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Posted by ブクログ
本書では、勇気とは?から始まり、勇気と正直と親切が深い関係にあると話が展開していきます。
勇気を持つ人とは、他者と繋がれないと諦めるのではなく、他者と繋がる事は簡単には出来ない事を認め、それでもいつかは繋がると信じて、諦めずに繋がるまでの孤独に耐える事の出来る人。
正直な人とは、自分の剥き出しの欲望ではなく自分の考えを客観的に注釈を付けられる正直さを持つ人。
親切な人とは、ほとんどの人が見逃してしまう他者が発するわずかなシグナルも聞き取る事ができる人。
勇気も正直も親切も我々が普段考えているような意味とは少し違う解釈かもしれません。
勇気があるから正直で親切で、正直だから勇気があり親切で、親切だから勇気があり正直でいられると言う、分かりやすい起点と終点があるようなものではありませんでしたが、この3つの徳目のぐるぐると回るような関係が人間の人間性に関わる重要な土台だと思いました。
筆者の本は分かりやすくどんどん読めてしまうのですが、後から本の内容について考えると、あれ?どんな事が書いてあったっけ?となり、考えながら読み重ねる事で自分なりの理解が深まるような気がします。
Posted by ブクログ
この本の表紙に描かれているイラストが素朴で可愛らしい、読んでからまた見てみるとこの本で内田先生が述べていることだと気がつきます。
「勇気」という言葉から連想するのはやはり、“勇気りんりんるりの色〜”というメロディーライン、あの「少年探偵団」の主題歌です。先生と年代が近いので、私も先生と同じことを思い浮かべました。まずこの「勇気」という資質が現代日本に足りないものと述べています。
この本は編集者と先生の往復書簡をまとめたものなので、読み易い内容になっています。編集者の問いに対する先生の答えは、ああそうか、やっぱりそうなんだなあと一々腑に落ちたり、それでいいんだなあと安心したりします。
現代日本において「勇気、正直、親切」という徳目が顧みられなくなっていること、孤立することが極端に忌避されていることに焦点を当てて、文献などからそれぞれの言葉の意味や現象を探っています。
「最も重要なのはあなたの心と直感に従う勇気」とスティーブ・ジョブズの卒業式の式辞を引用しています。学校教育では「自分のヴォイスを見つける」ことが大切な目的の一つで、教育現場でよく言われる「大きな声でハッキリと」と言うことの実践とは正反対の「とても一言では言えないこと」つまり口ごもったり、言い淀んだりの方が大切だと知り、安心した訳です。
ヒーローは「いるべき時にそこにいる」。自分を呼ぶ声が聴こえる(ミッション)というような状況は、体験的に納得がいきます。
以前に読んだ「修行論」にもあったように危機回避能力を養うために感受性を磨き、考えなくても動く身体を作るやはり大事なことなんだと改めて思います。
Posted by ブクログ
勇気論という内田翁には珍しいタイトルだが、なんのことはない、いつもの話だった。
どの部分も良かったが、特にあとがきが良くまとまっており、勇気と内田翁のいつもの他者論/レヴィナス論とのつながりがわかる。
勇気とは、孤立に耐える力であると、最終的には提示される(定義ではない)。上位審級が存在しない状態、何をしてよいのかわからない状態の中で、何かを判断する能力にも勇気は関連する。孤立するということは、他者からの理解が得られないことであるが、いつもの話だが、コミュニケーションの要諦は、理解も共感も絶した他者と、ゼロベースでコミュニケーションを成り立たせることである。コミュニケーションとは、理解も共感も介さずに、まずは他者の他者性を認めることにある。孤立に耐えるということは、他者の他者性を認めることに他ならない。なぜならば、理解や共感も得られない状態で、自分の考えを伝え、なんとかコミュニケーションを成り立たせようとするまさにその期間が、孤立に耐える期間だからである。現代では、その期間が短くなっており、他者を一度『』に入れて、判断を保留し、とりあえず付き合ってみるという感覚が失われている。それは即ち、孤立に耐える能力、つまり勇気が失われつつあるということでもあろう。
その他、いつもの話。
