坂井孝一の作品一覧
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ユーザーレビュー
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傑作。皆それぞれの立場があって、命をかけてそれを全うしていたんだろうなと想像して号泣した。当時も人が死んだらちゃんと悲しい。
Posted by ブクログ
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朝廷と武士との関係に変化を与えた、承久の乱。
それに至るまでの経過を、平安時代の院政の始まりと
武士が台頭から、乱後の情勢まで、粛々と説明してゆく。
序章 中世の幕開き
第一章 後鳥羽の朝廷 第二章 実朝の幕府
第三章 乱への道程 第四章 承久の乱勃発
第五章 大乱決着 第六章 乱後の世
...続きを読む界
終章 帝王たちと承久の乱
国名地図、主要参考文献、関係略年表有り。
文中に適宜、略系図、地図等有り。
承久の乱へ至るまでとその後の情勢と歴史の変遷について、
史料を駆使し、学者や作家の様々な説を考察し、
或いは引用しながら、時代の流れを簡潔に語り、
特に節目にあたる和田合戦のような事件や
政治にも関わる和歌等の事項は、詳細に記述されている。
最初に朝廷。
院政の始まりから権力が絡む対立と武士の台頭。
平氏と源頼朝の動向に関わる後白河法皇。
正統の王とは何かを模索する後鳥羽の、マルチな才能と院政。
次いで鎌倉幕府の将軍、源実朝。
和歌での後鳥羽との繋がりと統治者としての姿。
朝幕協調の平和は、後鳥羽の支援と実朝の将軍親裁の強化。
後鳥羽の子を将軍にして後見する実朝の幕府内院政の夢は、
後鳥羽の日本の帝王への夢とも繋がる・・・はずだったのが、
実朝暗殺により空しく散る。更に大内裏の焼失。
大内裏再建への造内裏役への大抵抗への嵐。
幕府をコントロール出来ないことへの後鳥羽の憤り。
そして承久の乱。
後鳥羽の布石、万全の戦略ではあれど、未来予想図は予測不可。
後鳥羽ワンマンチーム対チーム鎌倉の戦いの状況と決着、
戦後処理とその後までは、かなり詳細に綴られている。
結果、公武の関係が劇的に変わり、武士の世と成る。
本郷和人氏の「承久の乱」は分かり易く簡潔な印象でしたが、
坂井氏は、より詳細で重厚な専門書の印象。
承久の乱とその後について詳しく知りたかった自分としては、
大いに欲求を満たされた内容の本でした。
Posted by ブクログ
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実朝と後鳥羽のビジョンおよび実績が示されている。
別史料に照らし合わせて吾妻鏡を裏読みしていくプロセスも面白い
Posted by ブクログ
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鎌倉幕府において、創設者で初代将軍の頼朝の血統は、
三代で断絶した。その三代の将軍についてと、権力闘争、
その後の将軍継承をも含め、史料を基に詳細に解き明かす。
はじめに・・・「吾妻鏡」の意図とその他の史料について。
第一章 源氏将軍の誕生
第二章 源氏将軍の継承
第三章 源氏将軍の確立
第四章 源
...続きを読む氏将軍の試練と成長
第五章 源氏将軍断絶
終章 源氏将軍のその後
関係略年表、主要参考文献有り。
鎌倉幕府の初代将軍の頼朝から実朝までと、その後の将軍継承。
それぞれの政治と権力闘争の流れを史料を基に解明していく。
根本史料である「吾妻鏡」から潤色・曲筆をそぎ落とし、
「愚管抄」や「明月記」、様々な日記や書簡、発給文書等の
著作物や史料を調べて当時の状況を考察し、
他の研究者の説をも検証する様子が分かり易く、
まるで推理小説や戦記を読むような感じで楽しめました。
頼朝の、奥州合戦の状況や戦時から平時への体制の変化、
朝廷との関係、網の目の如くの婚姻関係。
頼家の、治世と宿老たちとの関係。
実朝の、「善政」と幕府首脳部との協調で安定した幕政運営。
親王将軍推戴への、実朝、後鳥羽、北条氏のヴィジョン。
だが、頼朝の急死や頼家の急病、実朝の暗殺の、想定外の
出来事が、政権に混乱や対立を招いた。
特に、対立による乱の有り様は凄まじい。
比企の乱、謀叛の疑いで滅亡した畠山氏、和田合戦の凄惨なこと。
また、実朝暗殺当日の状況を「吾妻鏡」と「愚管抄」で比較し、
事件や黒幕を検証し、考察していくのも、ドキュメンタリーの
如くの分かり易さで、興味深く読めました。
Posted by ブクログ
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源実朝の歌集「金槐和歌集」から実朝とその名付け親である後鳥羽上皇との友好関係、踏み込んで言えば、早くに父の頼朝を亡くした実朝が後鳥羽上皇に父性を感じた、との話がとても面白かった。実子を儲けずに後鳥羽上皇の親王を次期将軍に据えることも、源氏の血統よりも「父」たる後鳥羽上皇の関係者を重視したわけだと。一
...続きを読む時はその路線で進みかけた。しかし実朝の将軍親政は北条氏、特に北条義時から反感を買った。
そして鶴岡八幡宮での右大臣拝賀の儀で甥の公暁に暗殺される。その黒幕を義時や三浦義村とする説もあるが、本書では若い公暁の単独犯行というフツーの結論に追いついている。そして親王の将軍を、との路線は後見人たる実朝不在により王権東西分裂に繋がりかねないとして撤回される。後鳥羽上皇と義時と、つまりは朝廷と幕府との関係が悪化してゆき、承久の乱へ至ることになる。
「幕府政治に背を向け、公家文化に耽溺して和歌や蹴鞠に没頭した文弱な正宮、源氏と北条氏、幕府と朝廷との狭間で懊悩しつつも、個性的で雄大な『万葉調』の和歌を詠んだ孤独な天才歌人、こうした従来の実朝像をくつがえすことができたのではないかと考える。(エピローグp. 265)
歴史にあまり詳しくないわたしには、この「従来の実朝像」が無かった。そのために著者の論はとても飲み込みやすかった。しかも従来説や他の研究者の説なども随時取り上げている点も、本書を信頼できるものとして読み進めることができた。
今年(2022年)のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の時代考証担当者でもある著者は、本書や中公新書「承久の乱」などで描いた鎌倉時代初期のリアリティーを上げるのに大いに貢献していることと思われる。(が、2月下旬の現時点で私はまだ未見である…w
Posted by ブクログ
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