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多彩なビールやウィスキー、作家ジェイムズ・ジョイスの祖国、ラグビー強豪国としても知られるアイルランド。約七五〇年のイングランド/英国支配の後、一九二二年に独立を勝ち取った。貧困や人口流出、北アイルランド紛争などの困難に直面するも、一九九〇年代半ばからの高度経済成長を経て一人当たりGDP世界二位の富裕国へ、同性婚も容認するリベラルな国へと変身する。独立後を中心に、苦心と奮闘の歴史を辿る。
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Posted by ブクログ
世界史の舞台にたびたび登場するアイルランドであるが、現代のアイルランドを身近に感じる日本人は少ないのではないか。本書はそのアイルランドの現在について、丁寧に解説されている。 リベラルな富裕国と評されるアイルランドであるが、英国からの独立、じゃがいも大飢饉、内戦そして北アイルランド問題と多くのハードル...続きを読むを乗り越えてきた。 個人的には、カトリックを中心とした保守的な国家から、リベラルな国家へ転身した点に注目したい。国家は一日にして成らずというが、長期的にリベラルな土壌を耕し、段階的に転身を進めたことがよく分かった。この保守からリベラルへの推移の背景要因は、脱宗教化、周辺諸国のリベラル化そして高等教育の普及であると筆者は述べている。特にヨーロッパにおいては、国家と宗教の視点から現代史をみると面白いかもしれない。 終章では、アイルランドと日本を比較し、日本の課題を検討している。言語、宗教、周辺環境が異なる点を前提とした上で、外国人労働者に対する視点の変化の重要性を説いている。アイルランドの例から、何らかの歯止めは必要であるが、外国人労働者の受け入れが多様性を生み出し、結果的に社会の活力の原動力となったという視点は非常に示唆に富む。
かつてヨーロッパの最貧国と呼ばれたアイルランドがいかにして、人口あたりGDP世界第2位の経済大国へ成し上がってきたのか。そこには、タックスヘイブンや外資誘致、教育水準の安定という表面的な側面だけでなく、イギリスからの支配に苦しみ、IRAを筆頭に暴力と貧困に苦しんできた負の歴史が大きく関わっていた。新...続きを読む勢力のシン・フェイン党や、伝統的なカトリック的価値観を受け継ぐフィアナ・フォイル党、中絶や避妊をめぐる価値観の対立、イギリスの隣にありながら、全く異なる文化と歴史を育んできたヨーロッパの老大国の現代史を概観できる貴重な一冊。
政治面は兎も角、経済面でここまでの成長(一人当たりGDPが世界2位)を見せているとは思いも寄らなかった。頭の中の情報も更新していかなければいけない事を痛感。 ECやEU加盟の恩恵を最も受けたのはアイルランドではないだろうか?加入時点では国民賃金が低かった事が優位性をもたらし、英語が話せる事や当然優...続きを読むれた仕事を行う人が多かった事に加え、法人減税という少なくともタイムリーな経済政策の成功等も重なり、ケルティックタイガーと呼ばれる経済成長を成し遂げた。 日本が学ぶ事は沢山ある。 喜久屋書店阿倍野店にて購入。
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アイルランド現代史 独立と紛争、そしてリベラルな富裕国へ
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