内田樹のレビュー一覧

  • だからあれほど言ったのに(マガジンハウス新書)

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    「だからあれほど言ったのに」
    うまい題名だこと!
    5音7音で題名を考えるという種明かしをしていたけど、確かにそれはいい考えだと思う。
    キャッチーで、尚且つ、何度も胸に響く。
    しかも今回のこの本は一つずつが短く読みやすいので、読み終わるたびに、「だからあれほど言ったのに」という内田樹の声が聞こえてきそう笑

    この人はホントやばいくらい魅力的なおじ様ですね。近くにいたらクラクラしたと思う笑

    「今の日本の『ダメな組織』はこの『督戦隊が多すぎて、戦う兵士が手薄になった軍隊』によく似ている」
    督戦隊とは「前線で戦況が不利になった時に逃げ出してくる兵士たちに銃を向けて『前線に戻って戦い続けろ、さもないと

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    2024年05月11日
  • だからあれほど言ったのに(マガジンハウス新書)

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    改めて本を読んで視野を広げることの楽しさを感じました。人生には、即決できないことの方が多いような気がするので、周りに多大な迷惑をかけない程度に大いに悩んで喚いたりしながら、考えていこうと思います。

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    2024年04月28日
  • 寝ながら学べる構造主義

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    次の一歩を踏み出したくなる分かりやすい書き方で、とても面白かった。構造主義を知るほど、「私」なんていないんじゃないか、と思えて、安心と恐怖が押し寄せてくる。

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    2024年04月04日
  • 戦後民主主義に僕から一票

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    とても面白いし、かなり納得して読めた。
    民主主義、政治、憲法、教育の4つについて各所に書いた文章のコンピレーション。教育のところはご自身が当事者だったためか、実体験に基づく感情が表れているところもあったが、その他は本当にまともなことを普通に冷静に、しかもとてもわかり易く説明してくれている。
    日本社会の株式会社化という言葉が出てくるが、これは本質よりも効率性を求めるケースや、数的帳尻合わせを良しとする評価軸が今だに蔓延っているこの国を上手く表している。また、政治、憲法の章では対米追従・隷属の歴史や背景・経緯がウチダ先生らしい筆致で描かれており、本当に納得できた。
    この国は先進国ではあるが、一流国

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    2024年04月02日
  • 街場の米中論

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    米中論のタイトルから、アメリカと中国について、特に米中対立、台湾問題、などが中心になっているかと思って読み始めた。
    アメリカが8割、中国論が1割、米中関係が1割位の印象だろうか。初めにでもあるように、ほとんどが米国論であろうか、解決不能な自由と平等については非常に興味深い点が多かった。平等と言うのは、公権力が市民の自由に介入し、強者の権利を制限し強者の富を税金として徴収し、それによって弱者を保護し、貧者に分配することによってしか実現しない。市民を自由に競争させていたら、そのうち平等が実現すると言う事は絶対に起きません。自由の国アメリカが、世界有数の格差社会の国である事はよく言われている通りです

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    2024年03月25日
  • 気はやさしくて力持ち

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    子育ての言葉にしにくい複雑さが二人の往復書簡から伝わってきました。その中でも、子どもを愛するのでは足りず、子どもを傷つけないことを優先すること、子どもに敬意を払うこと、イノセンスがある=人に自分を委ねられるだけの信頼感が育っていることであり、そのために子どもを見守ることが子育ての大事な部分である、など時折ハッとさせられる言葉に出会えました。

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    2024年03月22日
  • 下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち

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    当座の報酬の期待値の低さ・不確定性に対し、経済合理性の下、消費者マインドで「こんなん何になるんだよ」と突っぱねちゃうのがニートと不登校、つまり労働や学びの拒否の始まり。

    その曖昧さや不確定性に対して「きっとなにかになるはず」と、気長かつ楽観的・期待的に身を投じて、労苦を負って行くこと。そして自己の不確定な変化という性質を認め、受け入れ、期待し、勘定に入れた上で学びに向かうこと。それらの勇気ある殊勝な態度が知性。

    また「自身の存立」時点で社会や周囲の人間から受けてきた恩義、つまりは贈与に負い目を認められ、その反対給付義務意識に駆られて積極的に労働という(返報)贈与を社会に行っていくこと。それ

