内田樹のレビュー一覧
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武道的な力とは、端的に言えば、一個の生き物としてあらゆる状況を生き延びることができる能力。自分自身が愉快に、気分良く生き続けられるために心身の能力を向上させること。
ただ、自分ひとり愉快であればよいというものではなく、社会格差のせいで苦しんでいる人がいれば、自分も楽しくなくなる。だからこそ、武道家としての自分であれば、そういう問題も何とか解決するように努力する。自分自身の心身の能力の開発を阻害するすべてのファクターを「敵」だと考えて、どうやってその敵を無力化していくのか、それを工夫する。
内田老師はそう述べた上で、現在の武道がある種無菌状態の中で競技化されているものは、晴れた日の武道=晴天型の -
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内田樹の書いた本は非常に好きで、沢山読んでいる。沢山読んだ、内田樹の本の中でも、この本はかなり好きな部類に入る。
「ウチダ式教育再生論」という副題からも分かる通り、本書は教育、特に大学教育について語った本である。本書は2007年の発行であるが、内田樹は2011年まで神戸女学院大学の教授を務めていた。本書掲載の文章が書かれた当時は、更に、神戸女学院大学で教務部長のような仕事をされていたようだ。内田樹の大学教育に対しての問題意識というか危機感は強烈である。また、文科省の大学政策には非常に批判的なのであるが、教務部長という仕事は、文科省の指示を、居並ぶ教授陣を説得しながら行う必要がある仕事のようで、 -
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村上春樹と並んで、うちの本棚の占有面積1位、内田樹先生。
その出会いとなった1冊。
日本論や日本人論は、国内にとても多くある。
自国の文化や国民性についてこれほど多くの知的資源を割く国は、他にない。
そもそもなぜ、僕たち日本人は、こんなに日本論が好きなのか。
日本人は、他国を参照し、比較して、常に自分が何者であるかを確認しなければ、不安だからである。
日本人はいつの時代も、外の世界に向けてキョロキョロと目を向けてきた。
キョロキョロ目を向ける先は、中国だったりアメリカだったり北欧だったり、時代によって変わる。
けれど、この「キョロキョロしかた」だけは、いつの時代も変わらない。
これが日本 -
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生きていると様々な事柄を考える場面に出くわす。そしてその考えは得てして自分の視点からの見方だけに終始してしまい偏ったものになりがちである。
内田樹さんの本はいつも少しそのようなものの見方をずらしてくれる。
「反抗のうちで死ぬのは、自分個人の運命を超える『善きもの』のため」
運命を越えると思える時、命すら惜しまない状況が起こる。
「反抗的人間は孤独ではない。」
関係性は戦いという形でも万人と繋がる。人は関係性の中で生きている。
「全能感を手早く求める者は必ず破壊に走る。」
権力を振りかざす周りの人はやはりこのスタイルを取る。
「文学的素養のない人たちが他者の内面についての想像力の行使を惜 -
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面白かった。
本人も書いておられるように「ずいぶん力んで書いている」力作であります。
消費者として全てを同時性の中で生き、世の中を等価交換で見る体質。
こういったことが学びを馬鹿にし、労働を無意味なものと見る価値観に結びつくと見る。
解明していく際の気押される程の勢いある文章に引き込まれて行く。
学校内の状況は改善はされてきているのだろうか。
ニートの数は減少しているのだろうか。
外からは見えない隠れた部分。実態を知る術が無いが、良くなってきていることを望む。
対談部分は文庫化に際して削っても良かった気がする。何か著者にもしがらみがあるのかも知れないが… -
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ネタバレ内田樹自身による自分の著作物紹介。
リストアップされた自著の解説、というよりそれを契機に思いついた話を展開するというウチダ先生のいつもの流れ。ともあれ1冊で何冊分ものウチダ節を聴けるお得なものとなっている。
1.ためらいの倫理学
著者のデビュー作。フェミニストなどの「正しさ」に欠けている「倫理」の考察。
2.先生はえらい
中高生向けに初めて書かれた師弟論、教育論。教師に勇気を与える内容。内容が大学入試に多く採用されることで有名。
3.レヴィナス序説
コリン・デイヴィスによるレヴィナスの解説書を和訳したもの。
フランソワ・ポワリエ「暴力と聖性」は読みやすい。
サロモン・マルカ「レヴィナ -
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本書は現代社会に蔓延する「生きづらさ」を緩和するために、政治や教育における最善の選択肢を提示し、想定されうる暗い未来について思考が停止する日本の国民性については批判的に書かれている。本書では「生きづらさ」を、自分の機嫌が損なわれる場所にいることで起こる心身の不一致と定義している。本書では「生きやすさ」について直接語られることはない。なぜなら文中で列挙されていた「生きづらさ」やその要因を再考し、解消していくことで、心身のズレが修正され、自由度が増し、その結果生きやすくなるという筆者のメッセージだからである。そして我々は後の世代へ「生きづらさ」を残してはいけない。
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『健全な身体に狂気は宿る』
日系大企業から外資系企業に転職し、まず聞かれたことが「あなたのDifferentiatorは何か?」ということだった。そして、海外から来た上司や英語話者によって、Differentiatorと強みは同義ということにも衝撃を受けた。差異がそのまま強みになる。あなたにとって何が人と違うところなのかという問いを突き付けられ、あなたにしかできないことはなんですかと聴かれることは初めてであり、爽快だった。本書でも、自分のミッションを考えるときは、自分が他の人とどう違うかということを考えると言う点があり、先述の考えに非常に近いなと感じた。さらに、もう一歩踏み込んで、自分自身の -
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ネタバレめちゃめちゃ面白かった。
時事系のエッセイを読むのは初めてな上、トピックは2018年ごろのものが多く若干古かったが、どの章も楽しんで読むことができた。
筆者の語り口がとてもロジカルで冷静であることが特に印象的だった。全体的に内容は暗く、日本に対する警鐘を鳴らすものが多かったが、特に筆者が悲観的な見方をしてるわけではなかったので、日本の将来に正しく危機感が持てたと思う。
他の著作も読んでみたいととても思った!
【余談】『トップガン』を見て、(1986年、戦後40年しか経ってない時期によくこの映画が日本で流行ったな…)と思ったことがあるが、この本のあとがきを読んで、その理由が分かった。