• 論理の飛躍に耐えるのも勇気である。これまでの歴史上の発見は、マルクスもフロイトも含め、論理というよりは論理の飛躍によるものである。例外的な知性は、目の前に散乱している断片的な事実をすべて整合的に並べてみて、すべて説明できる理屈はこれしかないという推理に基づいて前代未聞のアイディアを提示してきた。例外的な知性の、その例外さというのは、こうした前代未聞のアイディアに対して、これまでの常識に妨害されずに、立ちすくまず、常識の限界を超えてジャンプし、突き進むところである。そして、その時に必要なものは、やはり勇気である。
• 問を立てるのは、答えを得るためではない。そうではなくて、問いを立てるのは、問題の所在を示すこと、問題を前景化すること、「ここに難問在り」とアンダーラインを引くことである。適切な問題を立てることは、その問題に正解することと同じくらいに、いや、それ以上に価値のあることである。(仮説思考の要諦)
• 人類は誕生してからずっと、「どうしたら知性の活動は最も活性化するか」ということを生存戦略上の最優先課題にしてきた。どうしていいかわからないときのどうしていいかわかる。答えを知らない問いに対して、大体のあたりを付けられることが人類が最優先に開発すべき能力である。
神も、仁も、道も、人間が何か一義的に定義できないものであり、しかし、その定義できないものについて、暫定的な解を求めて考え続けることが、人間の知性にとって爆発的な活性化の効果を与えてきた。問いと解くのではなく、問いについて考えている間に、また一つ話を思い出して、もう一つの謎について語りだす。それが人間の知性の正しい形なのではないか。まさに先生の話で一番大事なのは、雑談であるという私の学生時代の確信は正しかったのだろう。
Posted by ブクログ
至言に溢れた一冊でした。
「勇気とは何か」を、論理的に体系的に説明するのではなく、編集者との往復書簡という形で考察をしながら導き出していく、という内田さんの思考の過程を辿ることができて、とても面白かった。
「勇気」についてだけでなく、その過程で考えたとりとめのないことの中にも、「なるほど」と膝を打つ言葉が出てきて、子育てをする中でも大事にしたいと思えることがたくさんあった。
特に心に留めておきたいと思ったのは、以下。
「自分がほんとうに思っていること、感じていることを自分の言葉で語る時、口ごもったり小さな声になってしまうのは当然のこと。『大きな声で、はっきりと自分の思っていることを言いなさい』と言ってはいけない。大きな声で言えるのは、他人からの受け売りの言葉であるからだ」
自分の子どもや、他人や、自分自身が口ごもってしまうとそわそわモゾモゾしてしまうが、口ごもることは悪いことではなく、むしろ推奨するべきもの、待つべきタイミングであるということを忘れずにいたい。
Posted by ブクログ
昨年TVドラマのあるシーンを見て、つい号泣してしまったときのこと。
そのとき、ふと気づいたのです。
自分はこの手の“勇気のパターン”にすこぶる弱いことに。
その謎を紐解きたくなり、手に取ったのが内田樹さんの『勇気論』でした。
往復書簡形式で、内田樹さんらしく知性の高い話をわかりやすく展開してくれます。
ひとつ分かったのは、私が涙する勇気は、その場が抱えている踏み出せていない言動を、誰かが先陣きって発揮してくれたものであるということ。
ただそれだけではここまで涙する理由としては、ちょっと弱い。
私は同時に何か“美”らしきものも感じていた気がするのです。
「勇気と美のつながりとは何か」
こうして新たな問いが芽吹いたのでした。
Posted by ブクログ
今の日本に足りないものは『勇気』から始まる知的大喜利。勇気は孤立を耐える力がなぜ後退したのか?少年ジャンプのせい、少年ジャンプが物語の基本を『友情・努力・勝利』を流布させたせい。『勇気・正直・親切』から展開する九つ話を展開する。日本だけでなく、世界中で暴力が猖獗をきわめてるのは理解も共感もできない他者を前にした時の不快に耐えられない弱さが蔓延してある。それこそ他者の他者性に耐えられないとは孤立に耐えられないのと同じ。他者との断絶を初期設定としてコミュニケーションの橋を架ける、孤立に耐えられるのはいつか他者との連帯できると信じて行くこと。それが成就する日まで生き延びため『勇気』が必要だと言う事。
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