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    2024年02月12日
  • 君たちのための自由論 ゲリラ的な学びのすすめ

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    自由と平等を取り持つ第三項としての「友愛(博愛)」について、「友愛」の成立に不可欠であるとされる、共同体と個人には深い共通性と繋がりがあるという身体的実感が、宋明理学でいうところの「万物一体」論と相似形ではないかと疑問に思った。

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    2024年02月11日
  • 街場の成熟論

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    内田樹氏が、様々な雑誌に投稿した原稿を選択して、テーマ別にまとめたもの。2021〜2023年のものが多かったように思う。
    言葉は、さすがに難しいと感じるけれど、内容はとても腑に落ちて、納得したり感嘆したり、、。
    「ウクライナ危機後の世界」と「沈みゆく社会」の章には、暗澹たる気持ちを抱きながら読んだし、
    「成熟について」の章の、鬼滅の刃の構造分析には大きく頷きながら読んだ。
    いつもいつも難しく考えながら生きていくわけにはいかないのだけれど、自分の心や体に問いかけながら考えることは大切だと、内田氏の本を読むといつも思う。なぜ、モヤモヤするのか、腹が立つのか、、、、回答をもらったように感じる。
    興味

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    2024年02月05日
  • 街場の米中論

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    葛藤がアメリカを育ててきた、という主張は納得できた。
    自由と平等という相反する概念。

    日本は、そのような引き裂かれる状況ならばすぐに投げ出してしまうんだろう。

    中国論も面白く読めた。
    腐敗があるから、公安が脅しを掛けられる。
    農村を見捨てない共産主義。

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    2023年12月20日
  • 街場の米中論

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    街場の米中論

    内田翁の新刊。出版イベント?ではないものの、直近の隣町珈琲のイベントでも言及されており、今後を占う上での指針となる。
    米中いずれにも、政治的な意思決定の基盤となるような歴史的趨向性(無意識)のようなものがあり、そうした趨向性を捉えるための内的葛藤や歴史的な動きがあり、そうした内容を読み解くものである。
    米中論はさながら、組織にも個人にも当てはまる内田翁の私見にもやはり唸らされた。
    また、今回の読書体験は、内田翁の思考の癖を読むことができた、うれしいこともあった。P94で、自由と平等の話が出た際に、食い合わせの悪い二つを接ぎ木するものとして、博愛/友愛をフランスはもちだしたのでは

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    2023年12月16日
  • 日本戦後史論(朝日文庫)

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    単なる対米追従では……

    このお2人の対談本は続けて読みました。ナチス占領下のフランス・ヴィシー政権に関連するエピソーや、アベ政権にまつわる諸々などが印象に残る本でした。
    1年延期して開催した東京オリンピックも無駄でしたし、大阪万博も同様でしょう。
    薩長政治に対する恨みつらみも分かりますが、やはり長いだけだったアベ政権、褒めるところは何一つなく……2度にわたり、病気を言い訳にしての退陣で終わりました。
    アベ周りで贔屓されて出てきたのが例外なく碌でもない、というのも象徴的で、その劣化コピーがまだ居座っています……。

    #共感する

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    2023年12月02日
  • 新しい戦前 この国の“いま”を読み解く

    ネタバレ 購入済み

    興味深い対談本

    国際情勢から今の日本の政治経済、教育やマスメディアの諸問題、割とじっくり語られていました。先日の文化放送の番組に白石氏が出演され、この本にも関連した話をされていたので買って読みました。
    維新は加速主義では?といったような指摘、おおむねあっていそうです。
    今の学校教育では分析知を持った人間、出てこなさそうとか、体育座りが演劇関係者も批判していたなとか、切り口は様々にある本です。
    マスメディアの劣化も、目も当てられないくらいですし。
    たぶん地方の真っ当な首長とかは、まだ可能性、あるでしょうね……。

