内田樹のレビュー一覧

  • 日本辺境論

    Posted by ブクログ

    2025/04/12
    p.5
     私が「お部屋をきちんとしておく方がいい」と申し上げているのは、要するに、いつでも「お客さん」を迎え入れることができるようにしておくことがたいせつだと思っているからです。<中略>本書は「お客さん」を家に迎え入れるために「お掃除」するということを目的とした本です。
     お掃除ですから、それほど組織的に行わるわけではありません。というか、お掃除というのはもともと組織的にやるものではないんです。組織的かつ徹底的にやろうと思うと、思っただけでうんざりして、いつ先延ばしにしてしまいますから。お掃除の要諦は「徹底的にやってはいけない」ということです。「足元のゴミを拾う」ことで満

    0
    2025年04月12日
  • 沈む祖国を救うには(マガジンハウス新書)

    Posted by ブクログ

    何かとモヤモヤする物事に対して、普段の自分だけでは思いつかないような、ちょっと視点の異なる考え方に気付かさせてくれます。

    そこから更に考えを深めたり、他の物事でも違った側面から考えられるようになったりと、筆者の本は考え方の勉強になることが多いです。

    普段の仕事やお金の事に追われ、ついつい何にでも同じ物差しを当てている自分を反省しました。

    沈む祖国から少しでも多く持ち逃げするような人間にはならず、沈む祖国を救うために自分なら何が出来るか?を諦めずに考えていきたいと思います。

    0
    2025年04月09日
  • 寝ながら学べる構造主義

    Posted by ブクログ

    実に興味深い(福山雅治風)本でした。
    理系の私からしたら現代思想や哲学なんて『自明の現象に名前をつけるだけの退屈な学問』と思ってました。少し違いました。
    構造主義が自明となる(覇権を握る)までの成り立ちを整理することと、その過程で生まれた負の遺産(超人主義→ナチス、マルクス主義→ソ連崩壊etc...)を学ぶことは実に興味深い体験でした。

    本を読むということは自明の真実に対して読書という体験を通して説得力を持たせる作業でもあるのかもしれません。

    0
    2025年03月21日
  • 動乱期を生きる

    Posted by ブクログ

    安倍政治から、最近の東京都知事選、兵庫県知事選にかけての政治の凋落と、メディアでの議論のあり方、ネットの荒れ方、そして職場での無謀な上位下達について、モヤモヤとした違和感や閉塞感を感じていたことの正体が、この書を読んでクリアになった。
    こういう世の中の流れに乗りたく無いが、中々、抗えず、どうやって良識ある大人になれるかと考えていたがよくわからなかった。しかし、自身が受け入れられない人々の言動が損なっているものが、この書を読んでわかったことで、それら蔑ろにされているものを大切にしていけば、目指す良識が得られるのでは無いかと思った。
    思考停止の受け身でなく自律を
    データなどの客観性のみに絞らずに身

    0
    2025年03月16日
  • 修業論

    Posted by ブクログ

    形にとらわれないということ。
    居着かないということ。

    現代の人は目標に向かって努力するが、
    修行において目的は見えない。
    見えないけれど、その先にある何かを信じ極める。そしてはじめの自分では想像もしない境地までたどり着く。
    見えるもの把握できるものだけに、縛られないということ。

    天下無敵とは、どんな相手と対峙しても勝てる、ということでは無い。
    むしろ全ての敵を自分の一部にするということである。包含し、融合する。境界線は曖昧である。
    自分という枠組みに、とらわれないということ。

    イエスが海を歩く伝説を信じるか。
    信仰とは、自分では理解できない現象が存在しうることを認めることである。起こりう

    0
    2025年03月13日
  • 寝ながら学べる構造主義

    Posted by ブクログ

    「構造」とは?の私的例え
    ジャンケンの構造は世界中にある。三つどもえである事が超重要であり、ニつや四つではダメ。
    人間が、できるだけ平和的に解決したい生き物である以上、この構造は各地で愛用される。
    物事を争いだけで解決する生き物や、意思疎通が完璧な生き物(アリとか)なら、無用の長物。
    もし、もう一度、人類史を繰り返しても、人間である限り、ジャンケンの構造は生み出されるだろう。そのくらい、「構造」は強力。

