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かつて中国では、官吏登用のことを選挙といい、その試験科目による選挙を「科挙」と呼んだ。官吏登用を夢みて、全国各地から秀才たちが続々と大試験場に集まってきた。浪人を続けている老人も少なくない。なかには、七十余万字にもおよぶ四書五経の注釈を筆写したカンニング襦袢をひそかに着こんだ者もいる。完備しきった制度の裏の悲しみと喜びを描きながら、試験地獄を生み出す社会の本質を、科挙制度研究の権威が解き明かす。
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Posted by ブクログ
めっちゃ面白かった この発行年なのにすごく文章が読みやすい 硬い感じが全然無くてスイスイ読める 科挙って具体的にこんなことをしてたのかという本 途中挟まれる小話豆知識面白い
今も版を重ねることがよく分かる面白さ。1,000年以上前の時代から続いた仕組みで、「優秀な人材を広く遍く見出す」との建前で、貴族体制の解体を行ったというのが「なるほど」のポイント。
◯とても面白かった。科挙の制度に関する説明だけかと思いきや、それを深掘りして中国の時代及び文化的背景にも触れつつ、後序として我が国における試験地獄も考察している。 ◯さらに、文章がうまく実に読ませる。どんどん読める。リズムも良ければユーモアもある。科挙試験でも受けたら中々良い文章を書くとして、中の円...続きを読むに記名されそうだと思った。
学問が極まると、その筆致にユーモアが自然とにじみ出てくるものなのだろうか。 あらゆるものを調べつくしたからこそ、このようなおかしみのある描写が可能なのだと思う。 タイトルを見て、糞まじめな内容だと思っていた向きは、ぜひこの碩学の一流のユーモアを感じてもらいたい。 中公新書の数ある名著の中でも個人的に...続きを読むベストの一冊となりそう。 あとがきに、日本の終身雇用制と大学について触れられており、その制度のあり方を鋭く批判している。指摘は今なお有効であり、この国が全く進歩していないことが分かる。
宮崎市定が書いた『科挙』という題の書籍には二つあり、一つは筆者が出征前に書いて、たまたま金庫に保管されていたのが戦災を免れ、前後に出版され、今は絶版しているもの。もう一つは、初代の内容に満足のいかない筆者が改めて執筆し直した内容で出版されたもので、即ち本書。後者には、区別するために副題「中国の試験地...続きを読む獄」がつけられた。 筆者は戦争に出て、よほど見たくないものを見たんだと思う。本書中に度々日本軍のことが出てくる。それがあってか、それとも元々思っていたのかは知らんが、巻末近くで述べている数文が非常に感慨深かった。 「どんなに手柄をたてた将軍にも、政治の最高方針には参与せしめないという制度は……無情……に見えて実は政治の最高の眼目なのである。……軍隊は国家を保護するためにこそ存在すべきで、それが国家・国民の支配者になられてはたまらない。」p.209 中国は文治国家で、特に宋代以降は文が武を抑える構造が顕著になったらしい。同時代の欧洲がまだまだ武に頼る政治から抜け出せなかったのに対して、欠陥こそあれ、中国は文をもって政治の中心としていたと。それを支えていたものの一つが科挙であった。 ----- ・魯迅の『孔乙己』(竹内好 訳, 岩波文庫) を前に一度読んだがよく理解できず。解説や脚註を読んでもピンと来ず。それが、本書『科挙』p.206に『孔乙己』の三文字がでてきてようやくその背景を知れた。棚から牡丹餅。 ・中国でよくみかける屋根のついた門、状元坊と呼ぶらしいが、あれが科挙で状元になったお祝いに国の助成金と郷里の後援で建てられるいわば記念碑だとは知らなかった。勿論、今見られるもののうちの大半は偽物だと思うが、それでも次から見る目が変わりそう。
試験制度と聞くと、やはり一番、科挙が有名じゃないかと思います。 官使登用制度として1300年以上の歴史をもつ制度は、世界に類をみません。 本書を私が読んだ理由としては、中国で現行実施されている大学入学試験(高考)を考察する上で、 科挙制度が、どのように影響しているかという点を理解したいと思ったからで...続きを読むす。 東洋史学の泰斗である宮崎市定先生の、軽妙な語り口に、どんどんページが進みました。 科挙制度を客観的に紹介すると同時に、その制度の時代背景、導入にいたった経緯、理由まで、 非常にわかりやすく書かれています。さすが、中国史の泰斗です。 中国語の書籍でも、科挙を紹介する山ほどありますが、 宮崎先生ほどの、わかり易く説明した本に出合った、ためしがありません。 さて本書で重要なことは、副題が「中国の試験地獄」としていることです。 試験という制度は、本来、国を支え、発展させる上で、 優秀な人材を見つけることが第一の目的です(科挙自体は、貴族の勢力を抑えつけることも、大きな目的の一つ)。 しかし、時が経てば、本来の精神が希薄化し、 試験に合格するためのノウハウと不正行為が氾濫するようになります。 そして、膨大な量の書物を暗記でき、それを試験場で、表現できるか(答案に書き写せる能力) という競争へと堕落します(いい意味で使うなら変化する)。 また、試験に参加する人数も、どんどん増え、試験が、地獄と化します。 