ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
5pt
イギリスのEU離脱、反イスラムなど排外主義の広がり、トランプ米大統領誕生……世界で猛威を振るうポピュリズム。「大衆迎合主義」とも訳され、民主主義の脅威と見られがちだ。だが、ラテンアメリカではエリート支配から人民を解放する原動力となり、ヨーロッパでは既成政党に改革を促す効果も指摘される。一方的に断罪すれば済むものではない。西欧から南北アメリカ、日本まで席巻する現状を分析し、その本質に迫る。
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
素晴らしい書籍。イギリスのEU離脱やトランプ旋風など、極右で反民主主義的な集団というイメージであろうポピュリズムについて、事例も含めて、すごく腹落ちする言語化をしてくれた。 ポピュリズムは解放パターンと抑圧パターンが存在、右派や左派でなく「下」からの動きである、とかなるほどなぁーと目から鱗の良書でし...続きを読むた。
本書『ポピュリズムとは何か』は、政治の世界で頻繁に語られる「ポピュリズム」という言葉を、感情や印象ではなく冷静に、そして多面的に読み解いていく一冊です。著者・水島治郎氏は、政治思想史や比較政治学の視点から、ポピュリズムが現代民主主義といかに緊張関係を持っているのかを明らかにしていきます。 本書でま...続きを読むず印象的なのは、ポピュリズムのリーダーが「歯に衣を着せぬ発言」で人々の感情を揺さぶり、「民衆の声」を既成政治にぶつけることで喝采を浴びるという指摘です。これは日本の橋下徹による文楽批判など、身近な例を通じて読者に強いリアリティをもって伝わってきます。 著者はまた、現代のポピュリズムが単なる「大衆迎合」ではなく、「民主主義(デモクラシー)」という正統性の象徴を掲げ、既存のエリート層や国際主義的価値観に挑戦している構造にも注目します。とりわけ欧州においては、移民排除とエリート批判がセットで進行している点が特徴的であり、デンマークやオランダといった一見「リベラル」な国家が、実は「先進的」なポピュリズムの温床であるという洞察は、非常に示唆に富んでいます。 イスラム風刺漫画事件や、フォルタイン、ウィルデルスといった政治家のイスラム批判は、近代的価値(自由・平等・人権)を根拠に異文化への排除を正当化する姿勢を象徴しており、西欧における「抑圧型」の右翼ポピュリズムの本質を浮き彫りにします。 イギリスの文脈では、イギリス独立党(UKIP)の躍進が注目されます。本書はその成功の背景に、単なる保守層の支持だけでなく、工業地帯や取り残された地域の「忘れられた人々」への訴えと、プロフェッショナルな戦略の存在があったことを丁寧に描き出します。反EU・反移民という主張を掲げる一方、若い世代の移民寛容な価値観との対比も描かれ、英国社会の分断が浮き彫りになります。 一方、ラテンアメリカでは「解放型」の左翼ポピュリズムが台頭しており、貧困層の救済や社会的正義を旗印に、草の根の支持を背景とした全く異なるタイプのポピュリズムが展開されています。このように、地域や文化によってポピュリズムの形が異なることを示す本書は、単なる「脅威」としてポピュリズムを排除するのではなく、その背後にある社会的文脈を理解するための優れた手引きとなっています。 「難民に生活費を支給するなら、私たちの子どもに回してほしい」――ドイツのタクシー運転手のこの言葉には、現代のポピュリズムの本質が凝縮されています。それは単なる排外主義ではなく、政治から取り残されたという感覚がもたらす“声なき声”の反響なのです。 水島氏は、ポピュリズムを一刀両断することなく、その多様性と背後にある社会的苦悩に光を当てながら、私たちにこう問いかけます。「民意とは何か?」「誰がそれを代表してよいのか?」――本書は、現代民主主義の危機を冷静に、かつ誠実に見つめるための一冊です。
