米中論のタイトルから、アメリカと中国について、特に米中対立、台湾問題、などが中心になっているかと思って読み始めた。
アメリカが8割、中国論が1割、米中関係が1割位の印象だろうか。初めにでもあるように、ほとんどが米国論であろうか、解決不能な自由と平等については非常に興味深い点が多かった。平等と言うのは
...続きを読む、公権力が市民の自由に介入し、強者の権利を制限し強者の富を税金として徴収し、それによって弱者を保護し、貧者に分配することによってしか実現しない。市民を自由に競争させていたら、そのうち平等が実現すると言う事は絶対に起きません。自由の国アメリカが、世界有数の格差社会の国である事はよく言われている通りです。
それでは翻って中国はどうなのだろうか、凄まじい経済格差の社会である中国で、国民の不満が抑制されているのは、自分にもそのうち冬になるチャンスが巡ってくると言う期待があるからだと言う説明には説得力があるが、この期待が維持されるためには、中国はこれから豊かになり続けると言う成長の保証が必要である。
中国は共産主義の国であるが、日本の方がより共産主義的であるとよく言われている。では、中国において現在の様々な矛盾の解決策は、中国を共産化することというのが作者の結論。平等を達成すると言う事は、権力を持ち、富裕である人々が私権の行使を抑制し、私財の相当部分を吐き出して、それを公共財として供託することなしには実現しません。中国で権力者たちが日常的に行ってきたのは、公権力を私的用い、公共財を私財に付け替えることでした。共産党は倫理的に潔白でなければならない腐敗キャンペーンの行く先はどこへ向かうのであろうか学習塾の廃止も、共産化の一旦であり、青少年のゲームできる時間の制約も、アヘン戦争前のアヘンと同様に考えることができると言う指摘には納得した。