    第一章
    前提の話が、極めておもしろい。

    「構造主義の思考方法があまりに深く私たちのものの考え方や感じ方に浸透してしまったために…
    その発想方法そのものが私たちにとって自明なものになってしま

    0
    2025年03月18日
  • 勇気論

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    抽象的だけど、往復書簡の形をとっているので、そこまで難しくなく読める。
    自分がなんとなく思っていたことを言葉にしてくれている部分があったり、目からウロコの解釈があったりして、何度も読み返したくなるし、きっと年月を経て読み返したらまた感じ方が違うのだろうと思う。
    今回読んで印象に残ったトピック
    ・論理の飛躍
    ・仲裁者の「身銭を切る覚悟」
    ・「こういうの、ありなんだ」の力
    ・人類は知性の活性化を追求する
    ・「自分のヴォイス」で語る
    ・嘘をつかない方がいい理由
    ・微妙な違和感というアラート
    ・他者の他者性に耐える

    0
    2025年03月08日
  • 寝ながら学べる構造主義

    Posted by ブクログ

    内田樹さんが、昔の自分が解読するのに大変苦労した「構造主義」をそのときにあったらいいなと願った読みやすい「構造主義についての入門」を記した本。
    その名の通り、ちょこちょこ寝ながらだったが、「構造主義」を学ぶことができた笑
    現代人がもはやその主義に染まっているとも意識できないくらいに普遍化した思考方式である「構造主義」を、構造主義以前の世界観から、ソシュールの言語論へ、そして、構造主義の4銃士、ミシェル・フーコー、ロラン・バルト、レヴィ・ストロース、ジャック・ラカンへと暗闇にゆっくりと光が指すように構造主義のベールを剥がしていく。
    「あらゆる知の営みは、それが世界の成り立ちや人間のあり方について

    0
    2025年02月28日
  • 街場のメディア論

    Posted by ブクログ

    この本が刊行されて早15年が経ち、当時は黎明期だったSNSも今や立派なメディアである。さて、この本を通じて、マスメディアの構造や、内部にはらむ慢性的な問題について認識できた。この廃れた内部構造も知らずに、のうのうとテレビを見ていた私は今思えば、無垢っぷりも甚だしいこと。では、SNSが出てきた現在、メディアを取り巻く問題はどのように変化したのか?SNSは、著者の述べる「ミドルメディア」に該当し、半分は著者の希望通りの変化だ。しかし、私たちは、よりメディアリテラシーを求められるようになっただろう。

    0
    2025年02月24日
  • 寝ながら学べる構造主義

    Posted by ブクログ

    「構造主義」が何であるかをまるで知らないまま、知人の勧めで読み始めました。ニーチェやマルクスなど、名前はよく聞くけど、どんな考えを持っていたのかは知らないという人から、フーコーやフロイトなど、こちらも名前は知っているけどの人たちまで、構造主義という軸で面白く読むことができました。地動説的な自我論を盲目的に信奉していたのを自覚したら、自分の気持ちや考えに対する疑惑を持てるようになったことも興味深いです。また時間が経ったら読みたい本なのでした。

    0
    2025年02月17日
  • 勇気論

    Posted by ブクログ

     早くも2025No. 1かも。そう思わざるを得ないほど訓えに満ちていた。樹先生の本はいつも知的興奮をびりびりくれるのですが今回はたぶん仕事(教育)での悩みというか個人的な課題に深く関わる話が多くて。あとがき286ページなんか思わず声に出して読み上げてしまった。勇気は「孤立に耐える」ための資質。孤立に耐える人は他者の他者性に耐えることができる。ただしそれは単なる我慢ではなく、連帯の希望があってこそのもの。勇気をもって生きてください。はー、痺れる……。

    0
    2025年02月10日
  • リスクを生きる

    Posted by ブクログ

    あえて言いますが「また同じことが書いてあります」。
    基本的に内田さんも岩田さんも以前どこかでおっしゃっていたことを繰り返し語られています。
    違うのは取り上げられている事象の方。

    でもそれは当たり前のことではないでしょうか。
    ある人の考えは様々にバージョンアップされたり、改変されたり、脇道へそれたりとするでしょうが、その本質的な部分で大きく変わることは(あまり)ないと思います(むしろ本質的な部分がころころ変わる人は信用できないでしょう、きっと)。
    一方で現実は目まぐるしく変化する。今回主要なテーマである「コロナ禍」は、現実がいとも容易く一変するということを残酷なほど分かりやすく僕らに突きつける