排外主義が出てくる背景、参政党や維新、国民、れいわといったポピュリズム政党が議席を伸ばす仕組みがよく分かる。 ヨーロッパ、南米、アメリカの事例を元にポピュリズムの定義と機能、正の効果と負の効果ともわかる。 背景は、やはり、格差の拡大と不満や不安。如何にそれを解消していくのか。 阻害されていると思う人...続きを読むの存在が、ポピュリズム、社会不安を生み出すのかもしれない。 政治の課題と経済問題。
面白かった〜 何人かの大学の教授がお勧めしてたから読んでみた。 基本的なことから、主にヨーロッパでのポピュリストの動きまで知れる。また、著者が日本人だから日本国内のポピュリズム的な動きについても触れられており、比較したいときとかに最適。
2024年11月、トランプ再選。日本においても衆議院選挙での国民民主党の躍進等、昨今の国政選挙におけるポピュリズム的雰囲気が伸長しているように思える。そんな中で、ポピュリズムとは何なのか、気になって本書を手に取った。 本書では、ラテンアメリカ、ヨーロッパにおけるポピュリズム政党の事例を参照しつつ、副...続きを読む題の通りポピュリズムは「民主主義の敵なのか、改革の希望なのか」という点が考察されている。 総論としてはP20以降のまとめが非常にわかりやすく、メモとして以下に記しておく。論じられているのはポピュリズムの功罪である。 まず、デモクラシーに対しての寄与であるが、4点あげられている。主には、人々の参加と包摂を促すことである。 • 政治から排除されてきた周縁的な集団の政治参加を促進することでデモクラシーの発展に寄与する • 既存の社会的な区別を超えた新しい政治的・社会的まとまりを作り出すとともに、新たなイデオロギーを提供することができる • 政治そのものの復権を促すことでの寄与。重要な課題を経済や司法の場に委ねるのではなく、政治の場に引き出すことによって、人々が責任をもって決定を下すことを可能とする。またそれは、政治というものの持つ対立的な側面を呼びおこすことで、世論や社会運動の活性化につながる。 一方、デモクラシーへの脅威という観点では、以下の3つが挙げられる。 • 「人民」の意思を重視する一方、権力分立、抑制と均衡といった立憲主義の原則を軽視する傾向がある。特に、多数派原則を重視するあまり、弱者やマイノリティの権利が無視される傾向にある。 • 敵と味方を峻別する発想が強いことから、政治的な対立や紛争が急進化する危険性がある。ポピュリズムとアンチポピュリズムの新たな亀裂の中で、妥協や合意形成が困難になるおそれがある。 • 政党や議会と言ったっ団体・制度や、司法機関等の非政治的機関の権限を成約し、「良き統治」を妨げる危険がある。 ポピュリズムは、上述の通り、デモクラシーから見て必ずしも完全に相反する概念ではないことが、ある種の取り扱いづらさを呼びおこしている。完全に無視すれば、そもそも政治世界から排除された層の復権というポピュリズム団体の存在を認めることとなり、既存の政治主体への取り込みについても、一定の妥協が必要なことや、ポピュリズム団体が掲げる主張や排外主義的であれば、取り込むにしても既存の政治団体もそうしたイメージを払拭できないという袋小路となる。 また、本書における事例紹介では、主にラテンアメリカでは、社会格差を理由に、大地主や外国資本等のエスタブリッシュメント批判がポピュリズムの基本的な信念として、活用され、一方ヨーロッパではリベラルを錦の御旗にし、排外的な論調が目立つ。また、既存の政治手法や政治主体への批判、そもそもの間接民主制批判等も行われる。興味深い事例として、オランダのウィルデルスが挙げられ、1人政党として、政党組織を持たず、インターネットによる支援の呼びかけ等によって、政治手法そのものが全くの新しい形となっている例もある。 また、スイスの事例では、スイスの伝統的な国民投票の功罪も記載されている。例えば、スイスの福祉施策の遅れ等、現時点での国民に負担を強いる政治施策に対して、かなりの割合で国民投票で否決されることが記載されている。 こうしてポピュリズムというものを見たときに、中島岳志先生の、「立憲主義とは、民主主義に死者の存在を取り込むことである」というコンセプトのすばらしさを改めて感じる。ポピュリズムの特徴は、まさに主張の先鋭化と、今生きている人による多数者の圧政を促す点にあると、本書を読んで私自身理解した。