田尻祐一郎のレビュー一覧

  • 江戸の思想史 人物・方法・連環

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    そのタイトルに劣らず、近世日本思想史を適度なバランスで幅広くかつ、十分な分量で概説してくれる良著。仁斎の愛、徂徠の道など、もっと勉強してみたくなる本である。一番の収穫は平田神学の中で、のちの柳田民俗学に連なるような祖先の霊魂の話が出ていたことであり、国学と民俗学の系譜という事で、興味深く読んだ。各論はいつ見ても参考になると思うのであえて触れない(!)

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    2019年08月29日
  • 江戸の思想史 人物・方法・連環

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    特に心に残ったのは二宮尊徳。これといった強力な宗教や思想があったわけでもない日本で、人々を労働へと導いた二宮。彼が用いたのは「暴力」でも「宗教」でもなく「言葉」であった。

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    2015年08月21日
  • 江戸の思想史 人物・方法・連環

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    学生のときに日本史用語集で時期と名前と著作を延々と暗記していた
    固有名詞が色鮮やかに立ち上がってくる。

    その思想は世の中をより良くするための思想で満ちている。
    主に儒学・朱子学をテキストとして実に様々な批判や改良を試みて独自の思想を築いている。
    どうしたらより正確に判断できるか、どうしたらより便利で豊かに暮らせるか。
    現世におけるそのような思いが詰まっている。
    誠実なプラグマティズムとでも言いたくなるほどに。

    豊穣な近世の格闘を知らずに明治以降の思想を知ることはできないというのは正論だ。
    近代的な輸入物である民権、自由、平等、憲法などが比較的短期で理解され定着したのは、
    それもまた現世に対

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    2013年12月06日
  • 江戸の思想史 人物・方法・連環

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    江戸時代の思想史に関する話題をいくつかの分野ごとに解説した書籍です。各話題については、細かいことは記されていませんが国学や儒学など多くの話題の要点に触れることができます。また、天理教など思想史系の本ではあまり触れられることのない江戸の新宗教についても解説がされており、重宝します

    【こんな人におすすめ】
    江戸の思想について広く浅く学びたい人

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    2024年05月16日
  • 江戸の思想史 人物・方法・連環

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    江戸時代の様々な思想を、<人と人との繋がり>のあり方から整理し、通観した本。江戸時代を世俗の秩序化の時代ととらえ、そこから近現代の我々と共有される問題を導き出そうとしている。世俗の秩序化は、イエ、出版(江戸時代は紛れもなく<書物の時代>である)、商品・市場、「日本」意識、性・差別といった場面で現れる。

    取り上げられた思想家は数多く、一人ひとりの思想家に割かれる紙幅は多くないので、その分、いささか教科書的なところもあるが、著者の最初の問題設定にしたがった大きな軸に沿って位置付けられており、理解がしやすいように思う。

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    2014年10月09日
  • 江戸の思想史 人物・方法・連環

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    全然本論と関係ないのですが、あとがきの最後に「徳川思想小史」の著者、源了圓の話がちょろっと出てきて、特別思い入れがあるわけではないのに、うるっときてしまった。

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    2012年10月24日
  • 江戸の思想史 人物・方法・連環

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    江戸時代にあらわれた諸思想を概観する。各思想家の紹介は短いが、それらが、江戸の思想の中でどのように位置づけられるかを、わかりやすく説いている。特に、各章の冒頭と結びの部分の指摘は、頭を整理するのに役立った。

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    2012年03月06日
  • 江戸の思想史 人物・方法・連環

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    ネタバレ

    大学受験などで日本史を選択したものなら、お馴染みの名前、中江藤樹、山崎闇斎、熊沢蕃山、伊藤仁斎、荻生徂徠、貝原益軒、宮崎安貞、新井白石、安藤昌益、本居宣長、富永仲基、三浦梅安、司馬江漢、海保青陵、本多利明、佐藤信淵、平田篤胤、etc...。それらの思想家の大まかな思想を、大まかな時代の流れ・系統を整理しつつ紹介してくれる。
    受験用日本史だとほんの数行の特徴と生存した時代、代表的書物名くらいしか覚えてなかったりしたので(あるいはもうちょっと勉強したような気もするのだがきれいに忘れたので)、「名前は知ってるけどどういう人かは詳しく知らない故人の親戚」の話を聞いているようで楽しかった。

    また、この

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    2012年02月24日
  • 江戸の思想史 人物・方法・連環

