坂井孝一のレビュー一覧
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鎌倉幕府三代将軍 源実朝(サネトモ)と後鳥羽院による朝幕体制は協調の関係だった。
ところが、幕府内の権力闘争で実朝が暗殺されると、幕府は後鳥羽院のコントロールから外れてしまった。
後鳥羽院は、北条義時追討の院宣を下す。そこには、従来言われていたような倒幕の意思はなかった。
しかし、幕府首脳部は、これを幕府存続の危機にすり替え、御家人を結束させた。
攻めの姿勢に出たチーム鎌倉、一方、予想外の展開で選択を誤るワンマン後鳥羽。
日本史上初めての、朝廷の敗北。
後鳥羽院、土御門院、順徳院の三帝が配流となる前代未聞の事態。
そして、その後の天皇・院を幕府が決めた。
公武逆転の画期。
面白かった!
院 -
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承久の乱
真の「武者の世」を告げる大乱
著:坂井 孝一
中公新書 2517
鎌倉初期、東国は、鎌倉幕府、西国は、朝廷という、2重の権力構造をとっていた
■承久の乱の結論
源実朝死後に、東国の朝廷への巻き返しをはかったが、敗北、日本全国が、鎌倉幕府のもとに統一された
①朝廷の暴走を監視するために六波羅探題を強化
②西国にも、東国地頭がおかれ、鎌倉幕府の全国統一がなった 恩賞として、東国武士へ
③平安から続く、土地問題などの紛争処理を円滑に処理するため、御成敗式目が作られて、武士の朝廷への優位が明文化された
■承久の乱に至る概況
1199 頼朝急死
1203 頼家危篤、北条比企の確執 -
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朝廷と武士との関係に変化を与えた、承久の乱。
それに至るまでの経過を、平安時代の院政の始まりと
武士が台頭から、乱後の情勢まで、粛々と説明してゆく。
序章 中世の幕開き
第一章 後鳥羽の朝廷 第二章 実朝の幕府
第三章 乱への道程 第四章 承久の乱勃発
第五章 大乱決着 第六章 乱後の世界
終章 帝王たちと承久の乱
国名地図、主要参考文献、関係略年表有り。
文中に適宜、略系図、地図等有り。
承久の乱へ至るまでとその後の情勢と歴史の変遷について、
史料を駆使し、学者や作家の様々な説を考察し、
或いは引用しながら、時代の流れを簡潔に語り、
特に節目にあたる和田合戦のような事件や
政治 -
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鎌倉幕府において、創設者で初代将軍の頼朝の血統は、
三代で断絶した。その三代の将軍についてと、権力闘争、
その後の将軍継承をも含め、史料を基に詳細に解き明かす。
はじめに・・・「吾妻鏡」の意図とその他の史料について。
第一章 源氏将軍の誕生
第二章 源氏将軍の継承
第三章 源氏将軍の確立
第四章 源氏将軍の試練と成長
第五章 源氏将軍断絶
終章 源氏将軍のその後
関係略年表、主要参考文献有り。
鎌倉幕府の初代将軍の頼朝から実朝までと、その後の将軍継承。
それぞれの政治と権力闘争の流れを史料を基に解明していく。
根本史料である「吾妻鏡」から潤色・曲筆をそぎ落とし、
「愚管抄」や「明月記」、様々な -
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ネタバレ源実朝の歌集「金槐和歌集」から実朝とその名付け親である後鳥羽上皇との友好関係、踏み込んで言えば、早くに父の頼朝を亡くした実朝が後鳥羽上皇に父性を感じた、との話がとても面白かった。実子を儲けずに後鳥羽上皇の親王を次期将軍に据えることも、源氏の血統よりも「父」たる後鳥羽上皇の関係者を重視したわけだと。一時はその路線で進みかけた。しかし実朝の将軍親政は北条氏、特に北条義時から反感を買った。
そして鶴岡八幡宮での右大臣拝賀の儀で甥の公暁に暗殺される。その黒幕を義時や三浦義村とする説もあるが、本書では若い公暁の単独犯行というフツーの結論に追いついている。そして親王の将軍を、との路線は後見人たる実朝不在に -
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何となく、後鳥羽上皇が、鎌倉幕府を潰そうとしたけど、反対に潰されて、島流しになった、ぐらいにしか理解してなかった「承久の乱」
白川上皇による院政誕生から、堀川、鳥羽、近衛、崇徳、後白河への流れを通して中世の始まりを説明してくれ、平治の乱、保元の乱、頼朝の鎌倉幕府までを丁寧に解説してくれる。その上で、三代将軍源実朝の暗殺、幕府に対する不信による後鳥羽上皇の承久の乱への流れを淀みなく教えてくれる。
とっても面白かった。
実朝は思っていたよりもずっと優秀な政治家であったりとか、後鳥羽も意外とまともな人物だった。
白河上皇は孫の(後の鳥羽天皇)15歳に、藤原公実の娘璋子17歳を入内させる。璋子 -
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2022年度の大河ドラマ、三谷幸喜の「鎌倉殿の13人」(北条義時=小栗旬、北条政子=小池栄子、源頼朝=大泉洋)は大ヒットとなった。
かつての大河ドラマ「草燃える」(北条義時=松平健、北条政子=岩下志麻、源頼朝=石坂浩二)のリメイクで、主役は、史上最も人気の無い(と言われる)北条義時だ。
一体誰がこんな地味で暗く陰湿な男のドラマなど見たいだろうか?
しかし、そんな予断を見事に裏切って、この大河ドラマは、三谷幸喜の絶妙の演出と、優秀なキャストによって、一年間高視聴率をキープしてみせた。
お見事!と言いたい。
大河ドラマ「鎌倉殿」のクライマックスは承久の乱だった。
それまで天皇家は戦争で負けたこと -
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大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の時代考証チーフが、その時代の
人物たちについてと出来事の背景等を、考証を交え考察し、語る。
第一部 人物考証編
I 源家の人びと II 北条家の人びと
III 東国の有力御家人たち IV 時代を騒がせた女性たち
V 法皇・上皇と都の権力者
第二部 歴史教養編・・・時代の背景と基礎情報を提示。
主要参考文献有り。
平安時代末期から鎌倉時代の初期に亘る時代の変遷の中で、
主要人物たちと出来事、当時の時代背景等を、コンパクトに、
かつ丁寧に考証と考察を交え、分かり易く語っている。
考証をする側からの視点もあり、各種史料や最新研究をも
盛り込んでいて、例えば、八 -
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ネタバレ鎌倉幕府が続いていたのは知っているけれど、実朝が倒れた後の将軍が誰なのかは正直よく知らなった。
ならば何故源氏将軍は三代で断絶してしまったのか。
吾妻鏡をベースに愚管抄やその他の資料から読み解く源氏三代の歴史。頼家と実朝の治世も改めて振り返る。
20歳前後で後継を決める時代、後鳥羽上皇の従妹である御台所との間に子供が恵まれず、幕府は後鳥羽の息子を将軍として迎える打診をする。
実朝と後鳥羽の信頼関係。北条との格の違い。
親王将軍候補はどちらも20歳前後。
至高の血統となれば源氏に戻すことなどありえず、事実上の源氏将軍断絶。それは実朝も承知のことだった、というのが驚きだった。
もし親王を迎えた後