高坂正堯の一覧
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ユーザーレビュー
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本書は1981年に書かれた本だが、2023年の今読んでも真新しさを感じる古典である。
大きな版図を誇ったローマ文明、日本に似た海洋通称国家ヴェネツィア、現在文化を代表するアメリカを題材に文明が隆盛する事情、衰亡に至る過程と要因を丁寧に、粘り強く書かれている。
特にヴェネツィアは日本に環境が似た
...続きを読む資源がない貿易立国であることから、その盛衰の過程は興味深く感じた。
印象残った点として、資源や人口などの確固たる基盤がない国が隆盛するのは、その時々の環境に適応したときであるが、環境は必ず変化する。
ヴェネツィアの場合は、東方諸国の加工品を西洋諸国に転売(反対に西洋からは原料を仕入れて転売)する図式が崩れたとき(東方からはオスマンの版図拡大への武力対抗を迫られ、西方では希望峰ルートの開拓のため独占的な貿易ルートが崩された)であった。ヴェネツィアも希望峰ルートでの貿易へ参画できれば以後の繁栄も続いた可能性があるが、それまでに確立した国の運営体制を続けたため、海上貿易の競争力を維持できなかった。即ち、長期的展望が見通せない場合は、目先の苦労や落ち込みがあっても、変化が必要であるということ。
Posted by ブクログ
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60年代、まだ冷戦に差し掛かった頃にかかれたものだが、現在にも大いに通じる部分がある。
政治とはその国だけのものではもはや無く、他国との関わり合いの中で、いくら方向性や思想が違い、恐怖が訪れようとも、人間の務めとして「希望」を捨ててはならない、と強く語る。
正義は一つではない。あらゆる価値体系の中で
...続きを読む、自己の理念と利益を守りながら、国際連合の権威を高めていかねばならない。
「自己の問題は自国の中で解決すること、他国を羨望しないことは、平和な国家の重要な条件である。」
Posted by ブクログ
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もともと学生時代の25年以上前に読んだ本。いまの日本人への警句ともいえる言葉が多く並んでいる。必読の書だと思います。
Posted by ブクログ
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1966年に書かれた国際政治についての入門的書籍
平易なことばで冷戦下における軍備のありようと
平和の実現へのとるべき方策が解説されている
2度の大戦を経て勢力均衡から自由貿易という形に
理想の平和は移行したが
自由貿易という概念が隅々まで行き渡ることで
自動的に平和が達成されるわけではないことは
...続きを読む本書が書かれ半世紀を経て
いよいよ庶民にも明らかになっている
どこの誰もが同等の情報を得られるようになっても
経済と民族の制約から諸国民が自由であることは
かぎりなく難しい
現在の全ての軍事的な戦いの原因は
あるいは企業単位の枠組みを超えた争いのすべては
無能な責任者や宗教や経済的利益のせいなのだろうか
核による抑止力は前提として
国際社会からの孤立だけが
国際政治における互いの利益均衡のための手段なのか
全体利益の最大化のため
どこまで自分自身の少なくない損害に目をつぶるか
お上の判断にふんいきで乗るのでなく
無名のいち庶民であっても目先の正義にとらわれず
よりよき「正しい」判断をかさねること
まず「正しさ」について判断しようとすることが
遠大な道の先に軍事的争いのない状態という
おおむね全員の理想とする目標に近づくこととなる
Posted by ブクログ
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高坂正堯 「 文明が衰亡するとき 」 ローマ、ヴェネツィア、アメリカの衰亡論。歴史の捉え方、成功者の保守性、衰亡の不可避性、衰亡する文明国家の生き方 などを論述。
良書
ローマ帝国=巨大帝国、美徳、大衆、増税
*モンテスキュー 共和制→専制政治=ローマ衰亡の始まり
*専制政治=皇帝の専制と民衆の
...続きを読む愚民化
セネカ 「生きることは戦うことである」
権力と富を享受しうるようになったローマで、敢えて そこから逃避せず、その奴隷にならないように 誘惑と戦う
「税は 一定以上になると、その使われる目的が 良いものであろうと〜反抗を招き、税をのがれるため工夫を生み出そうとする」
ギボンの歴史観=文明は衰亡を避けられない
平和は富を生む→富は驕りを生む→驕りは怒りを生み、戦争を生む→戦争は貧困を生む→貧困は謙虚を生み、謙虚さが平和を生む
衰亡が避けられない文明の生き方
「だからと言って 投げやりにならず、その都度 目の前の問題に立ち向かうこと」
ヴェネツィア=最小面積、最少人口の最強通商国家
*複式簿記=人の行動を協同化する知恵
*安全保障費と社会保障費の増大→経済活力が減退
*合理主義→教条主義へ
アメリカ
*大衆民衆主義=福祉国家→モノ取り主義→高い税金と政府規制
*銀行のように行動する会社=投資の利潤(回収) →客観的な分析→現場の経験から得られる洞察力を無視
「アメリカは 国家でなく、国土でもなく、信条である」
「文明の便宜を享受しながら、それを非難する偽善者が現れる傾向は 文明の衰退の始まりを示すひとつ」
Posted by ブクログ
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