現に試験に受からなかった者が、その恨み辛みをもって、 朝廷を転覆させる例は、中国史を垣間見れば、多く見受けられます。 また本書の副題で試験地獄と記しているのは、この本が出版された60年代~、 日本の学生は、まさに受験戦争の真っ只中にいたからです。 宮崎先生が、まえがきにも、あとがきにも記しているのは、 日本で、地獄化している試験制度を憂いてのことです。 この『科挙』という書籍自体の出版が、 その当時の日本の試験制度を批判したものとなっています。 それから半世紀後の現在は、試験地獄は、以前よりも圧倒的に緩和しました。 大学全入時代には当の昔に突入し、今は、深刻な少子化と、 毎年のように大学が経験破たんする事態になっています。 入学試験にいたっては、無試験で入れる大学も多数あり、四則演算も怪しい、 また、大学生の4分の1が、「太陽は東に沈む」と答える事態になっています。 宮崎先生がご存命なら、ここまでの状態になるなんて、想像できなかったと思います。 試験の歴史を知ることは、政治を知り、社会を知り、人を知ることでもあります。 宮崎先生のような、博学かつ読者をひきつけるような文章を書く学者は、かなり稀です。 他の宮崎氏の著作(特に岩波文庫から出版されている『中国史』がおすすめ)も手にとってみることをおすすめします。
高校時代に人から薦められて読んだ。科挙について書かれた名著である。科挙についての詳細が事細かに書かれている。驚いたのは当時のカンニング技術。命懸けのカンニングだね。
県試、府試、院師、歳試、科試、郷試、挙人覆試、会試、会試覆試、殿試 世界一過酷な試験とされる科挙には、上記の試験が存在する。清時代にはすべて行われていた。試験地獄と言われるだけのことはある。 殿試を首位で通過すると「状元」と称せられる。人生で最高の栄光を勝ち得たことになり、小説の主人公にもよく状...続きを読む元の才子が登場する。浅田次郎の「蒼穹の昴」にも登場していた。 そもそも、科挙を実施するにいたった理由はなんなのか 1400年前に存在した科挙、ヨーロッパはまだまだ封建制度で、一般市民から官僚を登用することは考えられなく、中国の科挙が斬新な制度であった。 科挙を実施する理由は、貴族への牽制 世襲的な貴族政治に打撃を与え、天子の独裁権力を確立するためにあった。 また、科挙に合格することは、大衆からの尊敬のまなざしを得る以外に、実利があった。一般市民が富貴になるための唯一といっていい手段であった。 科挙の理想と現実 科挙の素晴らしいとされる点は、「だれでも受けられる」ということ。しかし、上記の試験をすべて受けるには相当の費用が発生する。万人には等しく開かれていなかったという方が正確である。しかし、家柄も血筋も問わず、力のあるものはだれでも試験を受けることができるという精神だけでも、当時の世界ではその比をみない進歩したもであったといえる。 唐から宗の時代では、中国の教養レベルは世界でトップクラスであったとされる。それがなぜ、清の末期には西洋に後れをとっていたのか。それは、 国が科挙という試験だけに注力し、学校(大学)で教育を怠ったためである とされる。これはかなり納得。 科挙の試験内容は、「四書」「五経」が中心となる。国が教育に金をかけて学校をつくらずとも、民間で教育は行われるが、それは試験対策の教育でしかない。 自然科学などを教えるには、学校という箱と、最先端の知識人そして制度が必要であった。 これを怠ったため、中国の知識レベルは、清末期に西洋にかなり遅れをとることとなった。 日本は明治維新後、学校制度を整え、自然科学をはじめとする学問を早期に教育しはじめた。その結果が、日清戦争、日露戦争での勝利をもたらしたのだろうか。 教育の重要性を再認識させられる。 この本の最後の章に、日本の教育と科挙について述べていた アメリカの教育は、日本はど入学難はないが、教師からいやというほどたくさんの宿題を負わされ、山のような参考書と取り組むといったものである。 「日本の試験地獄は、アメリカのそれに比べと性質が非常に遠い、むしろ中国の過去における科挙の試験地獄の方に近い。これはいったいなぜだろう。それが東洋と西洋との文化の相違なのか、あるいは世界史的に見て、社会発達段階の相違なのであろうか」(引用:本文P214) この『科挙』を読んで、 今の日本の教育の問題点をたくさん含んでいた。 解決できない問題なのか、人は案外成長できない生物なのか 教育機会均等の問題、今の試験制度では計りえない優秀な者の選抜方法などなど 噂通りの名著でした。感動☆
あまりにも煩雑な試験、怪異現象など面白い話題が豊富に盛り込まれている。受験制度の功罪を考える上で必読。
さすがに宮崎市定先生の著作である。巻頭で言っていたとおり、筆者の私情は極力避け、事実関係だけをたんたんとドキュメンタリー・タッチで書き進めている。 そのため物語としても読み応えがあった。 宮崎先生の著書はいたるところで引用されており信頼性の高さも伺い知ることができる。 ぜひ宮崎先生の他の著書も見てみ...続きを読むたい。
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科挙 中国の試験地獄
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