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Posted by ブクログ
著者は1983年生まれ。神戸大文学部•院を出て現在は灘高校•中の国語教諭。歴史家というよりも国語的な書物として吾妻鏡を見ている。面白い。
吾妻鏡は一見すると“史書”のような体裁をとっているが、あくまでも(誰かにとって)『正しい歴史』を描いた“物語”だ。本書はそのことを、膨大な先行研究を一つ一つ参照しながら一般向けに解説した新書本である。労作だ。読みでがある。
本書で一貫しているのは、「歴史とは過去の事実の羅列ではなく、事実同士が、あるいは虚構を交えつつ関係付けられ、一定の意味を与えられ、ストーリー性を付加されて初めて歴史になる」という認識に立っている事だ。私達は今、ウクライナで、そしてパレスチナで、どのように歴史が刻まれるのか注意深く見なければならない。
Posted by ブクログ
鎌倉幕府草創から中期までの事績を記し、従来、鎌倉時代史の根本史料とされるとともに鎌倉時代を描く小説やドラマの種本とされ、鎌倉幕府の「正史」とも言われる『吾妻鏡』について、頼朝挙兵、平家追討、奥州合戦、比企氏の乱、和田合戦、実朝暗殺、承久の乱、宝治合戦という合戦を中心としたトピックを取り上げ、歴史学の進展により明らかになってきた鎌倉時代の実像に照らし、その誤りや改変、曲筆を検証して、事後の視点から振り返って歴史を叙述する「物語」として読み直す。
非常に読みやすい構成で、教科書や大河ドラマなどで得ていた鎌倉時代の知識・イメージを刷新しつつ、振り返ることができた。
『吾妻鏡』は、鎌倉時代の正史的存在として、北条得宗家に都合のよいように編纂されたものとは思っていたが、このように北条得宗家の支配の正当性を歴史的に紐づけるために練られた「物語」となっているというのは、本書を読んで認識を新たにした。また、『吾妻鏡』が『平家物語』や『明月記』などの原史料をパッチワーク的に組み合わせて作られたものだといったことも初めて知り、興味深かった。
著者は、日本中世文学を専門とする国語科教師ということだが、本書は、歴史学の基本手法である史料批判の良い素材となっているとともに、人間が過去を語り直し、意味づけ、更新してゆく営みとしての「歴史」について考えさせられる良書だと感じた。史料批判に当たって、事実誤認や虚構を明らかにするだけでなく、何を語っていないかや、事実であってもどのような配列等で語っているかなどに着目することも大切だということを感じさせられた。また、歴史の持つ「物語性」を自覚することの重要性を再認識した。
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