坂井孝一のレビュー一覧
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後鳥羽上皇や源実朝という人が私たちの常識と如何に違っているのかを痛感した。後鳥羽と実朝は和歌の名人同士というだけでなく、深い信頼関係があり、実朝は第4代将軍を天皇家から招いて朝幕の関係を更に深めようとしていた。実朝はひ弱ではなく、名君というべき後鳥羽はカリスマ的スーパーワンマン経営者!承久の乱とは実は東西の決戦で、宇治川あたりでの戦闘が激しく、実は平家物語の宇治川の戦いの描写はこれをモデルにした!吃驚である。後鳥羽は幕府を滅ぼそうとしたのではなく、北条義時一人を除こうとしたが、討幕の動きだと義時・政子側がうまくアピールして御家人たちをまとめた。興味深い主張だったが、最近の日本史の研究成果として
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実朝の夢見た東国王権。それは父頼朝が晩年に皇家との婚姻によって出来た子を将軍に迎える構想を引き継いだものだった。このできなかった実朝は後鳥羽院を主と仰ぎ、その血筋の皇子を自身の次の将軍にしようとした。後鳥羽院もそれを支持して頼朝を越える異例の官位上昇で実朝を支える。母政子や北条義時達もその意向に沿って動き、実現するかに思われたが、公暁によってころされる。歴史のもう一つの大きな可能性があった。また繊細な万葉調の天才歌人という実朝像を、和歌を読んだ背景や政治状況などを照らし合わせることで否定。遊び心あるそしてどちらかといえば古今や新古今和歌集に学んだ歌が多い。
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800年来の誤解をいま解く!というキャッチコピー。正岡子規、小林秀雄、斎藤茂吉といった錚々たる面々による、天才詩人であるが文弱な悲劇の将軍という評価に対し、歴史学と文学の両面より実朝の真実に迫る。
ということなのだが、本書の論旨は実は自分にはあまり意外性は感じられなかった。もとより右大臣正二位にまで達する職位は幕府内そして朝廷での安定した地位確立のためのはずだし、そもそも後鳥羽への接近は雅な世界の憧れはあるにせよ、むしろ幕府の相対化をもたらし、従属的であるにせよ東西2極化をさらに推進するものと考えるからだ。(後鳥羽にしてみれば権門体制への一層の取り込みかもしれないが・・・。)将軍親裁指向と執権 -
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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』も残すところあと2話! -12/8(木)現在
初回から見ていたが、相関図をHPでチェックする程度でこれまで関連本は読んでいなかった。
史実に基づいているとは言え、脚本家の豊かな想像力が張り巡らされた一つのドラマである。史実のイメージに仕上がった人物と目の前の役者さんを重ねるのも辛いので、一ドラマと認識して見ていた。
しかし…
先週の視聴を終えて暫くしてから、「このまま、なあなあの状態で終えても良いのか」と何の前触れもなく思い立った。そして思い立ったが吉日、本書を取り寄せたのである。
この思いつきが何かの天啓だとしたら、自分も”天命に逆らわずに”(知る人ぞ知るドラマ -
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「鎌倉殿の13人」をきっかけに鎌倉時代のお勉強をしよう第2弾がこちら
ちなみに同じタイトル「承久の乱」でTVでお馴染みの本郷和人氏も出版しておられる
比較すると面白いだろうなぁ
本書は「承久の乱」とタイトルがあるものの、中世の始まりからきちんと筋立てて進められるので時系列的にもわかりやすい
その後に、後鳥羽上皇と源実朝について説明があり、いよいよ承久の乱…という親切な流れである
まずは後鳥羽と源実朝の人物像
後鳥羽
正統なる王を目指し、三種の神器にこだわっていた(平家のせいで手元になかった)
祖父の後白河と似ている点が多くあり、その一部が好奇心旺盛、既成概念にとらわれない自由さと遊び心があ