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Posted by ブクログ
人は利己的で、国家はその集まり。その国家が複数あつまって構成される世界において平和を実現しよう、或いは平和を妨害する要因を排除しようと考えること自体が無謀であり、非現実的。それでは人は、または国は、世界は、どうすれば争いを"小さく"していけるか。本書の主眼はここに尽きると思う。
どっかの野党みたく真の世界平和が実現される日を夢みるような理想主義者には全く以て無益な本だが、少しでも冷静に現実的に物事を考察できる人には共感できるところが多いはず。国際政治を学ぶ人にとっての入門書と言われている(らしい)のも頷ける。
過去の戦争を多数例に引いて、裏でどういう動きがあったのかを詳しく説明しているので、教科書や下手な解説書を読むよりずっとわかりやすい。
後半は国際連合がどのような役割を果たしているかに可也のページを割いて説明を加えている。
面白いのは、明治の日本人政治家たちは国際政治の本質を理解していたのに、時代がくだるにつれそこがわからなくなり、果ては国家を転覆させたということ。今の政治家はどうだろう。
もう一つ興味深く思ったのは、世論はあてにならないということ。産業革命で交通や技術が発展してことで、民衆が政治に参加するようになり、その力をして国家は大規模化し、やがて帝国主義にもつながっていく。民衆が政治を動かせば正しい方向に発展していくはずだと大見得きって起こしたフランス革命も結局は史上初の徴兵制を設けた末にナポレオンの快進撃に酔いしれたというから皮肉すぎる。老子は庶民に政治を語らせるな、拘らせるなと説いたらしいが、紀元前後のあの頃にすでにこのような達観をもっていたというのもすごい。反対に、あれから二千年経ち、まったく進歩していない中国というのもすごい。
Posted by ブクログ
1966年に書かれた国際政治についての入門的書籍
平易なことばで冷戦下における軍備のありようと
平和の実現へのとるべき方策が解説されている
2度の大戦を経て勢力均衡から自由貿易という形に
理想の平和は移行したが
自由貿易という概念が隅々まで行き渡ることで
自動的に平和が達成されるわけではないことは
本書が書かれ半世紀を経て
いよいよ庶民にも明らかになっている
どこの誰もが同等の情報を得られるようになっても
経済と民族の制約から諸国民が自由であることは
かぎりなく難しい
現在の全ての軍事的な戦いの原因は
あるいは企業単位の枠組みを超えた争いのすべては
無能な責任者や宗教や経済的利益のせいなのだろうか
核による抑止力は前提として
国際社会からの孤立だけが
国際政治における互いの利益均衡のための手段なのか
全体利益の最大化のため
どこまで自分自身の少なくない損害に目をつぶるか
お上の判断にふんいきで乗るのでなく
無名のいち庶民であっても目先の正義にとらわれず
よりよき「正しい」判断をかさねること
まず「正しさ」について判断しようとすることが
遠大な道の先に軍事的争いのない状態という
おおむね全員の理想とする目標に近づくこととなる
Posted by ブクログ
★ 経済関係は、時に依存関係、支配関係が生じることはいうまでもない
★ 世界大戦後、国際政治における世論の力が増大した。そうして、徐々に支配関係が難しくなった。
アメリカは、キューバ革命が起きたことをきっかけに、中南米諸国に同様の革命が起こることを恐れ、「進歩のための同盟」などと銘打って、互いの利益を図るようになった。
★ 多くの国は旧植民地の引いた線で、部族の寄せ集め、伝統的に敵対していた部族との共存を求められたりすることも多い。そして多くの部族は統一された言語すら持っていない。
★ 第二次世界大戦後、今日までに起こった全ての武力衝突はすべて休戦という形で収拾された
しかし、それらはすべて恒久的な講和条約という形で解決されるところまではいっていない。
Posted by ブクログ
はっきりとは覚えていないが、この人と森毅さんがカッコよくて、京都大学に憧れた時期がある。
職場で見かけるその大学の出身者は…
言いますまい。一括りにできるものではないことくらい流石に知ってはいるはず。大幅に脱線した。
粘り強い論考。
すぐ気持ちよく着地したい気持ちを、覚させる力のあるロジック。
現代においても古びることがない、というのはやはりこの論考の持つ力なんだと思う。
「戦争はおそらく不治の病であるかもしれない。しかし、われわれはそれを治療するために努力しつづけなくてはならないのである。つまり、われわれは懐疑的にならざるをえないが、絶望してはならない。それは医師と外交官と、そして人間のつとめなのである。」
P232
Posted by ブクログ
高坂正堯 「国際政治」国際政治から 世界平和を考察した名著。
著者のスタンスは「今は出来る事をしながら、いつかは出来るようになる事を希望する」というもの。国家間の力、利害、正義の関係から平和の問題を捉えている。哲学者、文学者、科学者が語る世界平和との違いは 「国家は 力の体系であり、利益の体系でもある。各国家の利益を抜きに平和は語れない」ということ。
著者の言葉は信頼できる
国家は 力の体系であり、利益の体系であり、価値の体系である〜国家間の関係は これらが 絡み合った複雑な関係である
*国家は単なる力の単位ではない〜世界連邦は 国家が力の単位であり、国際政治が力の単位が並立する場所なら 正しいが
*日本と外国を分けているのは〜言語や習慣に体現された行動基準と価値体系の相違→日本と外国では常識が違う
リップマンが語った第二大戦後の世界「われわれは〜戦争と平和の中間〜戦っても勝負のつかない戦争 と 実現されない平和 の中間に生きていく」は 印象的
力による平和が〜恐怖の均衡(恐怖による平和)を意味
*信頼や善意に基づかなくても軍備の使用を減らせる→軍備の使用が相互の損失であることがはっきりすればよい
*対立する国の間にコミュニケーションの成立が必要
ルソー「エミール」の有名な言葉「子供の泣き声は〜願いから命令に変化し終には服従を要求する」に国家間の相互依存の危険性を見出している点に驚いた
国連は 紛争を解決することはできないが、武力衝突を遅らせ〜拡大を阻止するため中立化し 局地化できる
平和な国家
*独立を守るだけの力を持ってなくてはならない
*軍備によって国家が軍国主義化してはならない
*軍備を規制することができなくてはならない
*経済的に、他国に支配される国家、他国を支配する国家は平和な国家ではない
*国家の権力は制約されなければならない
*言論の自由の欠如、多数の専制など 国家権力の制約を困難にするものは退けられなければならない
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