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いまの日本人に一番足りないものは何だろうか? 本書では、“モヤモヤを抱えた編集者との往復書簡”によって、内田樹が「勇気」の意味を考察します。ジョブズ、フロイト、孔子、伊丹万作、河竹黙阿弥、大瀧詠一、パルメニデス、富永仲基……思いがけない方向に転がり続けた二人のやりとりは、結論にたどり着くことができるのか。読み終わる頃には、あなたの心はフッと軽くなってるに違いありません。
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Posted by ブクログ
2025/12/21 16:43 いや、これは借りるんではなくて買うべき本だった。 最初から最後まで、後書までこれはっていうことがつまってる。 座右の一冊にした方がいい本。
早くも2025No. 1かも。そう思わざるを得ないほど訓えに満ちていた。樹先生の本はいつも知的興奮をびりびりくれるのですが今回はたぶん仕事(教育)での悩みというか個人的な課題に深く関わる話が多くて。あとがき286ページなんか思わず声に出して読み上げてしまった。勇気は「孤立に耐える」ための資質。孤立...続きを読むに耐える人は他者の他者性に耐えることができる。ただしそれは単なる我慢ではなく、連帯の希望があってこそのもの。勇気をもって生きてください。はー、痺れる……。
『いまの日本人に足りないものは勇気だ』 そんなツイートをきっかけに始まった著者と編集者による往復書簡 ヨシタケシンスケによる装丁イラストが非常に良く内容を表している いろんなことに矛盾を感じてるひとは勇気を貰えるはず 往復書簡モノはハズレがない、ほんとに。
騙されることもひとつの悪。 連帯を信じつつ孤独を恐れない。 この二つが特に好きな考え方です。 勇気は結論づけられないけど、沢山の思い出が実は大きな勇気に包まれていたんだと教えてくれる本でした。 最後に引用の引用をひとつ。 "本当に何かを望んだ時 宇宙のすべてが協力して 夢の実現を助けて...続きを読むくれる"
勇気論という内田翁には珍しいタイトルだが、なんのことはない、いつもの話だった。 どの部分も良かったが、特にあとがきが良くまとまっており、勇気と内田翁のいつもの他者論/レヴィナス論とのつながりがわかる。 勇気とは、孤立に耐える力であると、最終的には提示される(定義ではない)。上位審級が存在しない状態、...続きを読む何をしてよいのかわからない状態の中で、何かを判断する能力にも勇気は関連する。孤立するということは、他者からの理解が得られないことであるが、いつもの話だが、コミュニケーションの要諦は、理解も共感も絶した他者と、ゼロベースでコミュニケーションを成り立たせることである。コミュニケーションとは、理解も共感も介さずに、まずは他者の他者性を認めることにある。孤立に耐えるということは、他者の他者性を認めることに他ならない。なぜならば、理解や共感も得られない状態で、自分の考えを伝え、なんとかコミュニケーションを成り立たせようとするまさにその期間が、孤立に耐える期間だからである。現代では、その期間が短くなっており、他者を一度『』に入れて、判断を保留し、とりあえず付き合ってみるという感覚が失われている。それは即ち、孤立に耐える能力、つまり勇気が失われつつあるということでもあろう。 その他、いつもの話。 • 論理の飛躍に耐えるのも勇気である。これまでの歴史上の発見は、マルクスもフロイトも含め、論理というよりは論理の飛躍によるものである。例外的な知性は、目の前に散乱している断片的な事実をすべて整合的に並べてみて、すべて説明できる理屈はこれしかないという推理に基づいて前代未聞のアイディアを提示してきた。例外的な知性の、その例外さというのは、こうした前代未聞のアイディアに対して、これまでの常識に妨害されずに、立ちすくまず、常識の限界を超えてジャンプし、突き進むところである。そして、その時に必要なものは、やはり勇気である。 • 問を立てるのは、答えを得るためではない。そうではなくて、問いを立てるのは、問題の所在を示すこと、問題を前景化すること、「ここに難問在り」とアンダーラインを引くことである。適切な問題を立てることは、その問題に正解することと同じくらいに、いや、それ以上に価値のあることである。(仮説思考の要諦) • 人類は誕生してからずっと、「どうしたら知性の活動は最も活性化するか」ということを生存戦略上の最優先課題にしてきた。どうしていいかわからないときのどうしていいかわかる。答えを知らない問いに対して、大体のあたりを付けられることが人類が最優先に開発すべき能力である。 神も、仁も、道も、人間が何か一義的に定義できないものであり、しかし、その定義できないものについて、暫定的な解を求めて考え続けることが、人間の知性にとって爆発的な活性化の効果を与えてきた。問いと解くのではなく、問いについて考えている間に、また一つ話を思い出して、もう一つの謎について語りだす。それが人間の知性の正しい形なのではないか。まさに先生の話で一番大事なのは、雑談であるという私の学生時代の確信は正しかったのだろう。
