
2 城外の戦い
第五章 降参の白旗
1 米沢藩に工作を依頼
2 仰ぎ見る者なし
鳥羽・伏見の敗戦時、会津藩主・松平容保が将軍とともに船でさっさと江戸へ戻る場面から話ははじまる。
幕府は瓦解し、会津藩もいったんは恭順したにも関わらず、薩長は討伐を通告する。東から、西から迫る薩長軍、細くたよりない絆で結ばれた奥羽越列藩同盟。
そして、国境の攻防では易々と破られた上に情報伝達に大きな問題があった会津藩。そして、為す術なく城下に攻め込まれ、やむなく籠城1ヶ月。酸鼻な市街戦・籠城戦で力尽きて降伏。
作家の筆なので、生き生きと描写されている。
会津藩の軍事指導に対しては手厳しく、鶴ヶ城攻防戦劈頭の婦女子の自刃は殉難ではなく藩の指導力の欠如と断じる。
著者は、会津擁護・会津殉難の史観には与しないと書いてあるが、落城時の描写はやはり浪花節の要素もあって、本書を手に取る人の期待に応えているように思う。
本書の記述がどれほど正確なのは分からないが、評者のように概要をおさえようとしている人間には読みやすくかかれている。会津周辺の地理的条件を頭に入れながら読むと、なお面白い。
Posted by ブクログ
著者が東北出身のせいか、ところどころ会津寄りな記述はありますが、薩摩ならびに長州を一方的に断罪するような感情に走ったりはせず、また、会津側の問題を痛烈に指摘する事も忘れていないので視点は公平で読みやすいです。目を背けたくなる凄惨な様相には著者が鶴ヶ城攻防戦を「日本近代史の一大汚点」と評価する事に同意するばかりです。個人的には、国の将来を考えるなら戊辰戦争、特にこの会津の悲劇ほど避けられた事態は無かったと考えているのでなおさらです。ドラマなどの創作物で美化されたものではない事実を教えてくれる本でした。
Posted by ブクログ
私が知りたかったこととはやや違う内容だった。なぜ長州と会津が対立したのか、新政府の会津に対する仕打ちが過酷になったのか、そうした理由を知りたかったのだが・・・。購入前のリサーチが不足していた。
が、会津が敗北に至るまでの経過がつぶさに記録されているのはためになった。それがまた、太平洋戦争の敗北の経過とよく似ていることに気付いた。トップの指導力不足、見通しの見誤り、判断ミスの連続・・・。著者の筆致からは、会津落城は「人災」のようにも思えてくる。
登場した人物のなかで、私が興味を持ったのは山川大蔵。その妹「捨松」についてググッてみたら実に面白かった。次は「大山捨松」についての本を読んでみたい。
Posted by ブクログ
会津戦争を俯瞰すると、会津藩の行動が太平洋戦争に至るわが国の行動に類似している。作者はこのように書いている。会津戦争は、会津藩にとって、最悪の戦いであった。幕府に依存した結果、近代戦争を熟知した戦略家、参謀の育成を怠り、武器弾薬の備蓄も少なかった。かくして、もっとも大事な白河の戦闘で大きくつまずき、参戦した仙台藩の期待を裏切り、これが列藩同盟崩壊のきっかけとなった。