内田樹のレビュー一覧
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「現代思想入門」からこちらへ。寝ながら読めるほど自分には優しくないが(むしろ頭が冴える?)、「現代思想入門」にもあったトピックをもう少し掘り下げてくれる。教科書的にというより面白いところを紹介してくれる感じで。
構造主義とは、人間は自分で判断や行動の「自律的な主体」であると信じているけれども、実は自律性はかなり限定的で人や世界の構造的な事実(時代、地域、社会集団の歴史や常識等の無意識なところ)に基づいて成り立っていると。その切り口として権力論のフーコーや言葉遣いのバルトや文化人類学のレヴィ=ストロースや精神分析のラカンを取り上げて説明している。特に後の二人の話はへーと刺激的。
歴史は文化に -
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思想家であり武道家である内田樹さんの考えには賛同できるものが多い。
今の日本社会は何かおかしい。
この新書は、内田さんがこれまで書いてきたコラムを集めたもので、
★「観光立国」という安全保障
★「最終学歴がアメリカ」を誇る、残念な人々
★ 加速する「新聞」の落日
★「食糧自給率」が低い――その思想的な要因
★ 第二期トランプ政権誕生の「最悪のシナリオ」
★ 民主政の「未熟なかたち」と「成熟したかたち」
★「自民党一強」の終焉
★ 100年後に残る都市は「東京」と福岡のみ
などなどが取り上げられている。
まえがきで内田さん自身が書いているが、「救うには」とは書いてあるが、
その処方箋は書いていな -
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これもまた読んでよかった。
30代の刑部さんという編集者の質問に答えるという形で書かれた「老い」ということにまつわる12のエッセイ。
内田さんの話は、内田流の「こじつけ」(褒めてる)が特徴だと思うのだけど、その「こじつけ」がオリジナルで、そして、とてもいい。
もっとこじつけてください!と、説得される心地よさに身を委ねる読書(褒めてる)。
寝る前に少しずつ読んだせいで、納得できる〜という感慨だけ残って、あまり記憶に残ってないのだけど笑、11章の少子化については、記憶に新しいだけでなく、内田さんがよく書かれていることなので、ここに書き残しておこうかな。
「2022年のデータ(WBGによる)によ -
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とても面白い本だった。
読んでみて、内田さんが「集団としての知性をいかに高めるか」を非常に重視していることが改めてよく分かった。そのためには、個々人が“ペンディングする力”、すなわち目の前の違和感やモヤモヤを即座に解消しようとせず、抱えたまま読み進める忍耐力を身につけることが重要だと説いているように感じた。ある時ふと、そのモヤモヤがひらけるように昇華される——そのプロセスこそが学びなのだ、と。
(余談だが、内田樹さんと言えば、学生時代の現代文テストで頻出の“手強い存在”という印象が強く、何度苦しめられたか分からない。しかし大人になって改めて読むと、その思考の面白さや懐の深さにようやく気づき -
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10代向けにフリガナを多用した本だが、これは大人にも十分読み応えがある。
というか、ここまで考える大人はいないだろう。
表紙、タイトルの雰囲気からもっとおちゃらけた本だと思っていたが、
とんでもない。
深い。重い。そして的を射ている。
日頃の私の問題意識にぴたっと当てはまっている。
なんでこんなタイトルにしたんだろ。
最初に私が思ったような軽い感じで読み始めたら、離脱者続出だろう。
しかししっかり読み進めば、日本の病巣を抉り出すような内容。
タイトルって難しいよなあ、、、
さて本題。内容。目次はこう。
■PART 1.謎ルールに従ってしまうワケ
第1章 他人に振り回される私たち
ルールま -
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バッカ面白かった。
貨幣経済、大航海時代、映画、文学評論等に話が脱線しながらも先生はえらいという結論に持っていく手腕は見事。これらの脱線も全てコミュニケーションが本質的に誤解を含むものであるという導入になっていた。最後の文章
私たちは「あなたがそうすることによって、私に何を伝えたいのか?」という問いを発することができる相手がいる限り、私たちは学びに対して無限に開かれています。私たちの人間としての成熟と開花の可能性はそこにあり、そこにしかありません。
という金言にやられ、その文がどういう文脈で使われているのか知りたくて読んだが、想像以上に面白かったし、上記の文章の意味をよく理解できた。(完璧に理 -
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……うーん,いやあ,凄い本だった。
2002年(23年前)に初版発行か。
ちょうど大学に入りたての頃だっただろうから,その頃に読んでおきたかった。
少なくともその後,別の大学に再入学した際には,哲学を中心として,文化人類学でレヴィ=ストロースを学んでいたし,発達心理学ではラカンも学んでいたから,その頃に読めていれば,さらに理解は深まっただろうなと思うと,少し口惜しい気さえする(笑)
さて,本書は構造主義という,20世紀フランスから発祥した現代哲学の思想をおおまかに,わかりやすく解説した本である。
主な内容としては,構造主義前夜として,簡単にマルクスとフロイトとニーチェの思想に触れた後, -
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まず、文章そのものが軽妙で(ブラック・ユーモア満載で)読みやすかったです。
かつては「聖職者」ともいわれた「教師」という仕事ですが、いまでは「生徒」や「保護者」という「お客様」に教育サービスを提供する職業になり、かつての権威は薄れ…と、何かとブラックな扱いをされることが少なくありません。
はたして、内田樹が定義する「理想的な教師像」とはどのようなものなのか、と思って読み進めましたが、目からうろこが落ちたような気がします。
冒頭の「理想の教師は存在しない」というどんでん返しから始まり、コミュニケーション論にもふれながら展開された論考を経て、「学ぶ側の主体性」の大切さに気付かされました。
な