【感想・ネタバレ】人口減少社会の未来学のレビュー

あらすじ

文明史的スケールの問題に挑む!
21世紀末、日本の人口が約半数になる⁉ この大きな変化に対して私たちは何をなすべきか。
人口減少社会の「不都合な真実」をえぐり出し、文明史的スケールの問題に挑む“生き残るため”の論考集。各ジャンルを代表する第一級の知性が贈る、新しい処方箋がここに。

【目次】
・序論 文明史的スケールの問題を前にした未来予測 内田樹
・ホモ・サピエンス史から考える人口動態と種の生存戦略 池田清彦
・頭脳資本主義の到来
――AI時代における少子化よりも深刻な問題 井上智洋
・日本の“人口減少”の実相と、その先の希望
――シンプルな統計数字により、「空気」の支配を脱する 藻谷浩介
・人口減少がもたらすモラル大転換の時代 平川克美
・縮小社会は楽しくなんかない ブレイディみかこ
・武士よさらば
――あったかくてぐちゃぐちゃと、街をイジル 隈 研吾
・若い女性に好まれない自治体は滅びる
――「文化による社会包摂」のすすめ 平田オリザ
・都市と地方をかきまぜ、「関係人口」を創出する 高橋博之
・少子化をめぐる世論の背景にある「経営者目線」 小田嶋 隆
・「斜陽の日本」の賢い安全保障のビジョン 姜尚中

内田樹×藻谷浩介の特別対談「世界の人口動態と帝国再編」を収録

※この電子書籍は2018年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

(2019/7/2)
読み応えあり。

識者と呼ばれるひとたちが、内田樹氏の声かけのもと、
人口減少社会について文章をよせたもの。
それぞれの観点、得意技から、人口減少を斬る。
いろんな視点が斬新。

同じテーマで11人の文章を読んだから、誰が何を語ったか、
以下の目次を見ても思い出せないところはあるけど、
特に印象的だったのは、

最悪の事態に備え対策を立てること自体を忌避する文化が日本にはある、
という話し。
いけいけどんどん。
マイナスのことを言うと、士気が下がる、といっていやがる。
そうして突っ走って失敗する事例は多い。
成功する経営者はしっかり対策を立てる。
立てずに行き当たりばったりで行くから、失敗するのだ。
今の国も似たようなものだ。

食べることとセックスすること、という、人間の、動物としての本能の部分が、
AIだの機械化だので「面倒なもの」という範疇に入って、
錠剤と人工授精にとってかわられる、快楽はバーチャルで、、、
実際そんな世の中が来ているようで恐ろしい。
若者はAVで満足しているのではなかろうか。面倒な生身より。
人間が人間であるとはどういうことか、見つめ直す必要があると思う。
それすら考えないでなんとなく生きている人間のなんと多いことか。(ちこちゃん風)

イギリスの緊縮財政社会が貧困層をどんどん苦しめている、とか。

若い女性が行きたいと思わない、いや、行きたくないと思う風習の残る自治体に未来はない、とか。

結婚→子ども というモラルが残る以上、人口減少はさけられない、とか。

用もないのに江戸時代を生き残ってしまった武士、現代に生き残っている、役に立たないものを建てる建築家、とか。

やれ経営者目線でものを考えろ、なんていうから、大上段に構えた詰まらん議論が増えた、とか

うん、面白い。楽しい。
人口減少社会、少子化は肯定のしようがないが、
また、識者の意見が抜本的解決策になるわけもないが、
なんだか充実した本だった。

20―39歳の女性が95%の子供を出産する、この事実は変わらない。
若いうち産まなくていい歳になって子供が欲しくなっても間に合わないのだ。物理的に。
だから早く産め、とは言えない現代だが、そうしやすい環境を社会が作ることは大事。
年食って自分第一で生きている年寄りは最低だ。絶対そうはなりたくない。
結婚しなくてもどうどうと産める社会、産んだ後は社会で育てる、
そういう努力は必要だよ。