端的に言えば、時間的にも空間的にも視野が狭いことにある。 一方、民主主義という意思決定手段を活用しながら、持続可能な社会を作るためには、民主主義を単なる多数決にしないための制度化されたシステムが必要となる。そうしたものが立憲主義であり、立憲主義が促すのは、意思決定者の視野を、少なくともその一生分やそこらの70-90年以上のスパンに広げることである。 「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」 ドイツの初代宰相であるビスマルクの言葉だが、敢えて、ポピュリズムと立憲主義や間接民主制に置き換えれば、「ポピュリズムは経験に学び、立憲主義は歴史に学ぶ」のである。 正直、今読み返してみると、「今苦しんでいる人をどうするんだ、これだからリベラルなんでエスタブリッシュメントの遊具にすぎないのだ」という批判も浴びそうなものであるが、そうした意見に対しても、常に真正面から対話し続け、社会の亀裂や溝を無くす努力をし続けなければならない。
非常に面白い EU離脱演説の際、ナイジェル・ファラージは「グローバリズムとポピュリズムの争いだ」と表現した。そしてまさにトランプ大統領が復活しつつある今、ポピュリズムの真価が問われる時代だなと感じた。
とても面白かった。 本書では、ポピュリズムを『既存のエリート層を批判することで人々の支持を集める手法』と定義付けしており、当たり前だけどポピュリズムだからといって必ずしも抑圧的であったり問題があるとは限らない。 ポピュリズムというのは民主主義の部分集合であって、問題が発生する時というのは、全体の一...続きを読む部あるいは多数派が結集することで、彼ら自身も含めた共同体全体の利益を結果的に損ねてしまう場合である。 近ごろだとEU離脱やトランプ政権、もっと言えば先月31日の衆院選での維新の会の大阪での大躍進がそれにあたる。 本来の民主主義の崇高な()理念というのは、多数派によって、少数派も含めた多様性を尊重することだけど、ポピュリズムの台頭はマジョリティに紐付けされていないマイノリティは問答無用で排除しても、切り捨てた側は痛くも痒くもないという現状を顕にしている。 本書では、党組織や労組などに依存した既存政党が、無党派層の増大や組合加入率の低下によって機能不全に陥り、直接民主主義を主張するポピュリズムに振り回される様子が活写されている。 ヨーロッパでは特に比例代表制がポピュリズムの躍進に一役買っているという指摘も正しい。 エリートの方々はとりあえずポピュリズムを批判するのがお決まりになっているけれど、彼らの頭が本当に良ければポピュリズムにも対応できるのでは?と思う。 それが出来ていない時点でお察し…ってことだよね。 #読書感想 #ポピュリズム #民主主義 #EU離脱 #トランプ #橋下徹 #維新の会
各国で猛威を振るっているポピュリズムに関する概説書。ベネズエラのチャベス政権といった南米のポピュリズム政権も取り上げられているが、筆者の専門はヨーロッパ政治史、比較政治なので、ヨーロッパのポピュリズム政党に関する記述がほとんどを占める。本書では、ポピュリズムの定義として、①固定的な支持基盤を超え、幅...続きを読む広く国民に直接訴える政治スタイル、②「人民」の立場から既成政治やエリートを批判する政治運動といった二つの定義があるが、後者の定義が採用されている。 ヨーロッパのポピュリズム政党において、大きく分けて、極右に起源を持つ政党と「リベラル」に起源を持つ政党の2種類がある。前者はフランスの国民戦線、オーストリアの自由党、ベルギーのVBといった政党であり、後者は、デンマークの国民党、オランダのフォルタイン党、自由党、スイスの国民党といった政党が含まれる。後者のタイプの政党は、前者のポピュリスト政党と同じく「極右」勢力と日本のマスコミで報道されるが、露骨な人種差別・民族差別を唱えていない。これらの政党は、自由・人権・男女平等といった近代的価値を全面的に擁護して、その近代的価値観をイスラムが決して受け入れず、「後進的」であると批判して、移民・難民の排斥を主張する。