    #共感する #深い

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    2023年12月01日
  • 荒天の武学

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    武道的な力とは、端的に言えば、一個の生き物としてあらゆる状況を生き延びることができる能力。自分自身が愉快に、気分良く生き続けられるために心身の能力を向上させること。
    ただ、自分ひとり愉快であればよいというものではなく、社会格差のせいで苦しんでいる人がいれば、自分も楽しくなくなる。だからこそ、武道家としての自分であれば、そういう問題も何とか解決するように努力する。自分自身の心身の能力の開発を阻害するすべてのファクターを「敵」だと考えて、どうやってその敵を無力化していくのか、それを工夫する。
    内田老師はそう述べた上で、現在の武道がある種無菌状態の中で競技化されているものは、晴れた日の武道=晴天型の

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    2023年11月26日
  • 狼少年のパラドクス ウチダ式教育再生論

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    内田樹の書いた本は非常に好きで、沢山読んでいる。沢山読んだ、内田樹の本の中でも、この本はかなり好きな部類に入る。
    「ウチダ式教育再生論」という副題からも分かる通り、本書は教育、特に大学教育について語った本である。本書は2007年の発行であるが、内田樹は2011年まで神戸女学院大学の教授を務めていた。本書掲載の文章が書かれた当時は、更に、神戸女学院大学で教務部長のような仕事をされていたようだ。内田樹の大学教育に対しての問題意識というか危機感は強烈である。また、文科省の大学政策には非常に批判的なのであるが、教務部長という仕事は、文科省の指示を、居並ぶ教授陣を説得しながら行う必要がある仕事のようで、

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    2023年11月25日
  • 新しい戦前 この国の“いま”を読み解く

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    ほぼ同じ頃に出版された「鵺の政権」と比べ勉強になった朝日新書。熱い白井聡と大人の内田樹の対談だ。
    「5章日本社会の何が“幼稚 „か」で語られる教育の問題に共感したり反省したり。久しぶりに教師であった自分のことを振り返り、考えさせられた。
    お二人の熱さとクレーバーさのホンのわずかでも自分にほしい。

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    2023年11月22日
  • 君たちのための自由論 ゲリラ的な学びのすすめ

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    もう少しリラックスして物事を考えませんか?そして世間の事象に問いを投げかけよう。窮屈で定型化された日本社会に生きる人には刺さる部分が多い。
    新参者をニワカと揶揄したり、学力という一つのベクトルで評価したり、当たり前に行われている窮屈な物事に問いを投げかけて考え、自分なりの柔和な考え方を身につけるのは大事だ。

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    2023年11月17日
  • 日本辺境論

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    村上春樹と並んで、うちの本棚の占有面積1位、内田樹先生。
    その出会いとなった1冊。

    日本論や日本人論は、国内にとても多くある。
    自国の文化や国民性についてこれほど多くの知的資源を割く国は、他にない。
    そもそもなぜ、僕たち日本人は、こんなに日本論が好きなのか。

    日本人は、他国を参照し、比較して、常に自分が何者であるかを確認しなければ、不安だからである。

    日本人はいつの時代も、外の世界に向けてキョロキョロと目を向けてきた。
    キョロキョロ目を向ける先は、中国だったりアメリカだったり北欧だったり、時代によって変わる。
    けれど、この「キョロキョロしかた」だけは、いつの時代も変わらない。
    これが日本

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    2024年02月10日
  • 下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち

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    学ぶことができるという環境を放棄している日本の子どもたち。納得のいく内容でした。
    生産と消費がかけ離れ、生産することへの尊敬と感謝が失われている日本社会。たくさん消費することが良いライフスタイルであることのように報じられるメディア。日本はどうなっていくのでしょう。

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    2023年10月29日
  • 街場の成熟論

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    生きていると様々な事柄を考える場面に出くわす。そしてその考えは得てして自分の視点からの見方だけに終始してしまい偏ったものになりがちである。
    内田樹さんの本はいつも少しそのようなものの見方をずらしてくれる。

    「反抗のうちで死ぬのは、自分個人の運命を超える『善きもの』のため」
    運命を越えると思える時、命すら惜しまない状況が起こる。

    「反抗的人間は孤独ではない。」
    関係性は戦いという形でも万人と繋がる。人は関係性の中で生きている。

    「全能感を手早く求める者は必ず破壊に走る。」
    権力を振りかざす周りの人はやはりこのスタイルを取る。

    「文学的素養のない人たちが他者の内面についての想像力の行使を惜

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    2023年10月27日