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    #再読
    #実家に送ってた本シリーズ

    本文だけだと山川倫理の引用文多い版の域を免れない印象もあるし、記述の中で著者が自ら再論にあたっての作戦を貫徹できた印象もあまりない。ただし、著者が漠然とながら「江戸という、人同士が長い期間で共在し始めた時代において、ひとびとが人の関係を捨てない新しい思想を求めようとしていたのではないか」という直感がなんとなく潜在しているような印象は受けた。そのような観点から見直すと、江戸の儒学者は、シカゴ派社会学の誕生がシカゴのスプロール化に抗するものであったことに似たような発生過程を経ていたと言い直せるのかもしれない。儒学の都市化とでもいうか。

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    2019年12月23日
  • 江戸の思想史 人物・方法・連環

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    ネタバレ

    江戸時代を通じて、儒教・朱子学・陽明学・国学・蘭学などの重要人物、キーワードなどを説明してくれる一冊

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    2019年06月30日
  • 江戸の思想史 人物・方法・連環

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    江戸時代の思想の博覧会。朱子学から国学、蘭学さらに天理教などまで及ぶ。どこかで聞いたことくらいはある思想、人名が多いのだが、改めてこうして総ざらえにされると、江戸の世に百花繚乱の思想があった様がよく分かる。あとがきに、思想に寄り添いすぎて批判的に読むのが苦手、と記してあるがたしかにその通りみたいで、正反対な志向を持つ思想を取り上げてもそれぞれの長所を誉めてしまう。厚くはない新書にこれだけ幅広く詰め込んでいるので細部の突っ込みはあまりないのだが、初心者には好適の見取り図。てんこ盛りすぎて消化不良のきらいはありますが。

    元禄ルネサンスなんて言葉をどこかで聞いた記憶があるが、この様子にはルネサンス

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    2018年11月05日
  • 江戸の思想史 人物・方法・連環

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    江戸時代の思想史を概説している入門書です。

    本書の冒頭では、応仁の乱以後の日本を連続的なものとして捉える内藤湖南や網野善彦の議論が参照されています。中世の日本人が異界に近しい生活を送っていたのに対し、近世に入ると社会が安定し世俗的な秩序が整えられるようになります。江戸時代の思想は、そうした社会的条件のもとで形成されていきました。本書では、朱子学の諸概念がこの時代の思想を明確にすることに役立ったことを指摘しつつも、近世以降の日本人が直接的に触れることになった問題を、江戸時代の諸種の思想のうちに読みとっています。

    同じ「中公新書」には、伝統的な思想のなかに土着の近代性を見るという立場をとる源了

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    2017年11月29日
  • 江戸の思想史 人物・方法・連環

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    ネタバレ

    ≪目次≫
    序章  江戸思想の底流
    第1章  宗教と国家
    第2章  泰平の世の武士
    第3章  禅と儒教
    第4章  仁斎と徂徠①-方法と自覚
    第5章  仁斎と徂徠②-他者の発見、社会の構想
    第6章  啓蒙と実学
    第7章  町人の思想・農民の思想
    第8章  宣長ー理知を超えるもの
    第9章  蘭学の衝撃
    第10章 国益の追求
    第11章 篤胤の神学
    第12章 公論の形成ー内憂と外患
    第13章 民衆宗教の世界
    おわりに


    ≪内容≫江戸時代の儒教、国学、洋学の人物を紹介したもの。このあたりは、なかなか深みが得られないところなので、そこが補充される感じであった。

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    2012年09月11日
  • 江戸の思想史 人物・方法・連環

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    ネタバレ

    あとがきにあるように、大学での講義ノートが元になっており、儒教・仏教・蘭学・国学など、江戸期に登場した百花繚乱のごとき思想家たちを網羅的に解説していて、入門書としては格好だろう。
    その中で著者は、伊藤仁斎と荻生徂徠、それに本居宣長、この三者に紙数を割き、やや詳細に説いている。

    私には、ごく短い紹介ながら、弁証法ともみえる三浦梅園の方法論への解説、画家でありながら地動説など蘭学的知識の普及に務めたという司馬江漢のこと、「西域物語」を著した本多利明がカムチャッカ国家建設を企図提唱したこと、などの知見が耳新しく印象に残った。

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    2012年01月25日
  • 江戸の思想史 人物・方法・連環

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    明治、敗戦、高度経済成長と経験してきた日本の現代でもその文化風習、習慣には江戸のながれを組んだものが多く含まれている。
    江戸を考える時にまず≪人と人の繋がり≫≪イエ≫を見つめる必要がある。骨格には朱子学を中心にした儒教がある。これも人と人との繋がりをどうみつめるかであった。伊藤仁斎、荻生徂徠しかり。
    そこに内憂外患で蘭学の発展で国家が真に公共的国家であるための政治的・思想的要件を探求した。アジア(中国)からの脱皮、西洋の取り込み。

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    2012年01月12日