西洋的な「リベラル」価値観を守るためがゆえに、反イスラムであるというのは、『西洋の自死』のダグラス・マレーと同じであろう。現代のポピュリズムは「リベラル」と「デモクラシー」との間に親和性があるというのは興味深かった。また、ベルギーのVBの進出に対して、さまざまな対抗運動も活性化した。VBの躍進とそれに対する反対運動の活性化を通して、ベルギーの人々の政治不信が高まるのではなく、むしろ低下したという。 以前にミュラーの『ポピュリズムとは何か』を読んだ際に、その定義の狭さゆえに、ポピュリズムは悪いものだという前提で不満を持ったが、本書では、ポピュリズムの定義を少し広く取り、ポピュリズムが既成政党に危機感を与えて改革を促すこと、ポピュリズム政党の進出とそれへの対抗運動によって、社会が「再活性化」するなど、ポピュリズムの「効用」まで触れられており、射程はミュラーの本よりは広く、納得のゆく議論がなされている。本書は、かなり情報量が多く、この情報量でたった820円とは価格破壊である。ハードカバーなら最低でも3500円以上のだろう。ポピュリズムのみならずほぼ現代ヨーロッパ政治史の優れた概説本なので、一家に1冊は確保しておきたい。
ポピュリズムに対し、歴史的・政治学的な観点から切り込む。成立の経緯(左右の既成政党から蔑ろにされてきた低所得者のニーズを掴んだことなど)や肯定的な側面(改革促進、安全弁機能、脱反ユ・脱民族主義、リベラルな価値・民主主義的手法の尊重)がよく分かる。欧州のポピュリズムでは、基本的に反イスラム(自由民主主...続きを読む義にそぐわないとされる)、反移民、反EUという形を取る。その意味では従来の極右(ネオナチ、反ユ、民族主義)とは異なる。 なお、ポピュリズムの否定的な側面や、自由・民主主義と排外主義の結合により生じる内在的矛盾に対する叙述は少な目。メディアでしばしば紹介されるから、その部分は重視しなかったということか(?) 具体例は、南米の古典的なポピュリズム(アルゼンチンのペロンなど)から始まり、現代の 墺(ハイダー、自由党) 仏(ルペン、国民戦線) 独(ペトリ、ドイツのための選択肢) 英(ファラージ、イギリス独立党) ベルギー(デウィンテル、フラームス・ブロック) オランダ(フォルタイン、フォルタイン党→ウィルダース、自由党) デンマーク(ケアスゴー、国民党) スイス(ブロッハー、フライジンガー、スイス国民党) に加え、トランプや維新にも触れられており充実している。ベルルスコーニやドゥテルテには殆ど頁が割かれていない。ボルソナロは、出版時期の方が古いため当然言及なし。東欧についても言及がない。
ポピュリズムは本当に悪なのか。悪だとするならば、なぜ民主主義からポピュリズムが生まれてしまうのか。もし悪でなければ何なのか。誰かが統治者になればポピュリズムだと騒ぎ立てる人々が多くいる中で、民主主義とは何かを考えさせられる。定義からまず丁寧に書かれているの...続きを読むで初学者にもオススメ。この本は高校2年生の時に私が参加していた、社会科特別講座(通称、社特)で参考文献として取り扱った本のひとつ。あの時手に取ったこの本を、今再び読み返す。ポピュリズムを研究してみたいと、強く思う。
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か
新刊情報をお知らせします。
水島治郎
フォロー機能について
「中公新書」の最新刊一覧へ
「社会・政治」無料一覧へ
「社会・政治」ランキングの一覧へ
一冊でわかるオランダ史
アウトサイダー・ポリティクス ポピュリズム時代の民主主義
試し読み
アフターコロナの公正社会――学際的探究の最前線
公正社会のビジョン――学際的アプローチによる理論・思想・現状分析
世界史のリテラシー オランダは、「自由の国」だったのか アンネ・フランクの連行された日
ポピュリズムの本質 「政治的疎外」を克服できるか
ポピュリズムは民主主義を破壊するのか
「水島治郎」のこれもおすすめ一覧へ
一覧 >>
▲ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か ページトップヘ