・序論 文明史的スケールの問題を前にした未来予測 内田樹

・ホモ・サピエンス史から考える人口動態と種の生存戦略 池田清彦

・頭脳資本主義の到来
――AI時代における少子化よりも深刻な問題 井上智洋

・日本の“人口減少”の実相と、その先の希望
――シンプルな統計数字により、「空気」の支配を脱する 藻谷浩介

・人口減少がもたらすモラル大転換の時代 平川克美

・縮小社会は楽しくなんかない ブレイディみかこ

・武士よさらば
――あったかくてぐちゃぐちゃと、街をイジル 隈 研吾

・若い女性に好まれない自治体は滅びる
――「文化による社会包摂」のすすめ 平田オリザ

・都市と地方をかきまぜ、「関係人口」を創出する 高橋博之

・少子化をめぐる世論の背景にある「経営者目線」 小田嶋 隆

・「斜陽の日本」の賢い安全保障のビジョン 姜尚中

0
2024年07月19日

Posted by ブクログ

人口減少について、むちゃくちゃバラエティに富んだ様々な立場の人が短い論考を述べていて、面白い
これだけ色んな角度から書いてあると今までより少し俯瞰で見れるようになった

概ね「人口減少社会では、社会的繋がり増やすのが大事」っていうことは共通。

0
2023年05月06日

Posted by ブクログ

世の中的に“識者”と呼ばれる人たちによる、『人口減少問題』に関する提言・分析。

私でも聞いたことがある様な人たちのオムニバスです。首肯できる内容もあれば、“あれ?”と頭を傾けざるを得ないもの、何を言っているのかわからないものw、いろんな事が書かれています。

人口減少のとらえ方が、それぞれ異なっているので、この本を通して共通するテーマなり提言というものはありません。その意味では、多数の意見を知ることが出来るという事が、この本の特徴でしょうか。

色んな意見を読んでみて、自分なりに人口減少問題について考えてみるというのが、この本の楽しみ方なのかもしれません。

0
2022年05月31日

Posted by ブクログ

内田樹は一貫して縮小主義だが,それに反するブレディみかこの小論が興味深い。平川克美の有配偶者の女性はむしろ昔より子どもを産んでいるという指摘と,晩婚化がどう整合するのかがよく分からなかった。晩婚化してても結婚すれば産むのであれば,晩婚化は少子化とは関係しないように思えるのだが?隈研吾の建設業=武士というのは面白いと思った。そして平田オリザはなかなか良いことを言う。

0
2025年10月29日

Posted by ブクログ

編者の内田樹をはじめ11人の執筆者が、現代の日本社会において喫緊の課題である人口減少・少子化の問題について論じている本です。

それぞれの執筆者たちの展開する議論の中身に踏み込むことは避けますが、編者である内田の議論については、それが果たしている役割を明確に理解しておくことが必要ではないかと考えます

内田は、少子化が深刻化することはとうにわかっていたにもかかわらず、われわれが手をこまねいてきたことに注目して、「日本人は「最悪の事態」に備えてリスクヘッジする習慣がなく、そういう予測をすること自体を「敗北主義」として忌避する」という伝統があると指摘します。そのうえで、「日本人というリスクファクターを勘定に入れておかないと適切なリスク管理はできない」と主張しています。

これだけ見ると自己論駁的な主張に感じられるかもしれませんが、丸山眞男の超国家主義についての議論を参照していることからも明らかなように、そうしたわれわれの思考のクセを眼前に引き据え、自覚することでそこから脱却することをめざさなければならないというのが本意だと思われます。「少子化」に対する提言ではなく、少子化「問題」に対する人びとの注意を喚起することを意図した文章なのですが、ひろく議論が交わされるステージを設置するという、編者のなすべき役割を果たしていると評するべきでしょう。

0
2024年11月08日

Posted by ブクログ

タイトル通り人口減少社会で日本がどう生き残るのか、さらに発展するのかについて論じたものを集めた、論文集。
論文のため、一章ごとが短くなっている。日本の未来をかんがえるきかっけとしてはちょうどよい

以下気づき
地方に可能性あり
女性に嫌われる自治体に未来はない
日本の農家、漁師は地方と都会をかきまぜることが大事
男性社会、文化がいまだに根強い

0
2022年12月08日

Posted by ブクログ

最悪の事態に備えてリスクヘッジをする習慣がなく、その予測を敗北主義として忌避するという、日本人というリスク。
目から鱗の文言でした。

0
2021年04月30日

「社会・政治」ランキング