    0
    2024年12月05日
  • 直感はわりと正しい 内田樹の大市民講座

    Posted by ブクログ

    ちょうど高校生の頃、図書室で毎週AERAを読んでいたので、懐かしさもあってかものすごく面白かった。
    皮肉も効いてて最高。
    高校生のときこそこういう評論を通じてじっくりと世界を観察すべきだな。
    私は受験勉強の方に振りすぎて、大事な時間を無駄にした感があるので余計に。

    また、内田先生のご専門と近いところで学んだので、生産性が低いと思われる分野への眼差しや価値観が似ていた。

    0
    2024年11月30日
  • サル化する世界

    Posted by ブクログ

    内田樹の社会観というか政治的立場が明示されている。基本的にはコミュニタリアンなんだな。

    懇親会で隣にいた保険医の方から,「医療と市場原理はどうしてもなじまないのですけれども,どうしたらいいでしょうか」と訊かれた。その質問には「苦しんでください」と答えました。にベのない答えだったとは思いますけれど,仕方がないのです。医療と市場原理は並立しないからです。並立しないものを並立させようとしているのだから,苦しむ以外にない。

    これは医療を司法とか法曹とかに置き換えてもそのまま当てはまるのではないか。
    「市場原理に委ねるとある種の領域で制度は限りなく劣化するという平明な事実を直視すべきなんです。」

    0
    2024年11月05日
  • コモンの再生

    Posted by ブクログ

    内田樹さんの話しは難しいのに本分かりやすくて面白い。
    今回は特に「大人は楽しい」と子供に思わせる大人になる「大人になりたい」と思わせる大人になる、って大事だなぁ、と強く共感した。

    0
    2024年10月25日
  • 寝ながら学べる構造主義

    Posted by ブクログ

    独学の技法の推薦図書として読んだ。
    高校時代に課題図書として出ていたけど、その時は全く分からなかった。

    10年の歳月をかけて、再び出会うとは。

    0
    2024年10月14日
  • だからあれほど言ったのに(マガジンハウス新書)

    Posted by ブクログ

    大変勉強になる教養の書であると思います。過去の文章のアルバムといったところです。特に前半は、面白かったです。

    0
    2024年10月14日
  • 日本辺境論

    Posted by ブクログ

    日本人とはどのような民族かを語った一冊。2010年の本だが、15年近く経った今読んでも納得できることばかり。日本人は元々中華思想の辺境にいた民族であり、自らの国はこういう国であるという、アメリカをはじめとする他国が基本的に持っている独立宣言的なものがない。故に、他国との比較においてしかその存在を主張できないという説。これはなるほどと思ったし、最近のコミュニケーションにも同じことが言えるのではと感じた。フェミニズムも同じ文脈で語れるような気もする。たびたび読み返したい一冊。

    0
    2024年09月29日
  • 街場の親子論 父と娘の困難なものがたり

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    内田樹が最高だと話したら同僚が貸してくれた、私にとって2冊目の内田樹。
    樹さんだけじゃなくてるんちゃんも最高だなんてね!
    ・変わらない友情とは変わり続ける友情(るんちゃん)
    ・自分について語るというということは、自分という美術館で個展を開くためにキュレーションするのと似てる(内田樹)
    ・相手のことを共感できないようなことって自然だし、それでも一緒にいて楽しいと思えたりするのってすごく良くない?(樹)
    ・お金は動くという性質しかないから動かしてやらないと。お金を動かしてたら、自分の元に「いえーい!動かせえもらえる!」ってわかってるお金がやってるからまたお金を動かす→お金が入ってくるのループ。(樹

    0
    2024年09月20日
  • 気はやさしくて力持ち

    Posted by ブクログ

    ちょっと難しかった。でも身近に置いておいて、また読み返したいと思わせてくれる本だった。お二人が話す内容は、本当にとっちらかっていて、子育てに関係ない話も多いのだけれど、特に内田さんのお話は結構哲学的な本質をついている内容なのに、なぜかさらさらと読める文章で、なるほどなあ、そうかもしれないなあと思うことが多かったように感じる。完璧な大人、完璧な親であることはあり得ないし、また完璧でないことが子どもにとっては必要、と言われている気がして心が楽になる本だった。

    0
    2024年09月03日