ユーザーレビュー 江戸の思想史 人物・方法・連環 田尻祐一郎 そのタイトルに劣らず、近世日本思想史を適度なバランスで幅広くかつ、十分な分量で概説してくれる良著。仁斎の愛、徂徠の道など、もっと勉強してみたくなる本である。一番の収穫は平田神学の中で、のちの柳田民俗学に連なるような祖先の霊魂の話が出ていたことであり、国学と民俗学の系譜という事で、興味深く読んだ。各論...続きを読むはいつ見ても参考になると思うのであえて触れない(!) Posted by ブクログ 江戸の思想史 人物・方法・連環 田尻祐一郎 特に心に残ったのは二宮尊徳。これといった強力な宗教や思想があったわけでもない日本で、人々を労働へと導いた二宮。彼が用いたのは「暴力」でも「宗教」でもなく「言葉」であった。 Posted by ブクログ 江戸の思想史 人物・方法・連環 田尻祐一郎 学生のときに日本史用語集で時期と名前と著作を延々と暗記していた 固有名詞が色鮮やかに立ち上がってくる。 その思想は世の中をより良くするための思想で満ちている。 主に儒学・朱子学をテキストとして実に様々な批判や改良を試みて独自の思想を築いている。 どうしたらより正確に判断できるか、どうしたらより便利...続きを読むで豊かに暮らせるか。 現世におけるそのような思いが詰まっている。 誠実なプラグマティズムとでも言いたくなるほどに。 豊穣な近世の格闘を知らずに明治以降の思想を知ることはできないというのは正論だ。 近代的な輸入物である民権、自由、平等、憲法などが比較的短期で理解され定着したのは、 それもまた現世に対する思い入れの深さという点では近世と同じだったということだろう。 Posted by ブクログ 江戸の思想史 人物・方法・連環 田尻祐一郎 江戸時代の様々な思想を、<人と人との繋がり>のあり方から整理し、通観した本。江戸時代を世俗の秩序化の時代ととらえ、そこから近現代の我々と共有される問題を導き出そうとしている。世俗の秩序化は、イエ、出版(江戸時代は紛れもなく<書物の時代>である)、商品・市場、「日本」意識、性・差別といった場面で現れる...続きを読む。 取り上げられた思想家は数多く、一人ひとりの思想家に割かれる紙幅は多くないので、その分、いささか教科書的なところもあるが、著者の最初の問題設定にしたがった大きな軸に沿って位置付けられており、理解がしやすいように思う。 Posted by ブクログ 江戸の思想史 人物・方法・連環 田尻祐一郎 全然本論と関係ないのですが、あとがきの最後に「徳川思想小史」の著者、源了圓の話がちょろっと出てきて、特別思い入れがあるわけではないのに、うるっときてしまった。 Posted by ブクログ 田尻祐一郎のレビューをもっと見る