至言に溢れた一冊でした。 「勇気とは何か」を、論理的に体系的に説明するのではなく、編集者との往復書簡という形で考察をしながら導き出していく、という内田さんの思考の過程を辿ることができて、とても面白かった。 「勇気」についてだけでなく、その過程で考えたとりとめのないことの中にも、「なるほど」と膝を打...続きを読むつ言葉が出てきて、子育てをする中でも大事にしたいと思えることがたくさんあった。 特に心に留めておきたいと思ったのは、以下。 「自分がほんとうに思っていること、感じていることを自分の言葉で語る時、口ごもったり小さな声になってしまうのは当然のこと。『大きな声で、はっきりと自分の思っていることを言いなさい』と言ってはいけない。大きな声で言えるのは、他人からの受け売りの言葉であるからだ」 自分の子どもや、他人や、自分自身が口ごもってしまうとそわそわモゾモゾしてしまうが、口ごもることは悪いことではなく、むしろ推奨するべきもの、待つべきタイミングであるということを忘れずにいたい。
今の日本に足りないものは『勇気』から始まる知的大喜利。勇気は孤立を耐える力がなぜ後退したのか?少年ジャンプのせい、少年ジャンプが物語の基本を『友情・努力・勝利』を流布させたせい。『勇気・正直・親切』から展開する九つ話を展開する。日本だけでなく、世界中で暴力が猖獗をきわめてるのは理解も共感もできない他...続きを読む者を前にした時の不快に耐えられない弱さが蔓延してある。それこそ他者の他者性に耐えられないとは孤立に耐えられないのと同じ。他者との断絶を初期設定としてコミュニケーションの橋を架ける、孤立に耐えられるのはいつか他者との連帯できると信じて行くこと。それが成就する日まで生き延びため『勇気』が必要だと言う事。
勇気とは孤立を恐れないことである。 それは自らに理がない時には敗けを認めることである。 まごまごしながらもテンプレに頼らずに自分の思考と言葉で表現し、平場の会話をしながらもそれをどう解釈すべきかの本音を見せることである。 そして、勇気を持つために、つまり、孤立に耐えて事を進める土台となるべき自分の本...続きを読む性や天職を見つけるために、自分を呼ぶ僅かな声を聞き取る感性を磨かなければならない。それは全身で、五感をひとつなぎの情報とみなして受け入れることで磨かれる。それが磨かれれば、自分がいるべきでない時と場所を感じ、そこを避けることができるようになり、天下無敵の存在となれる。その結果、自分のいるべき時と場所を見つけられれば、そこでなら孤立に耐えることができるだろう。それが勇気である。 と、ここまで強く共感。 ただ、所々で説教臭く決めつけが強すぎる。 与党に国民が制裁を加えないのは勇気がないからではなく野党がだらしなさ過ぎることを感じ取っているからでは? 論理国語を反知性主義のたまものだとボロクソに批判しているが、これまでの「文学」(著者が必要とする)を用いた教育が規約もルールも解読できない若者を作ってしまったことが論理国語を必要とすることの前提に存在しているものであって、批判すべきはこれまでの文学教育の情けなさでは? とか。 あと、最後に、勇気は永遠の孤独に耐えることを前提とするものではなく、他者から手を差しのべられるまでの当面の間を耐えるためのものですよ、って、結局最後は承認欲求が満たされないとダメであると結論付けているあたりは脱力❗ まあ、途中の話が面白かったから星4つ。
選挙前に3〜4日かけて読んだというのもあり、毎日が凄い勢いで過ぎて行き、私や家族もちろん、タクシーの運転手までもが「最近日付がわからなくなり…」という有様だ。 その中で数日に分けて読み、その瞬間は理解しても、まあ読み終わる頃には忘れていた。 個人的にその方が良いくらいだと思う。 次に似たシチュエー...続きを読むションに遭った時に「思い出すように」動ければそれで良い。 ただ終盤に行けば行くほど「ああ他人の他人性、これが分かり合えないということだな」と感じる事が多かったですが、後書きにある通り、他者とは他者である、然し両者の間に橋をかけることは可能である。 それくらいで良いのだと思います。 私はある時誰かが冗談で言った『神は死んだ!』という言葉がいまだに頭から抜けない。 別段神という概念に深く傾倒しているわけではないが、そういうことではないのだ。 気軽にそんなことを冗談にすべきではないと、ふと思い出し…いや、ずっと思い出し続けているのだ。
内田樹さんは ほんとうに 読ませてくれます ほんとうに ふむふむ と 考えさせてもらえます ほんとうに なぁるほどなぁ と うなづかせてもらえます ほんとうに あぁ いい時間だった と 思わせてもらえる その ほんとうに いいなぁ を 引き出された 編集の古谷俊勝さんが すてきです それになにより...続きを読む 挿画にヨシタケシンスケさんを起用された その手腕が 素晴らしい 片手をあげている 老若男女の中の一人に 私がいる そんな気分に させてもらいました
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